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ペンタックスK20D【第3回】
輪郭再現性を高める「ファインシャープネス」

Reported by 中村 文夫


今回の撮影に使用したFA★ 80-200mm F2.8 ED [IF]、DA 16-45mm F4 ED AL、A Macro 50mm F2.8。6M&ファインシャープネス+4で高解像感を得るには、高性能レンズが必需品だ
 今回のテーマは、あちこちで話題になっている「6M&ファインシャープネス+4」。画像記録サイズで6M(3,008×2,000ピクセル)を選び、シャープネスを最高の4に設定。そしてファインシャープネスをオンにして撮影すると、圧倒的な高解像感が得られるというK20Dの裏技だ。俗称「なんちゃってフォビオン」。まるでフォビオン採用のカメラで撮影したように微細な線まで再現できることから、こう呼ばれているらしい。

 まず最初に断っておくが、K20Dの「なんちゃってフォビオン」は、あくまでも「シャープに見える」のであって、決して「解像度が上がる」わけはない。撮影した画像を肉眼で見て、そう思えるということだ。

 この裏技のカギを握っているのが、K20Dに搭載されたペンタックス独自のファインシャープネスだ。この機能を簡単に説明すると、高周波(細かい線)の輪郭強調を行なうこと。従来からある輪郭強調に比べ輪郭再現が極めて細いので、より細部まで解像することができる。さらに輪郭強調を強くしても線が太くならないので破綻しにくい。ペンタックスの見解によれば、これほど輪郭を細く再現しているカメラはほかにないという。

 さらに14.6Mから6Mに画像を縮小することで画像が高密度化。細い輪郭の再現性が飛躍的に高まるのだ。また同時にノイズ周波数も高くなるため、ノイズが粒状感を持ち、フィルムに近い画を得ることができる。


JPEG記録サイズは6Mにセット

ファインシャープネスをオンにし、シャープネスを最高の+4にセットする


 もうひとつの理由は、ベイヤーデータの補間画像の高密度化だ。K20Dの採用している撮像素子は、市松状に配したRGB3色のフィルターをセンサーに重ねて色情報を取り込むベイヤー式だ。この方法だと1ピクセルで1色の情報しか取り込むことができないので、画像処理の段階で他の2色の情報を補間、カラー画像を作り上げている。これに対しフォビオンに代表される3層式センサーは、RGBの情報をダイレクトに取り込めるため補間処理が不要。つまり1ピクセルで3色の情報が取り込めるので、高い解像度を得ることができる。

 K20Dの場合、ファインシャープネスを強くきかせた画像を縮小すると、ピクセル単位での解像が可能になる。言い換えれば、情報の欠落を最小限に抑えて密度を上げれば3層式センサーで撮影したように見えるということ。記録サイズを6Mに設定したときのバランスがいちばん良く、最も高い効果が得られるのだ。

 以上が、「6M&ファインシャープネス+4」で高解像感が得られる理由だが、使用するレンズの解像力が高くないと効果が十分に現れない。したがって、この効果の恩恵に浴するには、単焦点レンズあるいはスターレンズなどの高性能レンズの使用が望ましい。

 またPCのモニターで画像を表示させる場合、使用するビューワーが解像度変換処理を行なうので、この効果が確認できないことが多い。特に解像度変換には不得意な倍率があるうえモニターと原画の解像度にも相性がある。これを避けるためには等倍で見ることが原則で、作例を比較する際も、この点に注意しなければならない。


作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 共通データはそれぞれ、使用レンズ / 露出時間 / 絞り値 / ISO感度 / ホワイトバランス / ダイナミックレンジ拡大設定 / カスタムイメージを表します。
  • 作例下のデータは、記録画素数設定 / シャープネス設定 / ファインシャープネス設定を表します。


 最もシャープに見えるのは、記録画素数6M、シャープネス+4、ファインシャープネス:オンという設定。画素数は半分以下だが細部までよく再現されている。一方、記録画素数6Mでそのほかの設定はノーマルの場合、等倍に拡大してみるとシャープさに欠ける。試しにシャープネス+4、ファインシャープネスオンのまま記録サイズだけを14.6Mに変更したものも掲載した。

  • 共通データ:FA★ 80-200mm F2.8 ED [IF] / 1/125秒 / F8 / ISO100 / WB:オート / ダイナミックレンジ拡大:オフ / カスタムイメージ:鮮やか


記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:±0 / ファインシャープネス:オフ 記録画素数:6M(3,008×2,000) / シャープネス:+4 ファインシャープネス:オン

記録画素数:6M(3,008×2,000) / シャープネス:±0 / ファインシャープネス:オン 記録画素数:6M(3,008×2,000) / シャープネス:±0 / ファインシャープネス:オフ

記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:+4 / ファインシャープネス:オン 記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:±0 / ファインシャープネス:オン

 次の作例も、14.6Mより6M&ファインシャープネス+4で撮影した画の方が、若葉の1枚1枚がくっきりと写り、全体に立体的に見える。

  • 共通データ:DA 16-45mm F4 ED AL / 1/160秒 / F8 / ISO200 / WB:オート / ダイナミックレンジ拡大:オフ / カスタムイメージ:雅(MIYABI)


記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:±0 / ファインシャープネス:オフ 記録画素数:6M(3,008×2,000) / シャープネス:+4 / ファインシャープネス:オン

記録画素数:6M(3,008×2,000) / シャープネス:±0 / ファインシャープネス:オン 記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:+4 / ファインシャープネス:オン

 14.6Mノーマルと6M&ファインシャープネス+4を比べると、6Mの方がタンポポの細い綿毛がシャープに再現されている。14Mでシャープネス+4、ファインシャープネスオンで撮影した画像も、これにかなり近い。なお6Mの画像のデータサイズが4.6MBであるのに対し14Mの画像は8.9MB。大きなサイズにプリントしないのであれば、メモリを有効利用するという意味でも、6M&ファインシャープネス+4は存在価値が高い。

  • 共通データ:A Macro 50mm F2.8 / 1/250秒 / F5 / -0.3EV / ISO200 / WB:オート / ダイナミックレンジ拡大:オフ / カスタムイメージ:ナチュラル


記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:+1 / ファインシャープネス:オフ 記録画素数:6M(3,008×2,000) / シャープネス:+4 / ファインシャープネス:オン

記録画素数:14.6M(4,672×3,104) / シャープネス:+4 / ファインシャープネス:オン


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.pentax.jp/japan/imaging/digital/slr/k20d/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(K20D)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#k20d
  ペンタックスK20D関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7800.html



中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2008/05/12 14:31
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