デジカメ Watch
最新ニュース

ニコンD300【第1回】
久しぶりにニコンユーザーに

Reported by 大浦タケシ


 個人的には、D300はD70以来久しぶりに購入したニコンのデジタル一眼レフだ。購入に至った動機はしごく簡単。発売前に触ってみて、ミドルレンジクラスのカメラとしての完成度の高さを強く感じたからだ。

 実はD200が発売されたとき、馴染みのカメラ店にレンズやアクセサリーなどシステム一式の見積もりを出してもらったことがあった。D300と同様、完成度の高さを感じたからである。残念ながらその時は予算の都合で購入を断念したが、今回は手持ちにわずかながら余裕があったのと、同時に購入するレンズをAF-S DX Nikkor 17-55mm F2.8 Gの1本に絞ったので、すんなり購入することができた。ちなみに、ほかに購入したものといえば予備のバッテリーのみ。D200はその持ちに不安を抱えるものであったが、D300ではだいぶ改善されているようなので、差し当たって2個追加とした。

 筆者自身は、どちらかといえばキヤノン派ユーザーである。仕事での撮影も個人的な作品撮りも、EOS Digitalシリーズを愛用している。現在のメインはEOS 40Dだ。そのため、今回のリアルタイムレポートでは、一部キヤノン派ユーザーからの視点に立ったレポートとなることや、40Dとの比較が多くなるかもしれないことをお断りしておきたい。

 さて、手許にD300が届いたのは発売日当日だったので、かれこれ4カ月近く使用していることになる。まずリアルタイムレポート第1回目では、使って4カ月の自分なりの感想を述べることにしよう。

 D300の適度な重量感や心地よいシャッター音は、撮る気を大いにそそるものだ。ボディは40Dと比べたとき、ちょっと大柄で重いかなぁと思っていたが、実際に撮影するときはほとんど気にならない。前述のAF-S DX Nikkor 17-55mm F2.8 Gを装着したときのホールディング性も良好。ホールドしたとき、左の手のひらに当る部分が緩やかなカーブとなっているのと、グリップの右手指先部分を置くところが少し引っ込んでいて実に持ちやすい。

 シャッター音も、ちょっと軽い40Dと比べると別次元といった感じ。買った早々はやや甲高く聞こえたこともあったが、2カ月目頃からはアタリが付いたのか落ち着いたように感じる。D200から受け継がれるカメラとしてのつくりのよさも、文句ないものである。

 操作性に関しては、まれにEOSのサブ電子ダイヤルが恋しくなるが、違和感を強く感じてしまうことや、使いにくくてどうしようもないというようなことはほとんどない。筆者は、カスタム設定でコマンドダイヤルの回転方向と露出補正のインジケーターの方向をデフォルトとは逆にセットしている。そちらのほうが視覚的にも動作的にも体に馴染んでおり、とっさに露出補正をしなければならないときなど、直感的な操作ができるからだ。


カスタム設定で、液晶パネルとファインダー内のインジケーターの+と-の方向が選択できる。デフォルトでは左側+、右側-だが、ほかのメーカーに倣い左側-、右側+に設定した
インジケーターの方向と同様にコマンドダイヤルの回転方向も変更。従来からのニコンユーザーにはあまり関係ないかもしれないが、ほかのメーカーのユーザーは使い勝手がぐっと向上するはずだ

 描写に目を移すと、デフォルトの仕上りではキヤノンにくらべ、ちょっと色が乗り過ぎに感じてしまう。シャープネスもきつく、時折ベタッとした色調になる。どちらかといえばあっさり系といえるキヤノンに慣れた目だと、よくいえばコクのある描写、悪くいえば出来のあまりよくないコンパクトカメラのような描写に感じられてしまう。これに関しては、ピクチャーコントロールで彩度をはじめとする仕上りの微調整が個々に行なえるので、いずれ検証してみたい。

 ノイズなどに関しては概ね不満はない。さすがにISO1600を越すとノイズの浮き出しを強く感じるようになるが、それでも従来よりも大幅に改善されている。こちらに関してもいずれ比較検証してみることにする。

 14bit RAWに設定すると、フレームレートが極端に悪くなるといった使い勝手の悪さもわずかながら散見されるが、自分にとって概ねD300は期待どおりのカメラ。DXフォーマット用の広角ズームや専用ストロボなども揃え、仕事でも使っていこうかと現在考えている。


拡張機能まで含むと最大感度はISO6400。ノイズレベルは低く、高ISOの感度域でも実用域といえるほどである。これに関しては、ノイズリダクションの効果も含めて実際に検証していく ピクチャーコントロールではそれぞれの仕上りに対し、シャープネス、コントラスト、彩度などの微調整ができる。スタンダードの場合、個人的にデフォルトではちょっと好みに合わないので、いずれ細かく調整していこうと思っている

RAWの記録が14bitでも可能となった。より有利な諧調特性が得られるが、連写枚数が6枚/秒から2.5枚/秒へと大幅にダウンしてしまうのは考えもの。ポートレートなどではサクサクと撮れず、使いづらい
個人的にはほとんど使わないが、ライブビュー機能も備えている。ユニークなのは三脚撮影モードではコンパクトデジカメ同様、コントラストAFが機能すること。長玉を使った風景撮影などでは重宝しそうだ

作例

※作例下の撮影データは、記録解像度/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/レンズ/実焦点距離を表します。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を開きます。


2,848×4,288ピクセル / 絞り優先AE / 1/250秒 / F6.3 / -1EV / ISO200 / 昼光色 / タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di II / 250mm
冬の西陽を浴びる東京タワー。どんな構造物よりも東京を感じさせてくれる。タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di IIのテレ端で撮影。露出補正のとき、ニコンのスケールとダイヤルの方向にはよく戸惑う。自宅のマンション8階より
2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/400秒 / F10 / 0EV / ISO400 / 昼光色 / タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di II / 145mm
一瞬、街灯の上にいるカラスがつくりもののように見える。100%の視野率とともに方眼が液晶表示されるため、正確なアングルを得ることが容易。また、ピントの山の把握もしやすいほうに感じるカメラである

2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/400秒 / F10 / 0.3EV / ISO400 / 昼光色 / タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di II / 200mm
ミドルレンジ機としては重いカメラだが、その分望遠レンズを使ったときなど風などの影響を受けにくく、安定して構えることができる。しかし、古いニッコールレンズなど使ったときには、ボディ内手ブレ補正があったらと思うことも
2,848×4,288ピクセル / プログラムAE / 1/400秒 / F8 / -0.7EV / ISO800 / 昼光色 / タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di II / 110mm
高感度でもノイズレベルが低いのも、D300のよいところ。写真はISO800での撮影だけど、ノイズレスといってよいほどその存在を感じさせない。D3には及ばないものの、ノイズのことを意識しないで気軽に高感度撮影が楽しめる

2,848×4,288ピクセル / 絞り優先AE / 1/250秒 / F4 / +0.7EV / ISO200 / オート / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 55mmコンポジットの撮影の合間に撮らせてもらったカット。こちらは純正のAF-S DX 17-55mm F2.8 G EDで撮影している。ベース感度がISO200なので、いつもより1段速いシャッターが切れるのもうれしい 2,848×4,288ピクセル / 絞り優先AE / 1/40秒 / F4 / +0.7EV / ISO800 / オート / AF-S DX 17-55mm F2.8 G ED / 55mm
キヤノンの絵づくりに慣れてしまっていることもあるためか、D300のはベタっとした色調のように感じる。もう少しあっさりさせたいため、いずれピクチャーコントロールのパラメーターで調整してみたいと考えている


URL
  ニコンD300関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/08/24/6897.html



大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2008/04/09 18:08
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.