デジカメ Watch
最新ニュース

ソニー α100【第5回】
とっても使いやすいDMFと9点AF

Reported by 吉住 志穂


 α100発売から39日目……。今回はピント合わせ関連、オートフォーカス関連をチェックしてみましょう。

 いかに1,000万画素オーバーといっても、ピントが合っていなければその真価を発揮できませんので、オートフォーカスの精度や関連する機能の使い勝手はとても大切な部分です。私自身は花や昆虫などのマクロ撮影が多く、ピント合わせがシビアになるため、特に気になっている点です。

 α100のオートフォーカスのセンサーは9エリアで、画面の周囲に撮りたい被写体があっても、あるいは動くものであってもある程度カバーしてくれる構造となっています。オートフォーカスのシステム自体は、母体になったα Sweet DIGITALを基本に、センサーの進化などに合わせて、細かくチューニングされています。

 最初は出荷時の設定のカメラまかせで撮ってもよいのですが、ユーザーの撮影パターンや被写体に合わせて、フォーカスモードとフォーカスフレームを細かく設定できるのもこのカメラの強みです。慣れてきたなら、自分流の好みの設定を見つけてみるのも、α100を手に入れた楽しみではないでしょうか。

 フォーカスモードは、ファンクションダイヤルのフォーカスモードから選択するようになっており、シングルAF(AF-S)、コンティニアスAF(AF-C)、AF制御自動切り替えAF(AF-A)、ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)の4つとなります。さらに手動で合わせるマニュアルフォーカス(MF)機能もあります。AFとMFの切り替えはボディ側面のスイッチで切り替えます。AFモードの選択は数回の操作を必要としますが、AF/MFの切り替えはワンステップで行なえるので便利です。


ファンクションダイヤルをフォーカスモードにセット AFモード選択画面になります

マクロ撮影で便利なDMF

 AF-Sは最もシンプルなモードで、シャッターボタンを半押し状態にするとピントが合い、その状態で固定されます。AF-Cは、シャッターボタンを半押ししている間、ずっと測距しつづけるモードです。

 AF-Aは、被写体が静止しているものであればシングルAFで、被写体が動いているとコンティニュアスAFへと、自動的に切り替わるため、一般的な使用であればもっとも応用の利きやすいものです。α100は出荷時にはこのAF制御自動切り替えのモードになっています。

 ただし、被写体が動いているのか止まっているのかはカメラが判断するので、必ずしもユーザー側の思い通りに反応するわけではありません。今までのカメラでシングルAFに慣れている方ですと、自動的に切り替わるこのモードに戸惑うこともあるかもしれません。

 DMFはAFでピントを合わせた後、フォーカスリング(レンズのピントリング)を回し、微調整が行なえるものです。マクロ撮影では構図を決めた後にピントを合わせるのですが、常にピントを合わせたい位置が中央部にくるとは限りません。この機能であれば、画面の中央以外にもピントをすばやく合わせることができます。フォーカスフレームの位置を変える(後述)より、より自分の意図した位置にピントが合わせられます。大まかなピント合わせはカメラが行なうのでスピーディーですが、微妙なコントロールが必要とされるシーンではとても便利に感じています。


AF/MF切換えスイッチ
 マクロ関係が多い私にはこの機能は非常に重宝、今回の撮影でも機能テスト以外は、ほとんどこのDMFで行なっています。ただしDMFを使う場合、最終的に自分の目で確認しながら手動で合わせることになります。そんなときは単焦点のマクロレンズのように、ある程度開放値の明るいレンズのほうが合わせやすく、その点でも接写などに向くモードなのでしょう。

 コントラストが低い被写体、逆光時、格子状の被写体など、AFが合いにくいシーンではMFでピントを合わせましょう。またレンズによってもピントの合いやすさが違ってきます。その場合はMFを使うのも良いでしょう。


AFモード別作例

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/実焦点距離を表します。


◆シングルAF(AF-S)

     被写体が静止している場合はAF-SでOK。シャッターを半押しした状態でピントが固定されます。


DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 3.2秒 / F11 / 2EV / ISO100 / 30mm

◆コンティニアスAF(AF-C)

     常に動いている被写体にはこのモードを選びましょう。シャッターを半押ししている間、被写体にピントを合わせ続けます。


75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/800秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / 300mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/500秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / 300mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/500秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / 300mm

3,872×2,592 / 1/500秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / 300mm 3,872×2,592 / 1/320秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / 300mm 3,872×2,592 / 1/250秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / 300mm

◆AF制御自動切り替え(AF-A)

     いわばAF-SとAF-Cの合体型。被写体が動いているのか、静止しているのかを自動で判断し、状況に合わせてAFモードを選ぶ仕組み。初期設定ではこのモードになっています。


75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 300mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 300mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 300mm

75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 300mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 300mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 300mm

◆ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)

     AFでピントを合わせた後、マニュアル操作が可能になるモード。いったんAFでどこかかにピントが合わないとマニュアル操作も行なえないので、ピントが合わないときはMFに切り替える必要があります。私はこのモードを使っています。また接写のときはフレーミングを変えると被写体との距離がわずかに変わり、ピントがずれる「コサイン誤差」が発生しやすいので、このモードがとても便利です。


80-200mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/100秒 / F6.3 / 0.7EV / ISO100 / 200mm

AFボタンでスポットフォーカスフレームに移行

フォーカスフレームの選択画面
 フォーカスフレームの選択は、AFモードと同様にファンクションダイヤルから設定し、ワイド、中央固定、ローカルの3つから選びます。9つのエリア(ローカルフレーム)の中からカメラが自動的にフォーカスエリアを選択するものが「ワイド」です。被写体がフォーカスフレーム内のどこにあってもある程度カメラ任せで撮影できるため、慣れるまではこのモードがいいでしょう。

 シャッターボタンを半押しするとピントが合い、ピントを合わせたフレームが一瞬赤く点灯します。しかし、思ったところにピントがこなかった場合は、このモードの状態のまま十字キーの中央にあるAFボタンを押すと、スポットフォーカスフレームに切り替えることもできます。

 また、ローカルは9つあるローカルフレームを自分で選び、どの部分にピントを合わせるか自分の好みに設定できるものです。十字キーで中央、上下左右、斜め4カ所から選びます。注意したいのは、中央部のフレームと周辺のフレームでは、測距の精度が違う点です。中央部分のAFセンサーは、特に精度の高いクロスセンサーになっており、他の8点よりも合いやすくなっています。

 なお、αレンズのラインナップにはReflex 500mm F8という独特なレンズがありますが、このレンズのF8という明るさでは、中央部のフレームでないと測距精度が出ません。


フォーカスフレーム別作例

ワイド
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 6秒 / F10 / 1EV / ISO400 / 18mm
中央に固定
100mm F2.8 / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / 100mm

ローカル
DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 20秒 / F2.8 / 0.7EV / ISO100 / 58mm

視度補正調整も忘れずに

 フォーカス関係で独特なのが、ファインダーを覗くと自動的にフォーカシングが始まるアイスタートシステム。α100のウリのひとつでもあります。ファインダーの下部にセンサーが設けてあって、ファインダーを覗くとセンサーが感知しAFが作動します。シャッターボタンを押す前にピント合わせが始まる便利なシステムです。

 しかし、センサーを手や体で覆ってもAFが動いてしまい、カメラ肩から下げているときなど、レンズが回転して煩わしい場合もあります。この機能はオフにもできるので、気になる場合はメニューからアイスタートAFを「あり」から「なし」にしておきましょう。

 このようにα100はフォーカス関連機能が充実しているのですが、使う前にファインダーの視度補正を行なうことをお忘れなく。最新鋭機といえども、この視度補正をきちんと行なっていないと、ファインダーの表示も画面もシャープに見えません。「このカメラ、ピントが合わないじゃないかぁ!」とサービスに持ってこられるお客様のほとんどが、視度調整を行なっていなかったとか……。意外に忘れているというか、存在すら知らない方も多いので、撮影前にちょっとご注意を。


今週の作品

「夜の遊園地」


DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 2秒 / F11 / 2EV / ISO100 / 18mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 30秒 / F8 / 2EV / ISO100 / 18mm

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1秒 / F8 / 2EV / ISO100 / 60mm 75-300mm F4.5-5.6 / 3,872×2,592 / 10秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 300mm

DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 5秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 40mm DT 18-70mm F3.5-5.6 / 3,872×2,592 / 1.3秒 / F11 / 2EV / ISO100 / 60mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報(α100)
  http://www.sony.jp/products/di-world/alpha/
  レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ機種別記事リンク集(α100)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#alpha
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
  ☆吉住志穂のPHOTO BLOG☆
  http://blogs.yahoo.co.jp/shihoyoshizumi/


( 吉住 志穂 )
2006/08/28 02:15
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.