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富士フイルム FinePix S5 Pro【第2回】
上海でスナップ!

Reported by 木村 英夫


VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6を取り付けたS5 Pro
 S5 Proが私の手元にやってきてほどなく、中国 上海へ出かけるチャンスがやってきた。私にとってFinePix Sシリーズは、スタジオでの製品撮影用という使い方が1番多く、次に風景を撮る機会が多い。どちらかといえば“じっくり撮影に取り組む”という使い方が合っていると思っている。

 ところが、上海で言葉ができない私は、三脚を立ててカメラを構えていると思わぬトラブルに合うかもしれない。そう思うと、街の雰囲気をスナップでパチパチ撮る、というスタンスの使い方を考えなければならない。もちろん以前まで使っていたS2 Proよりもずっと早い秒3.3コマの連続撮影スピードであれば、テンポ良く撮影できるのではないか、という期待もある。そこでS5 Proを携えて上海の下町を歩いてみた。

 最初にセレクトしたレンズは、「AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6 G」。超音波モーターでAFとMFをシームレスに切り替えでき、ピント合わせも速い。さらに手ブレ補正機能のVR付きで、スローシャッターも安心感が高いというパーフェクトなレンズだ。あまりの人気に品切れになったのも納得できる名レンズだ。S5 ProのベースとなるD200と一緒に発売され、D200とともによく売れているということを考えれば、S5 Proと一緒に使うにもピッタリの1本である。

 大柄なボディのS5 Proには、確かにVR 18-200mm F3.5-5.6が似合う。でも“軽快にスナップ”という雰囲気を考えれば少し違うかな? という感じである。AFでバチバチ、というならともかく、ズームリングが被写体側、細身のピントリングが手前に付いたデザインは、MF向けではないように思える。


単焦点マニュアルレンズに挑戦

Ultron 40mm F2を装着したところ
 そこで、さらに軽快にスナップするために、以前買い求めていたフォクトレンダーの「Ultron 40mm F2 SL Aspherical」を使ってみることにした。

 近い焦点距離のレンズには、パンケーキレンズ(鏡筒が短く、まるでパンケーキのようなカタチのレンズ)として定評があった「Ai Nikkor 45mm F2.8 P」(製造を終えている)があり、さらに昔には「GN Nikkor 45mm F2.8」があった。GN Nikkorは、絞りリングとピントリングを連動することで、外部ストロボのガイドナンバーに応じた絞りの設定が可能、という変わり種レンズ。ニコン F2と一緒に使ったことがあるが、ピントリングがほかのレンズと逆で、使いづらかった覚えがある。フォクトレンダーの40mm F2は、開放絞り値が1段明るいというメリットがあるが、パンケーキレンズと言えるほど鏡筒の長さが短くはない。

 S2 ProでCPUの組み込まれていないレンズを使用するときは、カメラ内部の露出計が全く使用できず、別に露出計を持参するか、勘に頼って露出値をセットし、ヒストグラムを見ながら調整していくという方法をとらなければならなかった(D40の長期レポートで田中氏がフォクトレンダーの「VCメーターII」を使っているが、スマートな方法だ)。

 S5 ProはD200同様に、CPUが組み込まれていないAi Nikkor(フォクトレンダーのレンズはこれに準じている)でも、レンズの焦点距離と開放F値をセットすることで、カメラの露出計を使うことができ、画像のExif情報にも反映することができる。

 ベースボディーが変更になった大きなメリットである。また、倍率が大きく見やすくなったファインダーも、マニュアルフォーカスでは便利だろう。S2 Proでは、何度かMF撮影でピントが合っていないということがあり、歓迎すべき点だ。

 40mm F2を使う前に、まずレンズ情報をセットする。


液晶モニター左側にあるボタンの上から4つ目の「SETUP」を押し、セットアップ-拡張-レンズ情報手動設定を選ぶと、焦点距離と開放F値をセットできる 焦点距離はあらかじめセットされている中から選ぶ。ただし40mmはなく、43mm(おそらく43〜86mmズームの焦点距離だろう)を選択する

△F6と表示されるのは、開放F値をセットしていない状態
開放F値をちゃんとセットしていないと、とんでもないF値が出ることもある。(F45はない)

SETUP-ボタン操作-ファンクションボタンの機能で、「FVロック・レンズ情報」を選択すれば、レンズ向かって左下のファンクションボタンで情報をセットできるようになる
あらかじめセットアップでファンクションボタンの機能をセットしておけば、ファンクションボタンを押すだけで、焦点距離と開放F値が出る。この状態にすれば、コマンドダイヤルで調整できる

フォクトレンダーのレンズキャップはネジ込み式。スナップに使うならニコンのキャップを流用した方が素早く撮影体勢に入れそうだ
 セットアップであらかじめレンズの焦点距離とF値をセットすることで、Ai方式の絞り環で絞り値をセットしても絞り込んだ数値がちゃんとExif情報に載るのはすばらしい。ただ、ニッコールレンズの焦点距離情報から、焦点距離を選んでのセットのため、残念ながら40mmという選択肢はない。35mmの次は43mm。

 ズームレンズでは、「焦点距離の広角側と望遠側のどちらかでセットする」という決まりのため、ズームニッコール初の標準ズーム「43-86mm」の焦点距離なのだろう。確認すると、ちゃんと「86mm」の焦点距離情報も入っていた。

 一度、焦点距離に対応するF値情報をセットすると、その数値を記憶しているので、次にレンズを交換したときは、焦点距離を選ぶだけで大丈夫だ。

 40mmはS5 Proで使ったときの焦点距離が60mm相当。標準レンズとしてはやや長め。ズームでなく単焦点のため、被写体に合わせてフットワークでフレーミングを決めていかなくてはならない。マニュアルフォーカスレンズならではの、手応えのあるピントリングのフィーリングで、しっかりピント合わせが可能だ。


標準レンズ感覚で使える28mmレンズ

 40mmで35mm判換算60mmという画角は、スナップではちょっと長すぎる。S5 Proと同時に単焦点レンズを1本買い求めることにしたとき、多くの友人が使っている「AF Nikkor 35mm F2D」を選ぼうか、と思ったが結局「AF Nikkor 28mm F2.8D」を買い求めた。

 ズームが一般的になる前、単焦点レンズを組み合わせで買うとき、「35mm、85mm、135mm」と揃えるか「28mm、50mm、105mm、200mm」で揃えるかが分かれ目だったらしいが、私は28mm派だった。1.5倍換算では42mmで“ちょっと広めの標準”としてスナップに向きそうだ。


 AI AF Nikkor 28mm F2.8D(3万6,000円)は、AI AF Nikkor 35mm F2D(4万1,000円)よりもお手ごろ価格。ただ、最大撮影倍率だけわずかに及ばない。フォクトレンダーの40mm F2を使うときとは違い、AFが使えること、絞りの調整がコマンドダイヤルでできることが便利な点だ。


AI AF Nikkor 28mm F2.8Dと組み合わせたS5 Pro。開放値F2.8でも単焦点ならすごくコンパクトだ
S5 ProのAF/MF切り替えのツマミは小さい。モーター内蔵レンズはレンズ側で切り替えできるので、この部分を操作する必要はない

 マニュアルフォーカスの切り替えは、ボディーのマウント横側にある小さなツマミによるので、撮影途中にファインダーを覗きながらAFとMFの切り替えを行なう、という使い方は難しい。撮影前に、この場面はマニュアルフォーカスでいこうと思ったら、先に切り替えておくという使い方ではないだろうか?

 この日、朝から夕方まで300カット程度を撮影し、バッテリーの残りは約20%。「電池の持ちが良くない」という評判のD200と同様、S5 Proも決してバッテリーの持ちはよくないようだ。予備電池を持ち歩いた方が安心だろう。バッテリーの5段表示が正確に反映されるので、S2 Proよりも電池の管理はしやすそうである。大柄なボディと液晶モニターの表示が速くないというデメリットはあるが、スナップも十分楽しめるカメラだ。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/撮影モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm F3.5-5.6 G

揚げパンを買い求める人々。通りを行き交う人は自転車やスクーターに乗っている。VR付レンズはちょっと遅めのシャッタースピードでも安心
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/25秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 62mm
お店の外側に積まれた下ごしらえ済みの材料。ピーマンとシシトウか、日本よりサイズが大きいようだ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 22mm

肉まんを売っているお店の外では、味付け玉子を煮ていた。脂で汚れた地面の質感がよく出ている
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/30秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 35mm

Ultron 40mm F2 SL Aspherical

※Exifでは、実焦点距離が43mmになっています


上海の下町で。金網にひっかけて干されている干し魚。大きさにビックリ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/70秒 / F4 / 0EV / IS1O00 / WB:オート / 40mm
細い路地が「露店」になる朝。売るための野菜をスクーターで運んできた人
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/114秒 / F4 / 0EV / IS1O00 / WB:オート / 40mm

空になった水のボトルを積んだ三輪車。マルチパターン測光での撮影だが、この場面では-2/3EVがちょうどよいように思えた
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/1,140秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO400 / WB:オート / 40mm
ちょっとヨーロッパ風? の建物。レンガや電線の細部まで、ちゃんと描写されている
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/1,500秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO400 / WB:オート / 40mm

雑誌スタンドの1コマ。ファッション誌の中に「男士健康」、「兵器」などという雑誌が見える。カラーを「HARD」にセットしておいたためか、色鮮やかだ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/900秒 / F58 / 0.67EV / ISO400 / WB:オート / 40mm
交差点の看板と信号機。自動車用だが縦型で、まるで鉄道用のようだ。40mm(35mm判換算60mm)は距離が取れない被写体では全体が入らない
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/1,600秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO400 / WB:オート / 40mm

高いビルから撮影した上海の下町。表通りから1歩入れば、レンガ造りのアパートが並ぶ。解像力の限界か、等倍表示では、レンガなどの細部ではギザギザに見える
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/3,500秒 / F8 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 40mm

AI AF Nikkor 28mm F2.8D

露天で売られている靴、帽子、服。暗部がツブれないようにプラス1段分の補正をした
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/80秒 / F5.6 / 1EV / ISO400 / WB:オート / 28mm
洗濯物を街路樹に干している様子。街中の不思議な光景だ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 28mm

路地裏の洗濯物干し場で干される魚。奥の魚にピントが合っているが、臭ってきそうなリアルな質感描写だ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/285秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO400 / WB:オート / 28mm
路地裏の集会所に掲げられた黒板。「健康」の文字が見える。黒板の色調の再現を見て、-2/3EV補正のカットを選んだ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/45秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO400 / WB:オート / 28mm

上海のあちこちで見られる、通りの名前を表す看板。なんとなくヨーロッパ調だ
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/180秒 / F4 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 28mm
日本では見られないトロリーバス。流し撮りを狙ったが、スピードが合っておらずブレが目立つ。感度をアップして速いシャッターで狙えば良かったと反省
4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/35秒 / F2.8 / 0.67EV / ISO100 / WB:オート / 28mm


URL
  富士フイルム
  http://fujifilm.jp/
  製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixs5pro/
  富士フイルム FinePix S5 Pro関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2006/12/08/5218.html


( 木村 英夫 )
2007/02/16 02:03
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