E-510の売りはボディ内蔵手ブレ補正である。Webサイトなどには、シャッター速度で最大4段分の補正効果があると書かれているが、実際のところはどうなんだろう、と言うわけで、簡単なテストをやってみた。
内容としては、ED 40-150mm F4-5.6の望遠端でSモード(シャッター優先AE)、シャッター速度は1/125秒から1/15秒までの1段刻み、手ブレ補正のオンとオフで、各50枚ずつ撮影する。ほんとは1/250秒や1/500秒もやりたかったのだが、感度をISO100で固定したかったので、高速側はあきらめることにした。
まあ、撮るだけならそんなに大変ではない。普通に構えて、1から50まで数えながらじゃんじゃんシャッターを切るだけなら(連写は使わずに1枚ずつシャッターボタンを押している)、これだけ撮っても15分ほどですんでしまう。画像のチェックのことを考えなければ、撮影自体はどうってことはないんである。
問題は家に帰ってから。なにしろ、合計400枚の画像を1枚ずつチェックしなくてはならないのだ。正直言って、かなり辛気くさい。そういうところに、感度を上げてノイズが増えた画像や、絞りすぎでアマくなった画像も混じると、ブレが見えづらくなるのでさらに気が滅入ることになる。
愚痴はさておき、筆者のやり方は、ブレの度合いによって3段階に分類する方法である。まず50%縮小表示で見て、明らかにブレている枚に「×」を付けてはじく。残りをピクセル等倍で見て、ブレていないと見なせる枚に「○」、それ以外の枚に「△」を付けて分類する。
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「○」の例をピクセル等倍で表示。これでも少しアマい気がしないではないが、まあ、許してあげていいかなという範囲(クリックすると画像全てを等倍で表示します)
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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「△」を等倍で表示。50%縮小表示で見るとブレてないように見えるが、ピクセル等倍ではブレがわかる(クリックすると画像全てを等倍で表示します)
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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こちらは「×」を等倍で表示。明らかにブレているのがわかる(クリックすると画像全てを等倍で表示します)
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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ピクセル等倍表示ではブレていても、50%縮小表示で「OKということにしてもいいかなぁ」な「△」の枚は、ピクセル等倍で見てもブレていない「○」の枚に比べるとやはりアマい。A4サイズにプリントして見比べても、明らかにシャープ感に差が出てしまう。が、アンシャープマスクを強めにかけるなどすれば、そこそこ見られるレベルにはなってくれる。ようは「ちょっとアマい気もするけど、比べなきゃ平気」なわけだ。なので、一応は「○+△」の枚の率を成功率と考えてもいいだろう。
とは言え、ちょっぴりであってもブレはブレ。実用的には大丈夫とわかっていても、気分的な“負けた感”はやっぱりある。単純に「○+△」=成功としてしまうのも釈然とはしないわけで、だから「○」と「○+△」を別々にカウントしている。
もちろん、こういった単純なテストでカメラの性能のすべてがわかるわけではないし、400回も同じ構え方で撮れるはずもない。また、見る人によって「○」と「△」と「×」の境目の判断も変わってきて当然だ。なので、今回の結果が、イコールE-510の実力と言うわけではないことはご理解いただきたい。
で、それぞれの条件における「○」「○+△」「×」の枚の数と比率を表にまとめたのがこれである。400枚の画像(SHQで撮ったから2.8GBもありやがるんである)を数時間かけてチェックした結果が、こんなサイズにまとまってしまうあたりが切ないところではあるが、数字を見るとなかなかにすごい。
焦点距離150mmで50枚撮影 手ブレ補正ON(枚数・カッコ内%)
シャッター速度 |
○ |
○+△ |
× |
1/125秒 |
33(66%) |
48(96%) |
2(4%) |
1/60秒 |
34(68%) |
46(92%) |
4(8%) |
1/30秒 |
19(38%) |
46(92%) |
4(8%) |
1/15秒 |
9(18%) |
30(60%) |
20(40%) |
手ブレ補正OFF(枚数・カッコ内%)
シャッター速度 |
○ |
○+△ |
× |
1/125秒 |
12(24%) |
22(44%) |
28(56%) |
1/60秒 |
1(2%) |
10(20%) |
40(80%) |
1/30秒 |
1(2%) |
7(14%) |
43(86%) |
1/15秒 |
0(0%) |
0(0%) |
50(100%) |
手ブレ補正をオンにすれば、「○+△」率は1/15秒でも60%(気合いを入れて1枚ずつきちんと撮れば、もう少しいい数字が出るだろう)。おおざっぱに考えれば、3枚撮れば2枚は使える画が撮れる計算だ。これは手ブレ補正オフの1/125秒の44%を上まわっている。1/250秒のデータがないので感覚の話になってしまうが、最大4段分という公称値は十分納得できる。
もっとも、シビアに「○」の枚だけで見れば、数字はもう少し悪くはなる(2段以上、3段未満というところである)。それでも、手ブレ補正オフでは全滅だった1/15秒でも、5~6枚に1枚はばっちりブレなしな画が撮れているし、1/30秒で3割以上、1/60秒で7割近い成功率。現行のボディ内蔵手ブレ補正の中ではトップと言っていい効きのよさだと思う。
年内発売希望のアレにも、E-510と同等以上の手ブレ補正は内蔵されることになるだろうから期待は持てるが、問題はAFの弱さ。今どき3点測距というのもあるし、AFの精度がいまいち物足りない。個体差の可能性もあるが、自前のE-410よりピントがアマい気がしてならないのである。そのあたりも、そのうちに突っ込んでみようと思っている。また、めんどくさいことをやらなくてはならないような気もするけど……。
■ 作例
- 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
- 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
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ISO400で1/8秒。手ブレ補正がなければ、もう1段感度を上げたくなる条件。ノイズは少ないし、階調もいい
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 14mm
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これだけ暗いシーンでズームの望遠端を使うのは度胸がいる。F値と画角のWブレ効果があるからだ。手ブレ補正がなかったら、間違いなく撮っていなかった写真だ
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 42mm
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開放F値がF3.5-5.6なんていうズームだと、屋内に入るとシャッター速度が1/15秒以下になることはザラにある。手ブレ補正がないカメラだと、感度を変えて数枚撮っておくことになるが、手ブレ補正があれば1~2枚撮ればまず大丈夫なので効率がいい
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F3.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17mm
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奥の建物を見ると、なんとなくだけど、やっぱり少しアマい気がする。ピントの問題なのか、ノイズフィルタの問題なのか、テストしてみないとわからないけど
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F9 / -1EV / ISO100 / WB:オート / 42mm
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オリンパスと言うと、鮮やかな青空のイメージが強いが、以前よりも控えめになった気がする。色温度を少し低めに設定すればよかったかもしれない
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
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順光ならいいが、こういう輝度差の大きなシーンだと、空の広い範囲が白飛びになってしまう。もっと広いダイナミックレンジが欲しい
ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
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公園にあった帆船を模した遊具。ちょっと遊んでみたい気になった
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
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最近ちょっとハマっているのがビルのてっぺん。なんのためのものかよくわからない構造物があったりして面白いからなのだが、E-510とED 40-150mmの組み合わせだと、すごく快適
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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こちらはてっぺんじゃなくて、ビルの外壁に取り付けられていたパラボラアンテナ。真下に近い場所から撮っているのでブレやすくなるが、手ブレ補正があると安心感が高い
ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
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■ URL
オリンパス
http://www.olympus.co.jp/
製品情報
http://olympus-esystem.jp/products/e510/
気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(E-510)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm#e_510
レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-510)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e510
( 北村 智史 )
2007/07/30 00:02
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