E-3を使いはじめてから漠然と感じていたのは、ハイライトが粘るようになったこと。E-410にしてもE-510にしても、ほかのメーカーの機種に比べて白トビが早めで、やはり撮像素子サイズが小さいのはつらいんだなぁと、なかばあきらめていたのだが、E-410やE-510なら白トビしてもおかしくない条件で撮ってもE-3はハイライトのトーンが残ってくれる。そんな感じがしていたのである。
まあ、“感じ”レベルの話をしてもしかたがないから、自前のE-410と撮り比べてみた。部分的に白トビが起きるような条件で試してみると、E-3のほうが明らかに白トビが少ない。露出を変えたカットを見た感じでは、E-410よりもだいたい1/2段くらいハイライトが伸びる。ようはダイナミックレンジが広いのである(反面、E-410のほうがメリハリがあって見映え的にはよかったりする)。
もしかしたら、発売があとになっている分と「プロ機なのだから」という気合いの分よくなっているのかも(ソフトウェアは日進月歩だからね)とも思ったが、試しに両方のRAW画像を同じ設定で現像すると、やはりハイライトの再現に差がある。つまり、画像処理の違いではなくて、Live MOSセンサーの特性に差があるらしいということ。
以前にE-510の長期レポートで書いた、高輝度域でのRGB各チャンネルの出力がばらついてしまって、RAW現像時にマイナス補正するとハイライトがマゼンタがかる問題が解決されて、その分高輝度域の出力信号まで有効利用できるようになったということかもしれない。
まあ、ややこしい話は別にして、ダイナミックレンジが広くなったのは歓迎すべきことだし、E-410の白トビの早さに微妙な気分になっていた筆者としてはとってもうれしい改良なのである。
ちなみに、E-3とE-410とでは、カメラの内蔵露出計の露出レベルも違っていたりする。カメラの指示どおりに撮ると、E-410のほうが2/3段ほど暗く写るのである。E-410のほうが白トビしやすい分意図的にアンダー気味に調整している可能性はないとはいえない。
もうひとつはシャープネスのかけ具合。プロ機とエントリー機の性格の違いということだろうが、E-410のほうがパッと見のシャープ感が高めに仕上がる。撮り比べてみたところ、E-3はE-410よりも2ステップくらい弱めな感じである。E-410やE-510は、ピクセル等倍で見たときに、被写体によってはエッジのラインの太さが気になることがあるが(小サイズのプリントにはちょうどよかったりする)、E-3はそういうことがない。このあたりは好みの問題な部分もあるが、個人的にはE-3の仕上がりのほうがいいと感じる。
それと、ノイズフィルタがよくなっているのも見逃せない。E-410やE-510のノイズフィルタは、シャープ感を低下させる大きな要因になっていて、ノイズフィルタの効果を強くすればするほどディテール再現が悪くなってしまっていた(筆者個人はノイズフィルタをオフ、シャープネスをマイナス2というのがベストセッティングだと思っている)。
それがE-3では、ノイズフィルタによる画質の変化が少なくなった。ISO400以下ならノイズフィルタによる差はほとんど目立たない。ピクセル等倍で見ると、やはりオフが若干いいように感じられるが、ほとんど“気がする”というレベル。さすがにISO800以上になるとノイズフィルタの効果を強くするほどディテールのアマさも出てくるが、E-410に比べると、オフと「強」の差は小さい。
E-410とではシャープネスのかけ具合に差があるので微妙な部分もあるが、E-3はノイズフィルタを「標準」、シャープネス「0」を基本設定にしてよさそうな感じである。
- 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
- 撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
- 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。
■ 白トビ
同じ露出で撮ったカットを比べると、E-3のほうが白トビが少ないのがよくわかる。露出違いのカットでも比べてみると、1/2段くらいハイライトが伸びている感じ。フォーサーズの泣き所とあきらめていたダイナミックレンジが広くなっているのはうれしい。
- 共通データ:シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / F8 / ISO100 / WB:ワンタッチ / 150mm
- 仕上がり「FLAT」、ノイズフィルタ「OFF」、シャープネス「0」で撮影しています。
・E-3
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シャッター速度1/6秒
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シャッター速度1/5秒
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シャッター速度1/4秒
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・E-410
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シャッター速度1/6秒
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シャッター速度1/5秒
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シャッター速度1/4秒
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■ シャープネス
シャープネスはE-410のほうが強めの設定。E-3はE-410よりも2ステップくらい弱めな感じだ。パッと見にはE-410のほうがシャープ感が高い。が、E-410はエッジのラインが太くなる傾向が強いので、被写体によっては気になることもある。
個人的にはE-3のほうがいいと思うが、標準よりも強めに設定したほうが好ましく感じるかもしれない。
2機種で露出が違うのは、E-410のほうが白トビが早いため。味付けの違いを避けるつもりで仕上がりを「FLAT」にしたのだが、赤色の再現がけっこう違う。
・E-3
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シャープネス:-2
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シャープネス:-1
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シャープネス:±0
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・E-410
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シャープネス:-2
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シャープネス:-1
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シャープネス:0
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■ 感度とノイズフィルタ
E-410やE-510では、ノイズフィルタの強弱で画質に差が出たが、E-3は処理がうまくなったのだろう、ISO400以下ではオフと「強」の差があまり感じられなくなった。ISO800以上になると、ノイズ量との兼ね合いも出てくるので好みはわかれるだろうが(ノイズを減らすか、ディテールの再現性を重視するかの問題だ)、低感度時ならノイズフィルタ「標準」を基本設定にしてよさそうだ。
- 共通データ:シグマAPO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/5~1/160秒 / F8 / WB:ワンタッチ / 150mm
- 仕上がり「FLAT」、シャープネス「0」で撮影しています。
(E-3のみ)
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ノイズフィルタ:オフ / ISO100
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ノイズフィルタ:オフ / ISO200
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ノイズフィルタ:オフ / ISO400
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ノイズフィルタ:オフ / ISO800
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ノイズフィルタ:オフ / ISO1600
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ノイズフィルタ:オフ / ISO3200
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ノイズフィルタ:弱 / ISO100
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ノイズフィルタ:弱 / ISO200
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ノイズフィルタ:弱 / ISO400
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ノイズフィルタ:弱 / ISO800
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ノイズフィルタ:弱 / ISO1600
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ノイズフィルタ:弱 / ISO3200
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ノイズフィルタ:標準 / ISO100
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ノイズフィルタ:標準 / ISO200
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ノイズフィルタ:標準 / ISO400
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ノイズフィルタ:標準 / ISO800
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ノイズフィルタ:標準 / ISO1600
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ノイズフィルタ:標準 / ISO3200
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ノイズフィルタ:強 / ISO100
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ノイズフィルタ:強 / ISO200
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ノイズフィルタ:強 / ISO400
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ノイズフィルタ:強 / ISO800
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ノイズフィルタ:強 / ISO1600
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ノイズフィルタ:強 / ISO3200
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■ 作例
- 仕上がり「NATURAL」、ノイズフィルタ「標準」、シャープネス「0」で撮影しています。
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ようするに、美味いもんくって長生きしましょうってことのようです
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 30mm
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商家が多いせいかいろいろなお正月飾りでにぎやか。12-60mmは25cmまで寄れるので、こういうときにも便利だ
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 60mm
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信金に両替商の看板。間違ってるわけじゃないけど、どことなくオヤジギャグっぽい
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 60mm
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古い建築物の中には補修されないままのものもある。保存するにはおカネがかかるしね
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 60mm
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川越は蔵の街として有名だが、レトロな洋風建築も多かったりする。喫茶店もやたらと多いけど
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
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「年季入ってます」的なすすけ具合がすごい
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F4.5 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 26mm
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E-410だったらもう1/3段くらいアンダー目に撮っていたはず
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 19mm
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屋根の上の行灯は鉄製っぽいから比較的新しいものだろうが、それなりに古っぽく見える
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/50秒 / F4 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 49mm
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黒塗りの土蔵造りというのも渋い。窓の部分を見ると壁の厚みがよくわかる
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 45mm
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こちらは古くない民家。銀色のドームはもしかしてプラネタリウムとか?
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 33mm
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クリスマス飾りの残るしゃれた洋館は歯医者さんだったりする
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 60mm
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ツタのからまったレンガ造りの教会。大正時代に建てられたものらしい
12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 23mm
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■ URL
オリンパス
http://www.olympus.co.jp/
製品情報
http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e3/
オリンパスE-3関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/10/18/7222.html
気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(現在進行中・2008年終了分)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm
北村 智史 (きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。
ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/ |
2008/01/11 00:00
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