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【新製品レビュー】速報:キヤノン EOS 5D β版レビュー

〜ピクチャースタイルと広角ズームとのマッチングを見る
Reported by 本田 雅一

EOS 5D
 いよいよ35mmフィルムと同等サイズのセンサーを搭載した初の普及型デジタル一眼レフカメラ「EOS 5D」が9月28日から発売されるが、多少先行して同機のβ版に触れる機会を得た。本誌でも、すでに山田久美夫氏による作例が掲載されているが、せっかくの機会ということもあり、アマチュア的視点から何枚かの作例を撮影してみた。

 また本機からはピクチャースタイルを選択することで、フィルム選択で色味を選ぶのと同じように絵作りを変える機能が付加されている。この機能はEOS 5Dの付属ソフト「Digital Photo Professional 2.0」(DPP 2.0)において実現するもので、他のEOS Digitalシリーズでも利用可能になる見込みだ。そこでEOS 10D以降の機種について、同機能を利用した時にどのように変化するのか。既存のRAWファイルをEOS 5Dに付属していたDPP 2.0で試している。


20Dの操作性に10Dのメカレスポンス

背面
 EOS 5Dのβ版はすでに一般にも触れることができる環境にあるため、興味を持っているならば、すでにシャッターを切ったことがあるという読者も多いだろう。操作系はほぼ20Dを踏襲しており、シャッターを切った感覚(シャッターラグやファインダー消失時間)などメカニカルなレスポンスはEOS 10Dに近い。

 しかしファインダーの広さはやはり気持ちいい。長らく忘れていた銀塩時代の記憶がよみがえるようだ。ピントの掴みやすさに関しては、贅沢をいえばキリがないが、個人的には十分。プレシジョンマットスクリーンは、明るさ重視ながらも、以前の銀塩EOSで標準搭載されていたスクリーンよりはピンの山は掴みやすいように感じる。

 十分なバッファ量があるため、撮影は軽快。書き込みも高速で、撮影中にストレスを感じることはなかった。実際の書き込み速度などは、近く製品版のレビュー記事が掲載されると思われるため、ここでは詳しくは触れないが、よほど連写を多用する使い方をしなければバッファ不足に悩むことはないと思う。

 個人的な感想をいえば、ボディがやや縦方向に伸びている点に好感を持った。10Dや20Dでは、縦位置グリップなしで構えるとき、右手小指が半分ぐらいしかかからなかったが、5Dではしっかりと引っかかる。銀塩機であればパトローネ室に相当する部分があるのも、なんとなくバランス良く感じるのは気のせいだろうか。

 20Dほどの俊敏性はないものの、かといってEOS D30、D60時代に感じていたような、なんともいえないまどろっこしさはなく、アマチュア向けとして十分な質感とメカ性能があるように思える。


まずはセンサーのS/Nの良さを実感

Microsoftのイベントでビル・ゲイツ会長を撮影
EF 24-105mm F4L / 3,168×2,112 / 1/160秒 / F5 / ISO1600 / 105mm
※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、使用カメラ(レンズ)名/画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値(F)/ISO感度/焦点距離(mm)です。



 さて、このカメラを使ってのまともな撮影は、Microsoftの開発者向けイベントでビル・ゲイツ氏を撮影するという、あまり面白くもない仕事だったのだが、まずはISO1600でのノイズの少なさに驚く。既にISO1600のサンプルは多数あったが、実際に使ってみるとその違いが実感できる。

 さすがに暗部ではやや荒れが見えるものの、明るい部分ではきちんとディテールが残っている。高感度のモードでは、ノイズを目立たなくするためにディテールが飛ぶ傾向が強いが、センサー自身のノイズ特性がよいのだろう。さほど大きなディテールの喪失感はない。

 とはいえISO3200ともなると、ややノイズ消しの弊害が出てくる。次の2枚の写真は、前者が5DのJPEG出力で後者が同時記録していたRAWからDPPを用いて出力した画像だ。


【JPEGで撮影】
シグマ 12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/60秒 / F5 / ISO3200 / 13mm
【RAWからJPEGへ出力】
4,368×2,912 / 1/60秒 / F5 / ISO3200 / 13mm

 5Dが直接生成した絵はノイズが少ないものの、ややツルリとした質感で細やかなテクスチャは消え気味。DPPで生成した絵は解像感はあるものの、砂絵のようにノイズが載っている。もっとも、ここまでノイズがあるとディテールも何もないため、ノイズを消してしまうというのもひとつの選択肢とはいえそうだ。

 このほかサンプルは掲載していないが、個人的にはISO800ぐらいでも、作品を作ろうというのでなければ、十分なクオリティだと感じる。L判程度へのプリントなら、ISO1600でさえ文句ないと思う人も多いのではないか。

 ISO感度は1/3EVごとに細かく設定できるので、手ブレしない範囲で感度を上げて撮影することに抵抗感を全く感じない。


ピクチャースタイルによる違いを確認しつつ……

EF 24-105mm F4Lで撮影
EF 24-105mm F4L / 4,368×2,912 / 1/160秒 / F11 / ISO100 / 105mm
 5Dと同時発表となった「EF 24-105mm F4L IS USM」は、ワイド端で樽型、テレ端で糸巻き型のディストーションが出る。ワイド端での樽はやや強め。ただし35〜85mm程度の範囲であれば、あまり気にならない。

 コッテリとはいわないものの、色ノリはそれなりに良く、それ以上に解像感は高い。開放からかなりシャープという印象だ。ISの効きもすばらしく、80mm、1/25秒のシャッターでもピッタリ止まってくれた。

 作例は20世紀フォックス副社長のダニー・ケイ氏だが、開放絞りでも画質は十分に高い。JPEGで記録した画像以外にも、ピクチャースタイルを変えてRAWから現像した作例を掲載しておくので、それぞれの違いを確認してみるのもいいだろう。

 またモノクロモードでは、カラーフィルターのシミュレーションや、セピアや青での現像もパラメータ指定で簡単に行なえる。ここではデフォルトでの現像以外に、オレンジフィルターで顔の影を弱くし、セピアで現像した画像も掲載した。


【JPEG撮影】
20世紀フォックス副社長のダニー・ケイ氏
EF 24-105mm F4L / 4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm

【スタンダード】
4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm
【ポートレート】
4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm

【ニュートラル】
4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm
【忠実設定】
4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm

【モノクロ/デフォルト】
4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm
【モノクロ/オレンジフィルター】
4,368×2,912 / 1/25秒 / F4 / ISO200 / 80mm

 個人的にはやはりスタンダードがもっともバランス良く、風景はちょっとやりすぎで使いどころが難しそうだ。ニュートラルは階調はきれいに出るが地味。忠実設定は悪くはないものの、高彩度の被写体の時にどうなるかを確認しないと評価は難しい(現像後の色域から溢れる色への対処は要注意と思われる)。ポートレートはハイライトがやや強めに出る他、肌色がやや赤くなる。

 もちろん、それぞれ色の濃さやシャープネスは調整が可能であるが、カラーマッピングは各ピクチャースタイル独特の設定となり、パラメータを同じにしても別のピクチャースタイルと同じ絵にはならない。


フルサイズならではのシグマ12-24mmとマッチングがいい17-35mm

 個人的に5Dが手元に来た時には是非試してみたいと思っていたレンズがあった。それがシグマの「12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM」だ。最近はAPS-Cサイズ専用イメージサークルを持つ超広角レンズもあり、広角撮影だからフルサイズセンサーがほしいという欲求は以前ほどは無くなってきた。フルサイズセンサーの良さは既存レンズの画角がそのまま得られる感覚的な互換性の高さや、画素サイズが大きいことによるS/Nの良さへと移り変わってきている。

 とはいえ12mmという短焦点レンズは、APS-Cサイズの一眼レフデジタルカメラでは得られない122度という強烈な対角画角を提供してくれる。多少、画質的には犠牲があったとしても、これは使ってみなければと思っていた。

 ところが実際に5Dとの組み合わせで使ってみると、想像していたよりも遙かにマッチングはいい。四隅のごく狭いエリアではフォーカスの流れや、かなり強めの倍率色収差が出るが、それ以外の部分ではきちんと絞ることができればとてもシャープ。強烈なパースペクティブと画角は、どちらを向いても面白くてしょうがない。

 次の作例はコダックシアターの上層階からの撮影を、様々なピクチャースタイルで(IMG8388ほか数枚)現像したもの。風景モードでの空が印象的だが、やはりバランスがよいのはスタンダードだろうか。拡大してみると向かい側の門のさらに向こう側にハリウッドサインもキッチリと写っている。


【JPEGで撮影】
12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/200秒 / F11 / ISO100 / 12mm

【スタンダード】
12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/200秒 / F11 / ISO100 / 12mm
【風景】
12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/200秒 / F11 / ISO100 / 12mm

【ニュートラル】
12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/200秒 / F11 / ISO100 / 12mm
【忠実設定】
12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/200秒 / F11 / ISO100 / 12mm

 実はこれ以前にも試しに自宅バルコニーからも撮影していたのだが、このときも結果は良好。ただしこちらの例では四隅の倍率色収差がよりハッキリとわかる。まぁ、しかしこれぐらいならばレンズの面白さを考えれば全く問題ないレベルだろう。シグマによると、きちんと設計値は出ているという。


【JPEGで撮影】
12-24mm F4.5-5.6 / 4,368×2,912 / 1/125秒 / F8 / ISO100 / 12mm

 ついでにデジタル対応になって、さらに良くなったと評判の「17-35mm F2.8-4 EX DG ASPHERICAL HSM」も試したが、こちらはさらに具合がいい。このレンズ、もう少し撮影環境が悪い場所だと色ノリがあっさりとして、また寒色系に振れる印象もあるが、ワイド端でこれだけシャープならば文句なし。何より値段の安さやレンズの軽さを考えれば、純正の同ズーム域を持つレンズよりもよい印象だ。


17-35mm F2.8-4 / 4,368×2,912 / 1/160秒 / F11 / ISO100 / 17mm

【スタンダード】
17-35mm F2.8-4 / 4,368×2,912 / 1/160秒 / F11 / ISO100 / 17mm
【風景】
17-35mm F2.8-4 / 4,368×2,912 / 1/160秒 / F11 / ISO100 / 17mm

【ニュートラル】
17-35mm F2.8-4 / 4,368×2,912 / 1/160秒 / F11 / ISO100 / 17mm
【忠実設定】
17-35mm F2.8-4 / 4,368×2,912 / 1/160秒 / F11 / ISO100 / 17mm

既存の製品でもピクチャースタイルが利用可能に

 最後にEOS 10D、EOS Kiss Digital、EOS 20D、EOS Kiss Digital NのRAWファイルを、各種ピクチャースタイルで現像した結果を掲載して本記事を終わりたい。

 現像ソフトが変わることで画質にも変化が出るというのはなかなか楽しめる。EOS 5D発売後、どこかのタイミングでDPPを2.0にバージョンアップするモジュールの案内が出ると思うので、是非、自分の撮影したRAWファイルで遊んでみるといい。


【スタンダード】
EOS 10D / 2,048×3,072 / 1/125秒 / F10 / ISO100 / 16mm
【風景】
EOS 10D / 2,048×3,072 / 1/125秒 / F10 / ISO100 / 16mm

【ニュートラル】
EOS 10D / 2,048×3,072 / 1/125秒 / F10 / ISO100 / 16mm
【忠実設定】
EOS 10D / 2,048×3,072 / 1/125秒 / F10 / ISO100 / 16mm

【スタンダード】
EOS 20D / 2,336×3,504 / 1/40秒 / F5.6 / ISO800 / 85mm
【ポートレート】
EOS 20D / 2,336×3,504 / 1/40秒 / F5.6 / ISO800 / 85mm

【スタンダード】
EOS Kiss Digital / 3,072×2,048 / 1/13秒 / F8 / ISO200 / 18mm
【風景】
EOS Kiss Digital / 3,072×2,048 / 1/13秒 / F8 / ISO200 / 18mm

【ニュートラル】
EOS Kiss Digital / 3,072×2,048 / 1/13秒 / F8 / ISO200 / 18mm
【忠実設定】
EOS Kiss Digital / 3,072×2,048 / 1/13秒 / F8 / ISO200 / 18mm

【スタンダード】
EOS Kiss Digital N / 3,456×2,304 / 1/250秒 / F8 / ISO100 / 59mm
【風景】
EOS Kiss Digital N / 3,456×2,304 / 1/250秒 / F8 / ISO100 / 59mm

【ニュートラル】
EOS Kiss Digital N / 3,456×2,304 / 1/250秒 / F8 / ISO100 / 59mm
【忠実設定】
EOS Kiss Digital N / 3,456×2,304 / 1/250秒 / F8 / ISO100 / 59mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/5d/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(EOS 5D)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#5d



本田 雅一

2005/09/22 01:14
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