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ニコン D80【第2回】
マクロレンズいろいろ

Reported by 安孫子 卓郎


D80にAF-S VR Micro 105mm F2.8 Gを装着ところ。なかなか圧巻
 筆者はマクロ撮影が好きなので、マクロレンズはいろいろ持っている。商売柄いろいろなマウントのボディを所有しているが、ボディごとに50mmクラスと100mmクラスのマクロは揃えるようにしている。その中で今回はニコン製の60mmと105mm、シグマ製の50mmと105mmのマクロレンズで撮り比べてみた。

 マクロレンズの出番は春先が多くなるが、これからの季節も野菊など秋の花も多く咲くし、昆虫も残っている。特に昆虫は冬前になって動きが鈍くなる時期なので、筆者のような「時々昆虫写真家」にとっては、春より撮りやすいように感じている。


AF Micro Nikkor 60mm F2.8

ニコンの60mmとシグマの50mm
 1986年、ニコンの実質的(F3AFなどはあったけれど)な初代AF機「F501」を購入したとき、一緒に購入したのが55mmのオートフォーカスマイクロレンズだった。最初はじーじーとゆっくり動くのがおもしろくて遊んでいたが、描写が硬かったことと、あまりに遅かったので不満が募り、このレンズが発売されるとすぐに買い換えてしまった。もちろん現行モデルではない(現行はF2.8 D)。全長が大きく伸び縮するタイプのため、レンズを繰り出すと実効F値が暗くなる。Exifにはこの換算された実効F値が書き込まれている。

 しかし最近は出番もめっきり減っていたレンズである。というのもさすがに古いレンズだけあってAFが遅いからだ。だが今回使い比べてみると意外なほど使い勝手がよい。レンズは変わらなくても、ボディ(D80)の性能が向上しているので、結果としてレンズも性能アップしているように感じられる。AFリミッターが付いており、フォーカス範囲を近距離側、または遠距離側に限定できる。またAFとMFの切り替えリングがあり、この使い勝手が気に入っている。

 描写の方はしっかり写るニコンらしい描写。つまり硬め。静物描写などには威力を発揮するが、花の撮影だと使いこなしを工夫した方がよい。はまると実にきれいなボケを見せてくれるのだが、はずすとざわつく感じにもなる。これは経験的な話なので、テクニックとしてこうすればよいと解説できないのは申し訳ない。D80のような最新ボディと組み合わせると、使い勝手の良いレンズである。

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


Micro 60mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 60mm Micro 60mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.3 / -1EV / ISO125 / WB:晴天 / 60mm

Micro 60mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.3 / -0.67EV / ISO320 / WB:晴天 / 60mm Micro 60mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.3 / -0.33EV / ISO160 / WB:晴天 / 60mm

AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G (IF)

 今年発売された手ブレ補正付きのマイクロレンズ。超音波モーター内蔵となり、AFも高速化された。まず驚くのはその大きさ。従来の105mm Microが小振りだっただけに、「でかい」というのが第一印象。キヤノンの100mmマクロも大きいが、全長はほぼ同じでも太さはダントツにこちらが太い。当然重い。ヘビー級のマクロレンズだと言えよう。

 マクロに手ブレ補正がついて有効なのか、ということが議論されたりもしたが、筆者は有効だと感じている。ブレには縦方向、横方向、前後方向とXYZ軸3方向のブレがある。VRをはじめブレ補正は、XY軸方向のブレに対しては有効だが、前後方向、Z軸方向のブレには効果がない。遠距離の場合は被写界深度でカバーできるが、マクロ撮影ではピンボケという形でZ軸方向のブレが現れてくる。従ってVRの効果(他社の手ブレ補正も同じだが)は、一定以上の遠距離で有効と表記されている。

 マクロに手ブレ補正が有効か無効かという議論は、3方向中2方向に効果が有るのだから有効だと見るか、1方向には効かないので無効だと考えるかという見解の相違だろう。確かに前後ブレによるピンボケも起きるが、デジカメだから枚数を撮影しておけばよい。たくさん写したときに、XY軸方向だけでも補正されているので、手ブレ補正なしより成功率は高くなる。またこのレンズは超音波モーターとなり、大変に高速化された。キヤノンと比較して、体感的には同等のレベルと思う。


ニコンとシグマの105mm。VRとAF-Sが付いているとはいえ、二回りくらい大きさが違う ニコンの105mmとキヤノンの100mm。長さは同じくらいだが、太さ・重さはニコンがだいぶ大きい

 しかし、なめらかで静かな動きがよいものの、AFの迷いが大変多い。知人のユーザーからもそのような意見を聞いたことがある(ボディはD80ではない)。筆者もD2Xで使っても、D200で使っても、D80で使っても、迷う感じは同じように感じられた。AFが素早くても全域を走査するレンズの動きは、繰り返されると少しイラつくものがある。

 ただし、この手のマクロの基本はMFなので、AFが迷ったらこだわることなくMFに切り替えたらよい。結局AFで撮影してもフォーカスロックで構図を整えればMFと変わらないし、いちいちAFしなくて良い分だけ楽になる。ボケも大きいので、遠距離はAF、近距離はMFで枚数を撮影しておくと割り切る方が賢いし、正しい使い方だろう。

 疑問に思うのはAFリミッターの仕様。全域のAFが可能なFULLと、0.5m〜∞までの切り替えになっているのだが、近距離だけのリミッターがない。たとえば「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-200mm F2.8 G (IF)」なども同じタイプのリミッターだが、こちらは望遠レンズなので、スポーツ撮影などのために遠距離限定のリミッターでよい。しかし105mmはマイクロレンズなのだから、遠距離限定か全域かという選択肢よりは、むしろ近距離限定か全域かというリミッターの方が理にかなっているだろう。

 肝心の描写はさすがにきれい。しっかり写るニコンらしさもありながら、硬い描写というよりはクリスタルガラスのようなすっきりした印象を与えてくれる。どうしてもAFでなくては撮らないという方は別にして、ニコン使いのマクロ派にはお薦めの1本といって間違いない。


AF-S VR Micro 105mm F2.8 G / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.2 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 105mm AF-S VR Micro 105mm F2.8 G / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.2 / -1EV / ISO500 / WB:晴天 / 105mm

AF-S VR Micro 105mm F2.8 G / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F4 / -1EV / ISO800 / WB:晴天 / 105mm AF-S VR Micro 105mm F2.8 G / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.8 / -1EV / ISO640 / WB:晴天 / 105mm

シグマMacro 105mm F2.8 EX DG

 ニコンに比べるとぐっと小振りな105mm。オーソドックスで特別な部分はないマクロレンズだが、なかなかよい写りをする。ニコンがすっきり系ならこちらは癒し系か。ピントのあった部分はしっかりしているがソフトな描写、ボケも柔らかで、花の撮影には好適だろう。ニコンよりもAFは遅く音もうるさいので、昆虫の撮影ならニコンがよいが、花ならシグマも捨てがたい。

 このレンズはAFとMFをヘリコイドの前後で切り替える方式で、素早く切り替えられる。AFリミッターは単純にリミッターを境にして近距離側か、遠距離側かというもの。シンプルだけれども、シンプルが使いやすい好例のように思う。


Macro 105mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 105mm Macro 105mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/125秒 / F2.8 / -1.33EV / ISO500 / WB:晴天 / 105mm

Macro 105mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO400 / WB:晴天 / 105mm Macro 105mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/100秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO800 / WB:晴天 / 105mm Macro 105mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/125秒 / F2.8 / -1.33EV / ISO450 / WB:晴天 / 105mm

シグマMacro 50mmF2.8 EX DG

 実はこのレンズをきっかけにして、シグマを見直した1本。どうも昔からのイメージがあって喰わず嫌いな所があったのだが、低価格で販売されているのを見て、さらにショップのポイントもたまってきたので、大した期待もせずついでに購入した。ところが撮影してみると、これがなかなかによい。柔らかい描写で手頃な被写界深度を持ちながらもふわっとボケてくれる。

 ライバルのタムロンは90mm F2.8という名レンズを持っていて、これはもう素晴らしいレンズだし、トキナーも100mmクラスを発売しているが、レンズメーカーで50mmクラスのマクロを発売しているのはシグマだけ。値段も100mmクラスの6割程度で購入できると思うが、このレンズはほんとにお買い得だ。

 105mmと同じように音は大きめでAFも高速ではないものの、花の撮影だったら問題はない。山では近寄れないことも多いので、もう少し長いレンズが向いているように思うが、植物園、庭、近場の散歩などでは、小型軽量、かつ被写界深度が深くて使い勝手が良く、描写も良くて低価格だからこれはお薦め。D80がD50などより一回り大きいボディだけに、このような小型レンズと組み合わせて持ち歩くのも良い選択だろう。


Macro 50mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO220 / WB:晴天 / 50mm Macro 50mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO250 / WB:晴天 / 50mm

Macro 50mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO560 / WB:晴天 / 50mm Macro 50mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / -1.33EV / ISO220 / WB:晴天 / 50mm

Macro 50mm F2.8 EX DG / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / -1.33EV / ISO500 / WB:晴天 / 50mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報(D80)
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d80/
  製品情報(AF-S VR Micro 105mm F2.8 G)
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/af/singlefocal/telephoto/af-s_vr_micro_ed_105mmf28g_if.htm
  製品情報(Macro 105mm F2.8 EX DG)
  http://www.sigma-photo.co.jp/lens/macro/105_28.htm
  製品情報(Macro 50mm F2.8 EX DG)
  http://www.sigma-photo.co.jp/lens/macro/50_28.htm
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(D80)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#d80


( 安孫子 卓郎 )
2006/09/12 02:02
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