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D40のバッテリーは小型のEN-EL9になった。右はEN-EL3e
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D40はニコン デジタル一眼では最小のリチウムイオン充電池「EN-EL9」を採用している。D80、D200のEN-EL3eやD50のEN-EL3aが1,500mAhであったことを考えると、EN-EL9の1,000mAhという容量はどうも心許無く思える。しかも、D40は背面液晶モニターのバックライトが点灯している時間が長いというハンデも抱える。
D40のCIPA準拠の撮影可能枚数は約470枚ということになっているが、この長期レポート中の実績は、1回の充電でだいたい450枚の撮影ができた。しかもこれは、多数のストロボ発光や、夜間の低温下での使用を含めてという、そこそこ厳しい条件下だから、なかなか立派な成績ではないだろうか。週末の1泊旅行くらいなら、満充電にしておけば予備バッテリーは不要かもしれない。よしんば予備を携行しても、EN-EL9はあまり負担にならない大きさ、重さだったりする。
さて、今回は交換レンズの話だ。もう様々なところで喧伝されているように、D40にはボディ内モーターが無いため、レンズ内モーターを備えたレンズでなければAFが使用できない。D40というカメラの性格やファインダーを考えると、AFは無いと困る装備である。
おかげでニコン純正、レンズメーカー製を含め、D40に装着できるレンズの選択肢は狭い。まして小型軽量なエントリーモデルというD40の性格を生かそうと思うと、セットレンズのAF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G II(18-55mm)とAF-S DX Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 G(55-200mm)以外に選ぶところがなさそうにも見えてしまう。
とはいうものの、せっかくレンズ交換式になっているのだから、違うレンズも試してみたいもの。D40のユーザー像を想定しつつ、いくつかのレンズを試してみた。まずは標準レンズ編である。
■ AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF)
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AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF)
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1本目はAF-S DX Zoom Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6 G(IF)。D80とのセットで販売が開始され、2006年末から単体発売も開始された。価格は6万1,950円だから、D40と18-55mmのセットよりも高くなるが、7.5倍のズームの使い勝手と、385gの軽さは魅力的だ。
全長も18-55mmより12.5mm長くなるだけだ。18-55mmはフードが別売りだが、18-135mmには花形フードが標準添付されていて、これを装着していても、軽いせいか大きさは気にならない。
ただし、高倍率ズームゆえに、18-55mmよりも絵はユルくなる。とはいえこれはディスプレイ上で等倍表示して比較してわかるようなことで、実用上はとくに問題にならないだろう。ハガキ程度までのプリントや、メールに添付したりホームページに掲載するために縮小するなら十分。
18-135mmが借り物でなければ、これを着けっぱなしにして18-55mmには2度と戻らなかっただろう。セット販売がないのが不思議に思えるほど、D40との相性はよい。
※作例のリンク先は撮影した画像です。等倍の画像(3,008×2,000ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※すべて、D40で、JPEG・FINEで撮影しています。
※画像下のデータは露出モード / シャッター速度 / 絞り / 感度 / 実焦点距離 / ホワイトバランスです。
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18-55mmの広角端開放での描写
絞り優先 / 1/800秒 / F3.5 / EV0 / 200 / 18mm / 晴天
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18-135mmの広角端開放での描写
絞り優先 / 1/800秒 / F3.5 / EV0 / 200 / 18mm / 晴天
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18-55mmの広角端F8での描写
絞り優先 / 1/200秒 / F8 / EV0 / 200 / 18mm / 晴天
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18-135mmの広角端F8での描写
絞り優先 / 1/160秒 / F8 / EV0 / 200 / 18mm / 晴天
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36mm
プログラム / 1/320秒 / F9 / EV0 / 200 / 32mm / オート
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50mm
プログラム / 1/320秒 / F10 / EV0 / 200 / 50mm / 晴天
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135mm
プログラム / 1/640秒 / F6.3 / EV0 / 200 / 135mm / オート
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135mm
プログラム / 1/320秒 / F5.6 / EV0 / 200 / 135mm / 晴天
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■ シグマ
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シグマ 30mm F1.4 EX DC HSM
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D40で使える唯一といっていい標準単焦点レンズが、シグマの30mm F1.4 EX DC HSMだ。また、D40で使えるレンズとしては今のところもっとも明るいレンズでもある。
D40ユーザーに単焦点レンズはちょっと無理がありそうに思えるが、ファインダーをのぞけばわかる明るさや、浅い被写界深度によるボケを生かした表現など、大口径レンズの魅力はとてもわかりやすい。単焦点と大口径の使い方を体得する必要はあるものの、使ってみればハマるレンズといえるだろう
欠点があるとすれば、最短撮影距離が40cmなので、コンパクトデジカメのような感覚では寄れないこと。純正品ではなく、ズームもないのに57,750円という価格も、理解を得るのが大変かもしれない。デジタル専用のわりには大柄でやや重いように感じられるが、D40の機動性を損なうほどではない。
【お詫びと訂正】記事初出時、F8での作例と誤ってF1.8の作例を掲載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。
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30mm F1.4の開放での描写
絞り優先 / 1/3,200秒 / F1.4 / EV0 / 200 / 30mm / 晴天
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30mm F1.4のF8での描写
絞り優先 / 1/100秒 / F8 / EV0 / 200 / 30mm / 晴天
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プログラム / 1/125秒 / F5.6 / EV-1 / 400 / 30mm / オート
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プログラム / 1/50秒 / F3.5 / EV-1 / 400 / 30mm / オート
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絞り優先 / 1/400秒 / F1.4 / EV0 / 200 / 30mm / オート
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プログラム / 1/160秒 / F6.3 / EV0 / 200 / 30mm / オート
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■ AF-S VR Zoom Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6 G(IF)
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AF-S VR Zoom Nikkor ED 24~120mm F3.5~5.6G(IF)
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コンパクトデジカメと同じように、デジタル一眼でも手ブレ補正レンズがほしい。そういうときはやはりAF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6 G(IF)を選ぶことになるだろう。このレンズのすばらしさは弊誌でも何度も紹介しているので、ここではあえてとりあげていない。
VR 18-200mmの性能を考えれば110,250円という価格はバーゲンプライスだが、それでもD40の価格を考えるとやや高く思えるし、手に入りにくいという問題もある。そこで、もうひとつの手ブレ補正付き標準ズームであるAF-S VR Zoom Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6 G(IF)を選んでみるというのはどうだろう。
VR 24-120mmも価格は98,700円と決してお安いレンズではないし、ズーム倍率も劣る。しかし、中古なら6万円前後で比較的潤沢に供給されている。広角側が狭くなってしまうが、35mm判換算で36mmならコンパクトデジカメでは一般的な画角だ。サイズや重量はVR 18-200mmとあまり変わらず、D40には若干フロントヘビーである。
中古レンズには品質にリスクが付きものだし、VR 24-120mmは個体差が大きいという話もあるので、万人にお勧めできる選択肢ではない。が、多少暗いところでも歩留まりが上がるのは魅力的だ。
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VR 24-120mmの広角端開放での描写
絞り優先 / 1/640秒 / F3.5 / EV0 / 200 / 24mm / 晴天
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VR 24-120mmの広角端F8での描写
絞り優先 / 1/160秒 / F8 / EV0 / 200 / 24mm / 晴天
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絞り優先 / 1/1600秒 / F5 / EV0 / 200 / 52mm / 晴天
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プログラム / 1/60秒 / F4 / EV0 / 400 / 24mm / オート
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■ 作例
ここからの作例は、14日に師岡熊野神社で行なわれた神事「筒粥」で撮影したもの。粥に沈めた葭に、どのくらいの米粒が入っているかで農作物や天候を占う行事だ。同類の行事は日本各地にあるが、師岡熊野神社のそれは今年で1,058回を迎えるという歴史をもち、横浜市の無形文化財に指定されている。
撮影にあたっては、師岡熊野神社の許可を得た。一般客も参観可能で、撮影も可能だが、祝詞などの奏上中などは撮影ができないなど、制約がある。事前に撮影可能な場所や時間を確認し、職員の方の指示に従い、祭儀の邪魔にならないよう注意したい。
※特記しない限り、レンズは18-135mmを使用しました。
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祭壇の供物
プログラム / 1/320秒 / F9 / EV0 / 200 / 32mm / オート
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師岡熊野神社のマスコットは三本足のカラス
プログラム / 1/320秒 / F9 / EV0 / 400 / 44mm / オート
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祭儀は14時から始まるが、粥は朝の7時から炊かれている
プログラム / 1/200秒 / F5.6 / EV0 / 200 / 120mm / オート / VR 24-120mm
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祭儀をつかさどる宮司
プログラム / 1/125秒 / F5.6 / EV0 / 400 / 112mm / オート
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粥の中の葭を引き上げ、葭の中の米粒の量を見て占う。本殿内は暗いので、30mm F1.4開放で撮影
絞り優先 / 1/25秒 / F1.4 / EV0 / 400 / 30mm / オート / 30mm F1.4
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占いに使われた葭
プログラム / 1/60秒 / F5 / EV-1 / 400 / 52mm / オート / ストロボ使用
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占いの結果。各種作物や天候について「三分」、「半分」、「八分」、「十分」の結果が記される。昔はこの結果を参考に、今年の作付を決めた
プログラム / 1/60秒 / F5.6 / EV-1 / 400 / 75mm / オート / ストロボ使用
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粥は見学者に振舞われる。これを食べれば無病息災
プログラム / 1/60秒 / F4 / EV-1 / 200 / 24mm / オート
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■ URL
ニコン
http://www.nikon.co.jp/
製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d40/
ニコンD40関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2006/12/05/5182.html
師岡熊野神社
http://www.kumanojinja.or.jp/
( 本誌:田中 真一郎 )
2007/01/17 02:43
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