デジカメ Watch

【河田一規のデジカメナビ】ソニー サイバーショット DSC-H1

〜光学12倍ズームレンズ、光学式手ブレ補正を搭載
Reported by 河田 一規

 ソニーから高倍率ズームを搭載したレンズ一体機、DSC-H1が6月17日に発売される。有効510万画素の1/2.5型CCDに光学12倍ズーム、手ブレ補正機構付きというスペックから考えると、想定ライバル機は松下電器DMC-FZ5やキヤノンPowerShot S2 IS、コニカミノルタDiMAGE Z5あたりだろうか。


デザインはオーソドックス

 まずはデザインである。

 シルバーを基調としたボディは個人的には非常にオーソドックスに感じた。ある意味カメラらしい安心感のあるデザインで、多くの人に違和感なく受け入れられるだろう。逆に言うと、やや月並みな印象もあるけれど、おそらくH1のデザインコンセプトは同社のW5やW7と同様にコンサバ路線のはずだから、これはこれでOKだと思う。

 ボディサイズは電源が単3電池2本にしてはやや大きめで、重量は電池等含まない状態で438gある。このH1だけを見ている分にはさほど大きいとか重いとは感じられないのだが、ライバル機のコニカミノルタDiMAGE Z5(340g)や松下電器DMC-FZ5(290g)あたりと比べてしまうと、ちょっと大きめかなという印象だ。「1mmでも小さく!」という人には向かないが、最小最軽量とかを狙った作りでないため、グリップのホールド感などは良好で、基本的には構えやすいカメラだと思う。

 デザインとは関係ないが、レンズキャップは固定鏡胴側にラッチを引っかけるタイプで、取り外すのを忘れると、電源を入れてもレンズ鏡胴が繰り出されない。

【お詫びと訂正】記事初出時、レンズキャップをしたまま電源を入れると、そのままレンズ鏡胴が繰り出されるのをレンズキャップが押し止めると記述しましたが、実際にはレンズキャップ検出が行なわれており、繰り出されることはありません。お詫びして訂正させていただきます。





サイバーショットといえば「カールツアイス」ブランドのレンズが多いが、H1はツアイスブランドではない

慣れると軽快な操作系

 操作系のボタン類は比較的多めだが、配置された位置等は理にかなっており使いやすい。ただ、全部の操作ボタンの機能を理解するには少しだけ時間と慣れが必要である。

 ソニーのお家芸とも言えるジョグダイヤルの操作性も良好で、AE撮影時の露出補正や絞りの設定などが指先だけでスピーディに行なえる。H1ではプログラムAE時にこのジョグダイヤルを回転すると、プログラムシフトが可能なため、絞り優先AEやシャッター速度優先AEなどへ切り替えることなく、希望の絞り値+シャッター速度の組み合わせが迅速に選べるのも良いところだ。


十字キー周辺は他より一段盛り上がっており、指先で操作しやすい ズームレバーはシーソータイプのごく普通のものだが、押したときにレンズが実際にズーミングされる動きのレスポンスがよく、使いやすい

ダイヤル左横の一段下がったところにある横長のプッシュスイッチが電源ボタン。操作する指の向きが限定されるという意味で、この形状には疑問を感じるが、押してから電源が入るまでの時間は短めでよい モードダイヤルにロックはないが、今回の試用では気が付かないうちに動いてしまうようなことはなかった

ソニーお得意のプッシュ機能付きのジョグダイヤル。シャッターボタン前という位置も使いやすい プログラムAEの場合、ジョグダイヤルをプッシュすることでプログラムシフトと露出補正が交互に切り替わり、どちらかでダイヤルを回転させることで即座にシフトまたは補正が行える

インターフェースの端子カバーはこんな感じで、閉めた時のクオリティは普通のゴム蓋よりはるかに良好

高倍率機で唯一の2.5型液晶モニタ

 H1のウリのひとつが、2.5型という大きな液晶モニタを搭載していること。薄型コンパクト機などでは2.5型もそろそろ見慣れてきたが、高倍率ズーム機では現時点で最大の液晶サイズとなる。ちなみにライバル達はどうかというと、パナソニックDMC-FZ5とキヤノンPowerShot S2 ISが1.8型、松下電器DMC-FZ20とコニカミノルタDiMAGE Z5は2型なので、確かに大きい。

 個人的に、EVFを搭載している機種ではローポジやハイポジでない限り、手ブレ防止の観点からも撮影時は液晶モニタではなくEVFを使用している。が、もちろん大型液晶モニタは大歓迎である。仮に再生時だけしか使わなかったとしても、2.5型のアドバンテージは十分にあるのだ。


薄型コンパクト機などでは見慣れた存在となった2.5型液晶だが、こうして見るとやはり大きい 2.5型液晶モニタは11.5万画素で、視野率は100%。低反射処理コーティングされており、屋外でもなかなか見やすい。大きいだけにキズを付けてしまう心配もあるが、オプションで純正の液晶保護シートが用意されている

画面が大きいだけに、ヒストグラムなどを表示させても極端に見にくくならない。再生時の最大拡大倍率は5倍までだが、手ブレやピントをシビアに確認するためにはもうちょっと高倍率まで拡大できるとよかった 5倍拡大時 AFは3点自動選択、中央重点、スポットの他にフォーカスフレームを画面内のタテヨコ75%の範囲内で自由に動かすことができるフレキシブルスポットAFも搭載されている。もちろん、撮影時のリアルタイムヒストグラム表示も可能だ

通常の4:3のアスペクトレシオのほかに、35mm判と同じ3:2も選べるのは昔からのソニー高機能機のいいところ 頻度の高いメニューについては他のサイバーショット同様にOSD表示される セットアップ系のメニューはOSDではなく通常どおりフルメニュー画面となる。手ブレ補正は常時と撮影時が切り替え可能。補正量を優先するなら撮影時の方が有利だ

満足できる電池の持ち

同梱されるニッケル水素電池セット
 H1の電源は単3電池2本で、ニッケル水素電池と充電器が付属する。撮影可能枚数はCIPA基準で290コマ。専用リチウムイオン充電池を使用する松下電器のDMC-FZ5が300コマ、FZ20が240コマであることを考えると、満足できるスタミナ性能だと思う。ちなみにキヤノンPowerShot S2 ISはCIPA基準で550コマと多いが、こちらは単3電池を4本使用するので直接の比較対象にはなりにくい。

 記録メディアはソニー製なのでもちろんメモリースティックであり、通常タイプのほかに「PRO」が使用できる。また、アダプタを介せば「メモリースティックDuo」、「PRO Duo」が使用できる。

 ちなみに動画モードは640×480/30fpsのVXファイン、640×480/17fpsのVXスタンダード、160×112/8fpsのビデオメールの3種類から選択できるが、最もクオリティの高いVXファインについては通常タイプのメモリースティックでは書き込みが追いつかないため、PROかPRO Duoが必須条件となる。H1で高品質な動画を撮影したい人はメディアの選択に注意しよう。


電池室とメディアスロットは共通のスライド蓋だが、ワンスライドさせるとメディアのみ、さらにスライドさせると電池室にアクセスできる仕組みになっている

付属のレンズフードは2分割になっている。装着は固定側鏡胴へ直接ネジ込むことができ、飾りリングなどを外す必要はない

優秀な起動速度とAF速度

 起動速度は実測で約3秒。カタログ値は約2.1秒だが、実測値はAF作動を含むため、3秒ならほぼカタログ値通りといえる。起動時のレンズ繰り出し量が大きい高倍率機としてはかなり優秀な起動速度であり、実用でも不満はほとんど感じなかった。

 また、高倍率機ではどうしてもAFがスローな機種が多かったが、このH1はAF作動もきわめて速く、最望遠時でもストレスなくズバズバと快適に合焦した。また、合焦精度もきわめて正確であり、AF関係の性能は実にいい。筆者が過去にテストした高倍率機に比べても、AFスピードと合焦精度の高さはもっとも優れていると思う。


※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値(F)/露出補正値/ISO感度/焦点距離(mm)です。


時計の秒針が12時を指すのと同時に電源スイッチを入れ、何秒後にシャッターが切れるか見てみた。時計はもちろん1秒運針ではなく連続運針式。H1の場合、電源を入れた直後にシャッターボタンを押しっぱなしにするとシャッターが切れないため、スタンバイするまでシャッターを押すタイミングを計らなければならず、多少は人的要素が入ってしまう。結果、約3秒で最初の1枚目が撮影できた。なかなかの好結果である
2,592×1,944 / 1/20(秒) / 2.8 / 0 / 64 / 6
最望遠側でもAF速度とピント精度は抜群。起動速度の速さと相まってスナップにも強いカメラである
2,592×1,944 / 1/200(秒) / 4 / 0 / 64 / 72

どの焦点距離でもキレのいい描写が楽しめる12倍ズーム

 通常、高倍率ズームでは焦点距離のどこかに「穴」があって、広角から望遠までずっと同じシャープネスが維持されることは少ない。

 ところが、H1のズームは焦点域ごとの画質変化が極めて少なく、どの焦点距離でもシャープな描写が楽しめる。レンズ銘はツァイスではないが、なかなか優秀な光学設計といえるだろう。


【広角端】光学ズームは35mm判換算で36〜432mm相当の12倍。広角側と望遠側ではこれだけの画角差がある
2,592×1,944 / 1/800(秒) / 4 / 0 / 64 / 6
【望遠端】2,592×1,944 / 1/1,000(秒) / 4 / 0 / 64 / 72

広角側では直線物を入れると、やや陣笠状の歪曲収差が確認できるが、それほど大した量ではない
2,592×1,944 / 1/160(秒) / 4 / 0 / 64 / 6
キレのいい描写でレンズ性能は高い
2,592×1,944 / 1/160(秒) / 4 / 0 / 64 / 7.2

500万画素機、新旧比較

 H1は1/2.5型の500万画素CCDということで、画素サイズ的には必ずしもリッチとは言えない。そこで、比較的画素ピッチに余裕のある2/3型500万画素CCDを搭載した同社のDSC-F707と同一条件で比較撮影してみた。今どきF707かよという声も聞こえてきそうだが、たまたま転がっていた筆者の手持ち機種との興味本位な比較なので比較機種の適否についてはどうぞご勘弁頂きたい。


【DSC-H1】2,592×1,944 / 1/50(秒) / 3.5 / 0 / 64 / 14.2 【DSC-F707】2,592×1,944 / 1/125(秒) / 2.8 / 0 / 100 / 21.1

 両者共に数値的な解像度はほぼ同じだが、細かい部分、例えばまつげのあたりの解像感は明らかにF707の方が良好だ。ただ、H1の画像も決して悪くはないと思う。ごく細かいところの再現性こそF707より曖昧になるものの、それが不自然な感じにならないのはシャープネス等の処理が適切だからだろう。F707の方は解像こそ良好だが、シャープネスの掛かり方にはやや違和感を感じる。

 また、共にAWBでの撮影だが、色再現についてはAWBの追従を含めて完璧にH1の方が好ましい。F707は昔のサイバーショット独特のクセのある色再現になっている。

 つまり、解像感こそF707が勝るものの、画像処理エンジンの進化により、総合的な画質ではH1の方が良好といえる。


クセのない色再現と見栄えの良い画質

 今回の試写では測光はデフォルトのマルチパターンで使用したが、精度的には満足できた。もちろん、光線状態や被写体の色によっては多少の露出補正を必要としたが、基本的にはよく当たる露出だと思う。ただし、ストロボ調光に関しては暗い場面、日中シンクロ共にややオーバーめになることが多かった。

 AWBに関しては適切で、場合によってはプリセットで切り替えるよりも良好な色味になるケースもあった。


白熱光下でのAWBは赤みを残すタイプ。場合によってはプリセットの白熱球に切り替えた方がいいかもしれない
2,592×1,944 / 1/30(秒) / 3.5 / 0 / 64 / 24.8
太陽光下の場合、通常はAWBでもほとんど満足できる色味が得られる
2,592×1,944 / 1/25(秒) / 3.5 / 0 / 64 / 26.7

太陽光下の場合、通常はAWBでもほとんど満足できる色味が得られる
2,592×1,944 / 1/60(秒) / 2.8 / 0 / 64 / 6
このように背景が暗めのシーンで露出オーバーになるため、マイナス補正して撮影した。慣れれば露出傾向は比較的つかみやすい
2,592×1,944 / 1/125(秒) / 4 / -1.7 / 64 / 6

このようなグリーンの多い被写体では反射率の関係で多少オーバー目になりやすいのはセオリー通り
2,592×1,944 / 1/160(秒) / 4 / 0 / 64 / 14.6
暗い場所での撮影。ちょっと調光がオーバーめだ
2,592×1,944 / 1/40(秒) / 2.8 / 0 / 64 / 6

日中シンクロもやや調光が強め
2,592×1,944 / 1/1,000(秒) / 4.5 / -0.7 / 64 / 6
エフェクトは白黒やセピアが選べるが、撮影前に切り替えなければならない。ちょっとカメラのクラスが異なるが、ペンタックス*ist Dsのように撮影済みの画像にエフェクトをかけて、それを別ファイルで保存するタイプの方が実用的だろう
2,592×1,944 / 1/80(秒) / 4 / 0 / 64 / 6

マクロモードでは2cmまで寄れる。手ブレ補正機構により、接写でもブレにくい
2,592×1,944 / 1/200(秒) / 4 / 0 / 64 / 6
2,592×1,944 / 1/640(秒) / 4 / 0 / 64 / 15.1

1,280×960 / 1/250(秒) / 4 / 0 / 64 / 6 2,592×1,944 / 1/640(秒) / 4 / 0 / 64 / 6

2,592×1,944 / 1/1,000(秒) / 5 / 0 / 64 / 72

まとめ

 満足できる画質とレスポンスのよさで全体のバランスと基本性能はかなり高く、使い勝手のいい高倍率機を探している人にはお勧めできる一台だ。

 ただ、その反面で「これぞソニー」と叫びたくなるような強烈な個性はない。もちろん、前述したとおりH1の狙いはコンサバ路線だと思われるが、であるならば、もっとソニーらしさ全開のギンギンに尖った高倍率ズーム機もH1とは別に作って欲しい気がする。ぜひ。



URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-H1/

関連記事
【実写速報】ソニー サイバーショット DSC-H1(2005/05/24)
ソニー、手ブレ補正付き12倍ズームレンズ搭載の「サイバーショットH1」(2005/05/18)
米Sony、光学12倍手ブレ補正付きの「Cyber-shot DSC-H1」(2005/02/21)



河田 一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2005/06/07 00:40
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.