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ソニーα700【最終回】
新ツァイスレンズ「24-70mm F2.8 ZA SSM」

Reported by 中村 文夫


今回の撮影には、すべて縦位置グリップを使用した。連載の始めに比べるとグリップの操作に慣れてきたので、かなり手に馴染むようになった。また今回使用したレンズは2本とも大きく重いので、縦位置グリップを付けたことでバランスが良くなり快適に使うことができた
 1月にスタートした長期レポートもついに最終回。ソニーαは2月に新製品が登場し、そちらに話題が集中しがちだが、少なくともこの原稿を書いている3月9日現在、α700はソニーの最高級機であることに違いはない。

 いずれにしても新製品のα200とα350は入門&中級機という位置付けで、高級レンズを組み合わせて使うにはパワー不足だ。やはり高品位レンズには高級機の組み合わせがベスト。ということで今回は、発売になったばかりのCarl Zeiss(カールツァイス)レンズ、Vario-Sonnar(バリオゾナー) T* 24-70mm F2.8 ZA SSMをメインテーマに選んだ。また1本だけでは寂しいので前から気になっていたGレンズの70-200mm F2.8 Gも合わせて取り上げることにしたい。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離/クリエティブスタイル/Dレンジオプティマイザーの各設定内容を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM

 ソニーはすでにCarl Zeissレンズとして、Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZAを発売しているが、こちらはDTの名前が示す通り、APS-Cサイズ専用レンズだ。これに対しVario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSMは35mmフルサイズをカバー。焦点距離もフルサイズ機の標準ズームを意識したものだ。α700に装着したときの画角は35mm判の36〜105mmに相当。広角側にもの足りなさを感じるが、フルサイズ機に対する先行投資と思えば致し方ない。


Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSMをα700に装着

鏡筒の側面にAF/MF切り替えレバーを装備。レバー中央にあるのは、AFボタン


 このレンズの最大径は83mmで全長は111mm。重量は955gで、縦位置グリップを取り付けたボディに装着すると総重量は約2.2kgにもなる。イメージサークルがフルサイズをカバーすることに加えF2.8という大口径なので、とにかく大きい。コンパクトさより描写性能を優先するというCarl Zeissレンズシリーズに共通した設計思想を貫いた結果と言えるだろう。鏡筒は金属製でヘリコイドとズームリングにゴム製ローレットを巻くなど、デザインも落ち着いていて高級感がある。さらにフードは花形でしかも金属製。ただこのフードはフルサイズ用に合わせてあるので撮像素子の小さなα700に組み合わせたときは十分に効果が発揮できない。オプションで構わないから、このようなカメラに合わせたフードがあるとよいのだが。

 製品名にSSMとあるように、このレンズのAFは超音波モーター駆動。AF時の作動音がほとんどせず、使っていてとても気持ちがよい。さらにIF(インナーフォーカス)の採用で、全長が伸び縮みしない。また実際に使ってみて便利に感じたのは、鏡筒側面にあるAF/MF切り替えスイッチだ。AF/MFの切り替えはボディ側のAF/MFボタンでも可能だが、このボタンの周辺には、ほかのボタン類も配置されているので、誤って違うボタンを押してしまうことがある。この点、レンズ側にAF/MFスイッチがあると誤操作が防げる。さらにこのスイッチはレンズに添えた左手の親指の位置にあり違和感もない。

 光学系には非球面レンズ2枚、ED(異常分散)ガラス2枚を使用。コントラストが高くシャープな画が得られる。さらにCarl Zeiss独自のT*コーティングを施しているので透明感が高く逆光にも強い。だが、何と言ってもこのレンズの最大の魅力は自然なボケ味だ。ズームレンズにありがちな変な癖がなく、どのF値でも単焦点距離レンズ並のボケが得られる。6回目のレポートで使用したVario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZAもなかなかよいレンズだったが、やはり総合的な性能は、こちらの方がワンランク上。値段は高いが、価格に見合った高性能レンズと言えるだろう。


広角端の24mmで撮影。画角はそれほど広くないが、手前の畑との対比で、より広角レンズらしく見せた
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 24mm/ ビビッド / DR+
望遠端の70mmで撮影。絞り開放だが周辺部でも崩れがない
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm / ビビッド / DR+

絞りは開放。右から2番目の版画にピントを合わせた。撮影距離が近いので背景がきれいにボケた
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm / ビビッド / DR+
広角24mmで近接撮影。手前の湯飲みの素焼きの質感が見事に再現された。背景のボケも軟らかくて自然
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 24mm / ビビッド / DR+

背景にピントを合わせて撮影。前ボケが美しい
24-70mm F2.8 ZA SSM / 2,848×4,272 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 55mm / ビビッド / DR+
暗部のトーンがつブレることなく、自然に再現された
24-70mm F2.8 ZA SSM / 2,848×4,272 / 絞り優先AE / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 60mm / ビビッド / DR+

茶碗の光沢のある肌がややトビぎみだが、全体のバランスはよい
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/40秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 24mm / ビビッド / DR+

●F値による変化


F2.8
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/320秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 70mm / ビビッド / DR+
F4
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/160秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート: / 70mm / ビビッド / DR+

F5.6
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/80秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート: / 70mm / ビビッド / DR+
F8
24-70mm F2.8 ZA SSM / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/40秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート: / 70mm / ビビッド / DR+

70-200mm F2.8 G

 このレンズは前回のレポートで紹介した300mm F2.8 Gと同時に誕生した製品である。ミノルタがコニカと合併する前のに開発された製品で、ソニーブランドに継承された。α700に組み合わせた場合の画角は105〜300mmに相当。特に望遠側では本格的な望遠撮影が楽しめる。


α700に70-200mm F2.8 Gを装着したところ DT以外のCarl Zeissレンズはフィルムカメラにも使用できる。ただしSSMレンズに対応しているのはα7(写真中のボディ)以降の機種

 このレンズのAF駆動はバリオゾナーと同じくSSM方式。ピント合わせの際に大きな光学系を移動させなければならない大口径望遠ズームに適した駆動方式である。

 光学系にはEDガラス4枚を使用。大口径望遠ズームで問題になりやすい色収差を徹底的に抑えている。ちなみに発売当時の商品名はミノルタAFアポ70-200ミリ F2.8 G (D) SSM。アポはアポクロマートの略で、赤と青に加え、紫の色収差の補正を行った光学系を意味している。

 またこのレンズが開発された当時、ボディ内に手ブレ補正機構を採用したカメラは発売されておらず、手ブレに対しては無防備だった。しかしコニカミノルタα-7 DIGITAL以降のボディに組み合わせれば手ブレ補正が利用可能。大口径との相乗効果で、手持ち撮影の領域が大きく広がることになった。


手前の格子にピント合わせた。絞ったときのボケも癖がなく好感が持てる
70-200mm F2.8 G / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/40秒 / F11 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 200mm / ビビッド / DR+
このレンズはズーム全域で1.2mまでピントが合うので、接写にも強い
70-200mm F2.8 G / 4,272×2,848 / 絞り優先AE / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 200mm / ビビッド / DR+

最後に

 今回の長期リアルタイムレポートでは、レンズをテーマに取り上げることが多くなったが、やはりα700のような超1,000万画素クラスのカメラにとって、レンズが重要なカギを握っていることを強く感じた。なかでも、Carl Zeissレンズの描写性能は非常に高く、α700の性能をフルに発揮させるには最高のパートナーと言えるだろう。誤解を招かないように説明しておくが、決してCarl Zeiss以外のレンズの性能が悪いわけではなく、Carl Zeissレンズが、さらにもうワンランク上だということだ。

 現在発売中の4本のCarl Zeissレンズのうち、3本までが35mmフルサイズに対応。間違いなくフルサイズ機の登場を見据えてのことだが、恐らくフルサイズ機にCarl Zeissを組み合わせると通常レンズとの差はさらに顕著になるだろう。

 画素数の多さという点では、すでに中級機のα350が1,420万画素を実現しているが、ファインダーの見えや全体の作りなどカメラとしての総合的な完成度は、やはりα700の方が格が上。今後ソニーがどんな商品戦略を展開するかは不明だが、APS-Cサイズの上級機としてα700の地位が揺らぐことは、しばらくないだろう。ただし相次ぐ新製品の登場で実勢価格はやや下がり気味。そんな意味でα700は、お買い得なカメラと言えるのではないだろうか。

【2008年3月13日】初出自にSSMレンズへの対応について、「α9の場合は、サービスセンターでファームウェアをアップする必要がある」と記載しましたが、ソニーでは同様のサービスを行なっておりません。かつてコニカミノルタがファームウェアアップデートではなく基板交換で対応していた時期がありましたが、コニカミノルタ時代に部品が払拭したため、事業移管後もソニーが同サービスを引き継ぐことはありませんでした。お詫びするとともに、該当部分を削除いたします。



URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報(α700)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A700/
  製品情報(Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM)
  http://www.ecat.sony.co.jp/dslr/lens/lens.cfm?PD=30724
  製品情報(70-200mm F2.8 G)
  http://www.ecat.sony.co.jp/dslr/lens/lens.cfm?PD=24679
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(α700)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#a700
  ソニーα700関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/07/6998.html



中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2008/03/10 18:14
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