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パナソニック LUMIX DMC-L1【第5回】
高感度&手ブレ補正の実力を実証

Reported by 中村 文夫


 近所の公園で盆踊りが行なわれたので、これを実験台にして高感度撮影と手ブレ補正機構の実力を確かめてみた。

 一般にパナソニック製カメラは、高感度に弱いといわれている。だが、最初の頃に比べるとかなり改善されてきた。果たしてパナソニック初のレンズ交換式一眼レフのDMC-L1は、どこまで高感度に耐えられるようなったのか。


ISO感度とノイズについて

 下に掲載した実写画像を見れば分かるように、ISO200まではノイズの発生は限りなくゼロに近い。絞り優先AEで撮影したので、低感度の方がシャッタースピードが遅くなり、ノイズの発生しやすさという意味では不利な条件だが、夜空の部分にノイズがなく、ちゃんと暗く写っている。

 これに対しISO400になるとノイズが出始める。A4判程度のプリントならほとんど気にならないレベルだが、PCのモニターで拡大すると夜空の部分にノイズが発生していることがよく分かる。要するに、実用上、何も問題はないが、重箱の隅を突くとぼろが出てくるといった感じ。どこに基準点を設けるかによって賛否が別れるが、私の見解では、十分に合格点に達している。


ISO感度設定画面
 その後、ISO800になるとノイズが急激に増える。このレベルだとプリント上でもかなり目立つ。やはりプリント時の品質を保つという意味では、ISO400までに止めた方が良さそうだ。

 ISO1600に上げると、さらに盛大にノイズが発生。使ったことがないと分からないかも知れないが、ちょうどISO1600のカラーリバーサルフィルムをで撮影したような、全体にザラ付いた画像になった。別の言い方をすれば、L1のISO1600の画質は、カラーリバーサルフィルムと同レベルということ。実はこれはすごいことだ。

 デジタルカメラの場合、単純にISOを上げていき、ここまでが実用範囲という判断を下されることが多い。だが落ち着いて考えてみれば、ISO1600のカラーリバーサルフィルムにISO100と同じような粒状性を期待するカメラマンはいない。また実際にISO1600クラスのカラーリバーサルフィルムを使うシチュエーションは、体育館などでスポーツを撮影する場合や、どうしてもストロボが使えない場合。さらに粒状性の粗さをわざと表現に活かす場合など、特殊な場合に限られる。つまりカラーリバーサルフィルムを基準にL1の高感度時の画質を判断すれば、カラーリバーサルフィルムと同等といえるだろう。要するにL1の高感度領域は、ノイズが増えることを承知したうえで使うべきなのだ。


◆ISO感度による違い

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
※一部の作例については、作例データの一部項目を別の行で強調表示しています。


 感度のテストとは関係ないが、写真の右下を拡大すると、テントに描かれた「砂」の文字が鮮明に読み取れる。絞り開放で、こんな隅の文字がシャープに写し出すとは、ライカDレンズの性能は侮れない。


ISO100
3,136×2,352 / 1/5秒 / F3 / 0.66EV / WB:オート / 19mm
ISO200
3,136×2,352 / 1/8秒 / F3 / 0.66EV / WB:オート / 19mm

ISO400
3,136×2,352 / 1/15秒 / F3 / 0.66EV / WB:オート / 19mm
ISO800
3,136×2,352 / 1/40秒 / F3 / 0.66EV / WB:オート / 19mm

ISO1600
3,136×2,352 / 1/60秒 / F3 / 0.66EV / WB:オート / 19mm

◆高感度作例

 下の2つはISO1600で撮影。雰囲気としては悪くないが、右下のカットは見た目よりかなり明るく写った。次のカットは、間髪を入れずにシャッターを切ったものだが、なぜかこんなに暗くなってしまった。L1の露出計の測光輝度範囲は1EVから20EV。写真右下の撮影データから撮影時の明るさを求めると1.5EVになるが、この画像は露出オーバーになっているので、実際の明るさは1EV以下のはず。測光範囲を超えていたので、こんな現象が起こったのだろう。それにしても、シャッタースピードで4段以上の差が出るとは。L1の低輝度側の測光機能については、もう少し詳しく検証する必要がありそうだ。


3,136×2,352 / 1/4秒 / F3.2 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 23mm 3,136×2,352 / 1/80秒 / F3.2 / 0EV / ISO1600 / WB:晴れ / 23mm

ISO400で撮影。モニターで拡大するとノイズが見えるが、決して見苦しいレベルではなく、実用範囲に十分収まっていると思う
3,136×2,352 / 1/15秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / WB:晴れ / 50mm
ISO1600で撮影。画面全体にザラツキが出る。フィルムカメラでいう「素粒子表現」など、特殊な用途向きだ
3,136×2,352 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 14mm

手ブレ補正とシャッタースピード

ライカDレンズの手ブレ補正スイッチ。シャッタースピードのリミットを設定し自動的にISO感度を上げる機能が、ボディ側にあれば鬼に金棒だ
 感度のテストのために50カットほど撮影したが、撮影データを解析したところ、シャッタースピードが1/6秒を越えると、手ブレが急激に増えることが分かった。2回目のレポートで「1/2秒までなら何とかブレずに済む」と報告したが、このときはかなり手ブレ補正を意識していたので、好成績が得られたようだ。今回のレポートは5回目ということに加え、残暑の影響で少々気が抜けてしまったらしい。いずれにしても、ライカDレンズを使った場合、シャッタースピードが1/10秒以上になるように気を付ければ、かなりの確率で手ブレが防げる。

 このレポートを書きながら思い付いたが、たとえばあらかじめ任意のシャッタースピードを設定し、これよりシャッタースピードが遅くなるときは、自動的に感度を上げるような機能が追加できないものだろうか。最近のコンパクトタイプのデジカメでは、ISO感度を自動的にアップし、手ブレを防ぐ機種が増えているが、これをもう一歩すすめた機能だ。手ブレ補正機構を内蔵したライカDレンズと組み合わせれば、無敵の手ブレ補正が完成すると思うのだが……。


◆手ブレ補正の検証


1/6秒で撮影。注意したつもりだが、わずかにブレている。
3,136×2,352 / 1/6秒 / F3.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 20mm
ISOを100から200に上げた結果シャッタースピードが1/13秒にアップ。ブレずに鮮明に写っている。
3,136×2,352 / 1/13秒 / F3.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 20mm

1/6秒で撮影。シャッタースピードが1/6秒以下になると歩留まりが一気に落ちるようだ
3,136×2,352 / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
1/8秒で撮影
3,136×2,352 / 1/6秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 18mm


URL
  パナソニック
  http://www.panasonic.co.jp/
  製品情報(DMC-L1)
  http://panasonic.jp/dc/l1/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(LUMIX DMC-L1)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#l1


( 中村 文夫 )
2006/08/30 19:55
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