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ペンタックス K10D【第4回】
新旧マクロレンズを手持ちで試す

Reported by 中村 文夫


今回使用したマクロレンズ
 現在、ペンタックスが発売しているマクロレンズは50mmと100mmの2種類。どちらもフィルム/デジタル兼用のDFAタイプだ。

 今回は、この2本のレンズを使ってマクロ撮影の予定だったが、残念ながら用意できたのは100mm1本だけ。そこで私の手元にある旧製品も交えて、さまざまな焦点距離のレンズで撮影してみることにした。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。


smc PENTAX DFA Macro 100mm F2.8

フィルム/デジタル兼用の現行製品
 最初に紹介するのはDFA Macro 100mm F2.8だ。このレンズはデジタルカメラ用に設計された新タイプで、クイックシフトフォーカスシステムに対応。AFで一旦ピントを合わせた後、フォーカスモードをMFに切り替えることなく、ピントリングを回せば即座にマニュアルでピントが合わせられる。また従来のFAタイプに比べ大幅なコンパクト化を実現。レンズの前群だけを繰り出す独自のピント合わせ方式により、高速高精度のAFを実現している。

 K10Dに組み合わせたときの画角は150mmに相当。マクロレンズにしては画角が狭く、被写体にそれほど近づかなくても高倍率の接写ができる。また焦点距離が長いうえ開放F値も2.8と明るいので、絞りを開き気味で撮影すれば被写界深度の浅い表現も可能。ただし撮影倍率を上げると被写界深度が極端に浅くなるので、実際に高倍率で撮影する時は、ある程度絞って使うことが多くなる。

 そして、このとき問題になるのが手ブレだ。その点、K10DならSRが使えるので、歩留まりが格段に良くなる。だが手持ち撮影の場合、ブレは上下左右だけとは限らない。実際には前後のブレもかなり多く、これだけはK10DのSRをもってしても補正不可能。理論的にはカメラの前後の動きに合わせてヘリコイドを動かせば補正できるはずだが、さすがにここまで要求するのは酷というものだろう。


スイセンの雌しべの先端にピントを合わせた。ピントはMFで最短に固定。カメラを構えた体ごと前後するようにしてピントを合わせた
3,872×2,592 / 1/25秒 / F4 / 0EV / ISO100 / オート
画面全体に白い部分が多いが、意外なほどトーンは残っている
3,872×2,592 / 1/50秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO400 / WB:オート

被写界深度を深くするため絞りはF8を選択。手ブレを防ぐためISO800に設定したが、シャッター速度は1/15秒にしかならなかった
3,872×2,592 / 1/15秒 / F8 / 0EV / ISO800 / WB:太陽光
ほぼ最短撮影距離で絞り開放で撮影。ボケ味が美しい
3,872×2,592 / 1/250秒 / F2.8 / 0.7EV / ISO100 / WB:太陽光

smc PENTAX A Macro 50mm F2.8

レンズ単体で1/2の倍の接写ができるマニュアルフォーカスのマクロレンズ
 このレンズは1980年代に登場したマニュアルフォーカスのマクロレンズだ。絞りリングにA位置があるので、K10Dとの組み合わせですべての撮影モードが利用できる。また手持ちでマクロ撮影をする場合、AFだと敏感に反応しすぎてピントを合わせたい位置になかなかピントが来ないことが多く、AFレンズといえどもMFで使う機会が増える。要するにMFレンズでも、マクロレンズならそれほど不便は感じないのだ。

 またK10Dの場合、スナップインフォーカスという裏技も役に立つ。これはシャッターを全押しした状態でピント合わせを手動で行なうと、ピントが合った瞬間にシャッターが切れる機能。ボディ側のAFモードをAF.Sにセットしておくと利用できる。この機能はAFレンズでは作動しないので、MFレンズユーザーだけに許された特権である。

 実撮影画角は35mm判の75mmに相当。標準と望遠の中間に当たるので、とても使いやすい。また100mmに比べれば被写界深度が深く、カメラの前後の動きにそれほど神経を使わずに済む。K10Dと組み合わせて手持ち撮影をするには最も実用的な焦点距離だ。


MFレンズの場合、AFモードをAF.Sにセットし、シャッターを全押ししたままピントを合わせると、ピントが合った瞬間にシャッターが切れる。これがスナップインフォーカス機能で、マクロ撮影のときに使うと意外と便利だ ユーエヌ製マクロリングライトDS-58を取り付けた状態。常時点灯しているので、構図決定やピント合わせがしやすい。ただしワーキングディスタンスが長いと光量の損失が大きくなるので、焦点距離の短いレンズ向きだ。またDFA 100mm F2.8に取り付けたところ、発光部の重さのためAFが作動しなかった。そういう意味ではMFレンズ向きだろう

 さらに撮影倍率を上げると被写体までの距離が近くなるので、それほど光量の強くない照明でも十分役に立つ。たとえばユーエヌがデジカメ用として発売している蛍光灯式のリングライトを取り付けると、シャッター速度換算で2〜3段分光量がアップ。被写体までの距離が離れると光量が落ちるので使用範囲は限られるが、K10DのSRを使って手持ち撮影するには絶好の照明器具だ。

 また蛍光灯式照明の良いところは、常時点灯していること。ストロボ式と違いファインダーの視野が明るくなるので、ピント合わせがしやすく構図の確認も容易にできる。現在K10Dにオートで使用できるストロボ式リングライトは未発売だが、この蛍光灯式のリングライトはかなり実用的だ。

  • 50mm F2.8の作例はすべてリングライトを使用
  • Exifでは焦点距離が200mmとなっているが、これは手動セットのミスによる


花びらのフチにほんの少し色にじみが見られるが、気になるほどではない
3,872×2,592 / 1/8秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:オート
リングライトの光で、花の光沢感がさらに強調された
3,872×2,592 / 1/40秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート

観葉植物の葉を逆光で撮影。斑入りの葉の質感描写が見事だ
3,872×2,592 / 1/20秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光

smc PENTAX A ★ Macro 200mm F4 ED

ED(特殊低分散)ガラスを使った高品位マクロレンズ。レンズ単体で等倍の接写ができる
 200mmクラスの望遠マクロは、現在ペンタックスのラインナップから外れている。デジタルカメラに組み合わせると300mmという焦点距離になるので、マクロレンズとしてはかなり特殊な焦点距離にならざるを得ない。開発ロードマップにも記載されていないので、恐らく今後、このクラスのマクロレンズは絶版になることが予想される。

 今回撮影に使用したレンズは、MFタイプの初代の製品だ。商品名にEDとあるように、特殊低分散ガラスを用い色収差を徹底的に除去。開放F値は4と決して明るいレンズではないが、焦点距離が長いので、接写をしたときの被写界深度は信じられないほど浅くなる。作例を見れば分かる通り、小絞りを選んでも被写界深度はそれほど深くならない。絞れば必然的にシャッタースピードが遅くなり、手ブレの危険性は非常に高くなる。

 この点、K10Dと組み合わせると、SRが有効にはたらき、これを回避できる。ただし撮影倍率が高いと、ほんの少しカメラが前後に動いただけで、ピントが大きくずれてしまうので注意が必要だ。


微妙な黄色のトーンが美しく再現された
3,872×2,592 / 1/50秒 / F8 / 0EV / ISO800 / WB:太陽光
色収差が目立ちやすい条件だが、色のにじみはまったくと言っていいほど出ていない
3,872×2,592 / 1/40秒 / F5.6 / -1EV / ISO400 / WB:太陽光

Apo-Lanthar 90mm F3.5 SL Close Focus

コシナ製の一眼レフ用レンズ。Kマウントは絶版だが、M42マウントは現行商品として発売中だ
 Apo-Lanthar(アポランター)90mmは、コシナがフォクトレンダーブランドで発売する一眼レフ用交換レンズ。Kマウント版は限定発売だが、昨年末の最終処分セールで運良く手に入れることができた。銀塩フィルムで使うことを前提に開発された高品位レンズをK10Dに組み合わせるとどうなるかを検証する意味で、今回のレポートに加えてみた。

 このレンズは光学系に異常低分散ガラスを1枚使うことで色収差を除去。商品名にClose Focusとあるように、レンズ単体で1/3.5倍の接写ができる。特に接写時のボケ味が美しく階調も豊か。想像以上に表現力の幅がある。ただしK10Dと露出計の相性は、あまり良くないようで、なぜか露出がオーバーになってしまった。結局、液晶モニターで露出を確認し、マイナス補正をしながら撮影した。絞りリングにA位置があるのでAEが使えるが、ROMにレンズ固有の情報が書き込まれていないと、露出に関しては厳しいものがあるようだ。この点についてはペンタックス製Aレンズも同じだが、やはりサードパーティ製ということで、Apo-Lantharには負い目があるようだ。


絞り開放で撮影。背景のボケ味が自然で美しい。ピント合った箇所のシャープさもすごい
3,872×2,592 / 1/125秒 / F3.5 / -1.3EV / ISO400 / WB:オート
背景のボケ味に注目。水仙の花の形が何となく分かるうえ、奥行きも感じられる
3,872×2,592 / 1/40秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO400 / WB:オート

日陰で撮影したので全体に光が回り、柔らかな優しいトーンになった
3,872×2,592 / 1/40秒 / F5 / -1.7EV / ISO200 / WB:オート
逆光なので背景が飛びぎみだが、水仙の花びらの質感は失われていない
3,872×2,592 / 1/30秒 / F5 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート

まとめ

 今回使用したレンズは、名レンズとして評価の高い製品ばかりだ。デジタル対応のDFA100mmF2.8を除いた3本は銀塩フィルムに主眼を置いた設計だが、撮影した画像はレベルが高く、デジタル対応レンズに比べ遜色は全然ない。

 特にA ★ 200mmとApo-Lanthar 90mmは色収差の排除に力を入れているので、デジタルカメラで目立ちやすい色にじみの発生も極限まで抑えられ、非常に満足のゆく結果になった。やはり丁寧に作られたレンズは、デジタルカメラでも高い能力を発揮するのだ。



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/k10d/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(K10D)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#k10d
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm


( 中村 文夫 )
2007/01/05 18:17
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