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【新製品レビュー】ソニー α100

〜ミノルタの血を受け継ぐ正統派デジタル一眼レフカメラ
Reported by 中村 文夫

 このカメラの第一印象は、コニカミノルタのα DIGITALシリーズそのものだ。老舗カメラメーカーの技術をそっくり呑み込んだソニーが、とんでもない怪物を作り出すのではないかと、期待と不安が入り交じった複雑な気持ちでいたが、とりあえず第一弾は、思い切った冒険をせず手堅く攻めてきたようだ。


外観はコニカミノルタを踏襲

 ストロボを収納したペンタプリズム部分やグリップ、上面のダイヤルなどのデザインはコニカミノルタα DIGITALシリーズのイメージをそのまま引き継いでいる。また液晶モニターのメニュー画面などもコニカミノルタα DIGITALシリーズと同じスタイルを採用。ペンタプリズム正面のSONYロゴをKONICAMINOLTAに変えれば、コニカミノルタの新製品として通用するだろう。

 ただ大きく違うのは、ソニーがシナバーカラーと呼ぶオレンジ色を少し濃くした色のリングがマウントを縁取っていることだ。日本名では辰砂色というらしいが、この色にソニーの思い入れが込められているという。いずれにしても操作感などはコニカミノルタ時代のαシリーズと何ら変わらず、特にα-9やα-7などのフィルムカメラも含めた旧ミノルタユーザーなら、まったく違和感なく使うことができるだろう。ただし左手で操作するメインスイッチやマウントの右下にあるプレビューボタンなどは、他社のデジタル一眼レフからの乗換組にとって戸惑いの原因になるかも知れない。

 α100のCCDの有効画素数は1,020万。ニコンD200などの高級機と肩を並べる画素数だ。それでいて中級機並みのボディの価格を実現。コストパフォーマンスの高さもセールスポイントと言えるだろう。

 だが残念なことに、ボディの質感にそれほど高級感が感じられない。特にシルバーボディの仕上げはプラスチックの質感が丸出しで、同じシルバーなら、コニカミノルタα Sweet DIGITALの方がよほど高級感がある。好みの別れるところだが、あまりカメラ向きの仕上げではないようだ。またファインダーはルーフミラー式。ソニーではエントリー層を含めたユーザーに向けた製品としているが、1,000万画素クラスと考えると、もう少し頑張って欲しかった。





α-7(左)とα100。電源スイッチの位置や十字キーなどの基本レイアウトはそっくり。旧αユーザーなら違和感なく使うことができる

ボディ上面のダイヤルデザインもα Sweet DIGITALによく似ている 液晶モニターの画面表示もα-7のスタイルを踏襲。ファインダーを覗かなくても撮影情報が確認できる

液晶モニターの表示はカメラの縦横に合わせて切り替わる

アイピースに下に赤外センサーを装備。カメラを構えるとAFがスタートするほか、液晶モニター表示が消える

旧ミノルタ製αマウントが使用可能

 α100のレンズマウントはαマウント。旧ミノルタが1985年にAF一眼レフのα7000を発売したときに採用したレンズマウントをそのまま引き継いでいる。このマウントは、電子接点を介して撮影情報のやりとりを行なうCPU式だが、絞りの駆動は機械式。いわば電子式と機械制御式の折衷型だ。さらにAF駆動はマウント面に設けられたAFカプラーを通じて、ボディ側のモーターが光学系を動かす方式である。発売当時はレンズから絞りリングを省いたことで話題になったが、後に登場したキヤノンEOSシリーズの完全電子マウントと比べると、やや時代遅れであることは否定できない。

 ソニーとしても、これを機に完全電子マウントに切り替える選択肢もあったはずだが、敢えてαマウントを採用。旧いレンズが使えるというメリットを強調する戦略に出た。恐らくCCDシフト方式による手ブレ補正を採用したことで、さまざまなデメリットがカバーできるという算段なのだろう。

 いずれにしても、α100にはこれまで発売されたすべてのα用レンズが使用可能。旧αユーザーにとって歓迎すべきことだ。今回の試写では、初代α用レンズを中心に使用したが、約20年も前に発売されたレンズでも手ブレ補正機構を含めたすべての機能が利用できるとは感動ものだ。


レンズマウントはαマウント。マウントは機械式レバーと電子接点を備えたタイプ。マウント面にAF駆動用カプラーがある 従来のαマウントレンズが使用可能。20年以上前に製造された初代の製品でも、すべての機能が利用できる

CCD手ブレ補正機構を利用したゴミ取り機能

「Super Steady Shot」という表示のあるレバーが手ブレ補正スイッチ。シャッタースピードで2〜3.5段分の補正効果がある
 α100の最大のセールスポイントは、手ブレ補正機能「Super Steady Shot」だ。コニカミノルタα DIGITALシリーズの時代から、CCDシフト方式による手ブレ補正機能を最大の特徴に掲げてきたが、α100では性能がさらにアップ。シャッタースピードで2〜3.5段分の手ブレ補正効果があるという。またCCDシフト方式のメリットは、レンズ側で手ブレを補正する方式と違い、どんなレンズを組み合わせても手ブレ補正が利用できること。すでに述べたように、20年以上前に製造されたレンズでも手ブレ補正の恩恵に浴することができる。

 ただしマウントアダプターなどを介してM42レンズなどを取り付けた場合は例外で、手ブレ補正が利用できない。その理由は手ブレ補正に必要な焦点距離情報が得られないから。ペンタックスK100Dなどは、手動で焦点距離をインプットすれば、どんなレンズでも手ブレ補正が作動するが、α100にはその機能がない。この点は残念としかいいようがない。

 だがα100がK100Dより確実に優っている点がある。それは可動式のCCDを揺らすことで、CCD表面に付いたゴミを振り落とす機能「アンチダスト」だ。これはCCDを揺らす機構に加え、CCD表面に施した特殊なコーティングによって実現したものだ。

 なおCCDを揺らすタイミングは電源スイッチをオフにしたとき。撮影前のオンのときの方が効果がありそうに思えるが、オンにしたときにゴミ取り処理を行なうと起動時間が長くなってしまう。神経質なユーザーは撮影の前に、オン/オフ/オンというスイッチ操作をすると良いだろう。試しに今回の試写では一度もCCDの清掃を行わなかった。もちろん頻繁にレンズ交換をしたが、ゴミの付着は認めらず、この機能の優秀性を証明してくれた。


最新の画像処理エンジンを搭載

 画像処理エンジンには、Bionnz(ビオンズ)と名付けられた新しいエンジンが搭載されている。一眼レフを初めて造ったソニーとしては、AFや測光などカメラとしての基本的な部分は旧ミノルタの技術に頼らざる得ないが、画像処理技術などはソニーが得意する分野だ。またこの技術には旧コニカのノウハウも活かされているという。

 撮影画像から受ける印象は、コニカミノルタのα DIGITALシリーズとソニー製コンパクトデジカメの中間といったところ。α DIGITALより透明感がアップすると同時に、派手さが抑えられ自然な発色になっている。

 α100で初めて採用されたDレンジオプティマイザーは、撮影画像を解析し、露出と階調を瞬時に最適化する機能。単純に露出を補正するのではなく、ハイライト部の白飛びやシャドー部の黒つぶれを防ぐことができる。この機能には、通常のスタンダードモードのほか、より高い精度で補正するアドバンスの2モードがあり、撮影意図に応じて選ぶことが可能。もちろんオフにすることもできる。今回の試写ではそれほど積極的に使わなかったが、オンにした場合すべてのカットで効果が現れるのではなく、逆光など補正しないと不自然になる場合に顕著な効果が現れるようだ。


Dレンジオプティマイザーの設定画面。スタンダードのほか、より高度な補正が可能なアドバンスも装備。もちろんオフにもできる フォーカスフレーム設定画面。自動的に測距ポイントを選ぶワイドエリアのほか、任意の一点が選べるローカルフレーム選択、中央1点に固定するスポットフォーカスフレームの切り替えが可能。DMF(ダイレクト・マニュアル・フォーカス)を選ぶと、AFで一旦ピントを合わせた後、切り替え操作なしでMFが利用できる

まとめ

 経済誌など一般メディアの報道では、家電メーカーのデジタル一眼レフ参入が話題になっている。当然このα100もその渦中に居るわけだが、私の受けた率直な印象は、旧ミノルタの血統を受け継いだ正統派の一眼レフであるということだ。今後ソニー色が強まることが予想されるが、この基本形を崩さずカメラらしさを守り続けて欲しいと思う。


記録メディアはCF メモリースティックデュオ用アダプターを同梱。ここまでする必要があるのだろうか?

ストロボは手動ポップアップ式。ガイドナンバーは12(ISO100・m)で、18mmレンズの画角をカバー。高い位置に発光部があるので赤目が起こりにくい 充電池は家電メーカーの得意分野。1回のフル充電で約750コマの撮影ができる

当たり前の話だが、すべてのキャップにSONYのロゴが入っている

作例

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


◆Dレンジオプティマイザー

 スタンダードのカットは空がややとび気味。これに対しアドバンスのカットはとび方が少なく青空の色が残っている。また緑の葉の部分もいちばん明るく再現された。


Dレンジオプティマイザーオフ
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 33mm
Dレンジオプティマイザースタンダード
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/160秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 33mm

Dレンジオプティマイザーアドバンス
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/160秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 33mm

◆ISO感度


28mm F2 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 42mm 28mm F2 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.2 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 42mm

28mm F2 / 3,872×2,592 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 42mm 28mm F2 / 3,872×2,592 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 42mm

28mm F2 / 3,872×2,592 / 1/100秒 / F7.1 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 42mm

◆レンズセット付属の標準ズームレンズ(DT 18-70mm F3.5-5.6)


九輪草のピンクと緑のコントラストが美しい
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 45mm
蕗の葉の質感が見事に再現された。シャッタースピードは1/20秒と遅いが、手ぶれ補正機能の効果でぶれずに写った。風景モード
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/20秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 67mm

揺れる遊覧船の上から1/15秒で撮影。完全にブレは止まっていないが、A4判程度なら何とか耐えられるだろう
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/15秒 / F22 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 27mm
約500枚撮影したうちの最後のカット。いちどもCCDを清掃しなかったが、ゴミは付いていない。風景モード
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/250秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 27mm

◆旧ミノルタαレンズ

◯Reflex 500mm F8

 他メーカーを含め、AFが作動する唯一のレフレックスレンズ。10月にソニーブランドでも発売が予定されている。遠景にクリアさがないのは梅雨時の湿度のせいだ。このレンズはレフレックスレンズのためフォーカスエリアはセンター固定になる。ボディ側のAF駆動パワーが弱く、思うようなAFスピードが得られなかった。α100はα Sweet DIGITALをベースにしているので、このあたりに弱点があるようだ。


Reflex 500mm F8 / 3,872×2,592 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 750mm Reflex 500mm F8 / 3,872×2,592 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 750mm

手ブレ補正オン
Reflex 500mm F8 / 3,872×2,592 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 750mm
手ブレ補正オフ。手ブレのためシャープさがない
Reflex 500mm F8 / 3,872×2,592 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 750mm

◯50mm F1.4

 絞り開放から1段ずつ絞ってF11まで撮影。開放からF2.8程度まではフレアっぽいが、F4以上に絞るとシャープになる。


50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/640秒 / F1.4 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm 50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/400秒 / F2 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm

50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/200秒 / F2.8 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm 50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/100秒 / F4 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm

50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F5.6 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm 50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/20秒 / F8 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm

50mm F1.4 / 3,872×2,592 / 1/13秒 / F11 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 75mm

◯100mm F2

 中古市場でもあまり見かけない大口径中望遠レンズ。開放だとややソフト調の描写になる。背景のぼけ味も美しい。


ステンドグラスの微妙なグラデーションが忠実に再現された
100mm F2 / 3,872×2,592 / 1/500秒 / F2 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 150mm

◯シグマ 90mm F2.8 Macro

 高倍率の接写の場合、前後のブレによるピンボケが問題になる。残念ながらCCDシフト方式が威力を発揮するのは、上下左右のブレだけ。したがってマクロ撮影時の歩留まりはあまり良くない。この写真は何カットか撮ったうちの1枚だ。


90mm F2.8 Macro / 3,872×2,592 / 1/100秒 / F8 / -1.3EV / ISO200 / WB:オート / 135mm

【7月11日】一部の表記を「α DIGITALシリーズ」に統一しました。また、「Dレンジオプティマイザーで露出補正が二重にかかる」という表現がありましたが、Dレンジオプティマイザーと露出補正を同時に適用できないため、当該部分を削除しました。DMFをDMSと誤記した箇所を改めました。
【7月18日】50mm F1.4の作例のうち、撮影データ表記が誤っていた部分(F5.6の作例のキャプション)を修正しました。
【7月31日】ISO感度の作例データのうち、レンズ名が誤っていた箇所を改めました。



URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/AMC/body/DSLR-A100/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#alpha



中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2006/07/10 15:45
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