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オリンパスE-520【第7回】
改めてAF精度を検証

Reported by 北村智史


 E-520には像面コントラストAF(ハイスピードイメージャAFと呼ばれている)が搭載されていて、ライブビュー時にはこれが使えるわけだが、今回はファインダー撮影時のAFの話。一眼レフで一般的な位相差AFについて触れたいと思う。

 オリンパスの泣き所として、位相差AFの弱さがあることは知られている。測距点の数が3点しかない上に、その間隔も狭くて、使い分けるメリットをほとんど感じられないこともあるが、AFのスピードや精度についても、かなり芳しくない意見が聞こえてくる。

 筆者も以前、E-410を使っていてこんな経験をしたことがある。人が歩くくらいのスピードでゆっくり動く被写体をC-AFで連続的に8コマ切ったうちの、一番いいシーンをとらえた1コマだけがピンボケだった。がっかりしたのはいうまでもないが、その前後のコマにはちゃんとピントが合っていたりしたものだから、よけいに腹が立った。

 E-410とまったく同じAFシステムを搭載したE-510も、当然同じレベルのとぼけっぷりで、一度AF精度のテストをやったら、方法がよくなかったこともあったのかもしれないが、100枚撮って100枚全部ピンボケなんてこともあった。ピントをAFまかせにできないくせに、ファインダー像が小さい分、ピントの山もつかみづらい。

 この、AFでもMFでもピント合わせが難しいところがオリンパスの問題点であって、これをどうにかしてもらいたいというのがオリンパスファンの悲願でもあって、だからE-3が登場したときはとってもうれしかった。その一方で、E-420とE-520は相変わらずの3点測距のままというのが切なかったりするわけだ。

 一応、連写スピードが3コマ/秒から3.5コマ/秒に上がっているので、AF性能も多少は向上しているはずだ。連写を速くするにはAF性能を上げないと意味がないので(AF性能据え置きで連写だけ速くすると、ピントが合う前にシャッターが切れてしまう、つまりピンボケ写真量産マシンになってしまうのだ)、連写が速くなった=AF性能がよくなった、と受け止めていい。


 そのはずなのだけれど、デジカメWatchでE-520の新製品レビューをやったときにも、自腹カメラでの本連載でも、あまりいい印象は得られていないのが現状である。気になったので、新製品レビューのときからの画像をすべて保存しておいた。普段なら捨ててしまうはずの完全ピンボケカットやブレブレカットも、である。

 で、その中からブレていてピントのチェックができないもの、テスト系の比較作例、コントラストAFになるパノラマモードで撮った画像を省いて(もちろん、ほかの仕事で撮った分も入れてない)、その残りが1,155枚。その1,155枚の画像をあらためてピントチェックしてみた。

 結果はというと、「ピクセル等倍でもピントが合っている(○画像)」と「ちょっとアマい気もするけど、合ってることにしておこう(△画像)」を足した「OK画像(=○画像+△画像)」の数は853枚。残りの302枚、おおざっぱに4枚に1枚が「ピント合ってません(×画像)」という計算になる。

 もちろん、筆者のミスでピントが合っていないケースもあるだろうが、三脚+ライブビューの拡大表示でピントを合わせたカットもあるわけで、どちらかというと、いいほうに振れていてもおかしくない状況のはずだ。

 念のために、今回はAF精度をチェックする目的で簡単なテストをやってみた。E-520、E-3、E-410の3機種で同じ被写体を50枚ずつ撮って、ピントが合っている率を調べてみようというものだ。

 レンズはシグマのAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSMで、撮影距離は7〜8m、フォーカスリングを無限遠に合わせた状態からシャッターボタンを半押し、S-AFでファインダー内の合焦マークが点灯するのを確認してから全押しして撮影する。これを3機種で50枚ずつ撮って、それぞれの「○画像」、「△画像」、「×画像」を数えて表にしたのがこちらである。

AFテストの結果
(各機種50枚ずつ撮影)
機種名 ○画像数 △画像数 ○+△画像数 ×画像数
E-520 19枚 17枚 36枚 14枚
E-3 19枚 10枚 29枚 21枚
E-410 15枚 4枚 19枚 31枚


・AFテストの作例

 ※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


「○画像」のサンプル
ピント位置は画面中央のロープぐるぐるな部分。ピクセル等倍で見てもピントが合っていると見なせるレベル
E-520 / APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F2.8 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
「△画像」のサンプル
ピクセル等倍で見るとちょっとアマいが、50%縮小では「合ってることにしてもいいかな」と思えるくらい
E-520 / APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F2.8 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
「×画像」のサンプル
50%縮小表示で見て、「うーん、やっぱしアマいよなぁ」というのが基準
E-520 / APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F2.8 / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

 数字を見たかぎり、オリンパスのAFも徐々に進化してきていることがうかがえる。E-520の「○画像」率はE-3と同じだし、それ以上に「×画像」率がE-410の半分以下になっているのが立派だ。

 撮影中にも、E-410はまったくピントが合っていないのに合焦マークが点灯することがたびたびあったが(50枚撮る間に5〜6回はあった)、E-3とE-520では同じ現象はほとんどなかった(まったくなかったわけではない)。シャッターボタン半押しから合焦マーク点灯までの時間も、E-410がちょっとまったりした感じなのが、E-3はぐっときびきびしてくるし、E-520もE-3ほどではないにせよそこそこスピードが出ているように思われた。

 ただ、気になるのは、なんの変哲もない条件で、なぜかピントが合ってくれないケースがちょくちょくあること。薄暗い場所で撮るときや、被写体のコントラストが低い条件なのでピントが合いにくくなるのはどこのメーカーのカメラでも同じだが、それなりに明るい野外で、特に遠距離の被写体に対してピントが合わないことがあるのはオリンパスのカメラだけだと思う。

 普段、筆者は“親指AF”+C-AFのコンビネーションで撮影することが多く、もしかしたらそれが影響しているのかもしれないと思って、今回は人差し指AF+S-AFで撮ってみたが、結果は「×画像」率が23.8%というもの。全体の平均値の26.4%よりはやや低くなったものの、劇的に改善されたとは言いがたいし、やはり「これはありえないでしょうよぉ」的なピンボケもあった。なので、AFの作動方法やAFモードが関係しているとは思えない。つまり、原因はオリンパスの位相差AF自体にあると考えたほうがよさそうというわけだ。


 では、こういう状況にどう対応すればいいだろうか。ひとつはシャッターボタン半押しを数回繰り返すこと。しかし、この方法はあまり効果は期待できない。というのは、位相差AFは、なんらかの原因でピントが合っていないにもかかわらずカメラが合焦だと判定してしまった場合、シャッターボタンを半押ししてもAF駆動を行わないケースが少なくないからだ。なにしろ、一度ピントを合わせているのだから、再度測距を行ったとしてもピントは合ったままなのだ。当然、AF駆動を行なう必要はないわけで、結果的にピントは外れたままになってしまう。

 だから、ピントが怪しいなと感じた場合は、わざとピンボケ状態にしてから合わせ直したほうがいい。AF+MFモードならフォーカスリングを回せばいいだけだし、そうでなければ地面とか空とかに向かってシャッターボタンを半押しすればいい。この方法の方がうまくピントが合ってくれる可能性が高いように思う。

 もうひとつがライブビューを使うこと。根本的な解決策にはならないが、正確にピントを合わせたいときにライブビューの拡大表示機能を使うのが一番いいのは間違いない。望遠レンズ使用時はかなりしんどいが、広角から標準ズームであれば、首にかけたストラップをピンと張るように構えれば画面はそこそこ安定する。10倍拡大にしても、なんとかピントチェックはできなくはない。画面が揺れて見づらい場合はISボタンを押すといい。ライブビュー中にISボタンを押すと、10秒間だけ手ブレ補正が作動するので、その隙にピントを合わせてしまうわけだ。

 とりあえず位相差AFまかせで1枚撮っておいて、ライブビューに切り替えてピントを合わせ直して、という感じである。まあ、瞬間的なシャッターチャンスにはまるっきり対応できないワザだけれど、時間に余裕があるときには使える。手間かかるが、小さなファインダーをにらみつつ不安を感じながら撮るよりは、ずっと気持ち良く撮れると思う。





・ピントがあやしい作例

 ※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


6月23日に撮ったカット。ピント合わせの目標は画面のど真ん中である。ちゃんと合焦マークが点灯したのも確認ずみである。でも、ピントは行方不明である
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F4.9 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 90mm
こちらは7月7日。ISO200でF5.2の1/6秒だから、そこそこ薄暗い。AFにとってはあまりいい条件とは言えない。だからと言って、広角でここまでボケなくてもいいのではないかと思う
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/6秒 / F5.2 / -1EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm

今回分として撮ったうちの1コマ。十分に光量がある条件でもこのとおり。念のためにとシャッターボタンAFに変更して、いつものC-AFではなしにS-AFで合焦マーク点灯も確認したのにこの仕打ちである
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/1250秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

・そのほかの作例

 ※サムネイルをクリックすると、リサイズ・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


三脚を立ててライブビュー+拡大表示MFで撮ったカット。これの前に位相差AFでも撮ったが、やばそうと思っていたとおり、ピンボケだった
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
水上バスが離岸するところ。なので、C-AFで撮っている。C-AFだとピントがアマくなるとかの傾向は特に感じない
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

案内板の矢印。撮影距離が比較的近い場合は外れにくい気がする。こういう条件でもきちんと構えさえすればOKである
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/800秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
めちゃめちゃ暑そうなビーチバレーのコート。ピント合わせは右から3番目のボール。2枚撮って「○画像」が1枚、「△画像」が1枚
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/1250秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

主要被写体がこんなふうに小さかったり細かったりで、背景がこちゃこちゃしている条件だとピントがアマくなるケースが多いように思うが、このシーンは平気だった。
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
カミサンいわく、「ベランダから下を見たらと思うだけで目眩がしそう」な高層マンション。目眩しなくても住めませんけど。F値が明るい分AFにも有利なのか、シグマの150mmはピンボケが少ない気がする
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/1250秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

原付なのにメーターは160km/hまで。近距離だとやはりピントの合いはいい。こっちの身体が完全には止まってくれないので、やはりピンボケは出るから要注意なのは変わらないけど
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
広角で明るい条件でもピンボケが出るのがオリンパスのAFのよくないところ。同じ場所で向きを変えて撮ったカットはピンボケだった
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm

ピクセル等倍だともう少しシャープ感が欲しい気もするが、外壁のタイルの目がきちんと見えているのだからピントは問題ない。全部こうだといいのだけれど
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm
晴天下の白っぽい街灯はだめで、曇天下の黒っぽい街灯のほうがピントが合うというのはどうよって思う。コントラストの問題なんでしょうかねぇ
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F4.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 73mm

ピントを合わせたのは中央の窓のあたり。で、ピントが合っているのは左下隅のグリーン。全部が全部前ピンなら調整すればいいだけなのだが、そうじゃないケースも多いからややこしい
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
これまで使ってきた感じでは、これくらいの近距離での撮影が一番ピンボケしにくいように思う
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 36mm

ピクセル等倍だとちょっぴりアマい気もしないではないが(心持ち前ピンなように見える)、50%縮小表示では問題ない、典型的な「△画像」
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 42mm
AFでだいたいのところに合わせておいて、MFで微調整して撮ったカット。このくらいピントが浅い状態であれば、小さなファインダー像ででもピントが見えやすくなる
APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e520/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-520)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#e520
  オリンパスE-520関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/05/20/8468.html



北村智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2008/07/30 15:20
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