デジカメ Watch
最新ニュース

パナソニックLUMIX DMC-L10【第6回】
ライブビューを活かした多重露光

Reported by 安孫子 卓郎


 先週、松下電器産業株式会社が、パナソニック株式会社に社名を変更するとの発表がありました。松下とナショナルの名前を捨てて、世界ブランドとしてパナソニックに統一するとのことです。パナソニックとして現在はまだまだ小さいデジタル一眼レフカメラの売上ですが、新社名の下では中核になるよう、育っていってほしいものです。

 さて、銀塩カメラからデジタル一眼レフカメラに入る人にとって大切なもの。メーカーもいろいろ考えているでしょうし、モノクロームの撮影機能は特に重要だと思っていますが、それ以外にもいろいろな工夫が見えてきます。

 DMC-L10には、多重露光の機能があります。多重露光というのは、複数の画像を重ね合わせて合成された写真を撮影する機能のことです。フイルムでは、撮影時の多重露光をするために「フィルムを巻き上げない」という機能がありました。シャッターを切り、巻き上げをしないでもう一度シャッターを押せば、2枚の画像が重なって合成さたれ写真が撮れることになります。古いカメラでは巻上げをしそこなって勝手に多重露光されているようなこともあり、それはそれで面白い写真になることもありました。

 デジタル時代に入ると、レタッチソフトによりPC上で合成ができるようになりました。PCで作業すれば、任意の画像の任意の位置に、任意の部分を切り取り、任意の不透明度で合成できます。自由度はフィルム時代の多重露光とは雲泥の差で、もう「いまさら多重露光」という気がしますが、フィルム派の人からは「カメラ単体で多重露光がしたい」というニーズがあるらしく、とり入れているカメラもいくつかあるわけです。


ライブビューで多重露光を行なうと、1枚目の画像を見ながら2枚目を写せる
 DMC-L10の場合ライブビュー機能があり、ライブビューで1枚目の画像を見ながら合成すれば、勘で作業していたフィルムよりはだいぶ効率が良くなります。まずライブビューモードにします(ライブビューでなくても多重露光はできます)。メニューから多重露光を選んで、開始を選択します。その後は通常の撮影を行なうわけです。

 すると液晶モニターに「次の撮影」、「撮り直し」、「完了」の選択肢が現れるので、良ければ次の撮影に進みます。すると、最初に撮影した画像が薄く表示されているのを見ながら構図を決めて、多重露光を行なえます。多重露光で切れるのは3枚まで。「自動ゲイン補正」という項目もあるので、ONにしておくと良いでしょう。複数回露光することでオーバーになるのを補正してくれます。

 ライブビューのおかげで撮影時の多重露光は行ないやすいのですが、撮影後の再生画像からの合成は行なえません。再生から合成できれば、メモリーカードに入っている任意の画像を合成でき、その日に撮影したものでなくても、合成用のアイテム画像を常備しておくような使い方も考えられます。

 多重露光という言葉から外れるかもしれませんが、結果として合成したいというニーズなら、再生から行なう方が融通が利きます。フィルムの時代でも、現像後にフィルムを重ねて合成するようなことは行なわれていたのですし、同じことです。デジカメの場合、ソフトウェアでできることはメーカーが取捨選択せずに全部の機能を入れて、ユーザーに選択を任せるのが正しい作法だと思います。

 純粋な意味での多重露光を考えた場合、デジタルにもフィルムに劣る部分がひとつあります。フィルム、特にメカニカルな機種の場合は、1枚撮影した後、スイッチをオフにして、何日かしてから別の撮影に望むことができます。極端なことを言えば、フィルムに変質が生じるかもしれませんが、1枚目と2枚目の間に何年という月日が流れても可能です。しかしデジカメの場合は、バッテリーの問題があるので、オンにしたまま待てる時間に限界があり、オフにすると多重露光の設定がリセットさせてしまいます。こういう弱点をカバーする意味でも、再生からの合成をサポートしてほしかったところです。


多重露光による作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像(3,648×2,736ピクセル)をコピーおよびリネームしたものです。










 実は先日、DMC-L1のキットレンズ「D Vario-Elmarit 14-50mm F2.8-3.5」が故障しました。サポートに電話してみたのですが、まず「レンズの故障」が理解されませんでした。というのも、担当者にはデジタルカメラといっても「レンズだけが分離している一眼レフカメラ」ということが理解できなかったようです。で、調べて連絡をもらい、修理センターに直接持ち込むこととなりましたが、電車で行けるような場所ではなく、時間帯も平日の9時~17時。筆者のような職業だとそれでも困らないのですが、一般の人たちが幅広く利用できる環境ではありません。

 実際、出荷されたパナソニックのデジタル一眼レフカメラは、数的に多いものではないでしょう。そのうち国内で壊れて修理が必要とされるのは、ごくごくわずかな数字だろうと思われます。そのため受付嬢が知らなかったのも、サポートセンターが便利な場所にないのも理解できます。ですが、一眼レフカメラ事業に参入するということは、専門の部門が必要であり、欲をいえばサポートも交通の便の良いところに、年中無休か夜間まで開いていることが望ましいと感じます。販売店経由の修理受付だけでは、一眼レフカメラのサポートにおいて一流企業とはいえません。そのようなことも含めて、パナソニック株式会社には今後の展開を期待したいものです。

 ちなみに受付嬢も、修理受付の窓口対応も、物腰は丁寧で好ましいものであったことも、付け加えておきましょう。



URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/l10/
  パナソニックLUMIX DMC-L10関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/26/7096.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(現在進行中・2008年終了分)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2008/01/16 00:25
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.