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パナソニック LUMIX DMC-L1【第4回】
オリンパス製単焦点レンズで撮る

Reported by 中村 文夫


DMC-L1に付属するLeica D Vario-Elmarit 14-50mm F2.8-3.5を装着したところ。今回はこれ以外のレンズをいくつか試してみる
 現在、パナソニックがDMC-L1用として発売しているレンズはライカDレンズは、Vario-Elmarit 14-54mm F2.8-3.5の1本だけ。それ以外のレンズを使う場合は、オリンパスをはじめ、他メーカーの製品を選ぶしかない。メーカーを垣根を越えて、いろいろなレンズが楽しめることがフォーサーズのメリットだが、パナソニックの場合、レンズのラインナップがあまりにも寂しい。ライカレンズを前面に打ち出した売り方をしているのだから、一刻も速く交換レンズの充実を図るべきだ。

 パナソニックが発表しているレンズ開発ロードマップによると、レンズの新製品が登場するのは、早くても来年以降。このレポートには間に合わないので、オリンパス製ズイコーレンズを付けて撮影してみることにした。

 選んだレンズは、8mm F3.5 Fisheye、50mm F2 Macro、150mm F2の3本。ライカDレンズでは、カバーできない領域の交換レンズだ。


今回使用した3本のオリンパス製レンズ。左から50mm F2、Macro、8mm F3.5 Fisheye、150mm F2。3本ともEDガラスを使用した高性能レンズだ 絞りリングのないZuiko Digitalレンズを使うときは、プログラムシフトを利用すると使いやすい。この場合、コマンドダイヤルの操作でシフトが可能。ただし、シャッターボタンを半押しし、測光スイッチがオンになった状態でないとダイヤルが作動しない

 現在、レンズ側に絞りリングが付いたフォーサーズレンズはライカDレンズだけ。オリンパスのZuiko Digitalレンズには絞りリングがなく、絞り優先AEやマニュアル露出を利用するときは、ボディ側のコマンドダイヤルで絞りをセットすることになり、同じ撮影モードでもライカDレンズとは操作方法がまったく違ってしまう。今回の撮影ではZuiko Digitalしか使わなかったので、それほど違和感は感じなかったが、一緒に使うと混乱が起こりそうだ。

 私は基本的に絞り優先AE派だ。ズイコーレンズも絞り優先で使うことにしたが、絞りを変えるためには、FUNC1ボタンを押してからコマンドダイヤルを回す必要がある。いきなりコマンドダイヤルを回しても絞りは変化しないので、これが結構ストレスになる。さらにこのときはファインダー内のシャッタースピード表示が消えてしまう。またマニュアル露出の場合も、FUNC1ボタンを押してからでないと絞りの変更は不可能だ。試行錯誤の末、私にとってプログラムシフトがいちばん使いやすいことが判明。このモードならFUNC1ボタンを押す必要もないし、ファインダー内表示も完璧だ。

 ただし、プログラムシフトを利用する際、メインスイッチがオン状態で、いきなりコマンドダイヤルを回してもプログラムシフトは作動しない。シャッターボタンを半押しして測光スイッチをオンにしないとコマンドダイヤル操作を受け付けないのだ。コマンドダイヤルの操作で測光スイッチがオンになに仕様になっていれば、さらに使いやすいなったのでは?

 今後パナソニックが発売するすべてのレンズに絞りリングが付くか否かは不明だが、この当たりの操作性には研究の余地がありそうだ。


レンズ別作例


※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


●8mm F3.5 Fisheye

 フィッシュアイレンズ(魚眼レンズ)は、パナソニックのレンズロードマップには含まれていない。特殊なレンズなので需要は少なく、開発の優先順位は相当低いだろう。またシグマなどレンズメーカーが発売するのを待つという手もあるが、フォーサーズ規格のCCDサイズは小さく、APS-CサイズのCCD用に開発された光学系を流用すると対角線画角が180度より小さくなり、魚眼レンズを名乗れなくなってしまう。そのため、既存のレンズメーカー製魚眼レンズを流用して発売は可能性が低く、L1ユーザーがフィッシュアイレンズを使おうとすると、Zuiko Digitalを選ぶしか道はない。

 フィッシュアイレンズの歪曲した映像は、4:3の画面との相性がよい。3:2の画面に比べるとアスペクト比が正方形に近く、魚眼レンズらしさが強調できる。できれば画面が円形に写る円周魚眼もほしいところだ。


世界で唯一のフォーサーズ用対角線魚眼レンズ 対角180度という画角の広さは、気を付けないと鏡胴に添えた指が画面に写り込んでしまうほど

フォーサーズのアスペクト比は正方形に近いので、3:2に比べて迫力ある写真が撮れる
3,136×2,352 / 1/40秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
3,136×2,352 / 1/40秒 / F14 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 8mm

逆光なのでゴーストが発生したが、フレアによる画質低下もほとんどなく、魚眼レンズとしては優秀である
3,136×2,352 / 1/200秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
レンズの最短撮影距離は13.5cm。レンズ先端から2cmまで被写体に寄ることができる
3,136×2,352 / 1/50秒 / F16 / 1EV / ISO100 / WB:晴れ / 8mm

分割測光で撮影。太陽が画面に入っているので、露出正なしでは露出がオーバーになった。ここまで輝度差が激しいと高輝度部分は無視されてしまうようだ
3,136×2,352 / 1/400秒 / F13 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
-1EVで撮影
3,136×2,352 / 1/640秒 / F16 / -1EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

150mm F2

 35mm判換算で300mmに相当する大口径レンズ。35mm用だと300mm F2.8、いわゆる「サンニッパ」が有名だが、このレンズはさらに1絞り明るい。フォーサーズだからこそ実現できた製品である。最短撮影距離は1.4mm。近距離で絞り開放で撮影すると被写界深度が極端に浅くなる。できれば手ブレ補正機構がほしいところだ。


100×150mm(最大径×全長)、三脚座付き重量は約1.6kgと大きなレンズだが、L1に取り付けたときのバランスはよい 重心はかなり前になるが、将来ライカDレンズで大口径望遠レンズが発売された場合、絞りリングはどこに付くのだろう

絞り開放だと被写界深度が極端に浅く、ピントが合った部分とそうでない部分の落差が著しい
3,136×2,352 / 1/60秒 / F2 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
最短撮影距離で撮影したときの撮影倍率は0.13倍。ボケ味も自然で美しい
3,136×2,352 / 1/400秒 / F2 / -1.3EV / ISO100 / WB:オート / 150mm

50mm F2 Macro

 35mm判換算で100mmに相当する望遠マクロレンズ。一般的な望遠マクロレンズに比べ開放F値が1段明るくなる。ファインダー像も明るく見やすい。なおパナソニックのレンズロードマップでは45mm F2 Macroというレンズが予定されている。このレンズは手ブレ補正機構を内蔵するようなので、手持ちで高倍率の接写ができるだろう。


レンズ単体で約等倍までの接写ができる望遠マクロレンズ。ピントリングの位置が適切で、MFの操作性も高い 最短距離まで繰り出した状態

被写界深度をある程度深くするためF5.6まで絞ったが、それでも被写界深度はかなり浅い。
3,136×2,352 / 1/100秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO400 / WB:曇り / 50mm
絞り開放で撮影。被写界深度が極端に浅く、ピント合わせに苦労した
3,136×2,352 / 1/125秒 / F2 / -0.7EV / ISO400 / WB:ストロボ / 50mm

もっと絞りたかったが、手ブレを考慮して1/125秒のシャッタースピードで撮影
3,136×2,352 / 1/125秒 / F3.5 / 0.7EV / ISO100 / WB:オート / 50mm


URL
  パナソニック
  http://www.panasonic.co.jp/
  製品情報(DMC-L1)
  http://panasonic.jp/dc/l1/
  ライカD交換レンズロードマップ
  http://panasonic.jp/dc/l1/product/leica02.html
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報(8mm F3.5 Fisheye)
  http://olympus-esystem.jp/products/lens/8_35F/
  製品情報(150mm F2)
  http://olympus-esystem.jp/products/lens/150_20/
  製品情報(50mm F2 Macro)
  http://olympus-esystem.jp/products/lens/50_20M/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(LUMIX DMC-L1)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#l1


( 中村 文夫 )
2006/08/23 18:56
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