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ソニーα700【第2回】
ミノルタ単焦点レンズを試す

Reported by 中村 文夫


今回試したレンズ
 JPEG派の私にとって、Dレンジオプティマイザー(以下DROと表記)は、まさに打って付けの機能だ。とにかくDROをオンにしておけば露出補正の煩わしさから解放され、軽快に撮影が楽しめる。

 DROにはスタンダード(以下DRと表記)、アドバンスオート(以下DR+と表記)、アドバンスオートレベル設定の3種類があるが、いろいろ試した結果、DR+が私の好みにいちばん合っていることが判明。DR+をデフォルトで使うことに決めた。ただし場合によってはDROの効果が効きすぎることがあるのでカスタムボタンの機能をDROに設定。撮影した画面を見て気に入らないときは、すぐに設定を変えられるようにした。

 DROの話題から入ってしまたっが、今回のメインテーマはα700と単焦点レンズの相性。ボディとセットで借りているDT 16-105mm F3.5-5.6の1本だけでは物足りないので、手持ちの単焦点レンズを使うことにした。ただし私が持っているα用レンズはフィルム時代の旧製品が中心。デジタルで使うことなど、想像しえなかった時代の設計だが、意外なほど健闘してくれた。またα700なら、旧レンズでも手ブレ補正機能が利用可能。旧αユーザーにとって、この点も大きな魅力だ。

 それでは今回の撮影結果を焦点距離の短い順に紹介することにしよう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/DRO設定を表します。


ミノルタAF 20mm F2.8

ミノルタAF 20mm F2.8
 最初は20mm F2.8。撮影に使用したのは第1世代の製品である。光学系は現行品と同じだが絞りの形が円形になっていない。α700に組合わせたときの画角は約30mm。魚眼レンズを除き、α用単焦点レンズのなかで、このレンズの焦点距離が一番短い。

 写真下の作例は、最初はDR+で撮影。太陽が白トビしてしまったので、アドバンスオートレベル設定3にしなおした。だがそれでもダメなので、1EVマイナス補正。何とか満足のゆく露出になった。このように極端に輝度差のある条件では、DROでも露出補正が必要になる。


20mm F2.8 / 4,272×2,848 / 1/1,000秒 / F9 / -1EV / ISO100 / WB:オート / アドバンスオートレベル設定3

まずは露出補正なしで撮影
20mm F2.8 / 4,272×2,848 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / DR+
機体の白トビが気になったので、左の状態で少しだけマイナス補正した
20mm F2.8 / 4,272×2,848 / 1/320秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / DR+

ミノルタAF 24mm F2.8

ミノルタAF 24mm F2.8
 画角は36mmに相当。現在ソニーは24mmの単焦点レンズを発売していないので、この画角を単焦点レンズで楽しむには中古レンズを選ぶしかない。

 日が暮れて来たので、試しにクリエイティブスタイルを使ってみることにした。α700には夕景と夜景があるので、とりあえず撮り比べてみたところ、夕景は画面全体が赤っぽくなった。説明書を確かめたら「夕焼けの赤さを美しく再現します」とある。夕景=黄昏時と解釈したのが間違いだったが、夕焼けと表記してくれた方が混乱しないと思うのだが……。


クリエイティブスタイルを夜景に設定。夜空が青っぽくなり、寒々とした冬らしい色味になった
24mm F2.8 / 4,272×2,848 / 1/50秒 / F3.2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / DR+
こちらはクリエイティブスタイルを夕景に設定
24mm F2.8 / 4,272×2,848 / 1/50秒 / F3.2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / DR+

ミノルタAF 28mm F2

ミノルタAF 28mm F2
 画角は42mmに相当。現行の28mmはF2.8のみで大口径タイプは発売されていない。このレンズは大口径でありながらコンパクト。標準レンズの代わりとして実用性が非常に高い。


窓の外の風景はトビぎみだが、逆光の雰囲気は良く出ている(風景モード)
28mm F2 / 4,272×2,848 / 1/20秒 / F9 / ISO200 / 0EV / WB:オート / DR+

ミノルタAF 35mm F2

ミノルタAF 35mm F2
 画角は52.5mmに相当。現在35mmの単焦点は開放F値1.4のGタイプがあるのみ。恐らくF2クラスのレンズが今後製品化されることはないだろう。


ISO400で撮影。夜空の部分のノイズはきれいに除去されている。ハイライト部がもう少し暗い方が、個人的には好み(夜景モード)
35mm F2 / 4,272×2,848 / 1/60秒 / F2.2 / ISO400 / 0EV / WB:オート / DR+
手前のポール状のイルミネーションにピントを合わせた。絞り開放なので背景のLEDがきれいにボケた(夜景モード)
35mm F2 / 4,272×2,848 / 1/125秒 / F2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / DR+
最高感度のISO3200で撮影。シャドー部のノイズは、よく除去されているが、中間調の部分ではかなり目立つ
35mm F2 / 4,272×2,848 / 1/80秒 / F2 / ISO3200 / WB:電球 / DR+

ミノルタAF 50mm F1.4

ミノルタAF 50mm F1.4
 α700と組み合わせると、75mm F1.4という大口径中望遠レンズになる。20mmと同様、光学系は現行品と同じだが、絞りの形が円形でない。距離エンコーダーも非搭載だ。


絞り開放で撮影すると軟調な描写になる。もちろんボケ味も軟らかい
50mm F1.4 / 4,272×2,848 / 1/800秒 / F1.4 / ISO100 / WB:オート / DR+

ミノルタAF Macro 50mm F2.8

ミノルタAF Macro 50mm F2.8
 レンズ単体で等倍までの接写ができるマクロレンズ。通常の接写に使う分には特に問題ないが、極端に絞りを絞るとフレアスポットが発生しやすいので注意が必要。


背景のボケが自然で、ネイチャーフォトに最適なマクロレンズだ
Macro 50mm F2.8 / 4,272×2,848 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / DR+

ミノルタAF 100mm F2

ミノルタAF 100mm F2
 α初期の大口径中望遠レンズ。短命に終わった製品なので、中古市場でもあまり見かけない。α700に組み合わせると、150mm F2として利用可能。被写界深度の浅い表現が楽しめる。


室内の薄暗い条件だが、DR+に任せたらかなり明るいイメージになってしまった
100mm F2 / 4,272×2,848 / 1/40秒 / F4 / 0EV / ISO800 / WB:オート / DR+
見た目のイメージに近づけるためマイナス補正。機体の曲面にメリハリが付き、立体感が増した
100mm F2 / 4,272×2,848 / 1/80秒 / F4 / ISO800 / -1EV補正 / WB:オート / DR+

絞り開放で撮影すると非常に被写界深度が浅くなる。ボケ味はきれいだが、拡大するとボケた部分の色にじみが目立つ
100mm F2 / 4,272×2,848 / 1/120秒 / F2 / 0EV / ISO800 / WB:マニュアル / DR+

ミノルタAF 135mm F2.8

ミノルタAF 135mm F2.8
 フィルム時代を象徴する古典的な焦点距離の中望遠レンズ。画角は202.5mmに相当し、本格的な望遠撮影ができる。


シャッター速度が1/2.5秒と遅いたため、ブレてしまった
135mm F2 / 4,272×2,848 / 1/2.5秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / DR+
ISO感度を400に上げて撮影。シャッター速度が1/10秒にアップしブレずに済んだ。
135mm F2 / 4,272×2,848 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / DR+

0EVでは見た目より明るく写ったので、マイナス補正して自分のイメージに近づけた。
135mm F2 / 4,272×2,848 / 1/8秒 / F4 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / DR+
葦の1本1本が鮮明に写っている。適度な圧縮効果により望遠レンズらしい描写になった
135mm F2 / 4,272×2,848 / 1/2,500秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / DR+

ミノルタAF Reflex 500mm F8

AF Reflex 500mm F8
 世界で唯一のAFレックスレンズ。現行品との違いは型名と外観だけで、画角は750mmに相当。α700では手ブレ補正が利用できるので手持ち撮影もOK。なおAF測距エリアは中央1点に限定される。


焦点距離が長く開放F値が暗いレンズだが、AFが使えるのでとても便利。ただα700で使うと、フィルムに比べて全体のコントラストが低くなる傾向があるようだ。
135mm F2 / 4,272×2,848 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / DR+

まとめ

 今回撮影に使用したレンズは、すべてデジタルカメラの登場以前に設計された古い製品である。だがReflex 500mm F8を除き、非常に満足のゆく結果が得られた。現在ソニーのレンズラインアップはズームレンズ中心で、単焦点レンズはフィルム時代の製品を継承したものばかり。もちろんカールツァイス製レンズという選択肢もあるが、今のところ大口径単焦点レンズは35mmしかなく、ラインアップ的にちょっと寂しい。営業的な見地に立てばズームレンズの充実が急務だろうが、いずれ余裕ができたら、単焦点レンズの開発にも目を向けて欲しい。

 今回のテーマからは外れるが、α700で夜景を撮影すると、全体に明るくなりすぎるという印象を受けた。ちょうど出始めの頃のコンパクトデジカメがこんな感じだった。夜景を夜景らしく見せるにはマイナス補正が必要という結論に達したが、α700のポジショニングを考えると疑問を感じざる得ない。特に夜景撮影時の露出については、研究の余地がありそうだ。


おまけ:ゴミ対策機能について

 今回のテーマとは直接関係ないが、単焦点レンズを使った結果、頻繁にレンズ交換を行なうことになった。そこで撮像素子に付くゴミについても調べてみた。撮影カット数は537カットで撮影中にレンズを交換した回数は24回。撮影前と後の画像を比べると確かにゴミが増えているが、ゴミの量は意外と少なく、α700のゴミ取り機能はかなり優秀と言えるだろう。


撮影前 撮影後(レイコールCCDチェッカー使用)


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A700
  ソニーα700関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/07/6998.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(現在進行中・2008年終了分)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm



中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2008/01/21 14:11
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