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キヤノン、「EOS-1D Mark III」など春モデルの記者発表会

~プロ市場でのポジションをさらに盤石に

 キヤノンは22日、プロ用デジタル一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラ春モデルの発表会を都内で開催した。

 発表したのは、プロ用デジタル一眼レフカメラ「EOS-1D Mark III」。交換レンズ「EF 16-35mm F2.8 II USM」と、コンパクトデジタルカメラ「IXY DIGITAL 90」、「IXY DIGITAL 10」、「PowerShot TX1」、「PowerShot A570IS」。


会場の様子 EOS-1D Mark III

内田社長「世界のトップ100社入りを目指す」

 同社代表取締役の内田恒二社長が、これまでのキヤノンの歩みとデジタルフォトへの取り組みについて語った。


キヤノン代表取締役社長の内田恒二氏(左)とキヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の村瀬治男氏 デジタルフォト文化を創出してきた

 内田氏は、キヤノンの前身である精機光学工業株式会社の創立から2007年8月で70周年を迎えるとし、「これまでアナログとデジタルで培ったノウハウを活かして、技術を磨きながら進歩を続ける」と述べた。

 同氏は、PictBridgeの規格策定など例を挙げ、キヤノンの歴史とともにカメラ界に貢献してきたとした。また、「70周年を迎えられたのは、顧客との切磋琢磨の成果。最高の画像品質を保証し、世界のトップ100社入りを目指す」と意気込みを語った。


カメラシステムをゼロから刷新

イメージコミュニケーション事業本部長の岩下知徳氏
 続いて、同社イメージコミュニケーション事業本部長の岩下知徳取締役が、新製品の概要を説明した。

 「キヤノンカメラ70年の歴史で蓄積したノウハウの全てを詰め込んだ」とEOS-1D Mark IIIを紹介。プロユーザーのワークフローを基に、システムを開発し、「快適性を重視した」と語った。


AFセンサーの配置図
 同氏は、「『プロ機一新』というスローガンを掲げてEOS-1D Mark IIIの開発に当たった」とし、カメラシステム全体を刷新したことを明らかにした。

 岩下氏が「これまで、プロユーザーが体で覚えたカメラとのつながりを大事にしてきた」と述べたように、同社ではプロ機において、「多少の改善であれば、変更よりも操作性の継承が重要」との立場をとってきた。しかし、今回はあえてゼロから見直すことで、「アップグレードした新たなステージに持ち上げたい(同氏)」と開発の背景を語った。

 操作系は、EOS-1D系以外の良い点を取り入れたという。また、2ボタンを同時に押す操作を、シングル押しで操作できるように変更した。


EOS-1D Mark III

 EOS-1D Mark IIIのCMOSセンサーは独自に開発。DIGIC IIIを2つ搭載して並列処理することで10コマ/秒の高速撮影が可能になった。さらに、防塵防滴性能を従来より強化したという。またAF機構も一新。19の測距ポイントでF2.8対応のクロスセンサーを配置。画面周辺部でも合焦精度が大きく向上したと説明した。

 シャッターユニットは最高1/8,000秒、ストロボ同調は1/300秒。レリーズ耐久回数は30万回をクリアしたという。デジタル化による飛躍的なショット数増に対応する。

 加えて、「EOS Kiss Digital X」と同様のセンサーダスト対策を行なった。ゴミが発生しにくいシャッターユニットを実現するため、徹底的に構成部材を検討したという。また、撮像素子を振動させてゴミを落とす「セルフクリーニングセンターユニット」は、同機が搭載するAPS-Hサイズの撮像素子に最適な振動モードで動作しているとした。ゴミが付きにくいという、帯電防止処理を施した赤外線吸ガラスも搭載する。


上面表示パネル

シャッターボタン周り 撮影者から見て左上面

液晶モニター下の背面表示パネル メモリカードスロット。CFとSDHC/SDメモリーカードの同時使用が可能

ライブビュー時の液晶モニター表示 バッテリーパック

左側面 グリップ部

EOS-1D Mark II N(右)との比較 同背面

EOS-1D Mark IIIは3型液晶モニターを備える

撮像素子 セルフクリーニングセンサーユニット

主要基盤。DIGIC IIIを2つ搭載 シャッターユニット

外装を外したところ ファインダーユニット(左)と接眼部

ミラーボックス

 撮像素子にAPS-Hサイズを採用した理由については、「画素1つあたりの大きさは、(APS-Cに比べて)大きい方が画質面で有利。加えて、プロカメラマンが覚えた撮影感覚を変えたく無かった」と2つのポイントを挙げた。また、35mmフルサイズセンサーを採用しなかった理由については、「EOS-1D Mark IIIは、スピードにプライオリティを置いている。その点からAPS-Hサイズで1,010万画素が最適と判断した」(村瀬氏)。 なお、「EOS-1Ds Mark IIの後継モデルは?」との質問には、「現時点では何も申し上げられない」との回答にとどまった。


EF 16-35mm F2.8 L II USMのレンズ構成。光学設計を一新し、ワイド側での周辺画質を向上させたという EF 16-35mm F2.8 L II USM

フードを取り付けたところ

外部ストロボ「580EX II」 背面。カメラへの取り付けは、レバーで行なう

発光部を真上に向けたところ。反射板も内蔵する

580EX IIの取り付け部。防塵防滴になったことで、カバーが付いた。 EOS-1D Mark IIIのホットシューは、580EX IIの取り付け部に合わせたカバーが付いている

EOS-1D Mark IIIとアクセサリー群

IXY DIGITAL 10のコンパクト化要因
 次に、岩下氏はコンパクトデジタルカメラについて触れた。「IXY」ブランドは、1996年にAPSフィルム使用のコンパクトカメラとして登場。2006年に10周年を迎えた。また、同社初のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S600」の登場も1996年だった。同氏は、「10年を1区切りとするなら、2007年はコンパクトデジタルカメラにとって、新しい10年の幕開けの年」と述べ、「2007年は新しい進化のはじまり」との位置づけを示した。

 席上で岩下氏は、「IXY DIGITAL 10」の小型化のポイントを重点的に説明した。「2000年に発売した初代IXY DIGITALによって『コンパクト&スタイリッシュ』というカテゴリーを創出。IXY DIGITAL 10は、そのDNAを受け継いだモデル」とアピール。「ボックス&サークル」というデザインコンセプトを従来から踏襲する。

 レンズ鏡胴およびシャッターユニットを再設計し、徹底した小型化を図った。メイン基盤は、半導体パッケージの取り付け方法に新技術を適用するなどして従来より約10%の小型化に成功した。ストロボも回路の見直しなどで約35%小型化できたという。これらユニットの小型化を受け、「IXY DIGITAL 70」比で厚みが2.3mm薄くなった。


IXY DIGITAL 10(ブラック) こちらは、シルバー

PowerShot TX1

PowerShot A570 IS

 同氏は、「EOS-1D Mark IIIなどを中心に、デジタルフォト、プリントソリューションをさらに進めていきたい」と締めくくった。


デジタル一眼市場で45%のシェアを堅持したい

 新製品の国内におけるマーケティング戦略について、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)代表取締役の村瀬治男社長が説明を行なった。


キヤノンMJの業績推移 ラインナップおよびターゲット

 村瀬氏はキヤノンMJの業績について触れ、「2006年まで増収増益、現実に成長している」とした。さらに2007年からの経営計画では、「2009年に売上高1兆円」を目標に置いていると述べた。この目標を達成するには、今後年5、6%の成長が必要とし、デジタルフォト分野では3,000億円の売り上げを目指す。各製品事業での販売No.1に加え、ホームプリントやフォトスタジオビジネスなど、デジタルフォトソリューション分野のさらなる開拓を図るとした。

 キヤノンのデジタル一眼レフカメラは、各分野で支持を受けているとした上で、報道、スポーツなどに向けたEOS-1D Mark IIIは、「プロ用カメラとして有るべき姿を原点から見直した」とし、そのメリットを「シャッターチャンスの増加や表現領域の拡大にある」と力説。過酷な領域など、撮影フィールドの拡大も望めるとした。

 同氏は、「EOS-1D Mark IIIの投入やサポート力の強化で、プロ市場でのポジションをさらに盤石にしたい」とマーケティング目標を提示。デジタル一眼レフカメラでは45%以上のシェアを堅持すると述べた。

 一方、コンパクトデジタルカメラについては、「新機能の搭載などで、予想以上の伸びを示している。CIPAの予測では2007年は前年比微減だが、CIPA予測を上回るのではないか」(村瀬氏)と、コンパクトデジタルカメラ市場拡大への期待を見せた。

 村瀬氏は、「IXY DIGITAL」と「PowerShot」という2つのグランドを持つことで、多用なニーズに応えられると自信を見せた。同日発表の新機種を含め、計14機種で春商戦を戦う。IXY DIGITALで20%、PowerShotで5%、合わせて25%でトップシェアを確保したいと述べた。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/

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( 本誌:武石 修 )
2007/02/22 22:44
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