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ソニー α100【最終回】
私の撮影スタイルにマッチするカメラ

Reported by 吉住 志穂


一番好きなレンズ、100mm F2.8マクロ(ミノルタ製ですが)をα100に装着。このレンズのためにα100を使っているのかも
 α100発売から67日目……。7月21日の発売日から約2カ月が過ぎ、この長期レポートも最終回を迎えました。今回は13日に行なわれたソニーの販売業者向けのイベント「ディーラーコンベンション2006」で展示されたデジカメ向け製品の体験報告と、まとめとして、ソニーがα100のコンセプトとして掲げたテーマ、「目指したのは誰もがいい写真を撮れること」について考えてみます。

 ソニーではα100と同社のAV製品とで、総合的に写真を楽しむ提案をおこなっています。写真の鑑賞方法といえばプリントして額装するのが一般的ですが、例えばソニー製品では、撮った画像をハイブリッドレコーダー「スゴ録」シリーズのHDDに取り込み、ハイビジョンテレビ「BRAVIA」(ブラビア)で鑑賞する方法が考えられます。

 実際にα100で撮った画像をスゴ録シリーズのフラッグシップモデル「RDZ-D900A」に取り込み、BRAVIAシリーズの1台、46V型液晶テレビの「KDL-46X2500」に映し出してみました。α100をRDZ-D900Aの前面USB端子に繋げると、メディア内のデータがHDDに読み込まれていきます(ただしRAWは不可)。RDZ-D900AのHDD容量は400GB。取り込んだ複数のデータから、スライドショーの「x-Pict Story HD」や、アルバムをめくるように楽しめる「x-ScrapBook」が作成できます。

 RDZ-D900Aからの静止画出力は、テレビのハイビジョン画質として一般的な1080iになります。さらにKDL-46X2500は、1080iの1,920×1,080ピクセルをリサイズすることなくそのまま表示できるフルHDテレビなので、写真の高解像度表示にはぴったりの組み合わせといえるでしょう。


会場で使ったRDZ-D900A USBでカメラをつないだところ

コピー中。自分の撮った写真がHDDに転送されます 無事コピーされました

x-Pict Story HDを作成中。選んだ音楽に沿って、画面の切替速度やエフェクトが決まります

 さて、ハイビジョンテレビで自分の撮った写真を見たのは初めてだったのですが、映し出された画像の鮮やかさ、精細さに驚きました。花びらの細かな筋や茎の細かいうぶ毛の1本1本が良くわかり、α100の画質を余すことなく引き出すことができていました。

 スライドショーは、メニューから使いたい音楽タイトルを選ぶと、そのイメージに合わせて写真が展開していきます。トランジション(画面の切替効果)も自動で入るので、自分の撮った写真が、プロが作ったようなビデオクリップに早変わりといった感じ。また、今までのスゴ録では、本体に内蔵されている音楽しか使えなかったのですが、この秋からの新製品では、CDなどから自分の好きな音楽を取り込み、スライドショーのBGMにできます。もちろん、気に入ったスライドショーを保存することもできますし、DVDに書き出して、他の人に配るといった使い方も可能です。その場合はハイビジョンではなく、720×480ピクセルの画面解像度になります。

  • 作成したx-Pict Story HDを本体からDVDに書き出し、DVD内の動画ファイをWMVに変換して掲載しました。ファイルサイズは約18MBです。
  • α100で撮影したアスペクト比3:2の写真をDVDの4:3に変換したため、上下が若干引き延ばされているシーンがあります。
  • 動画ファイルの再生環境はお使いのPCによって異なります。編集部では再生についての問い合わせにお答えできかねます。ご了承ください。
作成したx-Pict Story HDの動画(ファイルサイズの関係で、WMVに変換しています)。クリックすると動画のダウンロードが始まります(2分23秒、約18MB)


 もうひとつのデジカメ向け新製品、フォトストレージのHDPS-L1は、前面のメディアスロットから取り込んだ画像を80GBのHDDに保存し、それをテレビで表示する製品です。こちらもハイビジョン(720p)で写真を映し出せます。スゴ録はテレビの録画ができますが、HDPS-L1は保存とテレビ表示に特化した製品といえます。価格が35,000円前後と手頃なのも特徴です。

 といっても、スゴ録のような音楽付きスライドショー機能もちゃんとありますし、画像表示はJPEGに加え、RAWデータを見ることもできます。ただし、実際にはRAWデータ内に格納されたサムネイル表示用のJPEGデータを表示に利用しているので、テレビによっては補間処理がかかり、輪郭や階調が正確に表示されません。

 スライドショーに関してはスゴ録ほどの自由度はありませんが、カードスロットからの読み込み速度がスゴ録より速かったり、パソコンの外付けHDDとして使えたりと、スゴ録とはまた違う一面を持っています。

 写真をテレビで鑑賞するメリットのひとつは、表示内容を容易に切り替えられることだと思います。プリントと異なり、シーンや季節に応じて画面の内容を変えることができるわけです。テレビを見ないときには写真をスライドショーにして流しておけば、お部屋のインテリアにもなります。数年後には当たり前のスタイルになっているかも知れませんね。BRAVIAを数台並べて、写真展を行なうことも可能でしょう。「ハイビジョンテレビ写真展」は近々、実際に展開していきたいと思案中です。


リビング向けのフォトストレージ「HDPS-L1」 主な操作はこのリモコンで行ないます

サムネイル表示 カレンダー表示

拡大表示もできます フレーム付き再生や音楽付きスライドショーも

私にちょうどいい大きさと操作感

グリップがちょうどいい大きさ。ボタンの配置も私の手にあっています
 ソニーがα100の発売の際に掲げたテーマは、「目指したのは誰もがいい写真を撮れること」。そのテーマのとおり、α100は入門機ではなく、かといってハードユース向けでもなく、その間をいくカメラだと思います。フルオートでも撮れるし、使い慣れれば細かな設定で思い通りにも撮れる。撮影者のスタイルに合わせて使えるカメラではないでしょうか。では実際にα100は「誰もがいい写真を撮れるカメラ」に近づいているのでしょうか。

 現在、ソニー主催のフォトセミナーを担当しています。初めてデジタル一眼レフカメラを手にした方を対象にした講座や、さらに理解を深めていきたい方を対象にした内容です。参加者の年齢層も幅広く、男女比もほぼ半々。さまざまなユーザーがいるということは、ニーズもそれぞれに違います。

 先日行なったセミナーに参加した方にα100の感想を聞いてみたところ、最も多かったのは「軽い」、「使いやすい」という声。特に年配の女性にとって、カメラ選びのポイントは、機能よりも重量が重要なようです。機能がたくさんあっても重くて持って行く気にならないのでは、その人にとっていいカメラとは言えません。α100の重量は638g。世界最軽量というわけではありませんが、程々といったところでしょうか。

 また、握ったときの感触も重要です。グリップは女性の私にとってはちょうどいい大きさです。手のひら全体でカバーできる厚みがあり、人差し指にシャッターボタンが、親指に露出補正ボタンがぴったりと当たります。一方、手の大きな男性からは小指が余ってしまうという声もありました。別付けの縦位置グリップが用意されていれば解消できるのですが、今のところありません。

 そして、私が最も使いやすく感じる点はボタンの集中化にあります。前身であるコニカミノルタのデジタル一眼レフカメラ「α-7 DIGITAL」と「α Sweet DIGITAL」の違いとして、ボディの大きさとボタンの数があります。α-7 DIGITALはボタンが数多く配置され、ダイレクトに機能の設定に入ることができますが、慣れるまで時間がかかります。その点がメカとしてのおもしろさがあり、コニカミノルタらしいという方もいましたが、私にとってはボタンが集中化し、シンプルなデザインで軽量のα Sweet DIGITALが使いやすかったです。α100のデザインはα Sweet DIGITALに似ていて、ボタンの位置に迷うこともありませんでした。私にとっては、「ここを探せば操作したいボタンがある!」とすぐに分かるカメラです。


α100の背面。右のα-7 DIGITALより操作部材がすっきりと集約されています α-7 DIGITALの背面。このボタンの多さが好きだっていう人も……

 ただし、より高性能を求める人のニーズに応えるには、連写可能枚数や高ISOでのノイズの発生など、さらなる改善も必要でしょう。また、AFセンサーの精度の向上(α100は中央のみクロスセンサー)や、より色再現性の高い背面液晶モニターが欲しいところです。

 総合的に見て、α100は私の撮影スタイルにマッチしたカメラです。さらに、ボケの美しいソニーのレンズ群も魅力のひとつ。私の標準レンズといってもいいコニカミノルタ製の100mmマクロレンズもソニーが引き継いでくれました。このレンズが使いたいからこそ、α100を使っているといっても言い過ぎではないように思います。今後はボディのラインナップの増加とレンズやアクセサリー群の充実化を期待し、αのシステム全体がより向上することを望んでいます。ソニーが新規参入したことで、より写真業界が活性化し、良い製品が多く生まれることこそ、私たちの最も期待する部分ではないでしょうか。ご愛読ありがとうございました。


今週の作品

「Ying & Yang」

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


・Ying―陰―


75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 3.2秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / WB:日陰 / 300mm 100mm F2.8 Macro / 3,872×2,592 / 1/100秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:昼光 / 100mm

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1秒 / F20 / +1EV / ISO100 / WB:昼光 / 40mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 6秒 / F11 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 28mm

16mm F2.8 Fisheye / 3,872×2,592 / 1/400秒 / F5.6 / +1.3EV / ISO100 / WB:曇り / 16mm

・Yang―陽―


100mm F2.8 Macro / 3,872×2,592 / 1/40秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:日陰 / 100mm 100mm F2.8 Macro / 3,872×2,592 / 1/1000秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO100 / WB:昼光 / 100mm

70-200mm F2.8 G / 3,872×2,592 / 1/500秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:曇り / 200mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/400秒 / F13 / -0.7EV / ISO100 / WB:昼光 / 300mm

DT 11-18mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/250秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:昼光 / 18mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報(α100)
  http://www.sony.jp/products/di-world/alpha/
  製品情報(KDL-46X2500)
  http://www.ecat.sony.co.jp/bravia/products/index.cfm?PD=25296&KM=KDL-46X2500
  製品情報(RDZ-D900A)
  http://www.ecat.sony.co.jp/sugoroku/products/index.cfm?PD=25847&KM=RDZ-D900A
  レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ機種別記事リンク集(α100)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#alpha
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
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( 吉住 志穂 )
2006/09/25 00:03
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