その後、唯一最大の不満点であった画素数の少なさを一気に約2倍とし、随所改良されフルモデルチェンジした「EOS-1D Mark II」で完全にデジタルに移行しました。それから3年、新主力機として購入したのが「EOS-1D Mark III」です。
もっとも、EOS-1D Mark IIとEOS-1D Mark IIIの間には「EOS-1D Mark II N」が存在したことを覚えておられるでしょう。単体で見ると魅力のあるカメラでしたが、「主力機は同型機を2台」という私の方針では費用対効果として厳しいこともあり、EOS-1D Mark IIからの買い替えを見送った経緯があります。
筆者が「仕事カメラ」に求める機能・性能は、第1にタフであること。この点、初代もMark IIも期待を裏切りませんでした。砂浜に直置きしたり一瞬海に水没させたりなどの過酷な環境でも、動画素材用に最高速連写で数百コマ連写し続けたりと、どんなに酷使しても、初代は20万ショット、MarkIIは2台とも25万ショットで退役させるまで全くの故障知らずでした(EOS-1D Mark IIは2台とも20万ショット前後の頃に耐久オーバーでシャッターユニットを交換しましたが)。
画質ももちろん重要です。ただ画質については、下位機種の「EOS 30D」などでも手抜かりはなく、EOS-1D Mark IIと同等です。でも上記2点はEOS 30Dでは得られないポイントだと考えています。
1D系にはフルサイズの撮像素子で高画素モデルの「EOS-1Ds Mark II」がありますが、これもタフさはおそらくEOS-1Dシリーズと同等、連写性能も一般的には必要十分でしょう。しかし、RAWでしか撮らない筆者にとっては、いかんせんバッファの容量やメディアへの書き込み速度が不十分で、かなりゆっくりしたテンポでの撮影を努めてもすぐにバッファフルになり、撮影の中断を余儀なくされるところが不満です。そのため購入には至らず、ポスターなど大きく使用される媒体の撮影時のみ、レンタルで使用してきました。
EOS-1D Mark IIもまだまだ当分は現役で使用できる機能・性能を有しています。ではなぜEOS-1D Mark IIIに買い換えたのか? それは飽きたからです(笑)。というのは半分冗談で、本当はフルモデルチェンジで搭載された新機能・新性能が、今まではなし得なかった新たな表現が得られる力を秘めているからです。もちろん撮る者の心と技も重要ですが、機材の機能・性能は心と技と相互作用しつつ別次元として重要です。その辺は使い込みながら、追々解説したいと考えています。
さてここからやっと本題です。今回は届いたEOS-1D Mark IIIの設定を筆者好みにセッティングしてみました。実は別件でデモ機を借り受ける機会があり、購入前からけっこうあれこれ試して使い込んできました。更に初代やMarkIIでの経験も踏まえた上でのセッティングです。今後も変更を行なう可能性もあるので、その際にはご報告します。