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【新製品レビュー】コダック EasyShare P850 Zoom

~個性的な色調の高倍率手ブレ補正搭載機
Reported by 大浦タケシ

 コダック EasyShareシリーズからP850 Zoomが登場した。光学12倍ズームに手ブレ補正機能(IMAGE STABILIZER)を搭載するレンズ一体型500万画素機で、もちろん同シリーズのプリンタードックとの連携も可能にしている。同社の直販価格は59,800円となる。


グラマラスなボディ

 ボディデザインは曲面と曲線を多用し、一眼レフを意識したデザインだ。カメラトップはファインダー部分とシャッターボタン周辺が力コブのように盛り上がり、モードダイヤル近くにある3つのボタンもそれに沿うようレイアウトされる。背面の操作部分の曲面も含め全体的にグラマラスな感じを醸し出し、個人的には「結構いい感じ」というのが第一印象。シャッターボタンとグリップおよびレンズ先端のメタリックな部分が過多に感じられることもないではないが、質感の高いつくりとともにホームページなどの写真で見るより全然イイ。





 グリップは小さいながらもホールドしやすく、素直に人差し指がシャッターボタンに乗るものである。握りしろは少ないものの、多少指が大きくても窮屈に感じることはないと思う。このグリップの一部分とレンズ同鏡胴はしっとりとした感触を持つゴム貼りで、汗などによるスリップを抑えたものとなる。ただし、細かなホコリが付着しやすいのと経年劣化は気になるところ。


曲線と曲面によるボディデザイン。ボタンの向きも曲面に合せてレイアウトされる グリップとレンズの間はスペースのあるほうではないが、多少手が大きくても窮屈に感じることはないだろう

 ファインダー接眼部は、液晶モニター面から15mm程度飛び出したものとなる。もともとは鼻の高い外国人を意識してのことなのだろうが、顔の皮脂が液晶モニターに付くことが少ない。筆者は脂性ではないのだが、平凡な日本人顔以下の鼻の低さのため他のカメラではファインダーを使用すると皮脂が液晶モニターに付いてしまうことも多い。バッグへの収納など収まりが悪く鬱陶しく感じるものの、このような形状は歓迎すべきものである。


手ブレ補正レンズを搭載

 P850は1/2.5型510万画素CCDを搭載する。これなら、A4サイズまでのプリントなら十分鑑賞に耐えられ、ファイルサイズもそう大きくならなくて済むものだ。1/1.8型クラスでは今や800万画素が主力となりつつあるが、よりファミリーユースを意識したカメラの多い1/2.5型クラスでは十分な画素数だといえる。

 レンズはSCHNEIDER-KREUZNACH VARIOGON 6~72mm F2.8-3.7。35mm判換算で約36~432mmの焦点距離を持つ12倍ズームである。高倍率ズームの場合、シャッタースピードのことを考えず、ついついテレ側で撮影してしまっていることが多いもの。結果、ブレだらけの写真を量産してしまうのだけど、P850には光学式手ブレ補正機能が採用されている分、心強い。


12倍の高倍率ズームを備える。写真はワイド端側の状態 テレ端側ではさほど長さは変わらない

広角端で撮影 望遠端で撮影

 カタログや取説には効果のほどについて詳しく記されていないが、実写した感じでは、他社の手ブレ補正同様シャッタースピードにして2段程度の効果は期待できそうだ。手ブレ補正の設定には、常時ONの「連続」と、シャッターボタン半押し時のみONとなる「シングル」がある。電池の持ちがよいのは当然「シングル」である。

 電子ビューファインダー(EVF)は23.7万画素を採用する。光学ファインダーの見やすさにははるかに及ばないものの、11万画素クラスのライバルたちとくらべると格段に向上している。ピントも比較的確認しやすく、マニュアルフォーカスの際は画面中央に拡大画像が表示されるのもよい。

 液晶モニターは2.5型を搭載。11.5万画素で、明るいところでも見やすいハイブリットタイプである。EVFでもそうだが、液晶モニターの表示は充実しており、ライブビューでのヒストグラム表示も可能。ただし、設定機能のフォントは期待するほど大きくは表示されない。


記録メディアはSDメモリーカードを使用(MMCも使用可)。32MB分の内蔵メモリーも搭載する バッテリー容量は1,800mAh。手ブレ補正機能のためか持ちはあまりよくない

シャッターボタンの半押しで自動的にポップアップするストロボを内蔵 ストロボのガイドナンバーは11

個性的な色調

 操作系として、設定関係ではメインとなるメニューのほか、ストロボ、フォーカス、ドライブ、測光の4つがそれぞれ独立した専用ボタンとなる。コンパクトカメラの場合この4つの設定はメニューの中に入っていることが多いため、P850でもメニュー画面を探しまわることが少なくなく、たいへん紛らわしい。しかも、他のボタン類も含め機能的にレイアウトされているとはいえず操作に戸惑うことが多いものである。メニューの設定選択は基本的にジョイスティックで行なうが、その操作が快適なだけに残念である。

 また、撮影時の絞り値やシャッタースピードの設定、露出補正やISO感度などコマンドダイヤルで選択、設定するが、いちいちすべての操作をSETボタンで確定しなければならないのも面倒。プッシュすると確定できるコマンドダイヤルか、思い切ってジョイスティックにこの役割を当てたほうが操作しやすいように感じた。

 合焦は特別速いほうではないが、半押し状態からシャッターが切れるまでのタイムラグは少ない。ファースト連写モードにすると約2秒で5コマの撮影が可能で、シングルモードの撮影でも比較的レスポンスのよい撮影ができ、シャッターチャンスには強い。12倍ズームであることも含めスポーツイベントなどにも適したカメラといえる。


ファースト連写モードによる撮影



 色調はカラーモードにより選択が可能。デフォルトのナチュラルカラーのほか彩度の高いヴィヴィッドカラー、彩度を抑えたシックカラー、白黒とセピアカラーが用意される。中でもカラーの色調は日本のメーカーのものにくらべ独特。よい言い方をすれば色乗りがよくコクのあるものだが、ややクセのある色調のため好みが分かれそうである。特にヴィヴィッドカラーになるとその傾向がさらに強く、彩度も高すぎるため順光で原色系のものを写すとカンタンに色飽和してしまうものである。前述した操作性とともに色調も日頃目にしているものと違和感のあることは否めない。


カラーモード:ナチュラルカラー カラーモード:ヴィヴィッドカラー カラーモード:シックカラー

カラーモード:白黒 カラーモード:セピア

プリンタードックにP850を載せたところ ボディ底部にはプリンタードックとのドックコネクターを装備する。プリントと充電が可能だ

 プリントに要する時間は、インクジェットと違いペーパーがプリンタードックの中を数回往復するため1枚約1分40秒程度かかるが、一度に多量のプリントを行なわなければさほど問題にはならないだろう。インクはカートリッジタイプ1本で約40枚のプリントが可能。ペーパーはプリンタードック専用のものを使用する。

 画質は、もともとP850の彩度が高いためか、全体にメリハリがありパッと見きれいに感じられるものだ。昇華型はインクジェットタイプにくらべ長期保存性に優れているといわれる。プリンタードックでプリントしたものであれば、気兼ねすることなしにアルバムに貼ったりプレゼントできるのはよい。

 プリンタードックはプリント機能のほかP850への充電機能も兼ね備える。インジケータが搭載されており、充電状態も把握することも可能。ペーパーの入ったカートリッジは着脱できるため、プリントしないときはクレードル代わりとしてとして机の隅に置いても邪魔になることはないだろう。


プリンタードッグ側のカメラコネクター。透明なインサートを変えることで、ほかのコダック製カメラとの接続を可能とする ペーパーはカートリッジに収納してプリントに使用。このままペーパーの保存も可能である

リボンはプリンタードッグ側面からセットする。1本でL判40枚のプリントが得られる

ISO感度

ISO50 ISO100

ISO200 ISO400

ホワイトバランス

オート 昼光

曇り 晴天日陰

サンセット 白熱灯

蛍光灯

作例

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。

※作例下のデータは、露出時間(秒)/レンズF値/撮影モード/ISO感度/露出補正値/ホワイトバランス/焦点距離を表します。


1/500 / F4.0 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36 1/500 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36

1/100 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36 1/30 / F2.8 / プログラムAE / 64 / 0 / 自動 / 36

1/500 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36 1/500 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 73

1/80 / F2.8 / プログラムAE / 50 / -0.67 / 自動 / 62 1/800 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 61

1/400 / F2.8 / プログラムAE / 50 / -0.67 / 自動 / 36 1/125 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36

1/125 / F3.2 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 133 1/320 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36

1/250 / F3.7 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 432 1/500 / F2.8 / プログラムAE / 50 / 0 / 自動 / 36


URL
  コダック
  http://wwwjp.kodak.com/
  製品情報
  http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/digital/digitalcamera/performance/p850/index.shtml

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コダック、手ブレ補正付き12倍ズームレンズ搭載の「P850 Zoom」(2005/08/30)



大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2005/11/21 00:05
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