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【那和秀峻の最新デジカメレビュー】ニコンD2X

〜高画素で独創的なプロ用デジタル一眼レフ
Reported by 那和 秀峻

 ニコンD2Xは2月25日に発売されたプロ用デジタル一眼レフである。名称からすると、D1Xの後継機ということになるが、むしろD2Hの高画素版と言ったほうがいい。さらに、正確には近く発売予定のD2Hsとペアを組むカメラと言える。

 撮像素子はD2HおよびD2Hsではニコン独自開発のLBCAST(エルビーキャスト)を搭載しているが、このD2Xはソニー製のCMOSイメージセンサだ。CMOS撮像素子はニコンとしては初めての採用になる。有効画素数は1,240万画素、連写速度は通常モードで最高毎秒5コマ、画面中央を切り取って使うクロップ高速を利用すると有効約6.3メガで、毎秒8コマの高速連写が可能だ。

 今回のテストには、レンズはDX17〜55mm F2.8GとVR70〜200mm F2.8Gを、記録メディアはレキサーメディア80倍速4GBを使用した。


外観はD2H、D2Hsとほぼ同じ

 D2Xのボディーデザインはイタリアの著名な工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロが一部(グリップなど)を担当している。ジウジアーロはニコンF3からデザインに関わっていて、最後までタッチしたのはF5まで。デジタルになってからは一部のみ担当ということになった。

 外観を見てみよう。ホールディング性は非常にいいのだが、ライバルになるであろうキヤノンEOS-1Ds Mark IIに比べると、やや高級感がない。しかし、プロ用一眼レフとしては軽量であるし、2台持つにも負担がそれだけ軽くなるのはいいことだ。プロ用だから、防塵・防滴構造になっていて、小雨やホコリに強いのはもちろんだ。





 ボディー上面右手側には大型の液晶パネルがあり、必要な情報が表示される。やはり、とくにプロ用ともなればとっさに目が行く場所に液晶パネルがあり、撮影残数はせめて確認できるべきだ。D2Xはもちろん撮影枚数と残数は常時表示だ。液晶パネルの左には視度調整ダイアルもある。このあたりはD1以来の操作系をほぼ踏襲している。

 ボディー上面左手側には一見銀塩一眼レフの巻き戻し部のようだが、デジタルカメラだから、もちろん巻き戻しはない。オートブラケット、ストロボモード、ロックのボタンがあり、さらにドライブモードのダイヤルがある。さらに、その後方背面には再生と削除ボタン(初期化ボタンを兼ねる)がある。このあたりの操作系もD1から基本的には同じである。


上部右手側には液晶パネル、露出補正ボタン、モードボタン(初期化兼用)などがある 上部左手側にはオートブラケット、ストロボモード、ロックボタン、さらにドライブモードダイアル

 背面中央下部(液晶モニタ)の下にも液晶パネルがあり、すぐ下のボタンで操作できるISO感度、画質モード(QUAL)、ホワイトバランス(WB)がある。右には録音マイクがある。

 液晶モニタは大型の2.5型でD2Hと同じ。そのすぐ右には十字キー(ロックボタン付き)、下にはAF測距モード切り替え、上にはAE・AF同時ロック、AFロック、コマンドボタンがある。このあたりは、D2Hと全く変わらず、D2Hのユーザーでもある筆者はとっさの操作ができた。なお、AFモードは今回は写真のような、ダイナミックAFで使用した。


液晶モニタの下側にはISO、QUALITY、WBボタンと液晶サブパネルがある。好きな人はボディー番号に注意 液晶モニタは2.5型、右には十字キー、上にはAF・AEロック、AFロック、下にはAF測距モード切り替えがある

 ボディーグリップ頂部にはシャッターボタン、電源スイッチ、露出補正ボタン、モードダイアルがある。もちろん、この部分もD2Hと同じである。

 記録メディアはCF。このクラスの高画素カメラだと、4GBあるいは8GBが必要だ。さもないと、あっという間に撮影残数がなくなってしまう。


ジウジアーロがデザインしたグリップ頂部。全体をデザインして欲しかったところではあるが 記録メディアはCF。今回は4GBのものを使用

 マウントはもちろん不変のニコンFマウントで、ニコンF以来ずっと同じである。ただし、D2Hになって11点測距となったため、ミラーの上の測距点表示は増えている。

 電源は専用のリチウムイオン充電池で、D2Hと共通。D2Hからは、電池の残量表示だけでなく、劣化具合も液晶モニターに表示される。これは非常にありがたい。

【お詫びと訂正】記事初出時、電源を「ニッケル水素充電池」と記述しましたが、リチウムイオン充電池の誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。


'59年のニコンF以来、規格はずっと不変のニコンFマウント。ここまでこだわると脱帽である 電源はリチウムイオン充電池。液晶モニターには劣化具合も表示されるのがいい

 モニターにはExifデータがかなり豊富に表示される。ただし、D1から画像に重なる形の表示となっている。ヒストグラムはRGB別々の表示も可能だ。できれば、ここに撮影情報の一部を表示して欲しかったところである。この点はキヤノンEOS−1Dなどの表示のほうが好きだ。


再生画面でExif情報を表示すると画像が見にくくなるが、これはD1以来、ニコンは頑として変えない。ちょっと不満である ヒストグラムはRGB独立表示も可能。この画面で撮影データが出て欲しい

 メニュー画面はD2Hよりもわずかだが視認性が向上している。メニューの例をいくつか掲載しておこう。非常に視認性がいい。D2Hよりも良くなっている。

 全体として、D2Xの操作系はD2Hを継承発展させたもので、これという欠点は見当たらない。




きわめて高画質でAF測距精度も高く印象的な画質

 さて、実写テストである。例によって定点撮影から始めよう。

 いつもの新橋駅前ビルだが、非常にいい画質だ。17mmの広角側でAFも正確にピントづけした位置に絞り開放から合焦している。これはデジタル一眼レフでこのビルを撮り初めてから最高の成績である。また、左上の看板もうっすらだが質感が出ていて、完全な白飛びはしていない。帰ってからPCで再生してぞくぞくした。

 開放からの2段絞りはもう当然素晴らしい画質である。このテストで次に成績が良かったのはオリンパスのC-8080だが、これは2/3型8メガ撮像素子だから、いかにD2Xの測距精度が素晴らしいかおわかりになると思う。


※以降に掲載する作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。特に記載がない限り、クリックするとオリジナル画像が別ウィンドウで表示されます。


標準ズームの広角側。絞り開放でも測距点にぴったり合焦。
DX17〜55mmF2.8G、1/1,500秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
絞りF5.6ではもちろんさらにいい。
DX17〜55mmF2.8G、1/400秒、F5.6、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート

 55mm側でもいい画質だ。ただ、少し偽色と色収差が出ている。このDX17〜55mm F2.8はデジタル専用設計で、筆者の持つAF-S17〜35mmよりも、くやしいことに描写がいい。ただ、もう予算オーバーで、このレンズはまだ買えないでいる。


標準ズームの望遠側。絞り開放からいい描写。ただし、少し偽色とわずかな色収差がある。
DX17〜55mmF2.8G、1/1,250秒、F2.8、+0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
F5.6ではさらにいい描写である。
DX17〜55mmF2.8G、1/500秒、F5.6、-0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート

 次はモデル撮影。最初のアップはやや薄日がさす天気だったが、AWBまかせでかなり綺麗な発色となった。近距離のAF合焦精度もいい。晴天(昼光)モードだとさらに肌色が良くなる。じつはこの日はかなりの寝不足状態だったが、AF精度の確かさで助かっている。


望遠ズームの絞り開放で撮影。合焦精度は近距離でもかなりいい。こちらはAWBで撮影。
VR70〜200mmF2.8G、1/160秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
晴天モードの方が肌色がさらにきれいだ。
VR70〜200mmF2.8G、1/160秒、F2.8、+0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WB晴天

 別の条件で今度は7分身だが、この場合にはAWBのほうがいい感じだ。ただ、筆者のミスでごく僅かだがブレているのが拡大するとわかる。晴天モードもかなりいい感じだが、これもピクセル等倍にすれば顔のピントがやや甘い。


AWB(オートホワイトバランス)モードで撮影。
VR70〜200mmF2.8G、1/350秒、F2.8、-0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
晴天モード。AWBの方がわずかにいい。
VR70〜200mmF2.8G、1/320秒、F2.8、-0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WB晴天

 室内のタングステン照明をカラーメーターで測り直してみたら、約3,200Kであった。このD2Xの追尾は約3,500〜8,000Kとカタログに書いてある。かなり、ギリギリのところで、場所によって色温度が微妙に変化するのだ。別に意地悪でいつもこの場所で撮っているわけではないのだが。AWBではわずかに黄色みが残り、白熱電球モードではほぼ完全に補正されている。ただし、もう少し補正されてもいいと思う。


測定値約3,200Kのタングステン照明下での撮影。追尾は約3,500Kまでで、微妙なところ。AWBではわずかに黄色みが残る。
DX17〜55mmF2.8G、1/8秒、F2.8、-0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
白熱電球モードでもまだほんのわずかに赤い。
DX17〜55mmF2.8G、1/8秒、F2.8、-0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WB白熱電球

 いつもの蛍光灯も再度測定し直してみた。この場合には経時変化があるからだ。そうしたら、約4,300〜4,500Kでいつもとそれほど変わらない。撮影結果はご覧の通りで、AWBでは黄色みがかっているがほぼ自然。蛍光灯モードは白冷色蛍光灯に合わせてあるとカタログには出ているが、この蛍光灯には合っていない。かなりマゼンタがかってしまった。このカメラの場合、ホワイトバランスに専用センサーも併用するなど凝っているのだが、D2Hからのクセがまだ少し残っているようだ。


AWBで撮影。約4,300〜4,500K(場所によって違う)の蛍光灯で撮影。やや黄色みがかるが、かなり自然。
VR70〜200mmF2.8G、1/40秒、F2.8、+1EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
蛍光灯モードは白冷色に合わせてあるため、マゼンタが強くなった。
VR70〜200mmF2.8G、1/50秒、F2.8、+1EV、絞り優先AE、ISO100、WB蛍光灯

 次はJR国立駅での特急列車の通過。クロップ高速をオンにして、毎秒8コマで撮影。掲載したのは35コマ中の最後の5コマである。クロップ高速時にはファインダースクリーンに赤色LEDの枠が表示され、慣れないと高速動体のフレーミングはややきつい。しかし、今回はだいぶ慣れていたので、ここまで追えた。そして拡大するとわかるが、全コマピントが合っている(測距点は中央1点を使用)。


時速80km前後の特急通過をクロップ連写で撮影。35枚撮ったうちの最後の5コマ。全コマでぴったり合焦している。
VR70〜200mmF2.8G、1/750秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート

VR70〜200mmF2.8G、1/750秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート VR70〜200mmF2.8G、1/750秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート

VR70〜200mmF2.8G、1/640秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート VR70〜200mmF2.8G、1/640秒、F2.8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート

 次の定点撮影は例によってキネ・エキザクタ初期型をモデルにしたもの。ISO100、200、400、800と常用感度域をチェックした。拡大しても目立ったノイズはない。十分実用に耐えうる。ずっとニコンのデジタル一眼レフはISO200が最低感度(D1XはISO125)だったが、今回ISO100が加わったのはうれしい。これで大口径レンズのボケ味も生かせるわけだ。


【ISO100】マイクロ60mmF2.8D、1/4秒、F8、絞り優先AE、+0.3EV、ISO100、WBオート 【ISO200】マイクロ60mmF2.8D、1/8秒、F8、+0.3EV、絞り優先AE、ISO200、WBオート

【ISO400】マイクロ60mmF2.8D、1/15秒、F8、+0.3EV、絞り優先AE、ISO400、WBオート 【ISO800】マイクロ60mmF2.8D、1/30秒、F8、+0.3EV、絞り優先AE、ISO800、WBオート

 台場小香港でのいつもの撮影は増感モードのHI-2(ISO3200相当)で行なった。このD2Xには今回、高感度ノイズ除去モードが付いた。なし(写真左)、あり(写真右)と比べると、ピクセル等倍に拡大すれば差がわかる。なお、色傾向が変わって見えるのは、ネオンサインのためである。


【ノイズ除去オフ】いつもの超高感度ノイズテスト。このカメラには高感度ノイズ除去も入った。オフとオンでは、ピクセル等倍比較でわずかにちがう。
DX17〜55mmF2.8G、1/250秒、F2.8、+1.3EV、絞り優先AE、ISO3200、WBオート
【ノイズ除去オン】DX17〜55mmF2.8G、1/250秒、F2.8、+1.3EV、絞り優先AE、ISO3200、WBオート

 長時間露出でのノイズのチェックである。今回、これも長時間ノイズ除去が入ったが、オフとオンでは違いがわからない。それぐらいノイズは少ない。なお、オフのほうは筆者のミスで30秒が25秒になっているが、これはまあ誤差の範囲である。


【ノイズ除去オフ】オフでもノイズは目立たない。
DX17〜55mmF2.8G、30秒、F20、+0.3EV、ISO100、WBオート
【ノイズ除去オン】オンにしてもそれほど変わりはない。ただし、少しゴミがある。
DX17〜55mmF2.8G、25秒、F20、-0.3EV、ISO100、WBオート

 筆者のマイクロ60mm F2.8Dを使用して接写もしてみた。AFはこのようなシビアな条件でも頼りになる。まあ、ふつうはMFにして写すものだが、なにしろテストなのである。

 ハイライト(明るい部分)とシャドーがくっきり分かれている被写体でも、ダイナミックレンジの広さが証明された。同じくハイライト、シャドーが混在していても両方ともきちんと出ている。


花と昆虫の接写。AFまかせで写したが、目にぴったりピントがきた。
マイクロ60mmF2.8D、1/640秒、F8、0EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート
これもハイライトとシャドー混在の被写体。かなりいい感じである。
マイクロ60mmF2.8D、1/45秒、F8、-0.3EV、絞り優先AE、ISO100、WBオート

コントラストの強い被写体だが、ハイライトとシャドーがよく出た。ダイナミックレンジは広い
DX17〜55mmF2.8G、絞りF2.8、絞り優先AE、ISO100、WB:オート

 なお、今回は新しいレンズではないので、歪曲収差のテストはしていないし、ストロボ内蔵ではないので、配光の具合もチェックしていない。

 撮影しての実感はともかく画質とAF測距精度が抜群な点が印象的だ。もしかしてカスタムチューンなどと幻想を抱きたいところだが、じつは量販店でたまたまキャンセルされたものをその場で買ったものである。ホワイトバランスに関しては、相変わらずいまひとつの感じがあるが、これはプリセット(マニュアル)でとればいいことで、それほど問題ではない。もちろん、精度が向上するに越したことはないが。

 自分ぼめで自己機材をほめているのではない。いつもどおりのテストを行なっただけである。そして、この素晴らしい結果。このカメラは性能面からいうと今年イチオシのプロ用デジタル一眼レフである。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/digital/slr/d2x/

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ニコン、プロ向けデジタル一眼レフ「D2X」の詳細を公開(2004/12/09)



那和 秀峻
(なわ ひでたか)写真家およびテクニカルライター。1976年以来、カメラ雑誌を中心に活動。現在はほとんどデジカメ関係の仕事が多い。PC Watchに「那和秀峻の最新デジカメレビュー」を2003年より不定期連載。PCは自作Pentium 4機が主力だが、Mac G4もときどき使用。モバイルはInterlinkだが、バッテリーがダメになったので、新しいInterlinkを買った。無線LAN内蔵でかなり快適だ。1989年よりMS-DOS 3.3CでPC入門。趣味のウェブサイトもあります( http://www.nawa-jp.com )。

2005/04/14 00:52
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