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【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】タムロン SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II

〜コンパクトさが魅力の大口径標準ズームをテスト
Reported by 伊達 淳一

 タムロンからズーム全域でF2.8の開放F値を誇るデジタル専用大口径標準ズーム「SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II」が発売された。35mmカメラ換算で27.2〜80mm相当(キヤノンEOS DIGITALの場合)の画角をカバーし、最短撮影距離は27cm。絞り羽根は7枚で、絞り開放からF4.5までは円形に近い角の取れたキレイな多角形を保っている。

 正直な話、ボクは大口径標準ズームにはあまり興味がない。確かにフィルムで撮影する場合には、低感度のリバーサルフィルムを使わざるを得ないので、少しでも開放F値が明るいレンズはありがたかった。暗くなってきてISO64や100で1/15秒が切れるか、1/8秒を下回るかでは大違いだからだ。

 しかし、デジイチ(デジタル一眼レフ)なら、ISO400に増感しても十分常用に耐える画質が得られるし、ISO800でも実用になる。おまけに、好きなときに感度を変えられるので、開放F値がF3.5〜5.6の廉価ズームでもさほど不便には感じない。だから、わずかに開放F値が明るくズーム全域で開放F値が変わらないというだけで、デカくて重くて値段も高い大口径標準ズームを買うくらいなら、50mm F1.4の単焦点レンズでもプラスαしたほうがよっぽど楽しめると思う。

 ただし、タムロンの大口径標準ズームだけは例外だ。なにしろ、F2.8の明るさを誇る大口径標準ズームとは思えないほどコンパクトで、価格も実売で4万円前後とかなりお手頃。EOS 30Dで撮影した実写サンプルを見れば一目瞭然だが、(ピントさえしっかり合っていれば)絞り開放でもさほど甘さは目立たず、F4まで絞ればキリリと切れるようにシャープな描写だ。


広角端時(左)、望遠端時(右) 左からキヤノン「EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM」、タムロン「SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II」、同「SP AF 28-75mm F2.8 XR Di」


 参考までに、35mm一眼レフ用の「SP AF 28-75mm F2.8 XR Di」をキヤノンEOS 5Dで実写し比べてみたが、絞り開放時の周辺部の描写は17-50mm F2.8のほうが上。28-75mm F2.8はズーム全域で周辺光量低下が目立つのに対し、17-50mm F2.8は絞り開放でも四隅の明るさは落ちていない。あまりに周辺光量低下がなさ過ぎて味気なく感じるくらいだ(個人的には、ワイド端の周辺光量低下は作画効果としても利用できるため、なだらかに落ちていく周辺光量低下は嫌いではなかったりする)。

 ただ、歪曲収差はワイド端で陣笠、ズーム中域からテレ端までは糸巻き収差が出る。ズームとしてはそれほど酷くはないし、28-75mm F2.8も似たような歪曲収差だが、歪曲にうるさい人は気になると言えば気になるかもしれない。


※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。



焦点距離別の歪曲収差と周辺光量

 35mm一眼レフ兼用のSP AF 28-75mm F2.8 XR Di(EOS 5Dで撮影)と、デジタル専用のSP AF 17-50mm F2.8 XR Di II(EOS 30Dで撮影)で、歪曲収差と周辺光量低下をチェックしてみた。

◆SP AF 28-75mm F2.8 XR Di(EOS 5Dで撮影)


4,386×2,912 / 1/5,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28mm 4,386×2,912 / 1/5,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 51mm 4,386×2,912 / 1/5,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 75mm

◆SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II(EOS 30Dで撮影)


4,386×2,912 / 1/2,500秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17mm 4,386×2,912 / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 30mm 4,386×2,912 / 1/2,500秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

 35mm一眼レフで28-75mm F2.8を使っていた人が、APS-Cサイズのデジイチに17-50mm F2.8を組み合わせても、同じ写真は撮れないのは要注意。確かに画角と開放F値はほとんど同じだが、APS-Cサイズのデジイチだと同じ絞り値でもボケが小さくなるので、絞り開放で撮影してもそれほど“大口径!”といったボケは得られない。

 ちなみに、アウトフォーカスのボケの大きさは、F2.8開放で撮影しても、35mm一眼レフのF4.5程度のボケにしかならない。つまり、廉価ズームと同程度のボケにしかならないので、F値が明るくシャッタースピードが稼げる以外は、大口径標準ズームを使っているという感動は薄かった。


絞りによる描写の変化

 35mm一眼レフ兼用のSP AF 28-75mm F2.8 XR Di(EOS 5Dで撮影)と、デジタル専用のSP AF 17-50mm F2.8 XR Di II(EOS 30Dで撮影)で、ボケの変化をチェックしてみた。最短撮影距離に近い距離で撮影しているので、通常の撮影距離よりも大きくボケているはずだが、ワイド端では期待しているよりもちょっとボケ量が少なく感じる。

◆SP AF 28-75mm F2.8 XR Di(EOS 5Dで撮影)


4,386×2,912 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28mm 4,386×2,912 / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28mm 4,386×2,912 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28mm

4,386×2,912 / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 75mm 4,386×2,912 / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 75mm 4,386×2,912 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 75mm

◆SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II(EOS 30Dで撮影)


3,504×2,336 / 1/1,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17mm 3,504×2,336 / 1/400秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17mm 3,504×2,336 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17mm

3,504×2,336 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

 このズームを使ってみて最初に感じたのは、ワイド端よりもテレ端のほうがシャープに写るということだった。SP AF 28-75mm F2.8も絞り開放では少し締まりのない描写だったので、ワイド端開放は緩い画質なのかなとも思ったが、いろいろ撮影していくうちに、ピントがしっかり合っていないということに気づいた。一目でわかるようなピンぼけではなく、フィルムならいわゆる被写界深度に入っている程度のピントの甘さなのだが、デジタルではそのわずかなズレが許されない。

 ローパスフィルターでボケた分をシャープネスで補っていることもあり、ピントのスイートスポットにずばりハマると、怖ろしいほどのシャープな写りになる一方、スイートスポットを外してしまうと、途端にピントの芯はあるのににじんだような描写になる。

 幸いズームによる焦点距離移動は実用上問題ないレベルなので、“ズームテレ端でピントを合わせてから、AFロックをかけてワイド側に戻す”というテクニックが通用する。F5.6くらいまで絞ればAF撮影でも十分安定した結果が得られるが、絞り開放のワイド端の撮影では、本当にAFでピントが合うのか十分疑ってかかったほうがいい。ピントさえしっかり合えば、絞り開放からかなりの写りが得られるレンズだ。


一般作例(SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II、EOS 30Dで撮影)

3,504×2,336 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/320秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 50mm

3,504×2,336 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 24mm

3,504×2,336 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 24mm 3,504×2,336 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 34mm

3,504×2,336 / 1/320秒 / F5.6 / 0.33EV / ISO200 / WB:マニュアル / 50mm 3,504×2,336 / 1/2,000秒 / F4 / -0.33EV / ISO200 / WB:マニュアル / 28mm

3,504×2,336 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 25mm 3,504×2,336 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 50mm

3,504×2,336 / 1/800秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 50mm 3,504×2,336 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 32mm

3,504×2,336 / 1/50秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO400 / WB:オート / 17mm 3,504×2,336 / 1/50秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO400 / WB:オート / 38mm

3,504×2,336 / 1/200秒 / F2.8 / 0.33EV / ISO400 / WB:オート / 26mm 3,504×2,336 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 17mm

3,504×2,336 / 1/1,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/1,250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm

3,504×2,336 / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:マニュアル / 17mm 3,504×2,336 / 1/640秒 / F4 / 0.33EV / ISO200 / WB:マニュアル / 17mm

3,504×2,336 / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 41mm 3,504×2,336 / 1/3,200秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 17mm

3,504×2,336 / 1/800秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/2,000秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

3,504×2,336 / 1/125秒 / F5 / 0EV / ISO200 / WB:マニュアル / 50mm 3,504×2,336 / 1/320秒 / F5 / 0EV / ISO200 / WB:マニュアル / 31mm

3,504×2,336 / 1/4,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:マニュアル / 17mm 3,504×2,336 / 1/2,500秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm

3,504×2,336 / 1/200秒 / F2.8 / 0.33EV / ISO200 / WB:オート / 37mm 3,504×2,336 / 1/125秒 / F3.2 / 0.67EV / ISO200 / WB:オート / 37mm

3,504×2,336 / 1/100秒 / F3.2 / -0.33EV / ISO400 / WB:オート / 50mm 3,504×2,336 / 1/20秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO400 / WB:オート / 22mm

3,504×2,336 / 1/20秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO400 / WB:オート / 17mm 3,504×2,336 / 1/25秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 17mm

3,504×2,336 / 1/12秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 19mm 3,504×2,336 / 1/12秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 30mm

3,504×2,336 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 19mm 3,504×2,336 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 17mm

3,504×2,336 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 35mm 3,504×2,336 / 1/25秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 50mm

3,504×2,336 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:マニュアル / 17mm 3,504×2,336 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:マニュアル / 17mm

3,504×2,336 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 17mm 3,504×2,336 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 17mm

3,504×2,336 / 1/15秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 44mm


URL
  タムロン
  http://www.tamron.co.jp/
  製品情報
  http://www.tamron.co.jp/news/release_2006/news0609_a16.html

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伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。

2006/06/14 01:22
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