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ソニー α100【第7回】
付属のRAW現像ソフトをチェック!!

Reported by 吉住 志穂


 α100発売から53日目……。今回はRAW現像に関する実験レポートです。

 α100の画像サイズはL:10M、M:5.6M、S:2.5Mから選べ、画質はRAW、RAW+JPEG、ファイン(JPEG)、スタンダード(JPEG)から選べます。ご存知のとおり、JPEGは一般的な圧縮ファイル形式で、そのままでも多くのアプリケーションで使用できます。一方、RAWはデジタル処理などの加工をしていない生のデータなので、現像をする必要があるのです。現像は付属のCD-ROMに入っている「Image Data Converter SR」で行なうことができます。


手前がα100に付属しているCD-ROM Mac OS版のImage Date Converter SR

露出に関する実験

 RAWで撮れば露出を合わせなくても良いということはありません。JPEGであってもRAWであっても、露出はしっかり合わせましょう。α100の露出補正は+2EVから-2EVまで、0.3EVごとに調整ができます。-2/-1/0/+1/+2EVで撮り分けました。マイナス補正をすれば暗く、プラス補正をすれば明るくなります。

  • 作例データの付いた画像のリンク先は、JPEGで撮影後にコピーおよびリネームした画像、またはRAWで撮影した画像をImage Data ConverterでJPEGに現像したものです。
  • 作例データのない画像のリンク先は、Image Data Converter SRで現像したJPEG、またはPhotoshop 7.0で編集後に再圧縮したJPEGになります。
  • 写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 一部の作例については、作例データの一部項目を別の行で強調表示しています。


JPEGで撮影
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/80秒 / F8 / -2EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm
JPEGで撮影
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/40秒 / F8 / -1EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm

JPEGで撮影
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/20秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm
JPEGで撮影
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/10秒 / F8 / +1EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm

JPEGで撮影
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/5秒 / F8 / +2EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm

 これをPhotoshopの「色調補正」→「明るさ」を使い、上記のJPEGを0EVで撮影した明度に揃えました。花の白さは0EVの画像に近づくのですが、マイナス補正した画像の明度を上げるとコントラストが下がり、プラス補正した画像の明度を下げるとコントラストが高くなります。たとえ明度を変えられたとしても、全く違った画像になります。つまり、明度(露出)に関しては、デジタルだからいくらでも補正できる、というのは間違いです。


-2EVで撮影したJPEGをPhotoshopで0EV相当に -1EVで撮影したJPEGをPhotoshopで0EV相当に

+1EVで撮影したJPEGをPhotoshopで0EV相当に +2EVで撮影したJPEGをPhotoshopで0EV相当に

 ではRAW現像時に補正するとどうなるでしょうか。どの露出で撮ったものも0EVに相当するよう現像しました。JPEGを加工したものに比べ、コントラストの強弱の差は強く出ませんが、拡大してみると、-2EV→0EVに調整したものはノイズが激しく出ました。しかし、+2EV→0EVは、ノイズが軽減されるという結果が出ました。


-2EVで撮影したRAWを0EVで現像 -1EVで撮影したRAWを0EVで現像

0EVで撮影したRAWを0EVのまま現像 -1EVで撮影したRAWを0EVで現像

+2EVで撮影したRAWを0EVで現像

 また、0EV→+2EVと+2EV→+2EVへの現像では、前者の方がノイズの増加がみられ、0EV→-2EVと-2EV→-2EVを比べると、前者のノイズが減少していました。


0EVで撮影したRAWを+2EVで現像 +2EVで撮影したRAWを+2EVのまま現像

 この結果を見ると、被写体によっては明るく撮ってRAW現像時に暗くした方が良いのでは? と思います。しかし、ノイズが減少したことによってほんのわずかですが、立体感が消えています。しかも、色の再現性も変化してしまいます。


彩度に関する実験

 α100の画像仕上げ機能には彩度を変えるモードがあり、-2から+2までの5段階に設定が変えられます。プラス側では鮮やかに、マイナス側では落ち着いた画像になります。

 では、彩度を変えたRAWデータを標準に近づけるように加工してみましょう。現像する際に、3カットとも彩度を「標準」に合わせました。しかし、加工したことによるノイズの増減やコントラスト強弱などの変化は見られません。画像仕上げ機能はカメラの中で画像処理を行なっています。RAWデータでの処理もそれと基本的に同じ処理を行なうので変化が起こらないようです。


彩度標準で撮影したRAWを彩度標準のまま現像

彩度-2で撮影したRAWを彩度標準で現像 彩度+2で撮影したRAWを彩度標準で現像

 次に、JPEGで撮影した写真の彩度をPhotoshopの彩度調整で標準に揃えました。-2から標準にするとコントラストが付き、赤い色が飽和しています。また、+2から標準に彩度を落とすとコントラストが下がり、色の冴えがなくなってしまいました。RAWデータで現像するのとは違い、画像が荒れて標準と同じにはなりません。


彩度-2で撮影したJPEGをPhotoshopで彩度標準相当に 彩度+2で撮影したJPEGをPhotoshopで彩度標準相当に

 同じくPhotoshopで、JPEGを彩度-2→+2相当、彩度+2→-2相当へと極端な加工をしてみました。違いがはっきり分かると思います。JPEGで彩度を選択するときは後から変更することがないよう、慎重に行ないましょう。


彩度-2で撮影したJPEGをPhotoshopで彩度+2相当に 彩度+2で撮影したJPEGをPhotoshopで彩度-2相当に

ホワイトバランスに関する実験

 第6回でホワイトバランスを細かくセットする機能をご紹介しましたが、RAWで撮影しておけば、現像時にホワイトバランスの調整が簡単です。撮影後の調整をしても画質が劣化したり、ノイズが出たりすることはありません。

 日陰でホワイトバランスを太陽光にセットし、白い花を撮ると青く映りました。この画像をRAW現像時にホワイトバランスを日陰に設定し直すと、青かぶりが抜け、花が白く再現されます。しかし、JPEGの画像を加工ソフトで直そうとすると、色の調整が難しく、思うとおりに合わせられなかったり、画像に無理が生じてしまいます。


RAWで撮影してJPEGに現像。WBは撮影時設定(太陽光)
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/250秒 / F3.2 / +0.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm
現像時にWBを太陽光→日陰に

JPEGで撮影。WBは撮影時設定(太陽光) JPEGで撮影後、Photoshopで日陰に相当する色調に

 また、Image Data Converter SRにはピクチャーエフェクトというモードがあり、さまざまなタイプの加工が楽しめます。α100の画像仕上げにもある「モノクロ」のほか、「セピア」、「ソラリ」、「ネガアート」があります。


RAWで撮影してJPEGにそのまま現像
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm
現像時にセピアへ変換

RAWで撮影してJPEGにそのまま現像
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1秒 / F10 / +1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 22mm
現像時にソラリへ変換

RAWで撮影してJPEGにそのまま現像
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:日陰 / 100mm
現像時にネガアートへ変換

 このように、RAWデータはとても便利ですが、1コマあたりのデータ量が多くなります。そのため、メディアへの書き込み可能枚数が少なくなる、連写がしにくくなる、現像処理に手間がかかるというデメリットもあります。写真の用途に合わせて、RAWとJPEGを上手く使い分けましょう。


今週の作品

「COLORS」



100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F2.8 / +1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm

100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/240秒 / F2.8 / +1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm


100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/400秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm

100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm


100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/640秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 100mm

100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO100 / WB:曇天 / 100mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報(α100)
  http://www.sony.jp/products/di-world/alpha/
  製品情報(付属ソフト)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/AMC/body/DSLR-A100/soft.html
  レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ機種別記事リンク集(α100)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#alpha
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
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( 吉住 志穂 )
2006/09/11 17:20
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