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キヤノン IXY DIGITAL 900 IS【第3回】
広角28mmレンズの魅力

Reported by 奥川 浩彦


 IXY DIGITAL 900 ISを購入した動機のひとつが、広角28mm相当(以降すべて35mm判換算)のレンズだ。パナソニックの「LUMIX DMC-FX09」や「IXY DIGITAL 800 IS」の手ブレ補正を体験して、このクラスでは手ブレ補正が必須と考えていたが、さらにプラス1の魅力として、28mmレンズの搭載が900 IS購入の背中を押したといっても過言ではない。

 筆者が一眼レフを買ったのは、20数年前のことだ。最初に買ったレンズはサードパーティ製の70-210mmの望遠ズームだった。目的がレースの撮影だったので、いきなり望遠という少々変わった選択をしたわけだ。次に買ったのが28mmの単焦点。これもサードパーティ製で、気持ちよく撮れるレンズだった。

 28mmを気に入った理由のひとつは、当時のコンパクトカメラや標準ズームの35-105mmとは一味違う表現が可能だった点だ。腕や画質を抜きにして、一見して「一眼レフ」で撮った雰囲気があった。その後1〜2年で純正レンズを中心に買い換え、最終的に24mm、50mm、85mm、135mm、300mmと単焦点レンズを揃えたが、広角に関しては28mmを使いやすく感じていた。

 28mmの魅力は「広い範囲が写せる」、「遠近感が表現できる」、「絞り込めば(一眼レフなら)ピントを気にせず撮れる」、「手ブレしにくい」といったところだろうか。特に筆者が期待するのは、遠近感を中心とする表現手法だ。プロやハイアマチュアの上手な方はさらにレベルが違うと思うが、素人が一味違う写真を撮るには、広角と望遠は近道になるだろう。

 よく遭遇するシーンとしては、狭い室内など引きのとれない場所での記念撮影。人数が多いと焦点距離35mm相当の画角では、被写体が入りきらないシーンが多い。旅行などでも大きな建物がフレームに収まらなかった経験は多いだろう。こんなシーンでは単純に広角レンズの恩恵を感じるはずだ。最近のデジタルカメラなら、望遠側は高い記録解像度のお陰でトリミングという手が使える。さらに900 ISの場合は、M3(1,600×1,200)にすればセーフティズームで7.3倍(200mm相当)までカバーしてくれる。この点、広角側はフレームに入らないものは対応するすべがない。

 28mmの特徴を表現するため、たまたま見かけた樽の鉢植えを撮ってみた。普通なら28mmで撮った感じはしないし、35mmで撮っても似たような絵になったであろう。これをグッと近付いて下から撮ると一味違った写真となる。残念ながら900 ISにはバリアングル液晶モニターが付いていないので、地面に寝そべっての撮影となるが、取り直しが簡単ですぐに確認できるデジカメなら、しゃがむだけでもローアングルからの撮影はできる。どちらの写真がいいかは好みの範疇だが、表現力が広がるのは28mmの魅力であろう。

 また、28mmに限らず広角レンズでは、レンズを上に向けると、フレーム左右の被写体が「ハの字に傾く」のを念頭に入れておいた方がいい。レンズを上下に向けず、カメラを水平に構えると傾きは目立たなくなる。小物撮りなどは、形状の歪みが目立ちにくい望遠側で撮ると自然な感じなる。

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


何も考えなく普通に撮ると、こんな感じになりがち
3,072×2,304 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.14mm
グッとよってローアングルで撮ると一味違った写真になる
3,072×2,304 / 1/800秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

これ以上下がれないので28mmでも苦しい。レンズを上に向けると建物はハの字に傾く
3,072×2,304 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
カメラを水平にすると、左右の建物もハの字に傾かない。下からではなく立体駐車場に上がって撮影
3,072×2,304 / 1/250秒 / F7.1 / 0.67EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

三脚の先に900 ISを取り付け、セルフタイマーをカスタムにして10枚撮影。隣にいた妻は恥ずかしいと引く。近くの他人はなるほどという このとき撮った作例。自分の影が写らないメリットも
3,072×2,304 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

 なお、900 ISのセルフタイマーには、2秒と10秒に加え、カスタムという設定がある。設定できる時間は0〜10秒、15秒、20秒、30秒。撮影枚数は1〜10枚となっている。記念撮影の時に便利な機能だが、それ以外にも三脚や一脚の先にカメラを取り付け、超ハイアングルなど特殊なアングルから撮るときに使用している。今回も三脚の先に900 ISを取り付け、花壇を見下ろすようにして10枚連続で撮ってみた。こんな撮影でも広角レンズの被写界深度の深さはありがたい。

 反面、900 ISの小さなボディに合わせてレンズ部が小さいためか、広角28mmを搭載したことで四隅の画質が落ちているのは残念だ。といっても、ディスプレイ上で等倍にするから気になるところもあり、いつもL判プリントしかしないのなら、それほど気にする必要はないのかもしれない。

 電源ONにすると、デフォルトで28mmとなるのも少々気になる。筆者もそうだが電源を入れて、取り合えずそのままフレーミングをする人は多いはずだ。結果として撮った写真の多くが28mmでの撮影となる。広角レンズの遠近感は魅力だが、撮り方によって被写体の形状が歪んだり傾いたり不自然に感じることもある。もしかするとワンステップズームした37mm辺りをデフォルトとした方が、本当は使いやすいのではないかと感じる。

 いい面悪い面はあるが、広角レンズで新たな表現力を手に入れると、写真を撮ることが楽しくなる。一眼レフを買って標準ズームに望遠レンズや広角レンズを買い足した辺りから、レンズ地獄に陥った方も多いのではなかろうか。コンパクトデジカメの28mmを体験したことで写真の世界にどっぷり浸かる方が増えてくれると、筆者としては嬉しい限りだ。


名古屋のテレビ塔。28mmの効果が出るシーンだ。中央にフレーミングすると建物は傾かない。手ブレ補正の効果もあり
3,072×2,304 / 1/8秒 / F2.8 / -1.33EV / ISO200 / WB:オート / 4.6mm
建物のすぐそばでも屋根まで入る。建物の近くに立つとフレームに通行人が入らないのもメリット
3,072×2,304 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

スクリューのすぐそばまで寄って撮影。説明書きもフレーム外に出せる。露出補正をマイナスにしたので空も真っ青
3,072×2,304 / 1/400秒 / F7.1 / -0.67EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
レンズを上に向けたのでややハの字になっているが、効果としてOKでしょう
3,072×2,304 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

東京出張の途中で撮影。コンパクトデジカメはいつも携帯できるのがメリット
3,072×2,304 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm
遠近感が出るのが広角レンズのメリット。ホワイトバランスの安定度は高い
3,072×2,304 / 1/125秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm

ギリギリでフレームに入れたが、シャッター速度が速すぎて水の動きがイマイチ
3,072×2,304 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
打合せで通った西麻布で撮影。目の前の歩道から見上げても28mmならここまで入る
3,072×2,304 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm

マクロで至近距離まで寄って撮影
3,072×2,304 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
足元からはるか向こうまでフレームに入るのは28mmならでは
3,072×2,304 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/900is/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 奥川 浩彦 )
2006/11/01 00:41
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