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CONTAXブランドの回転レンズ機「京セラ CONTAX U4R」を使ってみました

Reported by 編集部

 21日にお伝えしたとおり、京セラはCONTAX U4Rを貸し出す「CONTAX U4R タッチ&トライキャンペーン」を22日から11月30日まで、実施している。

 同社のショールームであるコンタックスサロン銀座とコンタックスサロン京都で、CONTAX U4Rを無料で2時間借りられるというもの。

 記者は、9月末に独で開催されたPhotokina 2004で、CONTAX U4Rの実機を見ている。ベースとなったFinecam SL400Rは、そのレスポンスのよさやレンズ回転ボディの使いやすさで定評のある機種だが、CONTAX U4RはSL400Rよりも外観が丸みを帯び、質感の高い本革が貼られ、液晶モニターが大型化されるなどの改良を加えられており、たいへん魅力的に見えた。

 そこで早速、貸出を申し込んでみた。はたして2時間の試用で記者の好印象は変化するだろうか?





付属品から気合が入っている

 貸し出し時間は11時~13時と、15時~17時で、その間はサロンの外に持ち出して試写することも可能だ。

 貸出を受けるには、まずコンタックスサロンに事前に予約しておく必要がある。予約は電話でもよいそうだ。予約時に名前と住所を伝えておく。記者はもちろん初日の初回である22日11時からの予約を、コンタックスサロン銀座に入れておいた。

 11時5分ほど前にコンタックスサロンに到着。カウンターで「CONTAX U4Rの貸出の件で……」と告げると、すぐにCONTAX U4Rを出してきてくれた。ここで運転免許証、保険証、パスポートのいずれかを預けなければならない。忘れずに持っていくようにしたい。

 自分でSDメモリーカードをもっていけば、こちらを使うこともできる。撮影画像を持ち帰りたい場合は、こちらも忘れないようにしておこう。

 受け取ったCONTAX U4Rは革の専用ケースに入っており、ネックストラップが付いていた。どちらも本体に付属するものだそうだが、付属品にありがちな貧相なものでなく、質感も作りもしっかりしているのにまず驚いた。

 とくにストラップは本体とマッチするデザインで、“CONTAX”エンブレムの裏が液晶モニタークリーナーになっているという凝ったもの。もうすこし太いとぐっと安心感が増すのだが、これでも十分実用になる。デジカメを買うとまず社外品のストラップやケースを探すのが儀式のようになっている筆者だが、CONTAX U4Rについては付属品だけでも十分満足できそうだ。


付属するストラップは本体にマッチするデザインで、液晶拭きが付く
付属するケースも質感が高い。背部にはベルトループが付く

 また、記録媒体としてCONTAXブランドの128MB SDメモリーカードが付いてくるが、本体にはSDメモリーカードは付属しないとのこと。別売りのオプションとして購入できるそうだ。

 なお貸し出される機材は「製品版に近い試作機」とのこと。以下のレビューもこのことを踏まえ、製品では変更される可能性もあるものとしてお読みいただきたい。


バッテリーとSDメモリーカード。「CONTAX」の文字がうれしいが、別売オプション
電池室とカードスロットは底部に

わかりやすい操作系だが、レバーなどは要改善

 まずはサロンで数枚、試写してみる。電源やレリーズボタンの位置はすぐにわかる。デフォルトで操作音とレリーズ音が有効になっていたのがややうるさく感じられたので、SETUPモードで無効にした。ついでにデジタルズームも無効にしておいた。

 動画モード、静止画モード、再生モード、SETUPモードはレンズ側ボディの上下スイッチで選択する。SETUPモード内では液晶モニター上の4方向レバーで操作する。レバーを中立位置で押し込めば「OK」となる。このへんの操作はほかのデジカメでも一般的なものなので、何種類かデジカメを操作した方にはすぐにわかるだろう。

 画像サイズやホワイトバランスの設定を確認しておく。こちらは撮影モード内のメニューで行なう。液晶上のメニューボタンを押してから、4方向レバーで選択。こちらもわかりやすい。ボタン類がやや小さく感じられたが、隣のボタンをご操作するようなことはなかった。

 使いづらく感じられたのは4方向レバーで、中立位置で押し込もうとすると誤って右や左方向にレバーを動かしてしまうことがたびたびあった。中立位置での押し込みがやや硬すぎるためだと思われる。撮影メニューには露出補正などの頻繁に変更したい項目が入っており、これらをこのレバーで操作するのはちょっといらいらするし、指先も痛くなる。製品版ではレバー形状か硬さの改善を望みたいところだ。


メニュー操作はわかりやすいが、右上のレバーがやや使いづらいのが難点か
再生モードではスライドショーにアフレコした音声を重ねることもできる。今回は試せなかったが、クレードルにはD3端子が付くので、居間のHDTVでの再生も可能だ

心地よい本革。回転レンズはやっぱり使いやすい

 では外に持ち出そう。手近な撮影スポットとして日比谷公園まで行くことにした。まずは公園までの途上、銀座の街中を撮影しながら歩いてみた。

 まず感じるのは本革の感触のよさだ。滑り止めとしての機能性と、触覚の心地よさを併せ持ち、小さなボディでもホールドしやすい。これだけよいと欲が出てきて、本体前面だけでなく側面や背面にも貼って欲しくなる。とくにレンズ側ボディの後ろ側はステッカーが貼ってあるだけで、ステッカーをはがすと本体が露出する。ここに本革があると、よりホールドしやすくなりそうだし、感触もより楽しめるだろう。

 次に、回転レンズボディの使いやすさが実感される。これがもっともわかりやすいのはローアングル撮影で、地面すれすれから花を見上げるような構図も簡単に撮れる。レンズを前方に、液晶を上に向ければ、ウェストレベルファインダーのような使い方もできる。カメラ位置を目線の高さから腰や頭上にするだけで、構図のバリエーションが大きく広がるということが実感できるだろう。


使いやすい回転レンズ
もちろん自分撮りもできる

 操作に対するレスポンスはとてもいい。起動、終了、レリーズ、再生、すべてにおいてイライラさせられることがない。一点気になったのがAF。9点マルチAFではカメラが測距点を選んでくれるが、これに迷って遅くなっているように見受けられることがしばしばあったし、狙った測距点が選ばれないこともよくあった。もし自分で買ったなら、常にスポットAFにし、中央1点に固定しておくだろう。

 連写をちゃんと試す時間がなかったのだが、U4Rから搭載されたAF連写では、最初の合焦に時間がかかるように感じられた。突然飛び立つ鳥などをAF連写で捉えるのは難しそうだが、列車や運動会の徒競走など、ある程度動きが予想できる被写体では有効だろう。

 もうひとつ気になったのは、撮影メニューでの設定を記憶してくれないこと。電源を切ると、露出補正やストロボの設定がデフォルト値に戻ってしまう。とくにストロボを常に発光禁止にしておきたい筆者にとって、電源を入れなおすたびにオート発光になってしまうのがわずらわしかった。

 「設定値を記憶しておく設定」を探したのだが、結局見つからなかった。そこで、設定を記憶しておくために電源を切らずに、自動でスリープモードになるのにまかせて運用することにした。が、バッテリの持ちを考えるとあまり気持ちのいいものではないし、せっかくの起動の速さが生かせない。もし本当に記憶する設定がないのなら、ぜひ追加して欲しいところだ。

 というわけで電源をほとんど切ることなく、10枚ほどのストロボ撮影を交えて150枚ほどを撮影したが、返却時にはバッテリーインジケーターは減っていなかった。

【2004/10/23 追記】読者の方より、設定値を記憶するための「モードロック」という機能がU4Rにあるとのご指摘をいただきました。編集部では未確認ですが、取り急ぎその旨を追記させていただきます。週明けに編集部による確認を行ないます。

【2004/10/26追記】京セラ株式会社に確認したところ、モードロック機能はないそうです。連写モード、シーンモードのみ記憶されるため、連写モードにしておけば、ストロボ不発光で起動できますが、露出補正値などの設定は記憶されないとのことでした。


おとなしめの色合い

 画質だが、あくまで試作機によるものであることをお断りしておく。U4Rの撮像素子は1/2.7型の有効400万画素CCDで、良くも悪くも小さな高密度CCDによる絵ができあがる。ノイズもラチチュードはそれなりといったところ。

 色合いはどちらかといえば落ち着いた印象で、派手な色作りが主流の昨今では地味な印象をもたれるかもしれない。筆者の好みは彩度が低めの色作りなので印象はたいへんよいし、大人向きな外観をもつU4Rにはこうした絵が似合っているのではないか。なお実写画像は露出補正以外はすべてデフォルト値で撮影しているが、彩度やシャープネスを調整することもできる。

 T*コーティングが施されるCarl Zeiss Vario-Tessarは、35mm判換算で約38~115mm相当の焦点距離を持つズームレンズだ。画質はクリアで、広角端で若干の歪みがあるが、とくに支障は感じられない。

 U4Rで撮影した画像の最終的な形態がL判のプリント、あるいはWebサイトに掲載したり、メールで送付するための容量の小さな画像であるとすれば、これは必要十分な画質といえるだろう。

※作例はすべてプログラムAE、ISO感度自動、ホワイトバランス自動、シャープネスと彩度はデフォルト値で撮影しています。

※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです。クリックすると撮影したの画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは画像解像度(ピクセル)/露出モード/ISO感度/露出時間/絞り/露出補正値/焦点距離です。


2272×1704 / 1/125(秒) / F7.5 / 50 / 0 / 17.40(mm) 2272×1704 / 1/125(秒) / F2.8 / 50 / 0 / 17.40(mm)

2272×1704 / 1/60(秒) / F7.5 / 50 / -0.7 / 5.80(mm) 2272×1704 / 1/90(秒) / F2.8 / 50 / 0 / 10.10(mm)

2272×1704 / 1/180(秒) / F7.5 / 50 / 0 / 5.80(mm) 2272×1704 / 1/90(秒) / F7.5 / 50 / 0 / 10.10(mm)

いつも持ち歩きたい、オトナのスナップ機

 2時間はあっという間に過ぎた。それだけ、U4Rでの撮影が楽しかったということだろう。

 サロンで返却するときに、U4Rで撮影した画像のうち希望する1枚を、インクジェットプリンタで2L判に出力してくれる。筆者は時間ぎりぎりにあわてて返却してしまったのと、返却時にサロンがやや混雑していたせいもあって試すことができなかったのだが、サロンの方からは、後日データを持ち込めばプリントしていただけるとのお話をいただいた。

 総じてCONTAX U4Rは大人が持ち歩くコンパクト機として魅力的な1台だった。細かい操作系にやや不満はあるものの、“慣れ”や運用方法で解決できることがほとんど。回転レンズボディによる絵作りも楽しいが、最大の魅力は大人の持ち物としての洗練された雰囲気だ。いつも持ち歩くスナップ専用機には、とても大切なことだと筆者は考えている。




編集部

2004/10/22 19:45
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