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オリンパスE-3【第6回】
AF性能をチェックする

Reported by 北村 智史


 今回はAFのチェックをやってみた。近づいてくる電車を駅のホームからC-AF(コンティニュアスAF)で連写して、しこたま撮った画像の1コマ1コマのピントの合い具合をチェックするのである。

 使用したレンズはZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD。C-AFでシャッターボタンでAF作動。E-3は中央の測距点と右端の測距点の2カ所について、比較用のE-410は中央の測距点のみの計3パターンでテストしている(いずれも測距点は任意選択で1点のみ)。なお、E-3はAFターゲットサイズ(測距エリアの広さ)は標準、AFロックオンはオフ、レリーズ優先に設定している。ちなみに、E-410のコマ数が少ないのはトライした回数が少なめなことに加えて、連写スピードが遅いことによる。


  • 作例のリンク先は、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


テストではかなり遠めから、こんなふうに画面から思いきりはみ出すまでを連写。枚数優先なので、ラージサイズのベーシック画質である。これで撮影距離がどれぐらいなのかはわからないが、うまくカメラを振れたときはちゃんとピントが合っている
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/1250秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
 例によって、ピクセル等倍で見てピントが合っていると見なせる「○」画像(ちょっとアマい気もするけどまあ勘弁してやるか的カットも混じってるけど)、50%縮小表示でピントが合っていると見なせる「△」画像、50%縮小表示でピントが合っていない「×」画像に分類し、それぞれの率を比べてみた。

 結果は表にまとめたとおりで、小さなサイズのプリントなら不満を感じないだろう「○+△」率ではE-410も悪くはないが、ピクセル等倍でもOKな「○」率で見ると、E-3とE-410の力の差は歴然としている。つまり、E-3のほうが格段に精度が高いということだ。さすがに右端の測距点での「○」率は、光学的に条件のいい中央の測距点に比べると落ちはするが、画面中心からの離れ具合から考えれば優秀と言っていいレベルだと思う。

いちばんよかったのは、予想どおりE-3の中央測距点。ピクセル等倍で見てもOKな「○」画像の率が50%以上という好成績だ。右端の測距点でも「○」画像率が44%というのはかなり立派な数字だと思う。
 使用測距点撮影画像数○画像率△画像率○+△画像率×画像率
E-3中央259枚52.1%(135枚)20.1%(52枚)72.2%(187枚)27.8%(72枚)
E-3右端279枚44.1%(123枚)22.6%(63枚)66.7%(186枚)33.3%(93枚)
E-410中央139枚33.8%(47枚)38.1%(53枚)71.9%(100枚)28.1%(39枚)


 ほかのメーカーの機種と横並びで比べたわけではないので何とも言えない部分はあるが、以前ほかの雑誌でニコンD200のAFの企画をやったときの同様のテストの結果と比べると、E-3の勝ちである。D200はいったんピントを見失うと、数コマ(あるいはそれ以上)ピンボケが連続する傾向があるが、E-3は立ち直りが早い。ピントがアマくなった次のカットではちゃんとピントが合っているというケースが多かった。

 反面、撮影距離が遠い条件でピントが外れるケースが目立ったのは気になる点(E-410も同じことが言えるがE-3よりはマシな感じ)。電車が近づいてきたときの粘り強さとは対照的に、ちょっと絞れればAFなしでもOKみたいな遠距離のときのピンボケ率が、ほかのメーカーの機種よりも高い感じがするのである。まあ、個体差の問題とかレンズとの相性とかかもしれないが、ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWDもC-AF時の遠方の被写体への合焦精度を改善するファームウェアアップデートがリリースされていることを考えると、こちらもカメラかレンズのファームウェアアップデートで直る可能性が高い。


「○」画像はピクセル等倍でピントが合っていると見なせるカット
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/1000秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
「△」画像は50%縮小表示ではピントが合っているように見えるが、ピクセル等倍ではピンボケなカット
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/800秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

「×」画像は50%縮小表示で見てもピンボケなカット
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/1250秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
どういうわけか、撮影距離が遠いのにピントが外れるカットが少なからず見られた。理由は不明だが、この問題がなければもっと好成績をおさめていたはず
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/1250秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

右端の測距点を使って撮ったカット。多少AFの精度は落ちるが、フレーミング的には落ち着きがいい
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/1600秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
これも右端の測距点を使用。やっぱり遠距離はピンボケする率が高いが、近距離は頑張ってくれる
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/1600秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

ファームウェア更新でフォーカス操作が快適に

 ところで、1月29日にE-3のファームウェアVer.1.1が公開された。世間的には、焦点距離入力によってフォーサーズ以外のレンズでも手ブレ補正が行なえるようになった(マウントアダプターを併用してMFレンズなどを使っている人には朗報である)のが注目のポイントだが、筆者としては「AFスタートボタン(AEL/AFLボタンやFnボタン)を離すとすぐにフォーカシングを停止する」仕様に改善されたことのほうがうれしい。

 これは“親指AF”+C-AF時に起きていた、ボタンから指を離してもAF駆動がしばらく止まらないことがあるという問題(AF駆動が終わらないうちにフレーミングを調整したりすると、ピントが背景に合っちゃったりするのだ)を解決するもので、“親指AF”+C-AFを常用する筆者にはとてもありがたい改善である。

 どうして“親指AF”+C-AFなのかというのは、E-510の長期レポートにも書いたように、このコンビネーションならほとんどのシーンに切り替えなしで対応できるからだ。AEL/AFLボタンまたはFnボタンを押しっぱなしにすればC-AFだし、押して合焦後に離せばAFが止まるのでS-AF(シングルAF)的にも使える。AF方式を「C-AF+MF」にしておけば、S-AF、C-AF、MFの3つのフォーカスモードを親指1本で自在に使い分けられるのである。どんなに暗くなってもAF補助光が発光してくれないことを除けば、最強のAFテクニックである(と、筆者は勝手に思っている)。

 それが前述の問題のおかげで、撮影条件によってAFモードを使い分けるという不便を強いられていたのが、今回のファームウェアアップデートでやっと解消。安心して“親指AF”+C-AFのコンビネーションが使えるようになった。というわけで、とってもうれしかったりするのである。本音を言えば、最初からこんな問題が起きないようにしておいてもらいたいし、同じ問題をかかえているE-410やE-510のアップデートも待たれている。

 さらについでに書くと、たぶんあちこちから言われているだろうが、十字キー単独操作で測距点の移動ができるようにもしてもらいたい。E-3はAFターゲットボタンを押して前後の電子ダイヤルまたは十字キーの操作が必要だが、ニコンなら十字キー(マルチセレクター)だけで測距点の移動ができる。どちらが便利かは言うまでもないし、E-3の十字キーは撮影時には遊んでいるのだ。従来のボタン+ダイヤルまたは十字キー操作に馴染んでいる人もいるだろうから、カスタム機能で切り替えられるようにしておけばいいだけの話だし、Ver.1.4ぐらいではなんとかしてもらえないかなぁとこっそり思っているのである。


飛んできたカモが着水したところ。もちろん、ねらって撮ったカットではなくて、運である
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
“親指AF”+C-AFでシングルAF的にピント合わせをしたあと、マニュアルで微調整しながら撮った中の1カット。ファインダー倍率が上がったおかげでMFでもピントが見えるのがうれしい
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

めでたくザリガニをゲットしたシラサギ。しばらくは悪戦苦闘していたが、最後には頭から丸飲みした
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / -1.3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
ダイナミックシングルターゲットAFモード(ニコンのグループダイナミックAFと同様の機能)で中央の測距点を選択。顔にピントが合っていないのはイマイチだが、動くものをほとんど撮らない筆者の腕前を考えれば上出来
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 200mm

ダイナミックシングルターゲットAFモードは、選択した測距点でピントが合わないときに、その周囲の3ないし4点でピントを合わせてくれるもの。ちゃんと追えるようになれば、ピントもぐっとよくなるんだろうけど
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F3.5 / -1.3EV / ISO400 / WB:オート / 200mm
至近距離で手持ち+C-AF撮影というのは、実はAFには辛い条件。身体の揺れのせいで撮影距離が不規則に変化するのだから、ことによると走る電車よりも難しいかもしれない。中央からひとつ右の測距点を使用
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

こちらは中央の測距点を使って“親指AF”+C-AF。最短撮影距離の1.2m付近で撮っている。400mm相当の画角の至近距離でもAFが使えるというのは、今までのオリンパスからは想像もできなかった進化だ
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F3.5 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 200mm
人慣れしているのか、体調が優れないのか、これだけ近づいても逃げる気配がなかった。この距離で9コマ撮って、3コマはピントが合っていた
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO400 / WB:オート / 200mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e3/
  オリンパスE-3関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/10/18/7222.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(現在進行中・2008年終了分)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm



北村 智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2008/02/01 00:01
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