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【新製品レビュー】ペンタックス Optio SV

〜スライディングレンズシステム採用の光学5倍ズーム機
Reported by 小山 伸也

 ペンタックスの500万画素、光学5倍ズームの「Optio SV」が10月下旬に発売になった。一眼レフタイプやレンズ一体型が目立つ最近のデジタルカメラ市場で、名刺大の大きさでバッグにもYシャツの胸ポケットに収まるサイズは、やはりデジカメの真骨頂だろう。小型・軽量路線を走ってきたペンタックスのOptio SVはどんなカメラだろうか。


概要

 Optio Sシリーズは、2003年3月発売の「Optio S」から始まった。特徴は、レンズ収納時に中央のレンズ群を光軸上から外し、鏡胴内にレンズを2段に収納する「スライディングレンズシステム」を採用したことだ。これにより、持ち運び時は薄く小さく、使うときは倍率の高いズームレンズ搭載デジタルカメラに早変わりする。外形寸法は91.5×28×56mm(幅×奥行き×高さ)で、ほぼクレジットカードと同じ大きさ。重さも165g(電池、SDメモリーカード含む)と軽く、持ち運び時は存在を感じさせない。





 Optio Sは3倍ズームレンズ、320万画素であったが、S4、S4i、S5と成長を続け、わずか1年7カ月後に登場したSVでは、5倍ズームレンズ、500画素CCD、1.8型液晶モニター搭載と進化している。また5種類のオートブラケット機能、音声付き動画撮影やボイスレコーディング機能、USB 2.0対応、実像式光学ファインダー、DPOF機能、Exif Print、PRINT Image Matching対応など豊富な機能も搭載している。さらに同梱付属品としてバッテリースタンドや画像管理ソフトなどもある。

 外装材にはヘアーライン仕上げのアルミ合金が採用され、ちょっとした小物感覚で持ち歩けるデジタルカメラだ。


幅広い撮影を可能にした5倍ズームレンズ

 現在、高倍率ズームレンズ搭載のデジタルカメラとしては、デジタル一眼レフの「レンズ交換式」に対して「レンズ一体型」と呼ばれる機種もある。10倍程度のズームレンズを搭載するが、Optio Sシリーズのようなポケットに収まる小型軽量タイプに比べると、全般的にボディ全体が大きい。一方、ポケットに収まる小型軽量な機種でもデジタルズームを併用して12倍などを実現している機種もあるが、どうしても画質が悪くなってしまう。何とか、コンパクトなボディのままで高倍率ズームレンズは搭載したデジカメが出ないのだろうかと誰しもが思っていたはずだ。

 Optio SVは小さなボディに36〜180mm(35mm判換算)F2.8〜4.7の5倍ズームレンズを搭載している。本当にこの小さなボディに5倍ものズームレンズが入っているのだろうか。レンズの性能は、すぐに画質に反映されるので、設計も製造も大変だったはずだ。歪みは出ていないだろうか、収差はどうだろうかと、試用するまでは興味津々であった。結果は「よくぞ作った」という感想だ。

 スライディングレンズシステムを継承し、カメラを使わないといきはレンズが完全にボディ内に収納される。WIDE時に全長の約2/3まで伸長し、TELE時に最も長くなる。

 このレンズのポイントは2つあり、ひとつは望遠側の焦点距離が180mmと長いのに開放値がF4.7と明るめなため、夕方などやや暗くなってきたときでも比較的速いシャッター速度が使え、また被写界深度を浅くして背景をぼかすのにも役立つ。200mm前後までのレンズを搭載したフィルムのコンパクトカメラでは、明るさがF11前後にもなっていたので、この焦点距離のレンズを搭載したコンパクトタイプでこの明るさは大きなメリットといえる。


マクロは2刀流

 もうひとつは2種類のマクロモードだ。通常のマクロとスーパーマクロがあり、通常のマクロでは最短撮影距離が12〜70cmで、ワイド端から13mmまで(35mm判換算で36〜80mm)のズームも可能だ。これでも結構使いでがあるが、スーパーマクロではWIDE端のみではあるが、最短撮影距離が3cmまで縮まる。数字だけで比べると大したことないように思えるが、実際に撮影すると主要被写体を2回り以上も大きくでき、その差がよくわかる。花だけでなく、小物を撮影するのに便利だ。


500万画素CCD

 コンパクトタイプあるいはレンズ一体型のデジタルカメラの画素数は、700万画素超のものもあり、精細度は格段に高くなった。しかし画素サイズが小さくなるとノイズ発生の心配がある。

 Optio SVには、有効500万画素の1/2.5型CCDが搭載されており、1/1.8型で有効720万画素のものや、2/3型で有効800万画素のものと比べると、単純計算だが1画素あたりのサイズはほぼ同じ大きさとなる。やはり心配なのだ。

 しかしOptio SVでは、他社機と同じようにISO感度(撮像感度)50にセットすることができ、シャッター速度は1段遅くなるものの、よりノイズの少ない撮影が可能だ。実際、ISO感度を400まであげるとノイズは目立ってしまうが、ISO感度50では室内や暗い時の撮影でもノイズは気にならなかった。

 最近は少し緩やかになったものの画素数競争はまだ終わっていない。確かに数十万画素レベルから100万画素を越えたときは、画期的に画質そのものが向上したが、最近のように1,000万画素に近づくと、コンパクト機ではノイズとベース感度の低下が目立つようになってきた。大きなプリントを得るときは、画素数がものをいう場合もあるが、サービスサイズやキャビネあるいは2L程度のプリントでは、500万画素もあれば十分過ぎる。

 もちろん画素数が少なければ画像データのサイズも小さく、メディアもより有効に使えて処理速度も速くなり、CCDも小さくできてボディも小型化できる。画素数に関してだけいえば、500万画素というのは過不足なくメリットの多いものといえる。


上手く整理されている豊富な機能

 どうしてもフィルムカメラとデジタルカメラを比べてしまうが、昨今のデジタルカメラは、フィルムのコンパクトカメラよりも格段に多機能になっている。機能が多いと便利には違いないが、全てをよく使うわけではないので、よほど整理されていないと使いたい機能がすぐに使えないなどデメリットにもなり得る。

 Optio SVも他機と同様に機能は豊富だが、整理の仕方が上手く使いやすい。最初、手にしたとき、モードダイヤルの撮影モードに「P」と「M」しか見えなかったので、「Av」(絞り優先)や「Tv」(シャッター速度優先)は無いのかと思った。しかし実際には「M」の中に「Av」、「Tv」、「M」(マニュアル)が入っており選択できるのだ。「Av」と「Tv」の両方を同時に使う撮影はないので「上手い」と思った。

 もちろん、12通りのピクチャーモード(シーンプログラムモード)も搭載している。そのなかでも「USER」モードはフォーカスやストロボ、ドライブなどの基本的なものからシャープネス、彩度、コントラストなど画質に関するものまで約30項目の設定が登録できる。「USER」モードにすれば、ワンタッチで自分のよく使うモードに切り替えられるので非常に便利だ。


ペンタックスらしい機能

 液晶表示は各社とも工夫が見られるところだが、内容は似通っている。そのなかでOptio SVには、画面の縦横それぞれを3分割するグリッド表示が加わえられている。決してこれを使えばよい写真が撮れるというわけではないが、この3分割する線の交点は主要被写体を置くのによいポイントといわれており、水平や垂直をきちんと出したり、構図作りに活かせる。シャッター速度や絞り値、あるいはヒストグラム表示も大切だが、デジタルカメラのように液晶モニターを見ながら撮影する場合に、このグリッド表示は作画に役にたつのは間違いない。

 もうひとつ、撮影に直接は関係ないが、同梱アクセサリーにはバッテリー充電スタンドがある。最近のコンパクトタイプのデジタルカメラの電源は、専用バッテリーを使うことが多く、充電時には本体とACアダプタを接続するようになっている。ということは、充電しているときは屋外で撮影できないわけで、複数のバッテリーを持つ価値が半減してしまう。ところが、Optio SVに付属するスタンドは、本体を載せて充電するだけでなく、専用バッテリーだけを置いて充電することも可能だ。つまりカメラを使いながら、別の専用バッテリーを充電することができる。複数の専用バッテリーを使うときには大いに便利だ。

 ちなみに1本のバッテリーで200ショットほどの撮影は十分にできるので、1日のスナップ撮影ならおおよそ1本のバッテリーで十分だろう。


バッテリー充電スタンドへ装着した状態 バッテリー単体での充電も行なえる

小さいことは本当にいいことだろうか

 Optio SVは小さくて高性能なカメラなのだが、大きな不満もある。手持ち撮影ではとにかく手ブレが起こりやすいのだ。試用を開始した最初の30枚ほどはほとんどがブレていた。確かに撮影の途中で、手ブレしているような感覚があったので、液晶モニターで確認していたのだが、家の17インチモニターでみるとやはりNGであった。

 理由を考えてみると、1.あまりにもボディが小さいので、手というより指だけで持っている(私の手には大きすぎる。実際にやや大きいと思う)。2.光学ファインダーが小さく、パララックス(視差)もけっこう大きいので、どうしても液晶モニターを見ながら手を伸ばして撮影する。3.シャッターレリーズのタイムラグがやや長く、シャッターボタンを押し込んでも反応がないので、さらに押し込もうとしてしまう。などだ。

 持ち方を工夫して1.も直し、タイムラグも感覚的に覚えて3.も解決できたが、光学ファインダーをあまり使えなかったのは痛かった。実像式光学ファインダー搭載でレンズのズーム倍率が大きいと、いくらズームファインダーになっていてもパララックスは大きくなる。そこで液晶モニターを使うと不安定な持ち方になり、どうしても手ブレを起こしてしまうわけだ。またファインダーも小さくて見やすいものではない。

 撮影感度が低下していることもあり、小さなコンパクトタイプのデジタルカメラは、Optio SVに限らず光学ファインダーがネックだ。無理は承知だが、小さなボディに大きく見やすいファインダーは搭載できないものだろうか。


※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです。縦位置のものは、サムネイルのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出モード/ISO感度/露出時間/絞り/露出補正値/ホワイトバランス/焦点距離(35mm判換算)です。


※作例は個人での鑑賞用です。写真などの著作権は著作者に帰属します。無断転用、無断転載は著作権法違反となります。


作例(画角)

 ワインバーのカウンターのボトルを撮影した。撮影距離は一番手前のボトルまでが約1m程度で、ワイド側36mmとテレ側180mmで撮影した。ワイド側はもう少し画角を広くしてほしいが、テレ側の180mmは申し分ない。


【広角端】2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1.6 (秒) / 4.5 / 0 / オート / 36(mm) 【望遠端】2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 4(秒) / 7.6 / 0 / オート / 180(mm)

作例(マクロ)

【マクロ】2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1/50(秒) / 2.8 / 0 / オート / 36(mm) 【スーパーマクロ】2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1/40(秒) / 2.8 / 0 / オート / 36(mm)

作例(ボケ味)

【ボケ味】2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1/125(秒) / 4.7 / 0 / オート / 180(mm)
 小さいレンズなので、試用する前はボケ方が気になっていた。アウトフォーカス部分がボワッーとしてしまうタイプと想像していたのだが、ご覧のように形がわかるようにボケてくれる。


作例(そのほか)

暗い場所だがストロボは使っていない。このくらいの明るさだとノイズが結構でてしまうことが多いが、ISO50で撮影したためほとんど気がつかない。手持ち撮影でこのくらいのシャッター速度になったら、思い切ってISO感度を下げてロングシャッターを使ったほうがよいだろう
2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1/1.3(秒) / 4.5 / 0 / オート / 75(mm)
左の写真の直ぐ右側の入り口で撮影したが、蛍光灯照明のため床の色が全く違っている。ホワイトバランスをオートで撮影したがうまく写ってくれた
2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 3(秒) / 4.5 / 0 / オート / 50(mm)

このように逆光状態で撮影すると、メリハリが効きすぎたりするデジカメが多いが、意外にも自然に再現してくれる
2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1/320(秒) / 4.5 / 0 / オート / 120(mm)
グリッド表示にして、赤色が点っている信号機の下にある補助信号機の光源を左下のグリッドの交点に持っていき、信号機がまっすぐ立つようにアングルを調整して撮影した
2,560×1,920 / 絞り優先AE / 50 / 1/250(秒) / 5.6 / 0 / オート / 36(mm)

撮影協力:
ワインバー「ラ ヴィーニュ」(JR中央線国立駅北口徒歩2分、Tel.042-572-5864)



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/compact/optio-sv/
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  ペンタックス、光学5倍スライディングレンズ搭載「オプティオSV」(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0914/pentax3.htm



小山 伸也
中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなで講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。

2004/12/13 00:04
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