デジカメ Watch

【新製品レビュー】ペンタックス Optio X

〜レンズ部が回転する「フリースタイル」の500万画素機
Reported by 中村 文夫

 Optio Xは独自の「フリースタイル」を採用した斬新なデザインのデジタルカメラだ。デザインを優先させたため使い勝手が犠牲になっていることは否定できないが、薄型の直方体を2つつなげた個性的なボディはスタイリッシュそのもの。首から下げて歩くだけで持つ人のセンスの高さをアピールできる、Optio Xはそんなカメラだ。


「フリースタイル」を採用した独自のボディデザイン

 Optio Xは、レンズとストロボを備えた撮影部と、液晶パネルや記録メディアをを内蔵した制御部を回転式のシャフトで連結した独特のスタイルを採用している。広い意味では、カメラ本体を固定したままレンズの角度を変えられる「スイバル式」にとられがちだが、ペンタックスではOptio Xの機構を「回転させなくても撮影できる」、「撮影状態で机などの台に置ける」という、従来のスイバル式の弱点を克服した新コンセプトとし、これを「フリースタイル」と呼んでいる。

 また、平べったい箱型のボディと、ブラックとシルバーに表裏を分けた斬新なカラーリングを採用するなど、従来からあるデジタルカメラのデザインとはまったく違ったイメージに仕上がっている。当然のことながら楽な姿勢でローアングルやハイアングル撮影ができるという、スイバル式ならではの特徴も備えている。

 レンズユニットはペンタックス独自のスライディングレンズシステムを採用。電源をOFFにすると内部の光学系が鏡筒の外に逃げ、収納時はボディが完全にフラットになる。このときの厚みはわずか18mm。まるで携帯電話のような外観になり、デジタルカメラを持っていることを回りに意識させないで済む。また外部に露出している部材にも気を使っていて、ストラップを取り付けるための金具や三脚ネジ穴、ボディ裏面の十字キーや上面のボタン類も鏡面仕上げだ。






レンズはsmc PENTAX ズームレンズ 5.8〜17.4mm F2.6〜4.8。35mm判換算で35.6〜107mmに相当 ボディ上面にある電源スイッチ。利用したい機能をダイレクトに押して起動するタイプ

回転部分内側にバッテリーカバー開放ノブが隠れている バッテリーカバーを開いた状態。カバーはアルミ製だ

SDカードスロットはボディ側面にあるが、カバーは付いていない カメラ本体をクレドールにセットした状態。PCカメラとして使用する際にも便利

クイックメニューを表示させた状態。十字キー操作が基本になる 撮影モードは計15種類。十字キー上で設定画面が現れる

内蔵レンズはズーム比3倍

 レンズはsmc PENTAXズームレンズ 5.8〜17.4mm F2.6〜F4.8 。レンズ構成は5群6枚で非球面レンズを2枚使用。焦点距離を35mm判に換算すると35.6〜107mmに相当。ズーム比は3倍である。またスーパーマクロモードを備え、最大で約38.6×28.9mmの範囲を画面いっぱいに撮影できる。このレンズはOptio S5iなどに採用されているものと同じと考えられるが、ズーム比が3倍に抑えられているので、ズーム比の高いOptio 750Zなどに比べるとディストーションが少ない。

 使用しているCCDは1/2.5型で有効画素数は500万。このクラスにしては十分すぎるほどの高画質だ。画像処理にはASIC(特定用途向け集積回路)を使用し、画質の向上と処理速度の高速化を図っているが、ホワイトバランスの処理が未完成で特にオートにしておくと色が濁りやすい。ホワイトバランスについては、できる限りマニュアルでセットしたほうが良い結果が得られるようだ。


デザインを重視したカメラづくり

 このカメラは光学ファインダーを省略しているので、撮影時は必ず液晶モニターを見ながら撮影しなければならない。気になるのは電池の寿命だが、CIPA準拠の測定値では、ストロボ使用率50%で約165枚。実際に使用してみて特に問題は感じなかった。液晶モニターの輝度も適度で、よほどの炎天下でない限り見えないということはない。使用しているのは2型低温ポリシリコンTFT。画素数が約21万と比較的多いので表示画像は高精細だ。

 ただし問題はボディと各操作部の形状である。「デザインを重視するあまり使い勝手が犠牲になっている」と最初に書いた通り、ボディサイズに比べて液晶が大きく、ホールディング性があまり良くない。特に右手の親指の位置が問題で、普通にカメラを構えると親指がモニター面を隠してしまう。これを避けるためボディ右下に突起を設け、ここに指を置くよう示唆しているが、この状態で長時間ホールディングするのはつらい。人間工学的に無理がある。


ふつうに構えると右手の親指が画面を隠してしまう 右下の突起に親指を置くと画面が隠れないが持ちにくくなる。この場合、片手撮影は不可能

 スティック状の十字キーは突起が小さく、おまけにトルクが重いので操作しにくい。またこのキーを真っ直ぐに押すとクイックメニューが現れるが、やはりトルクが重いため途中でキーが倒れてしまい、思わぬところで音声録音が始まることがある。さらにズームレバーもタテ方向にスライドさせるタイプなので慣れないと使いにくい。以上のようにOptio Xの操作性は、はっきりいって良くない。いずれにしてもデザイン重視の製品なので、この点を理解して割り切って使うべきだろう。


多彩な撮影モードを装備

 撮影モードは通常のプログラムモードを含め全部で15種類の撮影モードを装備。十字キーを下に操作するとモードパレット表示が現れる。またモードパレットは、クイックメニューからも表示できる。

 ユニークなのは、撮りたい犬あるは猫の毛の色(黒、グレー、白)を設定すると自然な色に再現することができるという「ペットモード」。昨今のペットブームを反映した結果といえるだろう。さらに、露出、ホワイトバランス、シャープネス、彩度のいずれかを変更しながら連続3枚の撮影ができるオートブラケット機構や、任意の間隔で自動撮影ができるインターバル機能なども備えている。このほか15fpsの動画撮影機能、音声録音機能も装備。デジタルカメラとしての基本機能はほとんど抑えている。

 Optioシリーズに共通した特徴として、カメラ本体にメモリーを内蔵していることが上げられる。そのため万が一SDメモリーカードが満杯になっても、記録サイズ最大でもエコノミー画質なら約13枚の撮影ができる。これはいざというとき頼りになる機能だ。


専用クレードルが付属

 Optio Xには専用クレードルが用意されている。クレードルにはUSB接続端子と充電機能が搭載され、カメラを置くだけで、PCへの画像転送とバッテリーの充電ができる。

 Optio Xの場合、SDメモリーカードスロットにカバーがないため、カードを取り出すとスロットが開いたままになってしまう。またバッテリー交換もそれほどしやすくないので、クレードルを積極的に使うべきだ。またOptio XはPCカメラ機能を備えている。この機能が利用できるOSはWindows XP以降だけだが、このときクレードルがカメラスタンドとして役に立つだろう。


作例(画角)

※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです。縦位置のものは、サムネイルのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影したの画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは画像解像度(ピクセル)/露出時間/レンズF値/ISO感度/露出補正値/レンズの焦点距離(35mm判換算)です。


【広角端】
2,560×1,920 / 1/400(秒) / F2.6 / 80 / 0 / 35(mm)
【望遠端】
2,560×1,920 / 1/125(秒) / F4.8 / 160 / 0 / 107(mm)

広角端で撮影。ややタル型のディストーションが目立つが、Optio 750Zなど高倍率ズーム機よりはおとなしい
2,560×1,920 / 1/500(秒) / F4.3 / 80 / 0 / 35(mm)

作例(ホワイトバランス、ISO感度)

【WBオート】
赤く色づいた葉が赤茶けて写った
2,560×1,920 / 1/20(秒) / F4.8 / 160 / 0 / 107(mm)
【WB日陰】
紅葉が鮮やかになった
2,560×1,920 / 1/30(秒) / F4.8 / 160 / -0.7 / 107(mm)

【WBオート】
室内で撮影。やや青っぽくなった
2,560×1,920 / 1/80(秒) / F4.4 / 160 / 0 / 89(mm)
【WBオート】
白熱電球の赤みがもう少し欲しい
2,560×1,920 / 1/20(秒) / F2.6 / 160 / 0 / 35(mm)

【ISO320】
最高感度で撮影。シャッター速度は1/4秒。ノイズは特に目立たない
2,560×1,920 / 1/4(秒) / F2.6 / 320 / 0 / 35(mm)

作例(撮影モード)

【プログラム】
輝度差の激しい条件だが暗部のツブレも少ない
2,560×1,920 / 1/250(秒) / F3.1 / 80 / 0 / 50(mm)
【料理】
メレンゲのふわふわした質感がよく再現されている
2,560×1,920 / 1/60(秒) / F2.6 / 80 / 0 / 35(mm)

【風景】
2,560×1,920 / 1/100(秒) / F4.3 / 80 / 0 / 35(mm)
【風景】
2,560×1,920 / 1/1600(秒) / F4.3 / 80 / 0 / 35(mm)

作例(ストロボ)

近距離でストロボ撮影。距離は近いが露出オーバーにならず、キノコの質感が自然に再現された
2,560×1,920 / 1/100(秒) / F7.7 / 80 / 0 / 107(mm)

作例(全般)

2,560×1,920 / 1/50(秒) / F2.6 / 160 / 0 / 35(mm) 2,560×1,920 / 1/250(秒) / F6.2 / 80 / 0 / 75(mm)

2,560×1,920 / 1/100(秒) / F4.8 / 160 / 0 / 107(mm) 2,560×1,920 / 1/80(秒) / F3.9 / 160 / 0 / 75(mm)

2,560×1,920 / 1/200(秒) / F2.6 / 80 / 0 / 35(mm) 2,560×1,920 / 1/80(秒) / F2.8 / 125 / 0 / 41(mm)

2,560×1,920 / 1/160(秒) / F4.4 / 100 / 0 / 89(mm) 2,560×1,920 / 1/160(秒) / F4.8 / 80 / 0 / 107(mm)

2,560×1,920 / 1/400(秒) / F4.8 / 80 / 0 / 107(mm) 2,560×1,920 / 1/400(秒) / F4.8 / 80 / 0 / 107(mm)

2,560×1,920 / 1/200(秒) / F4.4 / 80 / 0 / 89(mm) 2,560×1,920 / 1/160(秒) / F3.5 / 80 / +0.3 / 62(mm)


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.pentax.co.jp/japan/news/2004/200437.html
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/compact/optio-x/
  【8月25日】ペンタックス、スイベルボディのコンパクトデジカメ「オプティオX」(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0825/pentax1.htm



中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2004/11/19 00:24
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