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オリンパスE-520【第4回】
純正の隙間にはまるシグマの広角ズーム

Reported by 北村智史


今回の撮影に使ったフォーサーズ用のシグマ10-20mm F4-5.6 EX DC HSM。実勢価格は7万円前後
 E-520のレンズキットに同梱されているZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6は、案外に悪くないレンズだと思う。案外に、というと失礼かもしれないが、なにしろ、小さくて軽いうえに、キットで買うと実質1万円。普通に買っても2万6,000円ほどの低価格標準ズームである。多少写りに難があったところでひどい文句をいう人はいない。

 それなのに、広角端の絞り開放では四隅がちょっとアマくなるだけで、あとは十分にシャープなのである。最短撮影距離は0.25mと近接能力もまずまず以上。

 ただ、広角端の歪曲収差が大きいのが気になるところだ。典型的なタル型の歪曲で、わりと目立つ部類に入ると思う。まあ、仕事柄「価格とサイズを考えれば大目に見てあげないと」と書くことも少なくないが、安いレンズだからマシに見えたりはしないわけで、曲がるものは曲がる。筆者自身が1万円で手に入れたクチなので大きなことが言えた義理はないのだが、我慢するしないの問題とは関係なしに、曲がるものはやっぱり曲がる。この事実は曲がらないんである。

 じゃあ、高いレンズなら曲がらないかというと、決してそうでもない。E-3と同時に登場したZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWDの広角端はやっぱり曲がる。ED 14-42mmがわりと素直なタル型なのに対して、ED 12-60mmは中央部がタル型で、周辺部にいくにつれて歪みが少なくなる変形タイプ(タル寄りのジンガサと言ったところか)なので目立ちやすい。そのうえ、単純なタル型やイトマキ型ならPhotoshopとかでも補正しやすいが、こういう変形タイプは難しい。


ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD ZUIKO DIGITAL 11-22mm F2.8-3.5

ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4

 では、どうしたらいいのだろうか。答えは、広角ズームを手に入れる、である。

 たいていの場合、ズームの広角側はタル型、望遠側はイトマキ型の歪曲が出やすい。だから、中間の焦点距離域でとれば歪曲はあまり目立たないことになる。標準ズームの広角端よりも、広角ズームの同じ焦点距離のほうが歪曲は少ないはずだ。

 問題は、オリンパスは広角が苦しいということ。現在、ハイグレードタイプのZUIKO DIGITAL 11-22mm F2.8-3.5、スーパーハイグレードの同ED 7-14mm F4の2本の広角ズームがあって、年内にはスタンダードの同ED 9-18mm F4-5.6が追加される予定になっている。

 E-3といっしょにED 12-60mmを買ってしまったので、広角端の焦点距離が1mmしか違わない11-22mmは買う気になれない。一方、ED 7-14mmは大きすぎるし重すぎるし高い。画質がいいのも写りが楽しいのも知ってはいるが、財布とカミサンが首を縦に振らないだろうし、肩と首にもツライ。残りのED 9-18mmは発売はまだ先っぽいし、スタンダードのズームだから、歪曲についてはあまり期待しないほうがよさそうな気がする。

 で、最後がシグマの10-20mm F4-5.6 EX DC HSMである。いわゆるAPS-Cサイズのデジタル一眼レフ向けに設計された広角ズームで、フォーサーズ機に装着すると、35mm判カメラ換算で20〜40mm相当になる。正直言って、今どきの広角ズームで20mmスタートというのはイマイチな数字だし、開放F値は暗くてさびしいが、帯に短したすきに長し的状況の純正広角ズームに比べると、筆者にはぐっと現実的な選択肢に思えるのだ。

 このレンズはニコン用のを以前から使っているが、ニコンのDXフォーマットだと35mmフィルム換算で15mmという超広角域までカバーできて楽しい。画質的にもかなりキレがよくて気に入っている。フォーサーズ用は今年の5月の登場で(キヤノン用とかは2005年の7月に登場してる)、APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSMとかと同じく超音波モーター仕様。AFは静かで速いしフルタイムMFもばっちり使える。

 歪曲収差もずっと少ない。広角端ではやはりタル型が出ているものの、ED 12-60mmやED 14-42mmの広角端の歪曲に比べればかわいいものだし、10-20mm EX DCを12mm域や14mm域で使えばもっと歪曲が少なくてすむ(とか言っておいて、比較作例を撮り忘れた間抜けはワタシです)。

 世間的には、「2年前に発売されたレンズのマウントが増えただけ」的な反応らしいけれど、筆者個人としては、非常にうれしい登場だったので、しつこくとり上げてみたわけである。

●歪曲収差の比較

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


典型的なタル型。素直な歪み方なので、画像処理ソフトで補正するのもわりと簡単だ。これが実質1万円のレンズの写りかと思うとびっくりである
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F8 / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
中央部がタル型で、周辺部はほぼまっすぐという見慣れないタイプ。ジンガサの変形と言えなくもない。解像力は素晴らしいけど、この曲がり方はヤだなぁ
ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F8 / ISO100 / WB:晴天 / 12mm

ほぼまっすぐなんだけど四隅のあたりだけ微妙にタル型の歪曲。なぜか、左下の明るい窓のあたりがピントが悪い(ほかの3か所もだけど)。一度見てもらったほうがいいかもしれない
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F8 / ISO100 / WB:晴天 / 10mm




空もレンズも暗いし、1/1.3秒なんて手ブレ補正があったってブレるじゃねぇかよ、って思ってから三脚を持っていることを思い出した。ちょっとヤバいかも
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/1.3秒 / F8 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 17mm
16mmとか17mm(相当)カバーの広角ズームが当たり前なので、20mm相当止まりというのはけっこうさびしい。でも、画角が広すぎない分気楽に使えるというのはあるかもしれない
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F4 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 10mm

苔むした踏み石は雨に濡れて滑りやすい。というか、滑ってコケそうになりました。でも、立体感がきれい
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/6秒 / F4.9 / -1.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
晴れてるとけっこうさわやかな感じに仕上がるポイントなんだけど、ちょっとアンダー目にして梅雨空のうっとうしさを強調してみた
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F9 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 17mm

黒ずんだ鋳鉄(だと思う)製のモニュメント。思い切り真っ黒に落としてみた
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F5.6 / -2.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 20mm
建物の外壁なのだが、このブロックは屋根があったりする。シャッターは遅かったけど感度は上げずに頑張ってみた
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/6秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 10mm

公園の消火栓。雨の滴の付いた緑と赤の対比が鮮やか
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 20mm
背後の空は少し明るくて、だからガラス張りのビルだけ浮き上がって見えた。
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 20mm

このレンズは歪曲が少ないので、こういうフレーミングでも怖くない
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 10mm
かなり後になって付けたものだろうけど、古色を帯びた建物の地下に向かう階段って、なんかドキドキする。なんかが出てきたりはしないと思いますけどね。
10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 10mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e520/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-520)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#e520
  オリンパスE-520関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/05/20/8468.html



北村智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2008/07/09 00:24
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