デジカメ Watch

【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】
ニコンAF-S DX VR ズームニッコール ED 18~200mm F3.5-5.6G

~使い勝手に優れた高倍率ズーム
Reported by 伊達 淳一

 レンズ交換ができるのが“一眼レフ”の魅力だが、幅広い画角を1本でカバーする高倍率ズームは、常用標準ズームとして非常に便利な存在だ。なにしろ広角から標準、望遠までカバーし、最短撮影距離も短いのでズームテレ端で撮影すれば、マクロ的な描写も楽しめる。旅行や日常のスナップ撮影なら、高倍率ズーム1本でなんとか事足りてしまうくらいだ。

 ただ、高倍率ズームで不満なのは、開放F値がF3.5~6.3と暗いことだ。廉価版標準ズームでも似たような開放F値の暗さだが、高倍率ズームのズームテレ端の画角は“300mm相当”と標準ズームの3~4倍も望遠なので、それだけ速いシャッタースピードを確保しないと、手ブレは必至だ。といっても、晴天屋外のように速いシャッタースピードが切れるシチュエーションばかりではないので、光量が不足するシーンでは仕方なく感度を上げて撮影するしかない。

 それに、これまで高倍率ズームといえば、シグマやタムロンといったレンズメーカー製がほとんどだった。別にレンズメーカー製のレンズの描写性能が悪いというわけではないが、ズームリングやフォーカスリングの回転方向が違っていたり、レンズが超音波モーター駆動でなく、AF作動音が耳障りだったり、リアルタイムMF操作ができなかったりするので、できればカメラメーカー純正にこだわりたい、という人も多いはずだ。しかし、高倍率ズームに関しては、カメラメーカー純正にこだわりたくても、これまで他に選択の余地がなかったのだ。

 ところが、レンズメーカーを脅かすような先進の高倍率ズームが登場した。ニコンD200と同時発売の“AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18~200mm F3.5~5.6G”だ。35mm判換算で約27-300mm相当の画角をカバーするデジタル専用の高倍率ズームで、約4段分の手ブレ補正効果がある最新の光学式手ブレ補正ユニット(VR II)を搭載しているのが最大の特徴だ。また、ズームテレ端の開放F値がF5.6と、レンズメーカー製の高倍率ズームよりも1/3絞りとはいえ明るいのも、少しでもシャッタースピードが稼げるのでうれしいところ。それに、小型SWM (超音波モーター)の採用で、AF動作音が静かで、AFモードのままでMF操作が可能(AF-S合焦後)なのも快適。これまでの高倍率ズームとは一線を画したスペックと作りだ。



タムロンAF18-200mm F3.5-6.3 XR Di II(右側)との比較

 ただ、光学式手ブレ補正ユニットとテレ端の開放F値F5.6を確保したことで、シグマやタムロンの18-200mmズームに比べ、一回りほどレンズが大きく重くなり、実売価格もほぼ倍になってしまった。D50やD70sユーザーにとっては少々高価で重めのレンズではあるが、“約4段分の手ブレ補正効果”と“ニコン純正”という付加価値を考えれば、多少無理をしてでも購入したいと思ってしまうレンズだ。

 では、写りはどうなのだろう? 高倍率ズームは利便性を最重視したレンズなので、あまり高い描写性能を求めるのは酷というもの。しかしながら、このズームは実売で8万円前後と決して安くはないレンズで、しかも、ニコン純正ということで、高倍率ズームであってもある程度の画質は期待したいところだ。それと、進化した手ブレ補正ユニット“VRII”の4段分の手ブレ補正効果の真偽のほども気になるところだ。


焦点距離別の絞り開放描写


18mm 35mm 70mm

135mm 200mm

焦点距離別の歪曲収差と周辺光量


18mm 24mm 35mm

50mm 70mm 100mm

135mm 200mm

 どこまでの画質をこのクラスのレンズに求めるか、人それぞれの基準があると思うが、ボク個人としては期待以上の写りで、レンズメーカー製の高倍率ズームよりも周辺画質も良いように思う。おそらく光学式手ブレ補正のために広めのイメージサークルを確保する必要があり、そのため、周辺光量や周辺画質の低下が少ないのかもしれない。ただし、手ブレ補正でイメージサークルぎりぎりの部分まで使っている場合も十分あり得るわけで、そうした場合はやはりそれなりに周辺画質が低下することがある。光量が十分にあり、手ブレ補正のサポートが必要ないシーンでは、VR(手ブレ補正)をOFFにしたほうが周辺画質は安定すると思う。ただ、それほどうるさいことを言わなければ、常時VR ONでも構わない。このあたりは、どれだけ画質にこだわるかで使い分ければいい話だ。

 ちなみに、絞り開放での画質は、やはりそれなりに周辺部に甘さが残るので、できればワイド端でもテレ端でも1段は絞って使いたいところ。それと、D200は明るいところのAF精度はなかなかのものだが、薄暗くなって被写体のコントラストや輝度が低下すると、妙にAF精度が低下し、ピントが甘くなりがちだ。それと、D200の絵作りがそれほど極限のシャープさを追求しているわけではなく、特に高感度撮影や長時間撮影ではローコントラスト部分がのっぺりしやすいので、わずかなピンぼけでも妙に甘い描写になるケースがある。そのため、できれば光量が不足するシーンでも半段でもいいから絞って撮影したいところだ。

 最短撮影距離は公称値で50cmだが、実際には46cm程度まで寄れるので、シグマやタムロンの18-200mmズームとほぼ同じくらい寄れる。歪曲収差はワイド端で陣笠タイプのタル型で、24mm域あたりから糸巻き型に変化、50~70mmあたりで糸巻きが目立つようになり、135~200mm域では多少糸巻き型は弱くなる。撮影距離にもよるが、高倍率ズームとしてはまずまずのレベルまで歪みが補正されている。倍率色収差も通常の撮影シーンではほとんど目立たないものの、輝度差の大きな部分にはマゼンタと緑の色ズレが認められる(ズームワイド側)。まあ、ズームならこの程度は仕方ないかな、と思えるレベルだ。


 目玉であるVR IIの効果はというと、確かにこれまでのVRに比べると、ファインダーを覗いているだけで、像が格段に安定して見えるのがわかる。被写体ブレは防げないので、動きのある被写体には効果はないが、風景など静物ならこれまで撮影をあきらめていたシャッタースピードでも手ブレする確率は大幅に減った。ズームテレ端での1/125~1/60秒あたりの撮影や、ズームワイド端の1/15~1/4秒あたりでもっともVR IIのありがたみを感じる。モニター等倍鑑賞に耐えられるほど完璧に手ブレを防げなくても、A4もしくは2L判くらいなら十分シャープな描写が得られるので、VRIIと高感度を組み合わせれば、夕暮れや夜景も手持ちでスナップ撮影可能だ。これまで、キヤノンEF-S17-85mm F4-5.6 IS USMの存在をうらやましく思っていたニコンデジタルユーザーは多いと思うが、今度はキヤノンユーザーがニコンAF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18~200mm F3.5~5.6Gの存在をうらやましく思うに違いない。

 なお、今回、撮影したサンプル画像は、発売前の量産試作のカメラ&レンズで撮影したカットと、一般の量販店で購入した市販品で撮影したカットがあるが、どちらも描写にそれほど差異はなかったので、量産試作品で撮影したカットも合わせて公開する。

 ところで、通常、風景などの静物や動きの少ない被写体は、AF合焦後にフォーカスロックがかかるAF-Sモードで撮影することが多いが、ニコンD200はフォーカスフレームの配置が絶妙で、フォーカスロックをかけてフレーミングを修正しなくても、そのままのフレーミングで撮影してもピントを合わせたい部分とフォーカスフレームが一致することが多い。AF-S撮影でフォーカスロックした後にシャッターチャンスを狙ってそのまま半押しを続けていると、撮影者や被写体がわずかに動いてピンぼけになる可能性もあるわけで、フォーカスロックが不要なら常時ピントを合わせ続けるAF-Cモードで撮影したほうが理にかなっている。

 もちろん、AF測距精度は、周辺よりも中央のフォーカスフレームのほうが高いので、AF-Sモードでフォーカスロックをかけたほうが確実な場合もあるが、近距離でのワイド撮影ではコサイン誤差の影響も出てくるので、状況に応じて使い分けることになる。

 これまでボクは後者の撮影方法が多かったのだが、D200では試験的に前者のAF-Cモードでの撮影(フォーカスフレームは手動で選択)を試みていたところ、意外とピントが合う確率が高かった。信頼できる多点測距AFなら、静物でもAF-Cで撮影するというスタイルも“あり”ではないだろうか?


作例(ボディ、レンズともに試作機)

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。
※写真下の作例データは、焦点距離/撮影モード/絞り値/シャッタースピード/露出補正(補正した場合のみ)/ISO感度/ホワイトバランス/AFモードを表します。


ワイド端では多少陣笠のタル型収差が気になるが、ズームとしてはこの程度の歪みは致し方ないところ。短辺沿いに直線が入った場合は、さほど陣笠歪みは気にならない。手前の看板でピントを合わせたが、背景はもう少しボケ気味で描写が甘くなっている
18mm / 絞り優先AE / F8 / 1/500秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S
上野動物園でプールを泳ぎ回るペンギンをAF-Cモードで撮影。SWM(超音波モーター)駆動なので、耳障りなAF駆動音もなく、AFスピードはさほど高速ではないもののスムーズなピント合わせが行なえる。テレ端開放としてはまずまずの描写だ
200mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/350秒 / +0.3EV / ISO640 / WB:AUTO / AF-C

ペンギンの新陳代謝が低下する冬期には、ダイエットを兼ねて毎週木曜午後2時半から上野動物園内をペンギンがヨチヨチと散歩する。至近優先ダイナミックAFモードにしてAF-Cで向かってくるペンギンをスナップした。光っているペンギンの頭に出ているのがいわゆる睫毛ノイズだ
90mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/500秒 / +0.3EV / ISO800 / WB:AUTO / AF-C
お散歩を終えてプールに戻ったペンギンたち。F5.6まで絞って撮影している割にちょっとシャープネスに欠ける印象を受ける。高感度ノイズ除去:ON(標準)で撮影しているので、ノイズリダクションの副作用でローコントラスト部分の尖鋭度が低下したものと思われる
48mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/400秒 / +0.3EV / ISO800 / WB:AUTO / AF-C

日没してから20~30分後が空に明るさが残っていて、一番美しい夕景が撮れる瞬間だ。こんなときこそVRが威力を発揮する。この日は三脚を持ち歩いていなかったが、街灯の柱に寄りかかって慎重にシャッターを切ったところ、1/6秒にもかかわらず手ブレはほとんどしなかった
27mm / 絞り優先AE / F4.5 / 1/6秒 / ISO400 / WB:AUTO / AF-S
ライトアップされた浅草寺と空の残照の色彩コントラストが美しい。三脚があればもう少し絞って撮影したいところだが、手持ち撮影なのでほんの1/3段だけ絞って撮影。モニター等倍鑑賞では少し甘さが残るが、この条件でこれだけ写れば十分ではないだろうか
18mm / 絞り優先AE / F4 / 1/10秒 / +0.3EV / ISO400 / WB:AUTO / AF-S

寄って提灯をアップで写してみた。さらに暗くなってきたので、仕方なく絞り開放にセットしたが、それでもシャッタースピードは1/4秒まで低下。これは何枚かシャッターを切ったなかで手ブレが少なかったカットだ。縦位置撮影にはマルチパワーグリップが欲しいところだ
18mm / 絞り優先AE / F3.5 / 1/4秒 / +0.3EV / ISO400 / WB:AUTO / AF-S
35mmカメラ換算で72mm相当の画角で、シャッタースピードが1/4秒という極限状態での手持ち撮影。さすがに新型のVR IIでも完全に手ブレを抑えることは困難で、これが一番ブレが少ないカットだ。少しブレとピンぼけがあるが、A4にプリントしてみるとさほど甘さは感じないはずだ
48mm / 絞り優先AE / F4.5 / 1/4秒 / +0.7EV / ISO1000 / WB:AUTO / AF-S

作例(製品版)


ここからは自腹で購入した製品版のD200と18-200mmで撮影。D200の標準設定ではシャープネスをあまり強めにかけていないので、仕上がり設定をカスタマイズにして、輪郭強調=やや強で撮影してみた。かなりカリッとした描写になった
120mm / 絞り優先AE / F8 / 1/250秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強
ズーム中域では糸巻き収差が多少目立つが、このカットのようにわざと直線の多い被写体を撮らなければそれほど気になることはないと思う。画質を重視して絞り込むと手ブレ限界のシャッタースピードを下回ってしまうが、VR IIの効果を信じて、F8まで絞って撮影してみた
105mm / 絞り優先AE / F8 / 1/60秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

中央のフォーカスエリアを選択し、AF-Cモードでじりじりと寄りながら撮影。しっかりインコの目にピントが合っている。輪郭強調を+1にしていることもあって、非常にシャープに撮れている。デジカメは画質パラメータ次第で描写が変わるので、レンズ評価もむずかしい
105mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/400秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強
背景のボケは、光点のボケの周りに縁取りがあってお世辞にも美しいとはいえないが、枯れ木の背景でも二線ボケ傾向は少なく、それほどうるさいボケにはなっていない。インコの羽の細部まで克明に解像しており、その影響でD200にしては珍しくモアレが出ている
56mm / 絞り優先AE / F7.1 / 1/800秒 / ISO400 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

光源の位置や焦点距離域によってはフレアやゴーストは避けられないが、この程度の逆光ならフレアも少なく、コントラストの高い描写が得られる。やはり水面の光のボケに縁取りが目立つ。また、太陽の光を強く反射している水面上部には、D200で騒ぎとなっている縦筋ノイズもわずかに認められる
62mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/1600秒 / ISO400 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強
レンズ性能をチェックするには枯れ枝を写すのが一番と言われていて、レンズの周辺画質がしっかり暴露されてしまう。F11まで絞って撮影しているが、さすがに周辺部に甘さが残っている。ただ、これ以上絞ると小絞りボケの影響が大きくなり、むしろシャープネスは低下してしまう
20mm / 絞り優先AE / F11 / 1/60秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

画面の周辺部に現れるマゼンタや緑の色ズレが“倍率色収差”。これとは別に、極端に輝度差のある輪郭部分に出る紫色の縁取りが“パープルフリンジ”だが、ズーム中域ではベランダの光っている手すりを見ても、倍率色収差もパープルフリンジもほとんど問題ないレベルだ
105mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/1250秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強
このズームは散歩のお供にピッタリ。冬は日が暮れるのが早く、すぐに暗くなってしまうが、シャッタースピード4段分の手ブレ補正効果があるので、普通なら撮影をあきらめてしまうような明るさでもとりあえずシャッターを切ってみようという気になる
18mm / 絞り優先AE / F4.5 / 1/6秒 / +0.3EV / ISO400 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

1段半絞ったF5.6で撮影している割には画面下側の描写がやや甘めなのがちょっと残念。もしかすると、光学式手ブレ補正が働いたことでちょうど画面左下あたりがイメージサークルぎりぎりになってしまったのかもしれない
18mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/320秒 / ISO100 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強
太陽が反射して光っているビルの窓ガラスとオブジェをズームで切り取ってみた。全体にカリッとした描写にしたかったのでF8まで絞って撮影。F2.8望遠ズームに比べると切れ味がいまひとつだが、ズーム比11倍の高倍率ズームとしては十分な描写力だ
65mm / 絞り優先AE / F8 / 1/400秒 / ISO100 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強

信号待ちのとき、クルマの中からパチリ。広い画角をカバーしているので、風景の一部を切り取るトリミングレンズとして重宝する。輪郭強調を1段強めにしていることもあって、非常にシャープな描写が得られた
55mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/350秒 / ISO100 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強
非常に絵柄が細かく、レンズの解像力とカメラ側の細部描写能力が求められる被写体だ。コンパクトデジカメなら絞り開放でも全面にピントが合うが、デジイチは被写界深度が浅いので、小絞りボケを起こさない程度にグッと絞って撮影しないと全体がしっかりシャープに写らない
36mm / 絞り優先AE / F8 / 1/90秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

いくら最新のVRが搭載されているとはいえ、1/4秒よりスローシャッターになるともはや手持ち撮影は無理。このカットもしっかり中型三脚を使って撮影している。F8まで絞ればもっとカリッとしているはずだが、微妙に前ピン気味なので描写が甘くなってしまったようだ
18mm / 絞り優先AE / F8 / 3秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強
これも三脚を使った長時間露出撮影。街灯の周りにわずかにゴーストが出ているが、レンズ構成枚数の多いズームレンズとしては、この程度のゴーストなら合格。画面下のライトの周りがにじんでいるが、レンズ側ではなくD200の特性によるものだと思われる
18mm / 絞り優先AE / F8 / 4.5秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

かなり暗いシーンで、しかも逆光。AFがなかなか合いにくかったので、AF-Cではピントがふらつくため、AF-Sに切り換えて撮影。撮影後に拡大再生してピントが合っているのを確認したが、多少細部が溶け気味ではあるが、かなり細かい部分までしっかり描写できている
27mm / 絞り優先AE / F8 / 6秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強
船の照明がかなり強烈で、薄いゴーストがいくつも発生しているが、光学式手ブレ補正のための余計な光学系が加わっている割には、フレアは少なく、ゴーストもこの程度ならなんとか許容範囲だろう。予想以上にシャープな写りでビックリした
28mm / 絞り優先AE / F8 / 4.5秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強

輪郭強調=やや強で撮影している割には“ちょい甘”な気がするが、むしろこのくらいの描写のほうが、プリントしたときに自然な立体感が感じられると思う
200mm / 絞り優先AE / F6.3 / 1/1000秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強
ズーム中域からテレ端にかけては倍率色収差やパープルフリンジはほとんど気にならない。ボケはやや硬めだが、二線ボケというほどうるさくはない
135mm / 絞り優先AE / F6.3 / 1/200秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C / 輪郭強調=やや強

2/3段ほど絞っただけだが、ワイド端での周辺光量低下はほとんど解消する。ビルの壁面もビックリするほどシャープに写っている
18mm / 絞り優先AE / F4.5 / 1/1,000秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強
画面右下がちょっとブレたように写っているのが気になる。光学式手ブレ補正にせよ、CCDシフト方式の手ブレ補正にせよ、手ブレ補正の度合いに応じてイメージサークルぎりぎりの部分まで使われるためか、周辺画質がカットによって微妙に変化する気がする
24mm / 絞り優先AE / F4.5 / 1/640秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S / 輪郭強調=やや強

ここからのカットは“仕上がり設定=標準”で撮影。倍率色収差とボケ味チェックには、直射日光が当たって光っている自転車を撮影するのが一番。スポークを見てもパープルフリンジや色ズレはほとんどない。二線ボケになりやすい自転車のカゴも、うるさいながらもなんとか許せる描写だ
135mm / 絞り優先AE / F8 / 1/500秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-S
これもボケ味チェック。被写体のコントラストがさほど高くないので、非常に自然なボケ味だ。背景のボケも口径食はほとんどなく、キレイな円形だ。これは絞り開放なので、絞りの形は出ていないが、7枚絞りとしては絞っても丸みを帯びたキレイな形状を保つ絞り羽根だ
120mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/180秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C

シャドー部基準の露出で撮影しているので、直射日光が当たっているペンギンの腹は完全に白飛びしているが、これは致し方ないところ。ただ、ペンギンの足の部分や地面の明るい部分が少しにじみ気味で、青っぽいフレアが生じている。テレ端絞り開放なので、この程度は仕方がないのかも……
200mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/320秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C
このカットもズームテレ端、絞り開放での撮影だが、ペンギンのカットのようなにじみはほとんど出ていない。やはり縦位置撮影ではイメージサークルの上下方向のマージンが小さいので、その影響が出やすいのだろうか?
200mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/250秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C

“動かない鳥”として人気のハシビロコウ。コウノトリの仲間で、くちばしが広いのでハシビロコウという名前がつけられたらしい。ちょうど網のすぐそばにいたので、ネットの隙間からワイド端で狙ってみた
18mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/640秒 / ISO400 / WB:AUTO / AF-C
今度は少しズームして、ハシビロコウの顔をアップで狙ってみた。少しネットがレンズの上部にかかってしまったのが残念だが、ハシビロコウの細かい羽毛がしっかり描写されている。それにしても異様な形相だ
46mm / 絞り優先AE / F8 / 1/320秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C

忙しく首を動かすフラミンゴをAF-Cモードで狙ってみた。モニター等倍で見ると、目はわずかにピンぼけで、首のあたりにピントが来ているが、この程度のピンぼけは“被写界深度内”と言えるだろう。SWM駆動なのでAF-Cで撮影しても、動作音が気にならないのがイイ
200mm / 絞り優先AE / F8 / 1/400秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C
ズームテレ端絞り開放で撮影したカモメ。色づきや色ズレがないので、白いカモメがスッキリと白く再現されている。背景との距離差があるので、非常に後ボケも穏やかだ
200mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/1250秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C

水面に太陽の光が反射している弱い逆光シーン。画面をよく見ると、オオワシが2羽いるはずだ。木の枝や水面で光っている草の茎を見ると、わずかにマゼンタと緑の色ズレ、つまり、倍率色収差が生じている。ワイド端では、この程度の倍率色収差が出てしまう
18mm / 絞り優先AE / F3.5 / 1/400秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C
同じ撮影ポジションからテレ端までズームして、オオワシをアップで撮影。これがズーム倍率11倍の威力だ。逆光シーンを明るく写しているので少し黒浮きしてしまっているが、トーンカーブで少しシャドー部を締めればグッと良くなる。この撮影距離ではわずかに口径食があるが、キレイなボケだ
200mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/250秒 / +0.3EV / ISO320 / WB:AUTO / AF-C

最短撮影距離がズーム全域で50cmと短いので、ワイドで思い切っきり寄った撮影以外は十分こなせる。昼寝をしている野良猫にAF-Cでそっと近づきながら撮影。毛並みの描写もカリカリしていないので、フワッと柔らかな感じが良く出ている
170mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/320秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C
公称の最短撮影距離は50cmだが、ズームテレ端でギリギリまで近寄って撮影してみると、撮像素子面までの距離は46cmだった。これはズームテレ端で46cmまで寄って撮影したカットで、タムロンとほぼ同じ撮影倍率が得られるようだ
200mm / 絞り優先AE / F5.6 / 1/125秒 / ISO200 / WB:AUTO / AF-C

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伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。

2006/01/31 01:33
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