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【新製品レビュー】松下電器 DMC-FX01

〜手ブレ補正に高感度をプラス 28mmワイドも魅力
Reported by 北村 智史

 DMC-FX01は、2005年8月発売のDMC-FX9のバリエーションモデル。ボディサイズはほぼそのままに、広角側を35mmフィルム換算28mm相当にまで広げている。

 また、定評ある手ブレ補正機構に加えて、最高ISO1600相当の高感度撮影も可能にしており、ブレへの強さをさらにアップしているのも特徴だ。

 実勢価格は約43,000円前後。カラーバリエーションはシルキーシルバー、エクストラブラック、パールホワイト、ミスティピンクの4色が用意されている。





28mm相当に広角化したレンズ

 搭載レンズはライカのDCバリオ・エルマリート4.6〜16.8mm F2.8〜5.6。35mmフィルムに換算すると28〜102mm相当となる約3.7倍ズームで、発売中の「DMC-FX9」に比べて広角側がひとまわりワイド化している。

 望遠端の開放F値がF5.6と暗いのは、ズーム倍率を考えれば我慢しなくてはならないのかもしれないし、FX9と幅も厚みも変わない(高さは1mm増えている)のだから立派なものと誉めるべきだろうが、気分的には面白くない。F2.8〜5.6という開放F値はコンパクト機では普通よりもやや暗めのスペックであり、少なくとも同社が“明るい”と称するには多少無理がある。

 ま、それはさておき、描写は悪くない。全体的に画面周辺部がアマく感じられるのと、広角端の四隅で色ニジミ(倍率の色収差)が気になるものの、シャープ感が高く、コントラストもいい。このあたりはヴィーナスエンジンプラスの強みだろう。広角端ではタル型の歪曲収差が出るが、35mm相当でこれぐらい曲がるレンズも少なくないので、28mm相当であることを考えれば悪くない。ただ、個人的にはもう少し細密さがほしいと感じた。

 マクロ機能は、LUMIXシリーズではおなじみのモードダイヤルでの切替式。最短撮影距離は通常時はズーム全域で50cmまで、マクロ時は広角端で5cm、望遠端で30cmとなっている。望遠端で比較的寄りが利くのはありがたいところだ。

 4倍のデジタルズームも備えているが、画質劣化のない「EX光学ズーム」も搭載。記録画素数が3M(約315万画素)以下のときにだけ使えるエクストラズームで、乱暴にいえばトリミングによる疑似ズームである。最大5倍(35mmフィルム換算140mm相当)までのズームが可能となる。ちなみに、FX9のEX光学ズームは4倍までだが、広角端が35mm相当なので、同じく140mm相当までとなる。


望遠端がF5.6と暗めなのが気になるが、35mmフィルム換算28mm相当の広角までカバーしている点は注目だ 記録画素数を「3M」以下に設定すると、画質劣化のないEX光学ズームが選択できる

EX光学ズームの動作画面。5倍(35mmフィルム換算で140mm相当)までの望遠撮影が可能

高感度+手ブレ補正

 すでに定番となった「手ブレ補正ジャイロ」はもちろん搭載。さらに、光学式手ブレ補正機構では対応できない被写体ブレを軽減するために、高感度撮影も可能にしている。設定できる感度の範囲は、マニュアルではISO80〜400相当まで。オート時はISO200相当の範囲で自動的に制御される。ここまではFX9と同じ。

 新しく追加されたシーンモードの「高感度」を選択すると、ISO800〜1600相当での撮影が可能となる。ちなみに、このモードではEX光学ズームとデジタルズームが使えなくなる、と説明書に書かれている。もしかすると、画素混合で感度アップして、補間処理で600万画素記録にしているのかもしれない。

 実写画像を見比べると、ISO400相当までは順当にノイズが増え、同時にディテールも少しずつアマくなっていく。さすがにISO400相当になるとノイズも多くなり、赤が暗めに表現されるようになる。オート時にISO200相当で止めてあるのは妥当な線だろう。とはいえ、ISO400相当でも見られないほどひどいわけではないので、あまり大きなサイズにプリントしないのであれば十分に使える画質である。

 一方、高感度モードになると、明らかに写りが変わる。一転して赤が明るくなるし、ディテールも相当につぶれる。微妙にだが被写体が横方向に伸びていたりもする。輪郭強調の線が太く、かつ強めになるところは、前回レビューしたカシオEX-Z600の「ブレ軽減」モードと似た感じで、どことなく動画っぽい写りである。もっとも、写らないよりは写ったほうがいいシーンは多々あるし、こういう写りなのだと割り切って小サイズのプリント専用として使う分にはいいと思う。


すでにおなじみの「手ブレ補正ジャイロ」を搭載 従来機同様、常時手ブレ補正がはたらく「MODE1」と、シャッターが切れる瞬間だけ手ブレ補正を行なう「MODE2」が選べる

感度の設定範囲はマニュアルではISO80〜400相当まで。オート時はISO80〜200相当となる シーンモードの「高感度」ではISO800〜1600相当の範囲で感度が自動的に設定される

DMC-FX9との違い

 FX9と共通している部分はたくさんあるが、広角レンズや高感度モード以外の細かな改良もいくつか見られる。

 電源は1,150mAhのリチウムイオン充電池でFX9と共通だが、撮影可能コマ数はCIPA準拠で270コマから320コマに増えている。それだけ省電力化を頑張っているわけだ。立派なものである。記録メディアはSDメモリーカード(16MBのカードが付属している)。MMCは静止画のみ使用可能だ。

 液晶モニターは2.5型の低温ポリシリコンTFT、20.7万画素。これもFX9と同一スペックである。「ハイアングル」モードを搭載しているのが新しいポイント。斜め下方向から見たときに明るい画面が見られるよう調整されたモードで、人ごみの頭越しに撮ったりするときなどには便利だ。

 また、初心者向けの「かんたん」モードに「逆光補正」機能が追加されているのも違い。ようは露出補正またはフラッシュ強制発光になるモードで、逆光で顔が暗くなる原因さえわからない初心者には強い味方になってくれるだろう。

 動画も少し変わっている。FX9はアスペクト比4:3だけだったのが、16:9でも撮れるようになり、対応ワイドテレビのフル画面での再生が可能になった。静止画で16:9を選択すると、画面の上下をカット(つまり、記録画素数が減る)されるのに対して、動画では逆に画素数が848×480ピクセルに増える。画角は狭くなるものの、PC用モニターでの再生では、より大きな画面で見られるのがメリット。最近の高精細なモニターではVGA動画は物足りなく感じられるから、こういうのは大歓迎である。

 さらに、シーンモードには新しく「水中」が追加。また、月齢や年齢が記録される「赤ちゃん」も2モードに増え、2人分の誕生日を登録できるようになった。

 いずれも、それほど大きなものではないが、かゆいところに手が届いた的なちょっぴりうれしい改良である。


バッテリーはFX9と共通だが、撮影枚数が320コマに増えた。記録メディアはSDメモリーカード(実際は裏向きに装填) 十字ボタン周辺の操作部。露出補正メニューへもダイレクトに入ることができる

DISPLAYボタンを1秒以上押すとLCDモードメニューが現れる。「パワーLCD」は輝度を上げて明るい場所でも見やすくするモードだ 画面右半分が通常の「OFF」、左半分が「パワーLCD」。実際はもっと明るさの違いが大きく感じられる

ハイアングルモードと通常モードの比較。こちらは通常モード ハイアングルモード。この角度からでもきちんと画像が見られる

「かんたん」モードで「逆光補正」をONにすると、プラスの露出補正またはフラッシュ強制発光になる シーンモードに新しく追加された「水中」。水中の青みを抑えて自然な発色に調整する

再生時に月齢や年齢を表示するシーンモードの「赤ちゃん」。2人分の誕生日が設定できるようになった

まとめ

 スリムタイプのコンパクト機で28mm相当の広角域までカバーできるモデルはあまりなく(しかもFX9と大差ないボディサイズで、というのがミソ)、それだけでも存在価値がある。狭い場所での撮影には有利だし、風景では広角らしい遠近感も楽しめる。望遠側が短くなっていないのもいいところだ。

 また、ISO1600相当の高感度が使えるのも強み。画質はまあそれなりだが、被写体ブレも軽減できるようになったのは大きなポイントといえる。液晶モニターの「ハイアングル」モードはカメラアングルの自由度がアップしているなど、さまざまな撮影シーンへの対応力がいちだんと高まっているのが魅力だ。


作例

※作例のリンク先は撮影画像をそのままコピーし、リネームしたJPEGファイルです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


●画角変化

 航空公園に屋外展示されている飛行機の車輪。同じ位置から広角端と望遠端で撮ってみた。フェンスの隙間にレンズを突っ込んで撮るというのは、実はコンパクト機じゃないとできない芸当。


2,816×2,112 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm 2,816×2,112 / 1/200秒 / F5.6 / -0.33EV / ISO80 / WB:オート/ 102mm

●高感度モード

 ISO200相当まではノイズが増えてディテールがアマくなるだけだが、ISO400相当になると赤の発色が少し変わる。高感度モードになると一気に画が変わる。ディテールはかなりつぶれて動画から切り出したような感じになる。左右方向にちょっぴり伸びて写るので、女性を撮るときは横位置は禁物である。


2,816×2,112 / 1秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO80 / WB:オート / 102mm 2,816×2,112 / 1/1.3秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO100 / WB:オート / 102mm

2,816×2,112 / 1/3秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO200 / WB:オート / 102mm 2,816×2,112 / 1/5秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO400 / WB:オート / 102mm

2,816×2,112 / 1/20秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO800 / WB:オート / 102mm 2,816×2,112 / 1/20秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO1600 / WB:オート / 102mm

 火山の噴火の様子が見られる展示物。低感度(左写真)では動く被写体はブレてしまうが、高感度(右写真)だとシャッター速度が速くなるので被写体ブレが抑えられる。という見本のために撮ったカット。


2,816×2,112 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm 2,816×2,112 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 28mm

ヘリコプターの操縦シミュレーション中のムスメ。足が届いていないけどね
2,816×2,112 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 28mm

輸送ヘリの貨物室内。手ブレ補正では被写体ブレのためにムスメに太刀打ちできないが、高感度+手ブレ補正ならこういう場所でも撮れる。親ばかにはうれしい
2,816×2,112 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 28mm
シーンモードの「高感度」で撮ったカット。ちゃんと合ってるはずなのにピントがアマく見えてしまうのはしかたのないところ。でも、ISO80なら1/2.5秒になる
2,816×2,112 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO1000 / WB:オート / 28mm

●EX光学ズーム


EX光学ズームを使って望遠端で撮ったカット。ようはトリミングによって画角を狭く、つまり望遠にしているので、画質の劣化がないのがメリットだ
2,048×1,536 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 140mm
高いところに少しだけ咲いていた梅。EX光学ズーム+望遠マクロに、液晶モニターをハイアングルモードにして手を伸ばして撮った(右側の枝がうるさいけど)
2,048×1,536 /1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 140mm

マクロは広角端でレンズ前5cmまで寄れる
2,816×2,112 / 1/200秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
でも、EX光学ズームを使って望遠端で30cmまで寄ると、けっこうアップで撮れたりする
2,048×1,536 / 1/160秒 / F5.6 / 0.33EV / ISO80 / WB:オート / 140mm

●一般作例


右上の枝の部分を拡大して見ると、若干色ニジミが出ているものの、広角端でも四隅まで解像している。28mm相当でこの画質なら上質な部類
2,816×2,112 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
こういう撮り方をするとタル型の歪曲収差がよく目立つ。といっても、35mm相当でもっと曲がるのもあるから、28mm相当でこの程度ならよく抑えているほう
2,816×2,112 / 1/30秒 / F2.8 / -0.66EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

これも広角端。被写体に正対して撮るときは画面の水平の狂いが気になりやすい。格子線表示を使ったのに、少し右下がりになった
2,816×2,112 / 1/320秒 / F5.6 / -0.33EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
狭い空間を広く見せられるのが広角のメリット。35mm相当なら窮屈になるところを28mm相当ならゆったり撮れる
2,816×2,112 / 1/250秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

広角は遠くのものが小さく写る関係で遠近感が強調される。被写体の形がデフォルメされて、面白い画がつくりやすい
2,816×2,112 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
飛行機のエンジン部分。普通の35mm相当のレンズだとプロペラまで入れられなくなって、何を撮ったんだかわからなくなってしまいやすい
2,816×2,112 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

広角端のマクロ。背景に木や空を入れてひと工夫。これでもっと花が開いていれば、花畑感が出ていいんだけど、まだ咲ききっていないのでイマイチ
2,816×2,112 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
陽の当たっている岩の上面のハイライトは、白飛びせずにトーンが残っている。たぶんこの条件だと飛んでしまう機種のほうが多いのではないかと思う
2,816×2,112 / 1/400秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

公園のベンチで寝ている人はよく見かけるが、縦にしたペットボトルを枕にしているのを見たのは初めて(危険なのでマネはしないように)
2,816×2,112 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート/ 102mm
液晶モニターのハイアングルモードを使って撮ったカット。片手をうんと伸ばして撮っているので、普通なら手ブレが起きやすい条件。手ブレ補正機構のありがた味を感じる
2,816×2,112 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

屋内の展示施設は被写体との距離がとれないことが多いので、広角レンズが力を発揮する
2,816×2,112 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
翼の先端を画面上いっぱいにフレーミングして遠近感を出してみた
2,816×2,112 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm

低速シャッターでもブレの心配をせずに撮れるのはLUMIXの強み。とはいえ、両手できちんとホールドしないとやっぱりブレるので、それなりに注意は必要だ
2,816×2,112 / 1/5秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
雲は多かったが、それなりにきれいな夕焼け。思いきりマイナス補正することで、夕方感を出してみた
2,816×2,112 / 1/400秒 / F11.0/−2.00EV補正 / ISO80 / WB:オート/ 102mm

床に並べられたテレビモニターを使っての展示。28mm相当の広角でのハイアングル撮影。カメラアングルが自由にできると、文字どおり目線の違った写真が撮れる
2,816×2,112 / 1/20秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm
こちらは床面すれすれのローアングルでの撮影。これも目線を変えてみた例
2,816×2,112 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 28mm


URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx01/

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松下電器、広角端28mmの手ブレ補正コンパクト「LUMIX DMC-FX01」(2006/02/14)



北村 智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2006/03/13 00:45
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