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オリンパスE-420【第4回】
広角レンズを探る

Reported by 小山 安博


今回利用したのは魚眼レンズ「ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye」

 E-420にZUIKO DIGITAL 25mm F2.8を装着して使っていると、ほとんど「単焦点レンズのコンパクトデジタルカメラ」の気分。最近、デジタル一眼レフカメラと同じ撮像素子を使ったシグマ「DP1」があるので、唯一無二の存在というわけではないが、コンパクトデジカメライクに使えるカメラとして使えて満足。

 手軽さという意味では不満はないのだが、不満を感じることがあるとすれば広角撮影だ。完全に個人的な趣味だが、E-420では望遠レンズよりも広角レンズを装着したいと思っている。

 現行のオリンパスのレンズラインナップを見てみると、35mm判換算で28mm以下のレンズは以下の通り(今回はライカDレンズと未発売のシグマ10-20mm F4-5.6 EX DC HSMは除外)。

  • ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4 (35mm判換算の焦点距離は14~28mm、以下同)
  • ZUIKO DIGITAL 11-22mm F2.8-3.5 (22~44mm)
  • ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD (24~120mm)
  • ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD (28~70mm)
  • ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 (28~108mm)
  • ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 (28~84mm)
  • ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye (16mm)


 この中で最も小さいのはキットレンズの14-42mm F3.5-5.6で全長61mm・190g。ただ、これはキットレンズなので、もうちょっと広角レンズが欲しい。もともと広角好きということもあり、28mmよりも広角のレンズを使ってみたいのだ。

 そう考えて見渡してみると、この中でもっともコンパクトで、もっとも広角のレンズは、実は8mm F3.5 Fisheyeなのだ。単純に重さだけだと14-54mm F2.8-3.5が435gだが、これは全長が88.5mmあり、それに対して8mm F3.5 Fisheyeは77mm・485g。28mmより広角だと、11-22mm F2.8-3.5か12-60mm F2.8-4 SWDがあるが、前者は92.5mm・485g、後者は119.5mm・780gで、比較すると大きくて重い。

 広角とコンパクト性の両立で考えると、8mm F3.5 Fisheyeと11-22mm F2.8-3.5が候補に残る。より広角で撮れる魚眼レンズである8mm F3.5 Fisheyeの方がコンパクトだし使っていて面白いに違いない、しかも25mm F2.8と併用して単焦点2段構えというのがいい(個人的な趣味)。ということで、今回オリンパスから8mm F3.5 Fisheyeを借りて試してみた。


8mm F3.5 Fisheyeを装着したところ。持ってみるとずっしりと感じるレベルだが、レンズでボディを支えるように構えられるので、パンケーキレンズの28mm F2.8よりも構えやすいといえば構えやすい
こちらは14-42mm F3.5-5.6を装着したE-420。全長よりも胴回りの太さに明らかな差がある


並べてみるとこんな感じ


 8mm F3.5 Fisheyeは、対角線方向に180度の画角を持つ魚眼レンズ。オリンパスのレンズではハイグレードクラスに位置し、EDレンズ1枚を使用、防塵防滴仕様のレンズとなる。レンズ前2cmまで寄れる近接撮影機能も魅力だ。

 実際に撮影してみると、とにかく楽しいレンズ。180度の画角は、通常の利用では過剰な画角と言ってもいい。それでも、使ってみるとつい撮影したくなるレンズだ。特に広大な景色を余すことなく表現できる能力は魚眼レンズならでは。とはいえ、気をつけて撮影しないと画面の端に予想外のものが写り込んでしまうし、当然ながら盛大に歪むし、使い方は難しい。まあ、難しいことは考えずに気軽に撮影すればいい。

 魚眼レンズを使っていてやはり便利なのはライブビュー。E-420のファインダーは視野率が約95%であり、ファインダーで構図を決めて撮影してみると、ファインダーでは見えない画面の外周に余計なものが写ってしまうことがある。

 魚眼レンズだと特にこれが起こりがちで、その点視野率100%のライブビューなら、想定外のものが写り込みにくいので便利。8mm F3.5 FisheyeはハイスピードイメージャAFには非対応だが、一応ハイブリッドAFが使えるし、背面のAEL/AFLボタンを押すことで高速な位相差AFも利用できるので、大きな問題にはならないだろう。どのみち、広角レンズの中ではキットレンズの14-42mm F3.5-5.6以外はハイスピードイメージャAFには対応していない(この辺りは何とかして欲しい部分ではあるが)。

 さて、撮影した画像の外周に余計なものが写っていた場合、その部分を後から切り取ってもいいと思う。それだけ広々と写るので切り取る余裕があるのだが、最初から「普通の」広角レンズとして使う方法もある。

 それがテレコンバーターを使うやり方だ。特に小型の「EC-14」が良さそう。焦点距離は1.4倍(F値も1.4倍)になり、8mmだと11mm(35mm判換算22mm)でもっと扱いやすくなる。特に大きく歪む周辺が切り落とされ、PCでの後処理を考えずに使うには有効だ。


8mm F3.5 Fisheye+EC-14。EC-14はコンパクトとはいえ、だいぶ長くなった 試しに25mm F2.8にEC-14を付けてみた。さすがにコンパクト

 EC-14を組み合わせても画質の劣化は少ないし、小型軽量なので使い勝手もいい。サイズとしては全長が22mm、重さが170gのため、23.5mm・95gの25mm F2.8と(重さはともかく)全長は同等。

 EC-14を組み合わせるだけで、単焦点レンズ2本で魚眼16mm、22mm、50mm、70mm(いずれも35mm判換算時)の焦点距離をカバーできるようになり、撮影の幅を広げてくれるのだ。特に25mm F2.8との組み合わせだと、全長が2倍になるが、それでもキットレンズより短いという快適さだ。開放F値が1.4倍になってしまうという難点はあるが許容範囲だろう。

 というわけで、広角レンズは8mm F3.5 Fisheye(+EC-14)で決まり、といいたいところなのだが、最大の難点はやはり大きさ。これまでずっとE-420+25mm F2.8のコンパクトさを絶賛してきた身からすると、やはり8mm F3.5 Fisheyeは大きい。EC-14とのセットだと10万円オーバーという価格もビッグ。

 念のため強調しておくと、8mm F3.5 Fisheyeが絶対的に大きいわけではなく、むしろバッグに余裕があれば一緒に持ち歩きたいレンズだが、せっかくのE-420なのだから、もうちょっとコンパクトなレンズだとうれしい、という意味だ。

 結局、選択肢としては個人の必要性に応じて、という形になりそう。広角レンズが必要ならばこのセットは価値のある選択だと思う。コンパクトさを重視するなら悩ましいところ。ここはやはりオリンパスに小型の広角レンズをがんばってもらうしかない。

 一応、同社のレンズロードマップでは35mm判換算で広角端20mm以下の超広角ズームが予定されている。スタンダードクラスだし、小型軽量でコストパフォーマンスの高さが期待できる。

 ちなみに、オリンパスのユーザー登録時のアンケートの選択肢には単焦点レンズや広角のパンケーキレンズに対する要望が選択肢として用意されていた。これはぜひ実現してもらいたいものだ。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


EC-14との組み合わせ

 8mm F3.5 Fisheye単体(左)とEC-14を併用した時(右)の画角の違い。手持ちなので正確な比較ではないが、EC-14を併用しても広角だが、魚眼レンズそのままの未装着状態と比べると「普通の広角」と感じてしまう。


ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 風景 / 1/400秒 / F9 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 3,648×2,736 / 風景 / 1/320秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 11mm


一般作例


ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 11mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 11mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F3.5 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/1,600秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 8mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 11mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 8mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / -1EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 11mm ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 11mm

ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye+EC-14 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/1,250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 11mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e420/
  オリンパスE-420関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/03/14/8123.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(E-420)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#e420



小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2008/05/09 00:21
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