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【伊達淳一のデジタルでいこう!】三洋電機 Xacti DMX-HD1

~気軽に持てて静止画もきれいなハイビジョンカメラ
Reported by 伊達 淳一

Xacti DMX- HD1
 三洋電機のXacti(ザクティ)が、ハイビジョンムービーに進化した。1/2.5型510万画素CCDを搭載し、510万画素の静止画と、1,280×720ピクセル/30fpsのハイビジョン動画(MPEG-4形式)で記録でき、静止画と動画をモード切り換えなしで撮り分けられるのが特徴だ。

 ちなみに、ボクはこれまでXactiシリーズをまともに使ったことがなかった。というのも、これまでのXactiシリーズは、内蔵ストロボがレンズの下側にあるのが生理的に許せなかったのと、ビデオカメラの代わりとしてはズーム倍率が低すぎたこと、そして、MZ3というかつての動画デジカメでできていた動画編集機能がかなりスペックダウンしてしまったからだ。静止画と動画をモード切り換えなしで撮り分けられるというXactiのコンセプトには共感しつつも、どうも食指が動かなかったのだ。

 ところが、今度のXactiは、なんてったってハイビジョンだ。10倍ズームだ。内蔵フラッシュも上についている。おまけに液晶モニターは有機ELだ。MZ3にはまだ遠く及ばないものの、つなぎ編集もカメラ内でできる。これまでXactiで不満だった表面上のスペックがずいぶん改善されている。自宅のハイビジョン化計画を推進中のボクとしては、非常に興味をひかれるコンパクトデジカメだ。


内蔵ストロボが本体上部に移動した 液晶モニターは有機EL

 ただし、ハイビジョンといっても1,280×720ピクセルなので、ソニーハイビジョンハンディカムHC1よりも解像度は低く、実際、32型液晶テレビにD4端子で接続してみても、ハイビジョン本来のクォリティは得られない。ただ、単板のDVカメラ以上の解像感はあるし、なによりポケットにも楽々入るサイズなので、特に“ビデオ”を撮ろうという目的意識がなくても、常時何気なく携帯できるのが魅力だ。

 また、静止画の画質は、ハイビジョンDVカメラの静止画よりもはるかに高画質で、1/2.5型500万画素クラスのコンパクトデジカメとしては、パッと見た目のキレがある。それに、これだけコンパクトな10倍ズーム機というのも魅力的だ。ただ、惜しむらくは絞り羽根が虹彩絞りではなく、菱形の絞りなのでボケの形が汚いことと、逆光でフレアやゴーストが出やすいことだ。

 それと、動画は16:9のハイビジョンサイズと4:3のノーマルを撮り分けられるのに対し、静止画は4:3のみというのも残念。せっかくD4接続で高解像度の静止画をハイビジョンテレビで再生できるのに、4:3の静止画では左右に黒い帯が残り、ダイナミックなワイド画面をフルに活かせないからだ。


HD1に付属するドッキングステーションとリモコン
 一方、撮影したハイビジョン動画の鑑賞法だが、ハイビジョンで再生するには、HD1付属のドッキングステーションとハイビジョンテレビをD4端子で接続しておき、HD1をドッキングステーションにポンと置けば、充電しながら再生も行なえる。ただ、1GBのSDメモリーカードに最高画質で15分弱のハイビジョンしか記録できないので、家に帰って再生したらSDメモリーカードの動画データはPCに転送して、SDメモリーカードの画像は消去するしかない。つまり、もう一度、ハイビジョンで再生して楽しもうと思ったら、PCからSDメモリカードに動画データを書き戻してからHD1で再生する必要があるわけだ。


 だったら、PCで再生して楽しめばいいじゃないか、と思うだろう。ところが、QuickTimeでHD1のハイビジョン動画を再生してみたところ、動きがカクカクしてビデオを楽しむどころではないのだ。ちなみに、PCは3.2GHzのPentium4プロセッサ搭載なので、最新鋭ではないが決して非力なPCではない。ハイビジョンのMPEG-4動画のソフトウェアデコードが重すぎるのだ。

※補足:ちなみに、その後、Nero 7 Premium( http://www.nero.com/nero7/jpn/ )やVLC media player( http://www.videolan.org/vlc/ )でHD1で撮影したハイビジョン動画を再生してたところ、Pentium M 1.5GHzのノートPCでもスムーズに再生できた。要はQuickTimeのMPEG-4デコードが重すぎるようだ。

 ではどうすればいいのか? HD1のカタログには、ビデオ入力でHDDレコーダーにダビングしたり、付属の編集ソフトを使ってPCでDVDを作る、などの楽しみ方が書かれているが、これではなんのためのハイビジョンだかわからない。もちろん、従来のXactiよりもキレイな動画は楽しめるとは思うが、やはり1,280×720ピクセルの高解像度を活かした再生をいつでも楽しみたい。それには、HD1のMPEG-4画像をMPEG-2形式にコンバートすれば、なめらかなハイビジョン動画をPCで楽しめる(それなりに高解像度のディスプレイは必要だが……)。

 もうひとつの方法は、バッファローPC-P3LWG/DVDやアイ・オー・データー機器AVLP2/DVDG-2などのネットワークプレイヤーを使う方法だ。ネットワークプレイヤーに付属するサーバーソフトをPCに組み込み、LANでPCとネットワークプレイヤーをつなげば、HD1で撮影したMPEG-4動画をデータコンバートも拡張子のリネームも必要なく、スムーズにハイビジョンで再生できる。クリップの最初でわずかに音声の乱れはあるが、これがもっともスマートなHD1鑑賞法だと思う。こうしたネットワークプレーヤーを使えば、HD1のハイビジョン動画だけではなく、デジカメで撮影した高解像度の静止画も、ハイビジョンの画質で大画面再生できるし、DLNA対応のHDDレコーダーがあれば、録画したアナログ放送を別室で楽しむこともできる。HD1を買うなら、ネットワークプレーヤーの導入も検討したほうがいいだろう。

※下記作例動画を含め、再生環境に関するお問い合わせは受け付けておりません(編集部)


HD1で撮影した動画

HD-SHQ動画
(MPEG-4、約16MB)
HD-HQ動画
(MPEG-4、約10MB)
本体内で編集したHD-SHQ動画
(MPEG-4、約69MB)


感度による変化


ISO50 ISO100

ISO200 ISO400

画角による変化

※キャプションは35mm判換算焦点距離です。


38mm 115mm

194mm 380mm

作例

※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算焦点距離を表します。


2,592×1,944 / 1/32秒 / F3.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm 2,592×1,944 / 1/104秒 / F3.5 / 0EV / ISO68 / WB:オート / 50.1mm

2,592×1,944 / 1/71秒 / F3.5 / 0.6EV / ISO90 / WB:オート / 14.1mm 2,592×1,944 / 1/72秒 / F3.7 / 0.6EV / ISO81 / WB:オート / 15.1mm

2,592×1,944 / 1/63秒 / F3.6 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 9mm 2,592×1,944 / 1/283秒 / F4.6 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 7.9mm

2,592×1,944 / 1/433秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm 2,592×1,944 / 1/377秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm

2,592×1,944 / 1/590秒 / F7.3 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 32.1mm 2,592×1,944 / 1/128秒 / F3.6 / 0.6EV / ISO100 / WB:オート / 52.7mm

2,592×1,944 / 1/80秒 / F3.6 / 0.6EV / ISO100 / WB:オート / 52.7mm 2,592×1,944 / 1/295秒 / F3.8 / 0.3EV / ISO50 / WB:オート / 22mm

2,592×1,944 / 1/342秒 / F3.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 63.3mm 2,592×1,944 / 1/346秒 / F3.7 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 18.8mm

2,592×1,944 / 1/149秒 / F3.5 / 1.2EV / ISO50 / WB:オート / 63.3mm 2,592×1,944 / 1/289秒 / F3.5 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm

2,592×1,944 / 1/12秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 6.3mm 2,592×1,944 / 1/541秒 / F5.7 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 7.5mm

2,592×1,944 / 1/106秒 / F3.7 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 17.4mm 2,592×1,944 / 1/83秒 / F3.8 / 0.6EV / ISO57 / WB:オート / 27mm

2,592×1,944 / 1/155秒 / F3.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm 2,592×1,944 / 1/744秒 / F6.8 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm

2,592×1,944 / 1/401秒 / F4.6 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 11mm 2,592×1,944 / 1/332秒 / F4.6 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 11.3mm

2,592×1,944 / 1/463秒 / F5.6 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm 2,592×1,944 / 1/926秒 / F6.8 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm

2,592×1,944 / 1/326秒 / F3.6 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 13mm 2,592×1,944 / 1/348秒 / F3.6 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 13mm

2,592×1,944 / 1/316秒 / F4.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm 2,592×1,944 / 1/400秒 / F4.3 / 0.6EV / ISO50 / WB:オート / 27mm


URL
  三洋電機
  http://www.sanyo.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0601news-j/0111-1.html
  製品情報
  http://www.e-life-sanyo.com/products/dmx/DMX-HD1_H/index.html

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伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。

2006/02/20 00:04
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