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キヤノン EOS-1D Mark III【第6回】
便利な「ライブビュー」と「メディア自動切換え」

Reported by 野下義光


 初代EOS-1DのメディアはCFのみでしたが、EOS-1D Mark IIからCF・SDのダブルスロットとなり、以来1D系はEOS-1D Mark IIIはもちろん、先日発表されたEOS-1Ds Mark III(11月下旬発売)にもダブルスロットが継承されています。

 EOS-1D Mark IIIから、このダブルスロットをさらに便利に使えるようにと、新たに設けられた機能が自動切換えです。片方のメディアが一杯になると自動的にもう片方のメディアへ書き込むもので、先代でなぜこの機能が設けられなかったのか不思議ですが、筆者はこの機能を待望していました。


利便性の高いダブルスロット

 昔流行ったナントカの法則ではありませんが、いい感じでノリノリで撮影している時に限って、メディアフルで撮影を中断されてしまうこともしばしば。そうならないために、まだメディアの残量が若干残っていても早めに交換することもあり、メディアを容量一杯まで使えなかったりしていました。自動切換えのお陰で、容量一杯まで使い切れるようになり、また、撮りたいときに撮れなくなることもほとんどなくなりました。

 それから、1GBや2GBという小容量のメディアでも、組み合わせるもう片方を4GBなどにしておけば見かけ上5〜6GBとなります。小容量でもすぐにメディアフルで撮影が中断することなく、手持ちのメディアを最大限活用できます。


基本的に筆者は自動切換えに設定しています。8GBのCFと4GBのSDを装填すれば12GB分メディア交換しないで済みます。筆者はメディア個々の故障率、交換時、撮影後のHDDへの転送時のデバイスエラーおよびヒューマンエラーを考慮すると、大容量メディアの方が総合的にリスクが低いと判断しています 2GBのSDメモリーカードを装填すると、撮影可能枚数はRAWで129枚と表示されます。連写を多用する場合は高速な2GBのSDを用いますが、すぐに一杯になってしまいます。でも即CFへ書き込みが切り替わるので、撮影を中断することなくメディアを容量一杯まで使いきることができます

 しかし便利さと裏腹に、使い勝手はイマイチです。まず、自動切換えに設定してあるかどうかがカメラの通常の表示では確認できず、わざわざメニュー画面を開かないとわかりません。

 また、今待機中のメディアの残容量もメニュー画面でしか確認できません。なので、今書き込み中のメディアが一杯になっても自動切換えでもう片方のメディアに書き込まれるだろうと思っていても、実際には自動切換えが設定されていなかったり、もう片方のメディアも一杯だったりした場合、予期せぬ撮影中断を余儀なくされてしまいます。

 撮影に集中していると2つのメディアがどのくらい残容量があるのか覚えていられませんし、カメラが複数台あるとなおさらです。せっかく便利な機能なので、例えば両方のメディアの残容量の合計で撮影可能枚数を常時表示するとか、一杯になっているメディアはメニュー画面を開かなくても一目で確認できるようにするなど、さらなる使い勝手の向上を期待しています。


このあと、実際にシャッターを切らないとカード2が機能するかわからない
 なお、右のメッセージは連写中には表示されませんが、1枚ずつ撮影している場合、書き込んでいたメディアが一杯になるとこの表示が出ます。自動切換えに設定していてもいなくても同じ表示です。

 この後本当にシャッターが切れるかどうかはメニュー画面を開いて確認するか、実際にシャッターを切ってみる以外にわかりません。シャッターが切れると思って切れないのは嫌なので、わざわざ適当にシャッターを切って確認した後本番の撮影に臨んでいます。


ライブビューはこれからの標準装備?

ラブビューでの全画面。拡大位置を示すカーソルは画面の隅々まで移動できます。ただこのカーソルは消すことはできません。フレーミングする際に邪魔……
 EOS-1D Mark IIIの発表時、ライブビューの搭載に非常に驚きました。でもこれが使ってみると意外と便利。もう筆者には無くてはならない機能となってしまいました。

 オリンパスのEシステムには以前から搭載されていましたし、先日発表されたEOS-1Ds Mark III、EOS 40D、さらにニコンD3、D300にもライブビューが搭載されたところをみると、今後のデジタル一眼レフの標準機能になるのではと思われます。

 色々な応用ができそうなライブビューですが、まずは精密なピント合わせが行えます。実際に撮像素子で得られた画像でピント合わせが行なえるので、物理的な誤差は皆無。AFがタングステン光など光源の質により生じる誤差も発生しません。

 また、絞りのプレビューボタンを押しながら実絞りでピント合わせができるので、EF 50mm F1.2 Lのように、絞り開放の状態で完璧にピントを合わせても、撮影時に開放以外だと、球面収差のためピント位置がズレてしまうレンズでも大丈夫です。

 光学式のマグニファイヤーでは画面中央部しか拡大して見られませんが、ライブビューなら画面の隅々まで任意の位置を5倍・10倍に拡大表示できます。ただし、EOS-1D Mark IIIでは、EOS 40Dのようにミラーを戻してのAFセンサーによる測距や、ニコンD3のような撮像素子でのコントラスト検出による測距はできません。あくまでもマニュアルフォーカスでのピント合わせになります。でも、ファインダースクリーンで合わせるよりもはるかにわかりやすいので、目視でも容易に合わせられます。


5倍拡大
10倍拡大

 しかし、やはりAFが使えないのは残念です。AFに限らず自動機能は、カメラの守備範囲、応用範囲、しいては表現範囲を広げる可能性があるので、汎用性を求められるプロ仕様機にも積極的に盛り込んでほしいものです。

 それから、ライブビュー撮影の利点として静音性があります。もちろん無音ではありませんが、ミラーが上がったままなのでシャッター音しか出ず通常に撮影するよりも非常に静かです。ライブビュー時も連写できるので、特に連写時は音量の違いが顕著です。

 ただし、ライブビューのセット・解除を行なう際は、ミラーの上下動作があるので相応の音が出ます。ライブビューを長時間行なうと撮像素子が熱を持ち、ノイズの発生原因になってしまいます。シャッターチャンス待ちの待機中はライブビューを解除した方が無難ですが、その都度ミラー音が出てしまってはせっかくの静粛性が活かせません。ミラー動作を行なうことなくライブビューのセット・解除が行えれば、静粛性をより活かせると思います。なお、ライブビューで撮像素子が熱も持ちノイズの発生もありうるとのことですが、筆者が数分ライブビューを行った程度では特に気になるノイズは確認できませんでした。

 ところで、「長時間露光時のノイズ低減」機能がライブビューにも効くんじゃないかと思いましたが、この機能は1秒以上のシャッター速度でしか働きません。1/8,000秒まで全てのシャッター速度で働けば、ライブビューでも有効なのでは? とキヤノンに問い合わせてみたところ、「どちらも撮像素子に長時間電流が流れて熱が発生し、ノイズが出るところは似ています。ただし、長時間露光とライブビューのノイズは質が異なるため、仮に長時間露光時のノイズ低減を働かせてもライブビューのノイズには有効ではない」との回答を得ました。


期待が広がるライブビュー

ライブビューとビデオ出力を活かした例。カメラは地面に直置きして、外部モニターとして繋いだポータブルDVDプレーヤーでフレーミングとピント合わせを行ないました。結果は記事末の作例で
 ライブビューの可能性として、当然「ファインダーを覗けない状況でも撮影できる」ということが考えられます。ローアングルやハイアングルも容易でしょうし、従来ではアングルファインダーを用いても物理的にファインダーを覗くことが不可能な位置にカメラを設置して未知のアングルが撮れるかもしれません。

 結婚式場で天井付近の高い位置に無人の定点カメラが設置されているのを見たことがありますが、このような遠隔操作も外部モニターやPCと接続すれば実際に写そうとする被写体を見ながら遠隔操作ができるでしょう。人間が近づけないような危険物の撮影にも対応できると思います。

 ところで抜群の低消費電力を誇り通常の撮影では1万枚も楽勝なEOS-1D Mark IIIですが、ライブビュー時には電池の消耗が激しくなります。普段は全く予備電池の必要性を感じませんが、ライブビューを多用する場合は必須だと思いました。初代EOS-1Dの頃から標準添付され一度も使ったことがないACアダプターも、この時ばかりは初めて使おうかなと思いました。

 すでにEOS-1D Mark III特有の機能ではありませんが、キヤノンのデジタル一眼レフではEOS 20Daに次ぎ、最初に本格的な機能として搭載されたカメラです。今後、ほかの機種でもライブビューを使う際のヒントになれば幸いです。


作例

  • 作例をクリックすると、別画面で3,888×2,592ピクセルの画像を開きます。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/実焦点距離を表します。


ライブビューで青い煙突部分を拡大してピント合わせした
3,888×2,592 / 1/20秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 50mm(DPPでRAWを現像)
AFが全く利かない星空もライブビューでピントが合わせられます。ペルセウス座流星群の撮影を27年振りにチャレンジしましたが、6時間粘って辛うじて1個写りました
3,888×2,592 / 30秒 / F4 / 0EV / ISO400 / 20mm(JPEGで撮影)

DVDブレーヤーをモニタ―に使って撮影した画像。ライブビューは従来不可能だった未知の表現の可能性を秘めています
3,888×2,592 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 24mm(DPPでRAWを現像)


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/1dmk3/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(EOS-1D Mark III)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#eos_dmk3
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(EOS-1D Mark III)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#1dmk3


( 野下義光 )
2007/08/29 00:06
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