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オリンパスE-3【第7回】
風景撮影でライブビューがラクチンなこと

Reported by 北村 智史


 発売予定のものも含めると、現行のデジタル一眼レフは26機種あって、そのうちのライブビューが使えるのは実に14機種にもなっていたりする。気が付けば過半数(時間制限付きの富士フイルムFinePix S5 Proを別にすればぴったり半分ですけど)。

 最初にフルタイムライブビューを搭載したオリンパスE-330が登場したのが2006年2月だから、ほんの2年でこれだけ普及したことになるわけで、ちょっとびっくりである。

 が、その中で、液晶モニターが動かせるのはというと、E-3とパナソニックのLUMIX DMC-L10のほかは、上下方向だけ動かせるソニーα350。たったの3機種しかないのである。

 液晶モニターを固定式にするメリットは、小型軽量化の面で有利になること、強度や耐久性が得やすいこと、画面サイズを大きくしやすいことなど。

 可動式にすれば、外装板が2枚増えることになる。その分、ボディの奥行きが増えるし、重さも増える。ヒンジなどのメカも必要になるし、ぶつけたときに大丈夫なのか、なんて問題もある。また、液晶モニターの枠の分のスペースが必要になるから、画面サイズも小さめにせざるをえない。

 一方、可動式にするメリットは、自由さ。これに尽きる。ローアングルやハイアングルといった条件でも、楽な体勢で画面が見られること。地面に這いつくばったり、脚立がないことをうらめしく思ったりする必要もない。

 が、そういった特殊な条件だけでなく、ごく普通の三脚撮影時にもありがたみは実感できる。なにしろ、三脚に合わせて腰をかがめたり、爪先立ったりしなくていいのである(不惑も半ばをすぎると、こういうのが少しずつきつくなってくるんです)。


こういうシチュエーションで撮ることはあまりないけれど、ライブビュー+可動式液晶モニターだと普通に立ったまま快適に撮れる
 真上に近いところにある被写体を撮るときも、今までならカメラの下に潜り込むようにしながら、思い切りのけ反ってファインダーをのぞかなくてはならなかったのが、ライブビュー+可動式液晶モニターだと、普通に立ったまま撮れてしまう。この快適さを味わってしまうと、液晶モニターの動かないライブビューが物足りなくなってくるのだ。

 ただ、ライブビュー画面を見ながらカメラアングルを決めるというのは案外に難しい。単に筆者がへたくそなだけかもしれないが、被写体を画面におさめて、ある程度構図とフレーミングを決めるまではファインダーのほうが効率がいいように思う。

 で、それからライブビューに切り替えるわけだが、例によってアイピースシャッターを閉めろとメッセージが出る。いい加減、こちらはうんざりしているのだけれど、機械は律義である。この表示はアイピースシャッターをきちんと閉めていても出る。映画館で席に座って携帯電話のスイッチを切ろうとしたところに「携帯電話のスイッチ切ってください」と赤の他人から言われたときのような、やり場のない怒りに駆られるのである。

 まあ、それはいいとして、ライブビューでフレーミングの微調整をやって、拡大してピントをチェックして、ヒストグラムを見ながら露出を決めて(結局、段階露光しちゃうけどね)、といった具合。動く被写体を撮るのには向いていないけれど、のんびり撮れるときにはぴったりだ。

 筆者の場合、三脚撮影のときはたいてい低振動モードを使う。シャッターボタンを押すとミラーが先に上がって、設定した時間が経ったらシャッターが切れるもの。ようはミラーアップ併用セルフタイマーなのだが、E-3では使い勝手がよくなっている。

 E-410やE-510では、メニューで「OFF」になっているのを「3秒」とか「5秒」とかに設定しなくてはならなくて、短くていい人はいいが、10秒以上のを多用する人にはオンオフの切り替えがかなり面倒くさかったはずだ。それがE-3では、メニューで先に秒数をセットしておく。この状態で、低振動モードがドライブモードに追加されるので、オンオフはスーパーコンパネで切り替えられる。1コマ撮りの状態からだと、ダイヤルを左方向に1クリック回せばいいだけなので、すごくラクチンなのだ。

 風景だと、標準から広角は手持ちで撮ることも少なくないが、望遠は三脚に載せる機会が多くなる。ある程度シャッター速度が低くなると、低振動モードの出番になる。手持ちで撮ったり三脚を使ったりを頻繁に行き来する人にとってはけっこううれしい改良なわけである。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


都心に雪が積もったのはけっこう久しぶり。日陰に少し残っていたのをローアングル+ライブビューで
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F8 / ISO100 / 0EV / WB:晴天 / 200mm
今回はできるだけ三脚+ライブビューで撮るつもりだったが、これは手持ちでファインダー撮影
ED 50mm F2 Macro / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm

オリンパスの液晶モニターはコントラストが高く、中間調から暗部が沈みがちに再現される。その分を計算しつつ(たいていはあてずっぽうに近いが)露出を決めないといけない。だいぶ慣れたけど
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/13秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 130mm
近づけない場所にある小さな滝。200mm(400mm相当)まであると、なんとか画になる。暗いので低振動モードが大助かりである
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/3秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

シャッター速度を落としたかったのでF16。ちょっと絞りすぎかもしれない。飛沫のブレた線が色とりどりなのは偽色だろうか
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F16 / ISO100 / WB:晴天 / 200mm
撮影時にもヒストグラムは見られるが、白トビや黒ツブレは撮ってみないとわからない。ライブビュー画面で白トビや黒ツブレを表示してくれるようになるといいのにね
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 200mm

低い場所にあった花だったので、ファインダー撮影だと背中を丸めてファインダーをのぞくことになる。でも、ライブビュー+可動式液晶ならラクチン。ああ、幸せって感じ
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 200mm
梅の香りを楽しみながら撮るのはいいが、花の密度が低い分、画面構成が難しくてどうも苦手だったりする
ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 169mm

ほぼ真下から撮ったカット。ライブビュー+可動式液晶モニターがなかったら、たぶん撮ろうと思わなかったシーン
ED 50mm F2 Macro / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm
三脚が寄せられない状況だったので、これも手持ち。ライブビューでの三脚撮影に慣れると、手持ちのファインダー撮影はピントが不安でたまらなくなる
ED 50mm F2 Macro / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 50mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e3/
  オリンパスE-3関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/10/18/7222.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(現在進行中・2008年終了分)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm



北村 智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2008/02/08 12:28
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