デジカメ Watch
最新ニュース

キヤノンEOS Kiss X2【第4回】
記録速度と連写性能をチェック

Reported by 野下義光


 前回のISO AUTOについて訂正します。

 原稿を書いた時点までは実際に撮影したデータもISO100・200・400・800と1段ごとに自動セットされていました。またキヤノンにも確認したところ、やはり仕様上1段ごとになっているとのこと。ところがその後撮影を重ねるにつれて、時々ISO AUTOでISO250やISO320など中間のISO感度でも撮影されることが判明しました。

 キヤノンに再度確認したところ、「前回の案内は内部資料に基づいたものだったが、再度確認したところ内部資料が誤りであり、実際の仕様は中間のISO感度も設定される」とのことでした。

 ただ中間のISO感度が現れるのはけっこう稀です。EOS 40DはISO AUTOにセットすると常時1/3段ごとに制御されている様子ですが、EOS Kiss X2は基本的には1段ごと、でもまれに中間にも設定されるという感じです。

 それからモードにもよりますが、EOS Kiss X2は晴天の屋外など十分に明るい状況ではISO100に設定されますが、EOS 40Dはその程度の明るさではISO400に設定されてしまいます。強烈な光源を画面内に入れるなどしないかぎり、ISO400以下が現れることはありません。どちらがよい悪いは別にして、ずいぶんと性格の異なる様子です。


ダブルズームキットに付属するEF-S 55-250mm F4-5.6 IS
 ところで、これまでキヤノンMJの広報機材でレポートしてきたのですが――結局買っちゃいましたよ! (笑) EOS Kiss X2ダブルズームキット。仕事の帰りに都内の量販店で。消費税込み12万6,400円でした。それに通常の10%ポイントと期間セールポイント3%、GW特別デジタル一眼レフセール5%、計18%の2万2,752円分のポイントが付きました。

 オマケでキヤノンの小さなカメラバッグと、キヤノンデジタル一眼購入者対象の福引で末等から2番目が当り、ハクバのレンズクリーニングクロスをもらいました(福引は上位はディズニーランド招待券など)。

 キットレンズの標準ズームレンズ「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」は、EOS 40D用に以前すでに購入済みでした。でも今回の試用でダブルズームキットの望遠ズームレンズ「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」の軽さと手軽さが気に入ってしまって。でも望遠ズームキットなんて設定はないし、ボディとレンズをバラで買うとダブルズームキットよりも割高になるので、ダブルズームキットにしました。

 実はEOS Kiss X2の購入を決断した最大の理由があります。EOS Kiss X2で初搭載された機能がその理由ですが、これはまた次回以降で詳しく報告したいと思います。

 今回は連写性能とAIサーボAFを試してみました。秒間の連写性能は3.5枚/秒です。EOS Kiss Digital Xの3枚/秒よりもちょっと性能が上がっています。5枚/秒とかそれ以上が手軽に味わえてしまう現在では3.5枚/秒だと物足りなさを感じるかもしれませんが、かつての銀塩フィルム35mm判一眼レフの中級機では、わざわざ外付けのモータードライブを装着し単3電池8本も入れてやっと3.5枚/秒だった時代もあるので、ボディ単体でこの数値は立派なモノだと思います。

 連続撮影枚数も頑張っています。RAWはファイルサイズが大きいのでほぼバッファのサイズで決まってしまいますが、6枚までは連写し続けられます。エントリー機としては立派なモノでしょう。ちなみにかつてのEOS 20DもRAWだと約6枚という仕様でした。でもEOS Kiss Digital XのRAWで約10枚よりは減っています。高画素化とA/D変換14bit化により、RAWのファイルサイズがEOS Kiss Digital Xの約1.5倍になったためだと思われます。

 JPEGだとバッファ容量とメディアへの転送速度が関係してきます。カタログスペックではJPEGラージファインで約53枚となっています(EOS Kiss Digital Xは約27枚、EOS 40Dは約75枚)。

 EOS Kiss X2でちょっと困るのが、ファインダー内に表示される連続撮影可能枚数表示が1桁の数字で表してあり、9枚以上は全て「9」と表示されることです。EOS 40Dやそれ以上の上級機では2桁表示となり、どんなに遅いメディアであってもとりあえずバッファに貯められる分の枚数が表示されるので、撮影前にどのくらいの枚数連写し続けられるかの目安は得られます。

 でも1桁表示のEOS Kiss X2は、RAW(+JPEG)や「高感度撮影時のノイズ低減・する」に設定した以外、どの記録画質でも9枚以上は連続撮影できるので、いったいどこまでできるのかカタログ数値以外に目安がありません。非常に気になったので、実際に試してみました。


今回EOS Kiss X2でテストしたSDHC/SDメモリーカード
 その前に、連続撮影枚数はメディアへの転送速度も大きく関わってくるので、筆者所有のメディアの中からいくつか選んでテストしてみました。

 テスト方法は、ISO100、ピクチャースタイル:ニュートラル、シャッター速度1/4,000秒、ボディキャップを付けてRAWで100枚撮るまでシャッターを押し続けます。

 1枚目がメディアに記録されはじめた時刻(Exifの撮影時刻)と100枚目の記録が終わった時刻(PCのプロパティの更新時刻)から100枚分をメディアに記録するのに要した時間を調べ、100枚分のデータ容量を時間で割ってメディアへの転送速度を導きました。

 ボディキャップを付けた状態は通常の撮影ではあり得ませんが、条件を均等にできるのと、実際の被写体で1枚のファイル容量が増えたとしてもメディアへの転送速度は変わらないのでこの方法を取っています。メディアは事前にEOS Kiss X2で物理フォーマットを行ないました。

 結果は以下の通り(少数点第二位以下を四捨五入)。

EOS Kiss X2での転送速度
メディア 容量 転送速度
パナソニックHISPEED 2GB 9.3MB/秒
レキサー133倍速 2GB 15.9MB/秒
パナソニックSDHC Class6 4GB 11.9MB/秒
ATP SDHC Class6 4GB 15.9MB/秒
pqi SDHC Class6 4GB 3.2MB/秒
サンディスクExtremeIII SDHC Class6 8GB 15.2MB/秒
パナソニックSDHC Class6 16GB 14.4MB/秒
上海問屋SDHC Class6 16GB 3.6MB/秒


 一流と言われるブランドのメディアはなかなかの好結果ではあります。ただ、他メーカーのデジタル一眼レフでは全く同じメディアと同じテスト方法で19.8MB/秒というメディアの性能をギリギリまで引き出し、どんなに遅いメディアでもスピードクラス規定を下回らなかった機種もありました。EOS Kiss X2のメディア転送は特別に高性能とは言えないと思います。

 さて、実際に連続撮影を試してみました。メディアは8GBのExtremeIII SDHC Class6をまずは入れて、薄い雲がかかった青空に向けてシャッターを押し続けました。圧縮しやすい被写体なので、JPEGラージファインでサイズは約2.4MB。このくらいの被写体というかファイルサイズだと連写が途切れることはなく、1,000枚までは試しましたが、たぶんメディアがフルになるまで連写し続けることができるでしょう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


圧縮しやすい被写体の例として撮影した中の1枚。速いメディアなら、容量フルまで数1,000枚連写し続けられると思われる
EF 24-70mm F2.8 L USM / 4,272×2,848 / シャッター優先AE / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 24mm
こちらは圧縮しにくい被写体の例。速いメディアでも30数枚で連写は途切れてしまった
EF 24-70mm F2.8 L USM / 4,272×2,848 / シャッター優先AE / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 70mm

 次に庭木の葉っぱで圧縮しにくい被写体で試しました。同じくJPEGラージファインで約5.4MB。今度は35枚で連写が途切れてしまいました。カタログ上の約53枚というのは、同じくカタロク上のJPEGラージファインのファイルサイズ約4.3MBの場合だと思います。実際の撮影では被写体が圧縮しやすいかどうかでその都度変化してしまうということです。

 テストした中でもっとも遅いメディアでも試してみました。この場合はバッファメモリの容量への依存度が大きくなると思います。空は25枚、庭木は12枚という結果でした。同じ庭木をJPEGミドルファインだとファイルサイズが小さくなる分22枚まで増えました。

 一流ブランドの高速なメディアが理想ではありますが、その分価格は安くはありません。銘柄を選ばなければ4GBで1,600円という格安なものもありますが、速度はあまり期待できないでしょう。でも遅いメディアでも記録画質を落とせば連続撮影枚数は増やせます。JPEGミドルでも3,088×2,056ピクセル(約600万画素相当)の十分な高画質です。「普段は連写は必要ないから、メディアは安くすませたい」という場合、いざという時は記録画質の変更で十分対応できるでしょう。

 ちょっと奮発して高速メディアを手に入れれば、ISO100でも有効な「高感度撮影時のノイズ低減・する」で連続撮影枚数が全ての記録画質で2枚に激減しても、書き込みが速いので余裕で撮影ができます。試しにRAWで、通常の平均的な業務レベルのテンポでポートレートを撮影してみましたが、特に違和感はありませんでした。「高感度撮影時のノイズ低減・する」を使い、EOS Kiss X2の画質を最大限引き出せる設定でそれなりのテンポで撮影したい場合は、高速メディアの使用をお勧めします。

 連写といえばやはり動く被写体でしょう。EOS Kiss X2はCMでもわかるようにファミリー向けを大いに意識しているので、子どもの運動会での活躍も期待されます。娘の幼稚園の運動会は昔ながらの秋に行なわれるので、今回この企画には間に合いません。代わりに広い公園で走ってくるところを真正面から撮ってみました。普段の業務では動き回る被写体はほとんど全く撮らないので、5歳児のカケッコ程度でも筆者にとっては高難易度です。画面の中央に収め続けるので精一杯でした。

 撮影モードを変えながら撮っていて気付いたのですが、かんたん撮影ゾーンのスポーツモードで設定されるAIサーボAFと、応用撮影ゾーンでAIサーボAFを設定した場合とではシャッターの切れ具合が異なっていました。かんたん撮影ゾーンのスポーツモードだと、ピントが大きく外れているとシャッターが切れず、カメラはピント合わせに集中。応用撮影ゾーンでAIサーボAFを設定した場合は、多少ピントをはずしていてもシャッターは切れてしまうという感じです。


かんたん撮影ゾーンのスポーツモード。AFはAIサーボに自動設定される。かんたん撮影ゾーンで設定されるAIサーボAFはピント優先 応用撮影ゾーンで、AFをAIサーボに設定した液晶モニター表示。応用撮影ゾーンで設定されるAIサーボAFはレリーズ優先

 EOS-1D Mark IIIのAIサーボAFはピント優先とレリーズ優先を何段階か設定できる機能がありますが、EOS Kiss X2はこれと似た設定が、かんたん撮影ゾーンと応用撮影ゾーンとで自動的に切り替わっている様子です。この旨をキヤノンに問い合わせたところ、筆者が感じた通り、かんたん撮影ゾーンではピント優先、応用撮影ゾーンではレリーズ優先に設定されるとのこと。被写体やその動きによっては動作が大きく異なるので、使い分けるといいと思います。

 業務で使用するEOS-1D Mark IIIでも普段ほとんど全くAIサーボAF使いませんし、同条件でいろいろ試したこともないので、EOS Kiss X2の相対的な実力はわかりません。しかしファミリーフォトとしては、運動会のカケッコを連写し続けてLサイズのプリントで観賞できるのが1〜2枚もあれば十分なので、必要十分だと思います。今回の筆者の作例レベルなら、EOS Kiss X2を買ったその日に、全くの初心者でも撮れてしまうと思います。しかしこの程度でも、かつてのMF時代では相応の技術が必要でした。それが多くの人が買いやすい価格の機材で、誰にでも撮れてしまうのです。メーカーがEOS Kiss X2で目指したことが、まさにこれではないでしょうか。

 ちなみに秋に行なわれる娘の幼稚園の運動会本番で持っていくつもりのカメラは、EOS Kiss X2ではなくEOS 40Dです(笑)。さすがの上位機種。連写性能はEOS Kiss X2より大いに勝っています。今回ダブルズームキットで買ったEF-S 55-250mm F4-5.6 ISが活躍してくれそうです。


かんたん撮影ゾーンで連写

 スポーツモードで「ヨーイ、ドン!」から「ゴール!」までシャッターを押し続けました。顔が飛び気味なのは背景が暗いからでしょう。かんたん撮影ゾーンでは露出補正はできません。初心者が誤って露出補正して大失敗するよりは、露出補正をできなくしてしまう方がベターな選択なのでしょう。

共通設定:EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / 4,272×2,848 / スポーツ / 0EV / ISO400 / WB:太陽光


1/320秒 / F5.6 / 250mm 1/400秒 / F5.6 / 250mm 1/400秒 / F5.6 / 250mm

1/400秒 / F5.6 / 250mm 1/400秒 / F5.6 / 250mm 1/400秒 / F5.6 / 250mm

1/400秒 / F5.6 / 250mm 1/400秒 / F5.6 / 250mm 1/400秒 / F5.6 / 250mm

1/400秒 / F5.6 / 229mm 1/500秒 / F5.6 / 225mm 1/500秒 / F5.6 / 220mm

1/640秒 / F5.6 / 214mm 1/640秒 / F5.6 / 208mm 1/800秒 / F5.6 / 200mm

1/640秒 / F5.6 / 194mm 1/640秒 / F5.6 / 187mm 1/800秒 / F5.6 / 179mm

1/800秒 / F5.6 / 171mm 1/800秒 / F5.6 / 163mm 1/640秒 / F5 / 154mm

1/800秒 / F5 / 146mm 1/800秒 / F5 / 135mm 1/800秒 / F5 / 135mm

1/800秒 / F5 / 131mm 1/800秒 / F5 / 123mm 1/800秒 / F5 / 123mm

1/800秒 / F5 / 116mm 1/800秒 / F5 / 109mm 1/800秒 / F5 / 96mm

1/800秒 / F5 / 79mm 1/640秒 / F5 / 70mm 1/800秒 / F5.6 / 60mm

1/640秒 / F5 / 55mm

 約200枚ほど撮影した中からセレクトしてみました。ポスターにするわけではないし、これだけ撮れていればファミリーフォトとしては十分だと思います。

 なお、芝生が圧縮しにくかったためかファイルサイズが大きく連写が途切れがちになったので、途中で記録画質をJPEGミドルファインに切り替えました。


EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / 2,848×4,272 / スポーツ / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 70mm EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / 2,848×4,272 / スポーツ / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 70mm

EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / 2,056×3,088 / スポーツ / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 /WB:オート / 123mm EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / 2,056×3,088 / スポーツ / 1/800秒 / F5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 84mm

EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / 2,056×3,088 / スポーツ / 1/640秒 / F5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 55mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissx2/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(EOS Kiss X2)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#eos_kiss_x2
  キヤノンEOS Kiss X2関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7809.html



野下義光
(のしたよしみつ)熊本県生まれ、千葉県育ち。国立木更津工業高等専門学校機械工学科卒業後、エンジニアとして大手コンピューター会社に5年勤務。その後、夢を捨てきれず写真界へ身を投じる。現在ジュニアアイドルを中心にWeb、DVDジャケ写などで活躍中。フルデジタルの写真集も多数手がけている。趣味はネットオークション(笑)

2008/05/08 14:37
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.