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【河田一規のデジカメナビ】ポラロイドx530

〜ついに国内版で実写! Foveon X3センサー搭載のコンパクト機
Reported by 河田 一規

 ついにポラロイドの「x530」を実写できることになったわけだけど、思えば長〜い道のりであった。

 このカメラを初めて見たのは確か昨年のPMA2004だった。モックアップが出展されていて、米国では2004年6月から399ドルで発売予定とかアナウンスされていた。ところが、その後開発が上手く進まなかったのか、発売日は大きくズレこみ、実際に米国で発売が開始されたのは今年の2月であった。

 同時に日本での発売予定も二転三転し、当初の2004年12月発売予定が3月31日へ、さらに4月末へと次々に延期されてしまう。そうこうしているうちに編集部にレビュー用の実機が届き、「今度こそちゃんと発売されそうじゃん」と思いつつ実写することができたわけだけれど……何と! この原稿を書いている最中にまたまた発売が延期されることになってしまった。しかも今度は発売予定日も公表されていない。大丈夫だろうか。


昨年2月のPMA2004に出展されていたx530のモックアップ。レンズ先端の表記は製品版とは異なる「RICOH ZOOM LENS」 製品版とカラーリングは異なるが、デザインはほぼ同じ

フォビオンX3センサーを搭載したコンパクトデジカメ

 ここでもう一度x530がどんなデジカメなのかおさらいしておこう。

 x530のハイライトは何といってもFoveon(フォビオン)X3センサーを搭載していることにある。そのセンサー構造については過去のx530関係の記事を参照してもらうとして、まるでフィルムのように層ごとに色を捉えるその仕組みは他のCCDやCMOSとはまったく異なるものだ。


PMA2004でのフォビオンのディスプレイ。同社のセンサー構造がフィルムに似た多層構造であることを示す模式図と共に、x530やシグマSD10に搭載されていることをアピール
 通常の撮像素子は基本的にモノクロセンサーにRGBもしくはCMYのカラーフィルターを組み合わせ、ソフト的な演算処理を行なうことでカラー画像を得ているのに対し、X3センサーはカラーフィルターを使うことなく1画素単位でカラー情報を得ることのできる「本物の」カラーセンサーであることが最大の特徴。

 こうした構造により、通常のCCDやCMOSに比べて少ない画素数でも高い解像感を得られるがX3センサーの美点で、偽色の発生や色再現性の点でも有利とされている。

 このフォビオンX3センサーはすでにシグマのデジタル一眼レフ、「SD9」とその後継機である「SD10」に搭載されて市販済みなわけだが、SD9やSD10の場合はRAWでしか撮影できないのに対して、x530ではRAWに加えてJPEGでも撮影できる点と、同センサーを初めて搭載するコンパクトデジカメであることが新しい。


いたってオーソドックスな外観デザイン

 x530の外観だが、ご覧の通りのオーソドックスな形状で、以前あったオリンパスのC-4040あたりとちょっと似た感じ。現代の基準としては特に小型軽量というわけではないけれど、大きなグリップによりホールディングはしやすい。

 電源のON-OFFに連蔵して自動開閉するレンズバリア付きだが、それとは別にかぶせ式のレンズキャップが付属している。ストラップ取り付け用のアイレットはボディ両側にあり、両吊りが可能だ。






操作レスポンスはいまいち

 ボタンレイアウトについてはあまり不満を感じなかった。中央にOKボタンを配した十字キーをはじめとして、各操作ボタンのレイアウトは操作する上で違和感なく配置されていると思う。パワースイッチやズームボタンをボディ面より盛り上がった位置に立体的に配置しているのも使いやすいし、十字キー右下にある「FUNC」ボタンで露出補正やISO感度、ホワイトバランスといった使用頻度の高い項目へすぐにアクセスできる操作ロジックもいい。

 というわけで、操作系はなかなか上手くまとめられているのに対して、肝心のレスポンスはあまりかんばしくない。

 まずは起動だが、電源をONにして液晶モニターにスルー画が表示するまでをストップウォッチで手動計測してみたら、何と7.8秒もかかるではないか。これは今時のデジカメとしてはかなり遅い。起動プロセスを観察してみると、x530はデフォルト設定では電源投入後に液晶モニターにオープニングアニメーションが表示されるのだが、これが結構長い。そこで、このオープニングアニメーションをOFFにして再計測してみると、5.08秒まで起動時間が短縮できた。これでも現在の基準から見るとかなり遅いけれど、自分がもしx530ユーザーなら、迷わずオープニングアニメーションはOFFにするだろう。

 このほか、撮影モード→再生モード切替や、1枚撮影して次のコマが撮影可能になるまでの撮影間隔も図抜けて遅く、使っていてふた昔前のデジカメを思い出してしまった。


パワースイッチとズームボタンはボディ面よりも一段高い土手部分に配される。操作性も良く、造形的にも面白い 右手側に集中した各種操作ボタン。右下のFUNCボタンを押すと使用頻度の高い項目へダイレクトアクセス可能 回転が軽すぎて知らない間に別モードになっていることもあったモードダイヤル。もうちょっと強いクリック感が必要だろう

視野率に不満を感じる液晶モニター

 液晶モニターの見え方は可もなく不可もなくといったところだが、視野率が100%ではなく、スルー画よりも一回り外側まで写ってしまうのは残念だ。光学ファインダーの方は、ほぼ撮影レンズの真上にあるため、左右のパララックスが生じないものの、この手のファインダーの常で視野率は著しく低く、あまり実用的とはいえない。

 電池は充電式のリチウムイオンで、容量は1,020mAh。充電はACアダプターを用いて本体内で行なう方式だ。ACアダプター用に各国のプラグアダプターが付属しているあたりは、このx530がワールドワイドな商品として開発されたことを物語っている。

 あと、前述のとおり起動時間や撮影間隔が長いため、撮影カット数の割には起動している絶対的な時間がx530は長い。で、電池の持ちが心配だったわけだが、それについてはさほど問題ないようで、頻繁に再生を交えながら撮影しても、問題なく1日撮りきれた。


液晶モニターの見え方はまあまあ。やや濁った感じに見えてしまうのと、視野率が100%でないのが残念 再生時にヒストグラムも表示可能 最近では略されることも多い光学ファインダーだが、ちゃんと搭載されている。実用性は他のコンパクトデジカメ同様、あまり高くはない

記録メディアはSDメモリーカード。メディアスロットは電池室にある。USBカードリーダーも付属する 専用のリチウムイオン充電池は容量1,020mAh 充電はACアダプターを接続して本体内で行なう。各国のプラグ形状に合わせたアダプターが付属する

現像ソフト

 x530の画像サイズは、JPEGが2,432×1,824、2,048×1,536、1,408×1,056、640×480ピクセルの4種類で、これにX3Fモード=RAWが加わる。搭載されたX3センサーの実画素数からして、1,408×1,056ピクセルまでは補間処理なし、それ以上は補間処理ありの拡大展開だろう。

 気になるX3Fモード、いわゆるRAWファイルだが、拡張子は「.X3F」でシグマのSD9やSD10と同じ。現像ソフトとして「Polaroid Photo Lab」が付属している。

 もしかしてRAW現像もシグマSD9/10用のPhoto Proで行けるんじゃないかと試してみたら、Photo Pro2.0ではファイルエラーになってしまったものの、最新のPhoto Pro2.1を使用したら無事に現像することができた。しかも、Photo Labでは保存する時の最大画像サイズが2,432×1,824ピクセルまでなのに対して、Photo Proではひと回り大きい2,840×2,120ピクセルまで拡大保存できた。


Photo LabそのもののインターフェイスはPhoto Proと酷似しており、操作はまったく同じ。あまり細かい微調整はできないが、基本的には使いやすい現像ソフトだ ちなみにこちらがシグマSD9/10用のPhoto Pro2.1。保存ダイヤログの出力イメージサイズ「2倍」もそのままx530の画像に適用でき、2,840×2,120ピクセルで保存できた

画質はまだ開発途上か?

 さて、いよいよ画質評価だが、まずは実写画像をご覧頂きたい。

※作品のリンク先は撮影画像をコピー後、リネームしたものです。クリックすると撮影画像を別画面で表示します。


プログラムAE(F7.6、1/400秒)、WB=Auto、ISO=Auto(100)、JPEG/4.5Mモード プログラムAE(F2.6、1/640秒)、WB=Auto、ISO=Auto(100)、JPEG/4.5Mモード

プログラムAE(F7.6,1/400秒)、WB=Auto、ISO=Auto(100)、JPEG/4.5Mモード

 いずれもJPEGの4.5Mモードでの撮影である。快晴条件ということもあってAWBの色味は悪くないものの、ISO100の割には明らかにノイジーな画像である。う〜んいくらJPEGでも撮れるといっても、やはりX3センサーはRAWじゃないと実力を発揮できないのか? というわけで、RAWで撮ったのが次の画像だ。


プログラムAE(F2.6,1/20秒)、-0.7EV補正、WB=Auto、ISO=Auto(200)、RAWモード。Photo Labにてホワイトバランスを太陽光に変更し、シャープネスを+0.7 プログラムAE(F2.6、1/30秒)、WB=Auto、ISO=Auto(200)、RAWモード。Photo Labにてホワイトバランスを太陽光に変更し、シャープネスを+0.7

プログラムAE(F2.6、1/4秒)、WB=Auto、ISO=Auto(200)、RAWモード。Photo Labにてホワイトバランスを太陽光に変更し、シャープネスを+0.7

ISO100相当 ISO200 ISO400相当

 ……。残念ながらRAWでも画質はあまり……良くない。ここまで来ると、ノイズがどうとかいう問題以前の話であろう。

 しかも、快晴時には印象の悪くなかったAWBも、ポートレートを撮った雨天時では妙に青味が強かったため、RAW現像時に調整した。
ちなみに、同条件でカシオのEX-Z40と撮り比べたのが次の画像である。


プログラムAE(F2.6,1/200秒)、WB=Auto、ISO=100、RAWモード。Photo Labにてホワイトバランスを太陽光に変更し、シャープネスを+0.7、彩度を-0.3 カシオEXILIM EX-Z40で撮影。プログラムAE(F2.6,1/250秒)、WB=Auto、ISO=100、JPEG/FINE

 明らかにカシオの方が画質がいい。おまけに、x530はAFの精度があまりよくなく、露骨に後ピンになったカットが沢山発生してしまった。

 ここまでの画質を見て思わず絶句していると、編集部から「x530の発売延長」のニュースが入った。う〜ん、やっぱりコレではまずいと思ったのだろう。しかし、先行して発売されている海外ではどうなのだろうかというわけで、どこかに別の実写画像がアップされているところはないかと検索してみると、あったあったありました。どれどれと見てみると、決して高画質というわけではないけれど、明らかに今回の実写画像よりノイズも少なくキレイである。ということは、今回貸し出された機体は「ハズレ」だったのかも……。

 他とはまったく方式の違うユニークな撮像素子を搭載したコンパクト機として、x530に注目している読者も沢山いると思われるが、レスポンスやAF精度、そして何よりも描写のクオリティ面でまだまだ問題が残っているようである。ある意味、今回の発売延期もうなずけるところ。全部を解決するのは難しいかも知れないが、ぜひともチューニングし直して早期に発売してほしいと思う。実用性はともかくとして、新しモノ好きにとってはたまらないカメラなのだから。



URL
  NHJ
  http://www.nhjapan.co.jp/

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河田 一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2005/04/28 19:06
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