デジカメ Watch

【レポート】世界初の液晶付き使い切りデジカメ試用レポート

〜「CVS Digital One-Time-Use Camera」を使う
Reported by 塩田 紳二

 米国の「CVS」というコンビニチェーンでは、液晶モニター付きの使い切りデジタルカメラを販売している。これで撮影して、コンビニのDPEサービスに出せば、プリントやデータの入ったCD-Rが入手できるというものだ。

 「レンズ付きフィルム」のデジタル版とでもいうべきもので、実際に製品化され、サービスが開始されたのはこれが世界で初めて。日本でも以前に同様なサービスがテストされたことがあるが、正式なサービスは開始されなかった。

 今回、取材でニューヨークに行ったので、ついでにこのデジタルカメラを購入して試してみることにした。


CVSのデジタルカメラとは?

 販売しているCVSは、おもに東海岸に展開しているコンビニチェーン店である(米国では“薬局”という分類になるのだが)。西海岸側の店舗は、ロサンゼルス、ラスベガス、フェニックスなどに限られている。なお、店舗のある場所は、同社のサイト内にあるStore Finderから検索が可能だ。

 販売されているのは液晶付きのものと、無しのもの。名称は、液晶付きが「CVS Digital One-Time-Use Camera with Picture Preview」、液晶無しが「CVS Digital One-Time-Use Camera with Delete Feature」でそれぞれ19.99ドル(日本円換算で約2,200円)、9.99ドル(同約1,100円)である。

 これで撮影し、CVS店舗内のDPEコーナーにカメラごと出せば、プリントと画像データを入れたCD-Rが入手できる。プリント料金は、カメラの代金には含まれない。


One-Time-Use Camera

 購入したのは、液晶画面付きのもの(以下CVS Digitalと略す)である。パッケージは、コンビニ商品によくあるようなブリスターパック。パッケージ背面に簡単な説明があるぐらいで、特に説明書などは同梱されていない。


CVSの店頭では、このようなブリスターパックに入って販売されている ブリスターパックの背面。マニュアルはこれだけ

 カメラの匡体はプラスティックで、まわりにシールが貼ってある。作りとしては、かなり簡単で、トイカメラ以下である。もっとも、使い切りなので、匡体の高級感云々は不要なのであろう。


本体は、プラスティック製でまわりにシールが貼ってある。いちおう、電池のある側が盛り上がっていてグリップ状になっている 本体上部には、シャッターボタンのみ。いたってシンプルな作り

背面には、液晶モニターと電源、削除、表示のための3つのボタンがある。光学ファインダー下にLEDがあって、点灯して撮影可能かどうかを表示する 底面のラベルには「Pure Digital Technologies」、「Model 410」と書かれている

 本体正面には、レンズ、光学ファインダー、ストロボ発光部があるだけ。背面には、カラー液晶とファインダー、3つのボタン、撮影状態を通知するLEDが装備されている。シャッターボタンは、本体上部。形状としては、一般的なカメラと変わらない。サイズは約10×2.5×6cm(幅×奥行き×高さ)。


側面のシール
 本体側面にシールが貼ってあり、その下に接続用コネクタなどがあるようだ。そこには「カメラはPCには接続できず、画像をダウンロードすることができない」旨が書いてある。さすがに19.99ドルつまり、2,200円で200万画素級のデジカメを作るのは困難。自社店舗でのみプリントを行わせ、カメラ自体をリサイクルする前提で付けられた価格である。簡単にPCにつながれたら、ビジネスが破綻してしまう。

 最初からバッテリが組み込まれており、開封後、すぐに撮影が可能だ。本体、背面の電源スイッチを入れて、ファインダー下のLEDが点灯すれば、撮影が可能となる。背面部分にも簡単な説明が書かれているし、電源オンの直後には、液晶画面に簡単な使い方も表示される。

 カメラとしては、いわゆるオートでのみ撮影が可能で、ストロボも自動発光。発光の有無も設定はできない。レンズは固定焦点であり、ズーム機能もない。構えてシャッターボタンを押せば写る、全自動カメラである。フレーミングは、光学ファインダーでのみ行ない、液晶モニターはプレビュー専用である。


液晶モニターには、こんな感じでプレビューが表示される。屋外で液晶を直接撮影したので、ちょっと写り込みがある。日中の木陰でこんな感じ。液晶表面はツルツルで、強い日差しの下だと、視認性が悪くなる
 肝心のプレビュー機能だが、これで表示されるのは直前に撮影した画像のみ。つまり、このプレビュー機能は、今撮影したものを残すか、Deleteボタンで削除するかどうかを判断するためだけにある。撮影した画像を全部をプレビューすることはできないし、現在フレーミングしている撮影前の画像を見ることもできない。せっかくのカラー液晶だが、画像表示の機能としてはかなり限られたものになる。

 ただ、日本国内のユーザーアンケートなどによると、多くのデジカメユーザーは失敗したものが簡単に消せることをメリットと感じているようなので、このCVS Digitalでも、そうした要望を満たすことができる。その点では「ツボ」を押さえた商品なのかもしれない。

 一応、セルフタイマー機能があり、Displayボタンを2秒間押し続けるとセルフタイマーモードに入る。

 カメラ自体の詳細スペックは未公開だが、撮影したJPEGファイルは、1,800×1,200ドットなので、カメラ自体もこの程度の解像度があると思われる。


撮影

 カメラを購入したのがニューヨーク、マンハッタンのセントラルパークに近い店舗だったので、セントラルパークで撮影してみることにした。当日は快晴で、時間は午前中。撮影条件としては悪くない。

 まずシャッターだが、これがかなり軽く、ストロークも小さい。オートフォーカス機構もないから半押しもなく、軽く力を入れればすぐにシャッターが落ちる。数秒でプレビュー画面と残り枚数が液晶に表示されて、ストロボが発光可能なら、すぐに次の撮影に移ることができる。あまりに軽いので、間違ってシャッターを切ってしまうこともあるだろうが、軽さという点ではレンズ付きフィルムなどとほとんど変わらない。

 光学ファインダーはレンズの真上にあるため、特に撮影範囲のずれを感じることはない。このあたりも、普通の銀塩全自動カメラやレンズ付きフィルムと同じ。

 ストロボは、ちょっとでも暗いとすぐに点灯する。たとえば、日陰で撮影すればほとんど間違いなく点灯する。かなり感度は低そうである。また後述するように、デジタルカメラでISO感度を上げたときのようなノイズが見られる写真もあったので、ある程度の感度増強は行なわれているようだ。


プリント

 撮影が終わったら、CVS内のDPEコーナーへ持ち込んでプリントしてもらう。プリント時には、縁有り、無しが選択でき、同時に複数プリントも指定可能。銀塩カメラと違って、どんなものが写ったのかはわかっているので、たとえば友達と旅行にきたなんてときには複数プリントを最初から頼んでしまうこともできるわけだ。

 店員に聞いたところ、実際の作業時間は10〜15分程度だということだが、プリント用の機器はDPEコーナーのプリント機器(Kodakのデジタル処理システムだという)と共通のため、他のプリント作業があると順番待ちになるようだ。プリントする順番は担当者の判断によるので、受け取りに来る時間を指定すれば、それに間に合うようにやってくれる。元々、銀塩フィルムでも「1hour Photo」サービスなので、1時間あれば、間違いなくプリントできるそうだ。

 プリントは、撮影した25枚にインデックスプリントが付く。さらに、撮影データを入れたCD-Rが含まれる。25+1枚のプリントとCD-Rで9.99ドル(日本円換算で約1,100円)を、ここで払う。


お店で受け取るもの一式。左側の袋に入って出てくる 付属のインデックスプリント。インデックスプリントのJPEGファイルまでCD-Rに書き込まれている

 プリントは、6×4インチ(152.4×101.6mm、ほぼハガキの大きさ)になる。裏面には、CD-R内の画像ファイル名などがプリントされる。

 さて、写真の出来なのだが、ちょっと見た感じは、銀塩の全自動カメラやレンズ付きAPSフィルムとさほど変わらない。ただ、デジタルカメラなので、ビルのような直線のはっきりしたものを撮ると細かいところのつぶれ具合がデジタルカメラっぽく、また光量不足のときには、自動的に感度を上げるためか、ノイズが出る。

 シーンによって、明暗の大きな差がある部分で写真横方向にスジが暗い部分に出ることがある。ゲイン調整をライン単位でやっているようなのだが、直前のラインを考慮しないらしく、ハイエストライトの部分が、同一ライン上にある暗い部分に影響を与えているような感じだ。最初、プリンタのインクムラかとも思ったが、JPEGファイルもそうなっているので、カメラ自体の特性のようだ。


CD-R

 プリントには、JPEG形式の撮影データを入れたCD-Rが付いてくる。これには画像ブラウズ用のソフトが入っており、Windowsベースのマシンであれば、CD-Rを挿入すれば自動スタートでソフトがインストールされて起動する。Macintoshにも対応しているようだが、こちらでは手作業でソフトウェアをインストールする必要があるようだ(筆者はMacintoshユーザーではないので試してはいないが)。

 CD-Rには「Photo CD」というボリュームラベルが付いていて、ソフトウェアの名称も「Photo CD」になっているが、Eastman KodakのPhoto CD形式(PCD)というわけではない(もっとも、プリントのシステムはKodakのようだが)。


CD-Rに付属するソフトウェア
 起動するソフトは、写真のブラウズやスライドショー、PCに接続したプリンタでの印刷、E-mail送信などの機能がある。これだと初心者でも、PCにCDを入れれば画像をすぐに見ることができるし、印刷も簡単だ。自分のPCでなくとも、CD-Rが読めるパソコンがあるなら、どこでも写真を見ることができる。

 初心者向けというわけで、JPEGデータをCD-RからPCに保存する機能もある。これはセーブ先がデスクトップになっているので、ファイルをどこに保存したかわからなくなることもない。かなり、一般ユーザーを意識した作りである。

 E-Mail送信は、単純な写真送信のほかにスライドショー、Greeting Cardの3つの形式で可能。専用のメールサーバーを使うため、PCがインターネットに接続していれば、メールアカウントの設定などはなくても送信ができる。CD-Rが読めれば、インターネットカフェからでも写真を送ることが可能だ。

 写真を単に送る場合には、640×427ピクセルにリサイズされ、HTML形式のメールとして送信される。MIMEタイプのmultipart/relatedを使ったコンテンツ指定なので、Outlook Expressなどでは問題なく表示できるが、他のメールソフトでは、表示できないことがあるかもしれない。

 スライドショーはGIFアニメーションになり、Greeting Cardは、枠と合成されたJPEGファイルとして送信される。こちらもHTMLベースのメールファイルである。

 CVSのロゴなどが入るが、メール送信にサーバー設定などが不要で、自分のメールアドレスや相手のメールアドレスを入れるだけで作業が完了する。また、簡単なアドレス帳機能もある。


メール送信画面。左側から写真を選んで、右側からメッセージパターン(写真送信、スライドショー、GreetingCard)を選ぶ。 写真をメールで送ると640×427にリサイズされ、HTMLメール形式となる。また、送信者には、メール送信の通知が送られてくる。

 撮影した画像データはCD-Rの「Picture」フォルダ以下に置かれ、一応、Exif形式になっている。ただし、CVS Digitalには時計機能がないため、撮影時間は店舗で処理した時間になる。何時に撮影したのかがわからないのは残念だが、その日のうちにプリントに出せば、撮影日は記録されることになる。

 また、インデックスプリント自体もJPEGファイルで格納されている。その他、サムネイル用のイメージも格納されている。


手軽なデジカメプリントシステムだが

 コンビニでカメラを買って、撮影してプリント、という流れは手軽で、レンズ付きカメラとほとんど同じである。違いは、撮影中にプレビューできる点とフィルムの現像時間が不要な点。プリントするまで、写っているのかどうかわからない銀塩フィルムのレンズ付きカメラに比べれば、プレビューできて、削除できるため、安心感はある。少なくと、自分の手が写った写真やまっ黒な写真をプリントすることはない。

 ただ、カメラとプリント合わせて約30ドル(今回のニューヨークでは、消費税が約8%ぐらいなので、合計で32.56ドル)で25枚だと、一枚あたりのコストが1.30ドルになる。109円換算で142円とそう安くはない。

 レンズ付きフィルムが24枚撮りで700円、現像代が300円、プリント1枚26円、CD-R書き込みが350円ぐらいとすると、1枚当たり82円ぐらい。CVS Digitalだと2倍近くのコストがかかる計算になる。米国内でもレンズ付きフィルムの1時間プリントは可能だし、コスト的には日本と同程度だろうと思われる。

 プレビュー機能無しのCVS Digitalなら、一枚あたり87セントで、日本円換算95円とかなり安くなる。これは削除は可能だが、プレビューができないので、レンズ付きフィルムとまったく同じ。なので、特にメリットが感じられない。液晶付きで、この程度までコストが下がるのなら、使っても良いんじゃないかと思える。

 DPEコーナーの店員は、筆者が買ってすぐにプリントしに来たのが結構嬉しそうで、プリントを出したら急に愛想が良くなった。実際、8月に始まって以来、そんなにこれを使った客はいないのだとか。このシステムが有効なシチュエーションを考えてみると、海外旅行でデジカメ忘れたけど、写真付きメールを友達に出したいので、どうしてもデジタルで写真撮りたいというときくらいか。

 デジカメの特徴を出すには、やはり液晶モニターは不可欠。ようやく米国でスタートした液晶付きの使い切りデジタルカメラシステムだが、本格的になるには、もう少しコスト面での進歩が必要なようだ。


作例

※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更しました)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影したの画像が別ウィンドウで表示されます。


写真中、道路のところに青いスジが出ている。ちょうど、ビルと空の境目がそのまま下に伸びてきた感じ。画像処理をライン単位でやっているので、ハイエストライトになる空の部分の影響が、暗い道路の部分にそのまま出たようだ ビルの日陰側を撮影。ストロボが焚かれたが、この距離だと効果がなく、暗い写真になり、バスの側面などにノイズが出ている

 画像の周辺部にはボケが出るが、画像の左右の端で出ており、上下の端ではでないため、あまり目立たない。たとえばビルの画像などを見ると、画面の端と真ん中で直線の写りがちょっと違う程度である。トイカメラのようにがっかりするほど盛大に出るわけではない。

 色は、全体に落ち着いた印象になり、赤いものなどはどちらかというと地味に写る。少し青系が強い感じだが、白いところが飛び気味に写るので、青みはそんなに目立たない。


写真の左右にいる人物は、中心付近の人物に比べるとボケている 日のあたっているところは飛んでいるが、日陰は適正に写っている。この明るさだとストロボが点灯しないため、手前の木は、ほとんどまっ黒





URL
  CVSのホームページ(英文)
  http://www.cvs.com/
  プレスリリース(英文)
  http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=99533&p=IROL-singlerelease&t=Regular&id=605337&
  関連記事
  世界初の液晶付き使い切りデジカメが米国で発売(PC Watch)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0824/cvs.htm



塩田 紳二
雑誌編集者、メーカー勤務を経て、フリーランスライターに。幼少の頃から写真を撮るも、いまだに腕が上がらない。へんなものばかり撮っているからなのかも。現在は、ミノルタA1とカシオQV-R4を使用中。解像度、画質より使い勝手を重視するタイプで、次期機種を選定すべく、Excelで比較表を更新する日々が続く。

2004/10/15 14:03
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