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「カメラのきむら」「SNAPS!」が「カメラのキタムラ」に統合


 株式会社キタムラは24日、「カメラのキタムラ」、「カメラのきむら」、「SNAPS!」(スナップス)の3事業ブランドを4月1日付けで統合すると発表した。今後はカメラのキタムラに集約する。統合後の店舗数は1,049。写真プリント専門店として、世界最多店舗数としている。

 キタムラは、2007年にカメラのきむらを完全子会社化。同年、ジャスフォート株式会社の全株式を取得している。「SNAPS!」は当時、ジャスフォートが展開していた。今回の統合は既定路線といえるもので、これまでの投資額は350億円、改装店舗数は620。今後、改装する店舗が403店、スタジオ関連の新規出店および改装店舗数が500にのぼる。


左から北村正志会長兼CEO、武川泉社長兼COO 3ブランドが「カメラのキタムラ」に統合する

改革の構想は2002年から

 事業統合後のビジョンについて24日、北村正志会長兼CEOと、武川泉社長兼COOが都内で会見を行なった。

 北村会長は、プリント業界における変革の必要性と取り組みを説明。まず、2000年をベースにした2008年の現状を解説した。例えば、カメラ販売台数は450万台からほぼゼロへ。そのうち120万台あった一眼レフカメラは130万台のデジタルカメラにに切り替った。5億本のフィルム販売は300万本に、プリントDPは6,000億円から3,000億円へと減少。3万店あったDP店は1万3,000店に、現像所は約50社が約10社に、問屋は6社から0社へとそれぞれ縮小しているという。

 特に2002年は「間違いなく津波だった。(事業を)やめるかやめないかの決断をせまられた」という。しかし、業態を変える余力はなく、6,000人の従業員を抱える中、「本業の変革をやりぬくしかない」と決断。その中で信じたのは、「人が写真を捨てることはない、写真や映像による感動・想い出・きずなが必要なはず」という想いだった。

 そこで生まれた構想が、「全店をデジタルプリント対応にする」、「全店を光回線」で結ぶ、「首都圏にセンターラボを造り、全店と結ぶ」、「ストレージをつくる」、「それらができる規模(ボリューム)をつくる」というもの。総仕上げが今回の事業ブランドの統合としている。首都圏に弱いことから、きむらやジャスフォートとのM&Aを進めたが、北村会長は「半信半疑だった。ひとさまが辞めるというものを買った」と当時を振り返る。


2002年からは約350億円の改革に着手。M&Aよりも、全店デジタルプリント対応への投資が大きかった 店舗数は世界一に。ただし北村会長は「リッツカメラなど、欧米の大手専門チェーンが立て続けに倒産したため」とつつましい

 北村会長は、今後の市況を「オンデマンド・パーソナル・パブリッシングの戦場」と表現。事業展開のスローガンのひとつとして、「フォトブック」を掲げた。フォトブックは複数の写真を製本して消費者に渡すことから、製版設備が必要となる。反面、パソコンや携帯電話など、オンラインからの受注が見込みやすい。「印刷、出版、写真が競合と協力の関係を作る可能性がある」との予測を披露した。

 またフォトブックに加え、「オンラインでのプリント受注を50%以上」とし、さらに「写真館事業の強化」をスローガンに挙げている。加えて、従来から続けてきた写真文化支援事業「フォトカルチャー倶楽部」については、「どんな苦しいときでも続けていたが、どうせもうからないのなら、お金と人を寄付することにした」と、NPO法人への転換を宣言。今年中に2万人の会員になる見込みで、「日本一の勢力になるのでは」と語っている。

 これらの目標に加え、北村会長は国内デジタルカメラの販売台数1位を掲げた。販売台数については「現在、電気のY社の次ではないかといわれている」とし、「この目標を成し遂げたとき、改革の第1段階を乗り越えたのでは」、「もはや追いつけ・追いこせの時代ではない。先回りして次の戦場を想定して準備する時代。準備には7年かけた」などと想いを語った。


「フォトブック」を中心に展開。スタジオにも注力

 統合後の具体的な施策については、武川社長から説明があった。統合後、1049店のカメラのキタムラに加え、スタジオマリオが300店、証明写真スタジオKが200店、ネット会員170万人、ケータイ会員110万人の規模を目指す。武川社長は商品戦略の3つの柱として、「フォトブック」、「写真データファクトリー」、「撮影サービス」を挙げた。

 このうちフォトブックは減少が続くDPEに変わる商材としての役割を担う。すでに富士フイルムと共同で展開するなど成果を上げており、国内唯一となる両面仕上げの「プレミアム! フォトブック」、最速30分で仕上がる「スピード! フォトブック」、A4サイズの「ビッグ! フォトブック」などを展開中。特に、携帯電話で撮影した画像とメール本文をフォトブックにする「ケータイ! フォトブック」が主婦層に人気だという。


フォトブックの例。オンラインと店舗のどちらでも注文できる 主婦に人気という「ケータイ! フォトブック」。メールのテキストが反映される

 フォトブック注力の背景には、欧米でのフォトブック人気がある。店頭での展開が立ち後れた日本が40億円の市場なのに対し、米国では350億円の規模に達している(ともに2008年)。国内市場も2009年には92億円、2010年には201億円の伸びが予測されている。キタムラでは3年後の2011年に300億円・1,500万冊の事業としたい考えで、そのため3年後には店頭500万冊、ラボ1,000万冊規模の生産体制を敷くという。

 武川社長はフォトブックについて「2年間試行錯誤してきた。約20億円投資し、ようやく生産体制が整った。デジカメからのプリントをここ数年力を入れてきたが、これからは多画像を利用したフォトブックを利用いただける時代になるのでは。新しいボリュームを培っていきたい。リピート性も高く、一気に普及の弾みがつくと考えている」と説明。「プリント屋からフォトブック屋になる」との意気込みを示した。

 写真データファクトリーはいわゆるストレージサービスで、「マイフォトボックス」と呼ぶオンライン画像保管サービスを設け、昔の写真や眠っているデジタルメディアの保存を促す。画像保管とプリント受注だけでなく、フォトブックやCDなどへの広がりにも配慮。『断片的なサービスではなく、ストレージを絡めた統合的なサービスに」(武川社長)するという。

 そのほか、スタジオ写真館のスタジオマリオについて、キタムラ店内への出店を拡大する。具体的には4月から7月にかけて、毎日1店舗のペースでオープン。「店舗内の有効活用、ローコストな出店と我々にもメリットが大きい」という。スタジオアリスと同程度の300店規模への拡大を目指す。スタジオマリオに関する新規雇用人数(パート)は1,000人にのぼる。

 さらに、証明写真事業では「3,000~4,000円の高度な証明写真を提供する」という「プレミアム証明写真」をスタート。一部店舗で開始した「証明写真スタジオK」を200店舗に導入し、今後の拡大も発表した。


スタジオマリオは300店舗へ。デザインやロゴも変更する 「プレミアム証明写真」(右)の例

 なお、カメラのキタムラでは4月1日から4月19日にかけて、合計1万5,000名に当たる「大感謝キャンペーン」を行なう。キタムラのホームページにある「キャンペーンのご案内」から応募した中から、フォトブックを1万名、スタジオマリオの撮影無料体験を3,000名、プレミアム証明写真の撮影無料体験を2,000名にプレゼントするという。



URL
  キタムラ
  http://www.kitamura.co.jp/

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キタムラ、2007年4月にカメラのきむらを完全子会社に(2006/11/13)
キタムラ、富士フイルムグループのジャスフォートと経営統合(2007/02/08)


( 本誌:折本幸治 )
2009/03/24 19:59
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