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オリンパスE-420【最終回】
軽量でコンパクト、気軽に撮れる一眼レフカメラ

Reported by 小山 安博


 E-420と同時に発売されたパンケーキレンズ「ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8」。そのレンズキャップは、一眼レフ用交換レンズでは今時珍しいねじ込み式で、43mm径だ。その分薄型で、質感もかなりいいのだが、付けたり外したりするのがちょっと面倒。不器用なせいかたまに落としてしまうこともあるし、素早く取り外しができないのもちょっと難点だ。

 そこで、43mm径に対応したバネ式のレンズキャップを購入してみた。オリンパスの43mm径のレンズキャップは古い製品のためか市場ではあまり見かけないが、ハクバやエツミから43mm径のキャップが出ているのでこれが使える。デフォルトのキャップの方が見栄えはいいが、使い勝手はこちらの方がいい感じ。


カメラ店で売っていたオリンパス製のバネ式43mm径レンズキャップを装着 こちらはレンズ同梱のフロントキャップ。ねじ込み式

 さて、E-420の長期レポートも今回が最終回。E-420は、とにかくコンパクトで持ち運びがまったく苦にならないのがメリット。レンズキットの「ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」もコンパクトでいいが、やはり25mm F2.8のパンケーキレンズの存在が大きい。

 コンパクトなデジタル一眼レフカメラなら、ほかにも「EOS Kiss X2」や「D60」といった優秀なカメラもあるが、そうしたカメラに比べてもコンパクトなのがE-420で、グリップをなくしたコンパクトボディは秀逸。購入後1カ月あまりの間使ってきて、スナップという自分の用途ではグリップがないことは大きな問題にならないと感じた。

 コンパクトで軽量なため、常にE-420を持ち歩くようになった。これまでもコンパクトデジカメは持ち歩いていたが、やはりより高画質なE-420の方が撮影は楽しい。一眼レフの特徴であるレンズ交換はほとんどしないが、いざとなればレンズ交換できるという安心感もある。

 とはいえ、不満を感じた部分もある。最も大きいのはやはり手ブレ。仕事では「EOS 40D」に光学式手ブレ補正付きレンズを併用しており、よく使うコンパクトデジカメも手ブレ補正付き。すっかり手ブレ補正の利便性に慣れてしまっているので、気を抜くとシャッタースピードが遅くなってあっさり手ブレしてしまう。

 いつでも持ち歩いて、ふとした瞬間に気軽に撮るというE-420の用途からすると、ファインダーをのぞいた時に手ブレしそうだからシャッタースピードを変えて……などと考えずに撮れるとうれしい。そのため、やはりボディ内手ブレ補正は欲しかった。ほかのことに関してはE-500シリーズと機能差があってもいいので、ボディサイズを変えずに手ブレ補正を内蔵してくれるとさらにすばらしいカメラになることは間違いない。

 もう1点は撮影時に遊んでいる十字キー。これ自体はE-520との差別化ポイントの1つで、エントリー層向けにスーパーコンパネで操作を統一するという意味合いもありそう。ただ、やはり慣れてくるとよく使う機能は1ボタンで操作したいもの。十字キー左の「Fn」ボタンとドライブモードボタンに一部機能が割り当てられるが、十字キー周辺に文字やアイコンはいらないから、上級者向けにはカスタム機能として、任意の撮影機能を割り当てられたら面白い。デフォルトは割り当てなしでも構わない。初心者がステップアップする際にも便利だろう。


十字ボタン左に割り当てられたFn機能。設定すれば「フェイス&バック」をはじめ、いくつかの機能を呼び出せる 上面手前のドライブモードボタンにも、機能を選択して割り当て可能。前機種のE-410よりカスタマイズ性能は上がったが、コンセプトの違いからE-520には劣る


 ボタンへの機能割り当ての少なさが致命的ではないのはスーパーコンパネがあるからだ。OKボタンを押して気軽に多くの撮影設定にアクセスできるのは快適で、スーパーコンパネで設定後に撮影し、再びOKボタンを押すと前回の設定項目が選択されているので、ISO感度を変えて何枚か撮る場合などに手早く変更できる。反面、カーソル位置から離れた設定を変える時に手間はかかる。

 また、個人的には中央1点で撮影することが多いAF測距点だが、やはりいまだに3点というのは少々心もとない。ファインダーの狭さも気になるし、個人の趣味だがファインダー内の情報表示が右側というのもいまだに慣れない。

 あとは、再生時の画面に表示される情報をもっと整理して欲しいとか、ライブビュー時のINFOボタンで表示される画面が多くてせっかくの「パーフェクトショットプレビュー」が使いづらいとか、まあ細かい部分の揚げ足をとればいくつか不満はある。

 多少荒削りな所は感じるが、それにしてもこの手軽で気軽で楽しく使える魅力は抜群。あとは低価格でコンパクトな超広角ズームレンズ「ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6」(年内発売予定)を早く発売して欲しいのと、広角のパンケーキレンズが登場してくれることを期待したい。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。





仕上がり設定の比較

 普段、E-420では仕上がり「NATURAL」で撮影をしているが、たまに「VIVID」を使うと雰囲気が変わって楽しい。NATURALだとちょっとくすんだ感じの色が、VIVIDで一気に鮮やかになる。


仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F6.3 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F6.3 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm




 左上から順にNATURAL、VIVID、FLAT、PORTRAIT、モノトーン。VIVIDはピンクの色は鮮やかだが、背景の赤が飽和気味。


仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 33mm
仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 33mm

仕上がり:FLAT
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 33mm
仕上がり:PORTRAIT
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 33mm

仕上がり:モノクロ
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 33mm




 左がNATURAL、右がVIVID。VIVIDはブレてしまった失敗写真。色再現だけ見ると、緑の表現はいいが、赤は派手。赤が中心の被写体だとVIVIDは避けた方が良さそう。


仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/60秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/60秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 25mm




 季節柄あまり抜けるような青空とは行かなかったが、緑と青が中心ならVIVIDの方がいい。


仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm




一般作例


仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
仕上がり:VIVID
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F6.3 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/15秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm

仕上がり:NATURAL
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm





URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e420/
  オリンパスE-420関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/03/14/8123.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(E-420)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#e420



小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2008/06/06 00:24
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