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キヤノン IXY DIGITAL 900 IS【第2回】
まずまずの高感度ノイズ

Reported by 奥川 浩彦


 IXY DIGITAL 800 ISを扱った以前の長期レポートで、IXY DIGITAL 55、IXY DIGITAL 700、IXY DIGITAL 800 ISの高感度ノイズを比較した。そのときの結果は、800 ISが最も低ノイズだった。

 今回も同じ被写体をIXY DIGITAL 900 ISで撮影してみたい。撮影場所は名古屋の栄にあるオアシス21だ。個人的にいつもこの場所でノイズチェックをしているのだが、撮影中に照明が変化するので厳密な比較といえない部分もあるのでご容赦願いたい。

 900 ISで設定できる感度はISO80、100、200、400、800、1600となっている。800 ISがISO800までだったので、ISO1600の実力が気になるところだ。DIGIC IIIの採用でさらなるノイズ低減を期待するのは筆者だけではないだろう。

 前回の3機種は広角端で撮影したが、900 ISの広角端は4.6mm(35mm判換算28mm)となっているので、ワンステップズームした6.14mm(同37mm相当)で撮影している。画角も若干異なるし、絞りも前回のF2.8からF3.2と異なっている。

 800 ISと900 ISを比較すると、箇所によって優劣はあるものの、ISO80〜800までほぼ同様なレベルのノイズとなっている。DIGIC IIIによるさらなるノイズ低減を期待したが、残念ながらこの部分での改善はみられないようだ。新しい感度のISO1600に関しては、かなりのノイズが発生しており、特別な場合以外は使用をためらう画質だ。

 だが55と比較すればはるかにノイズは少なく、800 ISと同様、コンパクトデジカメとしては悪くないレベルだと思う。900 ISは、ISO感度をオートに設定した場合はISO200まで、高感度オートに設定した場合はISO800までの範囲でカメラが自動的に判断する。

 この撮影で気になったのがシャッター速度の違いだ。前回3機種を比較した際、同じISO感度で800 ISだけシャッター速度が異なっていた。具体的にはISO400の場合絞りF2.8で、IXY DIGITAL 55と700が1/15秒だったのに対し。800 ISだけ1/10秒となっていた。900 ISは同じISO400の場合、絞りがF3.2でシャッター速度が1/6秒となっている。仮にF2.8に設定できれば1/8秒となる。800 ISよりさらにシャッター速度が遅くなっている。

 撮影条件が一定ではないので厳密な比較ではないが、数字だけみるとIXY DIGITAL 55/700に対し、800 ISは絞り2/3段、900 ISは1絞り分感度が低いことになる。気になって自宅で白い壁紙に向かってテスト撮影をしてみたところ、800 ISと900 ISは同じとなり、55は1/3段シャッター速度が速くなった。オアシス21の撮影の時ほど差はなかったが、なんとなく表示されているISO感度よりも実効感度が低いのかもしれない。

 800 ISの時も書いたがIXY DIGITALシリーズは通常のExif情報にISO感度が表示されない。やはり普通にExif情報の中で表示された方が便利だと思う。製品に添付されたZoomBrowser EXを使用するとISO感度の表示が可能だが、それでもオートの場合はオートとしか表示されない。撮影中のシャッター速度の表示も手ブレ警告が出ないと表示されないこととあわせ、今後は変更してもらいたい。


 ノイズ面で(筆者の勝手な)期待は裏切られたが、悪いわけではなかったのでショックではなかった。むしろショックを受けたのは、周辺の解像度だ。900 ISと800 ISを比較すると中心部分では大した差はないが、カットによっては明らかに左端の解像感が不足している。

 他社も含めたコンパクトデジカメの中で極端に悪いというわけではないが、「オートフォーカスの速度と精度、レンズ描写やホワイトバランスなど、キヤノンらしい全体的にそつない仕上がりにも裏切られることはないだろう」との勝手な思いこみがあったのでガッカリしてしまった。28mm広角レンズの採用が原因なのか、あるいは710万画素のCCDなのかはわからないが、解像感に関しては800 ISより後退してしまったようだ。もちろん、被写体、ズームの位置、絞り値などの組み合わせにより、問題がない場合もある。あくまで今回のシーンでの結果と理解いただきたい。

●高感度ノイズ

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


ISO80
3,072×2,304 / 0.8秒 / F3.2 / 0EV / WB:オート / 6.14mm
ISO100
3,072×2,304 / 0.6秒 / F3.2 / 0EV / WB:オート / 6.14mm

ISO200
3,072×2,304 / 0.3秒 / F3.2 / 0EV / WB:オート / 6.14mm
ISO400
3,072×2,304 / 1/6秒 / F3.2 / 0EV / WB:オート / 6.14mm

ISO800
3,072×2,304 / 1/13秒 / F3.2 / 0EV / WB:オート / 6.14mm
ISO1600
3,072×2,304 / 1/25秒 / F3.2 / 0EV / WB:オート / 6.14mm

 900 ISの特徴のひとつが28mmからのズームレンズだ。800 ISの5.8〜23.2mm(35mmフィルム換算35〜140mm)に対し、900 ISは4.6〜17.3mm(同28〜105mm)となっている。筆者としては広角側は35mmより28mmから始まる方が望ましいと思っていて、900 IS購入の大きな理由にもなっていた。広角側に寄った方がいいのか、望遠側が長くなった方がいいのかは最終的には良く撮る被写体と好みの問題だと思うが、望遠側は高解像度のCCDのお陰もあるのでトリミングすればそこそこの絵になる可能性があるが、広角側で目一杯引いても入らない被写体は何ともならないであろう。

 それにコンパクトデジカメに多い3〜4倍ズームの望遠側では、背景をぼかすとか圧縮効果を期待するほどの絵は撮れないことが多い。逆に28mmでローアングルから撮ったりすると今までと一味違う絵も撮れたりするだろう。ちなみに筆者は一眼レフでは望遠が好きである。

 光学ズームのステップは4.6 / 6.14 / 7.56 / 9.11 / 10.83 / 12.67 / 14.69 / 17.3mm(35mm判換算28 / 37 / 46 / 55 / 66 / 77 / 89 / 105mm)の3.8倍、8段階となっている。その先にデジタルズームが1.2 / 1.5 / 1.9 / 2.4 / 3 / 4倍で最大15.2倍となる。

 デジタルズームに関連する新機能、補間処理なしで画面中央部を切り出す「セーフティズーム」も利用できる。例えば、記録解像度をM2(2,048×1,536)に設定した場合、光学3.8倍+1.5倍=5.7倍まで補間処理を行なわずに撮影可能だ。要するに解像度L(3,072×2,304)で3.8倍で撮影後、PCでトリミングするのと理論的には変わらないが、ダイレクトプリントなどで気軽にプリントするには便利かもしれない。

●画角の変化


4.6mm(35mm判換算28mm)
3,072×2,304 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート
10.83mm(35mm判換算66mm)
3,072×2,304 / 1/1,000秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / WB:オート

17.3mm(35mm判換算105mm)
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート
17.3mm×デジタルズーム4倍(35mm判換算420mm)
3,072×2,304 / 1/640秒 / F5.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート

ワイドで撮影。後からトリミングも可能だが、広がり感はワイドの魅力
3,072×1,728 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm

 前回の鈴鹿サーキットで気になった、マイカラー設定の「あざやかブルー」も改めて検証してみた。鈴鹿で撮影した900 ISの画像は確かにあざやかな青空となった反面、水色と青の間が不自然なまだらとなったからだ。もしやDIGIC IIIのチューニング不足では思い、800 ISと比較することにした。

 結果としては、どちらも同じようにまだらになっている。5月に800 ISで撮影したときは問題なかったので、DIGIC IIとIIIの違いではなく、単に青空(被写体)を選ぶということのようだ。鑑賞するサイズや印刷するサイズによっては気にならないだろうが、筆者としては普通に撮って必要なら後からフォトレタッチした方がよいのでは、と感じている。

 もうひとつ、たまたま太陽をフレームに入れて撮影した際に気になったことがあったので報告しよう。太陽や照明などの光源が液晶モニター上で線を引くことは、多くのデジカメで起こっている。そのまま撮影すると撮った画像は特に問題とならないが、撮影時にやや不快な現象だ。

●あざやかブルー(マイカラー)


あざやかブルー(900 IS)
3,072×2,304 / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 7.56mm
あざやかブルー(800 IS)
2,816×2,112 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5.8mm

マイカラーをOFFで普通に撮影(900 IS)。充分に青空だと思う
3,072×2,304 / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 7.56mm

●逆光時の液晶モニター


強烈な逆光で撮影。撮った画像は問題ないが……
3,072×2,304 / 1/800秒 / F9 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 7.56mm

900 ISの液晶モニター。割れた液晶モニターのようになった 800 ISの液晶モニター。逆光でも900 ISほど影響を受けない

 人工照明程度では特に問題ないが、900 ISは太陽のような強い逆光が入ると、割れた液晶モニターのような強烈な線を引く。上手く撮れなかったが、同じ条件で800 ISのモニターも撮影してみたので比較していただきたい。撮った画像は特に逆光で破綻しているわけではないが、撮影時に気になったので報告しておこう。

 厳密なベンチマークテストではないが一通りのチェックを行ってみた。高感度ノイズは800 ISと同じ程度でそこそこのレベルだと思う。一方、レンズ回りに一抹の不安を感じる。とはいえ、オートフォーカスの速度と精度、ホワイトバランスはコンパクトデジカメの中ではトップクラスを維持しているようだ。まだまだ使い始めたばかりなので、これから色々なシーンを撮って評価を続けていきたい。

●そのほか


マイカラーをあざやかブルーに設定。凄い青空だが色の変わり目がまだらになっている
3,072×2,304 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
名古屋港にて。気持ちのいい青空。今回の長期レポートは天候に恵まれそう
3,072×2,304 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.14mm

名古屋港イタリア村。四隅は流れているが全体的にはそれほど悪くはない
3,072×2,304 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
イタリア村の入り口。広角端は昼間でも四隅が流れる
3,072×2,304 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm

広角28mmはグッとよって撮るのが楽しい
3,072×2,304 / 1/250秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.6mm
換算77mmくらいなら周辺解像度の低下もそれほど気にならない
3,072×2,304 / 1/400秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 12.67mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/900is/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 奥川 浩彦 )
2006/10/26 14:39
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