「ダンナがすなるデジタル一眼といふものを、母子もしてみむとて、するなり」。ニコン銀塩一眼のお手軽モデル「U」の名前こそ付けられていないけれど、D40の成り立ちは基本的にカメラに関心の無い層に向けた、お手軽・お気軽一眼レフだ。キムタクのCMを見た奥様にD40せがまれた読者もいるのではないか。
というわけで今回は、ターゲットユーザーにD40を使ってもらって、反応を見てみた。筆者のもっとも身近なターゲットユーザー、つまり、うちのカミさんに。
普段、彼女が愛用しているのはカメラはキヤノン IXY DIGITAL L3。主要な被写体は娘とペットの犬。教師をしているので、仕事で受け持っている子どもの写真を撮ることもある。デジタル、銀塩ともに一眼レフというものを所有していたことは無い。ダンナのD100で2、3枚レリーズしたことはあるが、「絵が大きくならない(翻訳:ズームできない。我が家のD100にはたいてい35mm F2が付いている)」と言ったっきり、使わなくなってしまった。家を狭くする一方のデジタル一眼やレンズ類の存在を、どちらかといえば“憎んでいる”層と言えるだろう。
その彼女に、土曜日の朝、犬の散歩にでかける5分前にD40+AF-S DX 18-55mm F3.5-5.6 IIを渡し、AUTOポジションと発光禁止ポジションを教え、「なるべく太陽を背にして、明るいところで撮ること」と伝えた。教えたのはこれだけ。その結果が次の作例だ。
※作例のリンク先は撮影した画像です。等倍の画像(3,008×2,000ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※すべて、JPEG・FINE / 露出補正なし / オートホワイトバランスで撮影しています。
※画像下のデータは絞り / シャッター速度 / 感度 / 実焦点距離です。
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こんなチャンスを逃さずに撮れるのもデジタル一眼レフのレスポンスあってこそ
F5.6 / 1/320秒 / ISO400 / 55mm
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落ち葉の質感がきっちり再現されている
F8 / 1/250秒 / ISO200 / 18mm
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太陽がレンズの右前方。逆光気味で白っぽくなたったとはいえ、スナップとしては問題ないか
F6.3 / 1/160秒 / ISO200 / 38mm
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日陰だが発光禁止で挑戦
F5.6 / 1/125秒 / ISO320 / 55mm
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いきなり渡されたカメラだが、犬や子どもという動き回る被写体をなかなかよく捉えられていると思う。日陰や逆光気味の厳しいところでも、日常のスナップ写真として耐えられるだけのクオリティが維持されているといえるだろう。カメラも写真もよくわからない人が、D40にたよりっきりで撮ってもこの程度にはなるということだ。
このとき彼女は約30分間で30枚ほど撮影した。掲載した作例は4点だけだが、プライベートのスナップとして使えそうな写真はほかに7点ほどあったので、成功率はだいたい3分の1というところか。
使ってみての感想は「シャッターが速くて使いやすかった」。翻訳すると、普段使っているコンパクトデジカメよりもAFが速く、レリーズタイムラグも少なくて撮りやすかった、ということになる。
大きさや重さの点ではIXY DIGITALよりも圧倒的に不利だが、これも「気にならない」という。D100で「一眼は重くて大きい」というイメージが植えつけられていたせいもあるだろうが、D40の軽さには驚いたようだ。
もうひとつのコンパクトデジカメより不利な点、そして彼女にとって最大の問題点である価格だが、「6万円弱で買える」と聞くと「そのくらいならいいかも」などと言っている。家計を握る彼女の普段の消費行動からすると非常に意外な答えなのだが、娘やペットの写真の質を上げられるならこのくらいの投資はしてもいい、ということなのだろう。残念ながら、この冬我が家に入ってくるボーナスは、すべて住宅ローンの繰上げ返済に当てることが決まっているとのことで(筆者はそんな決定があったことをまったく知らなかった)、購入には至らなかったが。
カメラ媒体の編集者の家族だから、リップサービスが入ってるのでは? と疑う向きもあるかもしれないが、そのような気の利かせ方ができるようなパーソナリティの持ち主ではないこともここに明記しておこう。
もちろん、これはごく短時間のインプレッションだ。長い時間使っていれば、また違った意見が出てくるだろう。だが、第1印象はとてもよく、大きくて高価なカメラが嫌いなカミさんにも抵抗感を持たせないカメラだということはわかった。
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これが娘の撮った写真。身長というか視点の低さが現れているのが面白い(と思うのは親バカ?)
F5.6 / 1/500秒 / ISO280 / 40mm
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ここで、若干ターゲットをはずれ気味なユーザー、つまり7歳の娘にも使ってもらった。カミさんのお古のデジカメや、携帯電話のデジカメで写真を撮ることはあるものの、一眼レフを持つのは初めてだ。
こちらはまずカメラの持ち方を教える必要があったが、あとは特に教えることもなく、これまた普通に撮影してくれた。ストラップが長すぎて用を成していなかったりして、端で見ていると危なっかしいのだが、本人は重いとも大きいとも思わずに撮っていたそうで、「楽しかった」との感想をもらえた。
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何も言わないとこんな持ち方をする
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持ち方を教えた後。ズーム操作も教えれば使う。ストラップが長すぎてまったく役に立っていない。短くして渡すべきだった
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D40を初めて手にしたとき、ニコンらしい質感が女性や子どもには逆に障壁になるのではないかと思っていたのだが、どうやらそれは杞憂のようだ。「パパだけまたなんだか訳わかんないもの買って~」などと言われることなく、家族全員で楽しむことができそうだ。
■ URL
ニコン
http://www.nikon.co.jp/
製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d40/
ニコンD40関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2006/12/05/5182.html
( 本誌:田中 真一郎 )
2006/12/27 00:59
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