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ニコン D40【第5回】
望遠ズームを考える

Reported by 本誌:田中 真一郎


今回試したレンズ。左からVR 70-200mm、VR 70-300mm、シグマ 50-150mm、55-200mm
 今回は、前回の標準レンズに続いて、D40に付ける望遠レンズを選んでみたい。D40の小さなボディに長いレンズというのも、どことなく違和感を感じないでもないし、そこそこ値段の張る製品だが、運動会や学芸会、旅行などのイベントには望遠レンズが欲しくなるものだ。


AF-S DX Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 G

 Wズームキットにも含まれる55-200mmは、68×79mm(最大径×長さ)、255gと小型軽量なレンズで、D40の機動性をまったく損なうことがないデジタル専用レンズだ。カメラに標準ズームをつけて、コートのポケットやウェストバッグに55-200mmを忍ばせて出かけるなんてこともできて、D40最良の友といった風情だ。値段は42,000円と、単体で買っても非常に安い。

 この値段なら写りもそれなり……と思っていたら、これが開放からなかなかシャープに写るレンズなのだった。周辺のユルさが気になることもあるが、これは等倍で仔細にアラさがしをすればの話。

 あまり明るくないのと、手ブレ軽減機構がないので、条件が悪いときは三脚が必須になるが、D40と組み合わせてもそう重くはならないので、小さめの三脚でも十分役に立つ。最短撮影距離がズーム全域で0.95mと比較的短いのも、使いやすい。

 今回登場するレンズでは唯一距離指標がなく、AF/MFをシームレスに切り替えることもできない。フォーカスリングは狭く、フィーリングもよくはないので、AF専用と割り切る必要はあるだろう。つまり、値段相応なのは写りではなくて作りなのだった。

 18-55mmと55-200mmの組み合わせよりもVR 18-200mmのほうが使い勝手がよい、というのは当然のことだけど、この程度の追加投資で35mm判換算300mm相当の画角が手に入るのは魅力的だ。

※作例のリンク先は撮影した画像です。等倍の画像(3,008×2,000ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※すべて、D40で、JPEG・FINE / 絞り優先AE / ISO200 / オートホワイトバランスで撮影しています。
※画像下のデータはレンズ名 / 絞り / シャッター速度 / 露出補正値 / 実焦点距離です。


広角端 F4
55-200mm / F4 / 1/40秒 / 0EV / 55mm
広角端 F5.6
55-200mm / F5.6 / 1/25秒 / 0EV / 55mm
広角端 F8
55-200mm / F8 / 1/13秒 / 0EV / 55mm

望遠端 F5.6
55-200mm / F5.6 / 1/60秒 / 0EV / 200mm
望遠端 F8
55-200mm / F8 / 1/30秒 / 0EV / 200mm

AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G (IF)

 200mmよりも長い望遠ズームが欲しければ、今のところD40ではこれしかない。あとは400mmクラスになってしまう。AF Zoom Nikkor 70-300mm F4-5.6 Gという安価な弟分もいるが、こちらは残念ながら非AF-S、つまりモーターが内蔵されていないのでD40では使えない。

 80×143.5mm(最大径×長さ)、745gと、D40にはすこし大きくて重いレンズに思えるが、付けてみると意外と気にならない。D40が小さすぎるので、鏡胴をつかんで持つことになるからかもしれない。質感の高さや操作感のよさはニッコールレンズならではで、81,900円という価格がお買い得に思える作りだ。

 画質も問題はない。強いて言えば近接撮影時にややユルく感じるかもしれないが、これもよく見なければわからないだろう。手ブレ補正効果が向上したVR IIのおかげで、望遠端で1/100秒程度のシャッター速度でも、躊躇することなく手持ちで撮影する気になれる。


広角端 F4.5
VR 70-300mm / F4.5 / 1/60秒 / 0EV / 70mm
広角端 F5.6
VR 70-300mm / F5.6 / 1/50秒 / 0EV / 70mm
広角端 F8
VR 70-300mm / F8 / 1/25秒 / 0EV / 70mm

望遠端 F5.6
VR 70-300mm / F5.6 / 1/50秒 / 0EV / 300mm
望遠端 F8
VR 70-300mm / F8 / 1/30秒 / 0EV / 300mm

シグマ APO 50-150mm F2.8 EX DC

 もっと明るいレンズがほしければ、まずはこのデジタル専用望遠ズームということになるだろう。110,985円という価格がD40にふさわしいかどうかはちょっと疑問だが、作りのよさは価格を裏切らない。

 大口径にも関わらず76.3×135.1mm(最大径×長さ)、770gと比較的コンパクトに作られていて、ちょっと大きな標準ズームくらいのイメージで扱える。D40とのサイズ的なバランスはとてもよい。

 手ブレ補正は入っていないが、レンズの明るさがカバーしてくれる。シグマには「OPTICAL STABILIZER」という独自の手ブレ補正技術があるが、あえてレンズが大きくなる要素を排したのは見識かもしれない。

 大口径ならではの余裕ある画質を楽しめるのもうれしいところ。最短撮影距離1mにもかかわらず近接撮影でややユルく感じられるのと、下の作例が露出オーバーなのを考慮しても色ノリがもうひとつな気がするが、より明るい望遠ズームを奢りたいならこれが決定版だろう。


広角端 F2.8
50-150mm / F2.8 / 1/50秒 / 0EV / 50mm
広角端 F5.6
50-150mm / F5.6 / 1/15秒 / 0EV / 50mm
広角端 F8
50-150mm / F8 / 1/8秒 / 0EV / 50mm

望遠端 F2.8
50-150mm / F2.8 / 1/100秒 / 0EV / 150mm
望遠端 F5.6
50-150mm / F5.6 / 1/25秒 / 0EV / 150mm
望遠端 F8
50-150mm / F8 / 1/13秒 / 0EV / 150mm

AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-200mm F2.8 G (IF)

 言わずと知れたニコン純正高性能ズーム。283,500円という値段も、87×215mm(最大径×長さ)、1,470gというサイズも、D40にはすべてがアンバランスなレンズだ。VRこそ前世代のものだが、使い勝手も感触もすべて最上級。写りももちろん開放から非の打ち所がないが、この値段ならそれも当然。参考までに。


広角端 F2.8
VR 70-200mm / F2.8 / 1/80秒 / 0EV / 70mm
広角端 F5.6
VR 70-200mm / F5.6 / 1/20秒 / 0EV / 70mm
広角端 F8
VR 70-200mm / F8 / 1/10秒 / 0EV / 70mm

望遠端 F2.8
VR 70-200mm / F2.8 / 1/125秒 / 0EV / 200mm
望遠端 F5.6
VR 70-200mm / F5.6 / 1/40秒 / 0EV / 200mm
望遠端 F8
VR 70-200mm / F8 / 1/20秒 / 0EV / 200mm

作例

 今回の作例は、横浜市港北区の大倉山公園、通称「大倉山梅林」で撮影した。咲いている梅ばかり撮っているが、全体としてはまだ1分も咲いていない。が、例年よりも見ごろは早く来そうだ。


VR 70-200mm / F5.6 / 1/400秒 / 0EV / 200mm
55-200mm / F8 / 1/400秒 / 0EV / 200mm

VR 70-300mm / F5.6 / 1/200秒 / -1EV / 300mm
VR 70-300mm / F5.6 / 1/80秒 / 0EV / 70mm

50-150mm / F5.6 / 1/640秒 / 0EV / 150mm
50-150mm / F5.6 / 1/100秒 / 0EV / 80mm

50-150mm / F5.6 / 1/80秒 / 0EV / 80mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d40/
  ニコンD40関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2006/12/05/5182.html


( 本誌:田中 真一郎 )
2007/01/24 15:17
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