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オリンパスE-510【第4回】
あやしい三脚でマクロ撮影に挑戦

Reported by 北村 智史


 ずっと前から気になっていた三脚を借りることができたので、この場で強引に紹介してしまおうと思う。

 E-510とE-410のライブビューは、E-330で言うところのBモードだけで、手持ちでも使えなくはないが、基本的に三脚撮影向きである。ただ、接写にも便利な三脚というと、これがあまりない。

 最近は開脚角度が数段階に切り替えられるものが多いが、たいていはセンターコラムが邪魔になって、それほど低くはなってくれない。ローアングル化するためにセンターコラムを2分割にしたり、ショートタイプに取り替えられるようになっているものもあるが、それでもやはり、脚パイプが取り付けられているベース部分と雲台の高さを足した高さよりは低くはできない。

 まあ、普通のカメラなら、ファインダーを覗かなくては撮れないから(アングルファインダーを使えば話は別だが)、それほど低くならなくても気にならないのだが、ライブビューが使えると、地上すれすれのローアングルでも楽な体勢で撮れる。なので、普通の三脚では物足りなくなってしまうんである。

 と言うわけで登場するのが、ジッツオの「GT2540EX」。エクスプローラーシリーズの最新バージョンで、カーボンの4段式のモデルである。雲台は同じくジッツオの「G1275M」(こちらは自前である)という自由雲台。ちょっとばかり、見た目があやしい組み合わせである。


ジッツオエクスプローラー三脚GT2540EXとオフセンターヘッドG1275Mの組み合わせ
GT2540EXはセンターコラムがベース部の中心にない設計。何気に水準器が内蔵されていたりする

 どこがどうあやしいかと言うと、三脚のほうはセンターコラムがセンターにない(だから、ほんとはセンターコラムとは言えないんだけどね)うえに、普通の三脚にはないノブが2つも付いているし、脚パイプの付け根のところに羽根っぽい部品が付いていたりする。雲台は雲台で、ボールの位置が端っこにズレていて、カメラの重心と合っていない(同社のウェブサイトには「オフセンターヘッド」と書かれている)。

 でもって、脚の開き方も普通じゃない。脚パイプの付け根の羽根を起こすとフリー、たたむとロックという仕掛けで、開脚角度は最大90度。3本の脚をめいっぱい開くと、ぺったんこになるわけだ。


脚パイプの付け根の“羽根”。これが開脚のロックになっている
“羽根”を起こすとロック解除。つまり、これを起こさないと脚を開くことができないんである。開脚角度は無段階に決められる

 もちろん、そのままだと普通の三脚と同様、センターコラムの下部が地面にぶつかってしまう。が、エクスプローラーは普通じゃない三脚なので、センターコラムがティルトできる。普通の三脚では固定されているセンターコラムを自由自在に傾けられるのである。センターコラムを水平にすれば、地面にぶつかることはないし、下向きに傾ければ、さらに低いアングルが得られる。

 この状態にしたときに、オフセンターヘッドが役に立つ。普通の雲台の場合、センターコラムを下向きにすると、横位置にするにはカメラを逆さまにしないといけなくなる(縦位置は平気だけど)。それがオフセンターヘッドなら、普通の向きにセットできる。つまり、センターコラムを分割したり取り替えたりしなくても、普通の三脚以上のローアングルができてしまう。これがこの組み合わせのえらいところ。形があやしいだけに並みの三脚にはできないことが平然とできてしまうんである。


雲台もボールが重心からズレている。その分、ブレやすいと嫌う人もいる
センターコラムを水平にした状態。上のノブがスライドロック、下のノブがティルトロック用

脚を思いきり開くとこんな感じ(ほんとはもう少し開くけど)。これでも十分ローアングルではある
センターコラムを下向きに傾けると、地面に雲台がぶつかるまで下げられる。この状態で地面から雲台上面まで約11cm

 で、ファインダーを覗きつつ(前もってアバウトにピントを合わせておくといい)、カメラの位置決めをする。カメラに三脚がくっついているのだと考えてやればいい。カメラの位置を決めたら、センターコラムのティルトロックノブ、スライドロックノブを順に締める。

 が、ティルトロック部は滑り止めのための歯が刻んであって、歯が噛み合った位置でないと固定できないため、思ったとおりの位置に止まってはくれない。なので、高さの微調整を開脚角度を変えてやる必要がある。こちらは無段階に変えられるから、脚先をずりずりっと動かしてほどほどの高さになるように調整する。当然、カメラ位置も多少ズレてしまうから、その分は三脚全体を動かしたりして直してやる。

 あるいは、センターコラムをスライドさせてもいい。センターコラムが水平でなければ、スライドさせればカメラは上下に移動することになる。左右にズレた分は、やはり三脚全体を移動させて修正すればいい。

 そんなこんなでカメラ位置が決まったら、羽根をたたんで雲台のノブを締めてできあがりである。


こういう段差がある場所でも、この組み合わせだと簡単にセッティングできたりする。まあ、こんなシチュエーションで撮ることはまずないと思うけどね
新品の状態だと“羽根”が固くて起こすのにえらく力がいる。脚の裏側のナットを付属の工具で緩めて固さを調整できるようになっている

 こんなふうに書くと、かなり辛気くさいように思えるだろうが、はっきり言って、慣れないうちはマジで辛気くさい作業である。思いどおりに位置決めができるようになるまでには、それなりに練習が必要になるし、正直なところ、慣れられない人もいると思う。が、うまく馴染めさえすれば、ネイチャー系の撮影にはものすごく強い味方になってくれるはずだ。

 たぶん、ローアングルなどのセッティングのしやすさなら、ベンボーのほうがずっと上だと思うが(今でも売ってるんだろうか)、普通の三脚としてもそこそこ使えるという点ではエクスプローラーのほうが上だろう。


ローアングルでの撮影状況。オフセンターヘッドなので、カメラを逆さまにしなくてもいい。これがえらいところ
 ただ、お値段はけして手ごろではなくて(ジッツオは現行タイプにモデルチェンジしてえらくお高くなった)、脚だけで実売8万円ぐらいしてしまうのが頭の痛いところ。エクスプローラーに似たコンセプトのインデューロのCXシリーズ(普通の三脚としての使い勝手はエクスプローラーよりよさそうな気がする。オマケも多いし)のほうがお手ごろだが、センターコラムのティルト角と開脚角度の自由度の高さを考えると、筆者的にはエクスプローラーが好みである。

 あと、気になった点もあって、ひとつは雲台との接合面が滑りやすいところ。油断しているとすぐに緩んでしまう。それと、雲台側もパンロックの締めつけがちとアマい。上に載せた機材の重量バランスが悪かったりすると、くるっと回ってしまうことがあるので、カメラから目を離せないのである。このあたりはぜひとも改善してもらいたいところである。


作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します

    • 撮った写真がこちら。これだけのローアングルだとファインダーを覗くのはしんどいが、ライブビューだとラクチン。ピント合わせもばっちり
      ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F3.2 / +0.7EV / ISO100相当 / WB:オート
      地面に落ちた花をめいっぱいのローアングルで
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F4 / -0.3EV / ISO100相当 / WB:オート

      まだ木についている同じ花
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO100相当 / WB:オート
      カメラは三脚で固定できても、花が風で揺れると負ける。なので、これだけISO400相当に増感している
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F2.8 / +1EV / ISO400相当 / WB:オート

      シグマの150mmマクロのほぼ等倍で絞り開放の1/40秒。手ブレ補正内蔵のE-510でもまず間違いなくブレる条件。やっぱり三脚は偉大である
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO100相当 / WB:オート
      最高気温37度なんていうめちゃ暑だったくせに、撮ってるうちにどんどん曇ってきて、のきなみ絞り開放。風もあるし、ピントがしんどい
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F2.8 / +1EV / ISO100相当 / WB:晴天

      ピントが合ってるんだか合ってないんだか……。でも、色はきれい
      APOマクロ150mm F2.8EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/50秒 / F2.8 / 0.7EV / ISO100相当 / WB:晴天
      ライブビューだと拡大表示でピントを厳密に合わせられるのがいいところ。で、風で揺れると最初からやり直しになったりする
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100相当 / WB:晴天

      花壇の花をやや俯瞰気味に撮ったカット。普通の三脚だと脚がつかえるので、こんなには寄れない
      APO Macro 150mm F2.8 EX DG HSM / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F4 / +1EV / ISO100相当 / WB:晴天
      公園のベンチ。隙間から草が伸びてて、そのうち埋もれてしまいそう。ライブビューでも三脚撮影でもないけど、日なたを歩いてるだけで倒れそうな暑さをお伝えしようかと思って載せてみた
      ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6(実焦点距離17mm、35mm判換算34mm相当) / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F8 / -0.3EV / ISO100相当 / WB:オート


      URL
        オリンパス
        http://www.olympus.co.jp/
        製品情報
        http://olympus-esystem.jp/products/e510/
        気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-510)
        http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#e_510

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      ボーゲンイメージング、Gitzoの三脚を一新(2007/01/24)


      ( 北村 智史 )
      2007/08/20 00:00
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