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リゾートデジカメ「Optio WP」をハワイで使ってみた

~実際に水没させてみました
Reported by 編集部

「Optio WP」(ププピンク)とスポーツストラップ「O-ST30」
 薄型化、大画面化、高画素化……と、まだまだ進化が続くコンパクトカメラの世界。そんな中、「防水ケースなしで水没できる」というユニークなカメラ「Optio WP」が登場した。その水中性能は、水深1.5m、連続約30分までの撮影が可能という、これまでの生活防水レベルとは大きく異なるもの。

 ペンタックスではこの製品を「リゾートでの使用を意識したカメラ」と説明しており、その操作性やデザインには女性チームによる開発企画案が盛り込まれているという。本体色に「マウ(いつまでも)」、「ラニ(空)」、「ププ(貝)」といったハワイ語を織り交ぜるなど、強いこだわりを感じる。

 そこでOptio WPをハワイに持って行き、実際のリゾートで使ってみた。今回の旅行は個人的なもので、基本的にビーチやホテルでダラダラするのが目的。写真趣味とはほぼ無縁の同行者のペースにもあわせなければならない。そのため、いわゆる「撮影旅行」とは趣が異なり、普通の旅行者の立場に近いといえるだろう。そうした環境下で、「リゾート向き」を謳うOptio WPの使い勝手を確認してみた。最大のイベントは「浅瀬でシュノーケリングしつつ、きれいな魚をレンズに収める」だ。さらに「いかにも観光写真」といった作例も積極的に狙う。

 なお、カメラとしての総合的な評価は、中村文夫氏による「新製品レビュー ペンタックスOptio WP」を参照してほしい。


旅カメラらしい「ワールドタイム機能」

世界時計は都市名を選択するタイプ。妙にリゾート地が多い
 ホノルル空港に到着後、まず行なったのがワールドタイムの設定だ。日時設定が億劫で、海外ではつい日本時間のままで撮影することが多い。よくあるのが、写真は昼間なのに時刻が夜中(あるいはその逆)になっているパターン。最近、Exifデータをもとにカレンダー表示を行なう画像管理ソフトが増えているので、日付設定は注意したいところだ。

 Optio WPは「目的地」と「現在地」の2つの日時を登録できる。日本を発つ前に「目的地」を設定した場合は、現地で目的地と現在地を入れ替えればよい。これでExifは現地に即した日時になる。

 通常の設定に加え、地名を選択する方法もとれる。登録されているのは計70都市で、中でも「パゴパゴ」、「ヌーメア」といったリゾート地の名が多いのはさすが。実際に地図が表示されるのも面白い。もちろんホノルルはすぐ見つかった。

 さらに、電源OFF時にOKボタンを長押することで、液晶モニターに現在地の時計を表示する「スタイルウォッチ機能」を搭載している。これが何気に役立った。さらに、WPにはアラーム機能もあり、これも毎朝利用させてもらった。世界時計とあわせ、この辺りの機能はなかなか旅行向きといえる。


「グリーンボタン」で自己流カスタマイズ

 実は出かける直前、量販店でペンタックス純正のスポーツストラップ「O-ST30」(1,575円)を購入しておいた。パッケージには「防水加工」とあり、いかにもWP向けのストラップといえる。これがあれば水中でも楽だろうと考えたからだ。

 そのスポーツストラップを空港のバス停で取り付け、首から下げてみる。ボディは普段使っている携帯電話より小さく薄い。また、扁平なデザインのためか、体の前であまりゴロゴロ動かないのが良い。なかなか快適だ。出発前に「派手かな」と感じていたボディカラーのププピンクも、ここホノルルではそれほど違和感ないようだ。

 気に入ったのもつかぬ間、どうもストラップの肌触りがしっくりこないことが気になりだした。個人的に、ビニール製のストラップの風合いに慣れないていないためだろう。現地の気温(約25度)を考えると薄着にならざるを得ず、そうすると汗をかいた首に直接ビニールが触れ、少々ベトつく感じで気持ち悪い。結局、慣れるのに2日ほどかかった。

 早速目に付くものを色々撮り、ホテルにチェックインしてからPCで確認。リゾート向けということで派手な味付けを期待していたが、実際にはほどよくローコントラスで、しっとりした印象だ。彩度も浅く、少々地味な写真といえる。そのため、現地の日中の雰囲気をあらわしたい場合は、コントラストと彩度をそれぞれ+1に上げた方がしっくりくるときが多かった。


背面。液晶モニター右上がグリーンボタン 背面のグリーンボタンに任意の機能をアサインできる シャープネス、彩度、コントラストの設定画面

 精細感や階調性は500万画素機として十分な性能だ。帰国後、A4フチなしに出力しても問題がなかった。ただし、輝度差の大きい部分にパープルフリンジが出るのが気になる。特に「青空をバックに椰子の木」といったシーンで、椰子の葉の周りで良く目立つのは、リゾートカメラとして困る。Lサイズでは目立たないが、A4では少々目に付く。

 操作性は良い。特に感心したのはズームレバーの左脇にある「グリーンボタン」で、本来はカメラ任せの撮影モード「グリーンモード」に切替えるためのもの。しかし、このボタンに任意の機能を4つまでアサインできる。私は1回押すと露出補正、2回目でISO感度、3回目でコントラストの変更を呼び出せるようにした。これが滞在中、かなり役立った。

 起動も比較的速く、電源ONから1秒程度で操作が可能になる。レンズバリアの開閉やズームレンズの繰り出しがないためだろう。ただし、電源ボタンは小さく、突出量が少ないため、慣れるまでは押しづらい。バッテリー寿命はCIPA規格基準で約180枚。この場合、ストロボ使用率50%という厳しいもので、私の場合は200枚程度で良く残量警告が出ていた。場合によっては予備バッテリーを用意した方が良いかもしれない。


本当に水中でそのまま撮影可

水没実験を行なったハナウマベイ
 さて、今回の目玉は水中撮影だ。実験には透明度が高くて波が穏やか、かつ魚が多そう、ということでハナウマベイに決定。恐る恐るWPを水没させ、電源を入れる。すると、何の問題もなく液晶モニターが点灯。ズーミングもできる。防水ケースなしで水没しているのだから、これには少々感動した。なお、本体は水よりかなり比重が大きいため、手を離すとすごい速さで沈む。ストラップは必携だ。

 浅瀬をプカプカと漂いながら、目に留まった魚を撮影するのはなかなか楽しい。ただし、たまに潜って追いかけると「水深1.5m」の制限が頭をちらつく。また、基礎感度がISO50、レンズの口径比がF3.3~4と暗さに弱いため、シャッター速度が遅くなりがち。正直いって、動きの速い魚を追うのは難しい。

 さらに、陸上では十分だと思っていたAFも、水中ではコントラストが低いためか頼りにならない。内蔵ストロボも発光可能だが、マクロ域でもない限り、まず被写体に届かないだろう。総合すると、やはりハウジングと水中用ストロボといった、本格的な装備にはかなわないようだ。

 思うに、本来このカメラは「きれいな魚を撮る!」と意気込んで使うよりも、ビーチやプールで家族を気軽にスナップするカメラなのだろう。例えば、首から下げたまま水中に入ることができるのは、通常のカメラに比べると強烈なアドバンテージになる。もちろん、最近増えつつある“生活防水”機能付きデジカメに比べても、そのまま泳げるのは大きい。ビーチの思い出写真がぐっと多彩になりそうだ。

 なお、水から引き上げた直後に撮影すると、レンズについた水滴が写りこむことがある。上手く利用すれば、ほかのカメラではなかなかマネのできない臨場感が得られる。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。実解像度(2,650×1,920ピクセル)で開きます。

※撮影データは、露出時間 / レンズF値(F) / 感度(ISO) / 露出補正値(EV) / 焦点距離(mm、35mm判換算) / コントラスト / 彩度です


1/250(秒) / 3.3 / 50 / 0 / 38 / ±0 / ±0 1/200(秒) / 3.5 / 50 / 0 / 48 / ±0 / ±0

1/250(秒) / 3.3 / 50 / 0 / 38 / ±0 / ±0 1/250(秒) / 3.3 / 100 / 0 / 38 / ±0 / ±0

まとめ

 WPの面白いところはまだある。カメラ内でリサイズ、トリミング、赤目補正、明るさフィルタなどの編集が行なえるので、帰りの航空機内の暇つぶしにもなる。特に動画編集は本格的で、分割、結合、フレーム切り出しなどをカメラ内で行なえる。同行者と盛り上がりながら楽しめた。

 そういえば、WPは防水構造のためレンズバリアがない。最初はレンズがむき出しになっている(一番上は保護ガラス)のが気になって仕方がなかった。しかし、保護ガラスは頑丈で傷付きにくいようだ。首から下げていたので、保護ガラスに汗の油膜が着くことが多く、ハンカチで拭きとったり水洗いしたりと、最後までラフな扱いで通したが、滞在中、保護ガラスに傷が着いて乱反射を引き起こすようなことはなかった。

 旅カメラとしての難点を挙げるとしたら、まず「画角が狭い(広角端38mm相当)」という点。今回もシーンが画角に収まりきらず、何度か悔しい思いをした。さらに、「比較的大きな充電器」も旅カメラとしてふさわしくない。アラーム機能ももう少し大きな音で鳴って欲しい。

 ともあれ、陸上→水中をシームレスに移動できるので、これから海水浴に出かけることが多いカップルやファミリーにオススメ。手入れも簡単で、基本的に外せるものをすべて外して水洗いするだけだ。なお、現場でカードカバーを開けるのは難しいので、出かける前に大容量のSDメモリーカードを用意した方が良いだろう。


屋外撮影

※基本的に「プログラムオート」、「ISO感度オート」で撮影。場合によってコントラストと彩度を変えている。

※作例データは露出時間/絞り値/ISO感度/露出補正値/焦点距離(mm)/コントラスト/彩度。


1/500(秒) / 3.9 / 50 / -0.7 / 96 / +1 / +1 1/125(秒) / 6.8 / 50 / -0.3 / 44 / +1 / ±0

1/250(秒) / 6.6 / 50 / -0.3 / 38 / +1 / +1 1/500(秒) / 6.8 / 50 / 0 / 44 / +1 / +1

1/400(秒) / 6.6 / 50 / 0 / 38 / +1 / +1 1/250(秒) / 8.0 / 50 / 0 / 114 / +1 / +1

1/125(秒) / 6.6 / 50 / 0 / 38 / +1 / +1 1/100(秒) / 3.3 / 50 / -1.0 / 38 / +1 / ±0

1/400(秒) / 6.6 / 50 / 0 / 38 / +1 / ±0 1/100(秒) / 3.7 / 50 / 0 / 63 / +1 / +1

1/160(秒) / 6.6 / 50 / -0.7 / 38 / ±0 / ±0 1/160(秒) / 3.3 / 50 / 0 / 38 / +1 / +1


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.pentax.co.jp/japan/news/2005/200502.html
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/compact/optio-wp/

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編集部

2005/06/09 14:37
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