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ペンタックス K100D【第5回】
K100Dで花火を撮る

Reported by 伊達 淳一


グリップ型の自由雲台を使って撮影
 今回はK100Dで花火の撮影にチャレンジしてみた。撮影したのは、7月23日に開催された第25回調布市花火大会。約1万発の花火が打ち上がる、東京郊外ではかなり大規模な花火大会で、なかでも尺玉百連発は見ものだ。

 打ち上げ場所から1Kmと離れていないところに住んでいるのだが、去年までは家の前に大きな樹が2本もあり、ちょうど花火が打ち上がる方向に生い茂っていて、とても写真を撮れる状態ではなかった。ところが、今年はその樹が2本とも伐採されたので、ベランダや窓から花火が打ち上がる方向を見渡せるようになった。手前に電線があるので高度の低い花火は写せないが、高く打ち上がる花火だったら西側の窓から十分狙えそうだ。

 それに、ボクの花火の撮影方法は、フィルム時代から“超望遠で花火が炸裂する瞬間をド・アップで狙う”というスタイルなので、あまり花火に近すぎると、レンズを大きく振らないと花火を追い切れないし、花火会場で座って見ている多くの人たちの前で三脚を立てて撮影する図太い神経も持ち合わせてはいない。そういう意味では、今回の調布市花火大会は、自宅の窓からゆったりと撮影できるという、これまでになく環境的に恵まれた花火撮影となった。

 一般的な花火撮影では、建物や川面や海面に写る花火も入れて写すため、レンズは広角から標準レンズを使うところだが、前述したように、ボクの花火の撮影法は、花火が炸裂する瞬間を超望遠レンズを使って画面いっぱいに捉えるというスタイル。200〜300mm相当の画角がちょうどいいので、シグマ55-200mm F4-5.6DCで撮影することにした。


 花火撮影では、AFは使わずMFが基本。まだ、明るいうちにあらかじめ遠くの建物でピントを合わせ、拡大再生してピントがしっかり合っていることを確認(暗くなってからはネオンサインなどを利用するといい)。花火を撮影中にうっかりフォーカスリングに触れてピントがずれてしまわないようにテープで固定しておく。

 ただし、ズームレンズの中には、ズーミングでピント位置が大きく変わってしまうものもあり、こうしたレンズはズームリングもテープで固定しておいたほうがいいだろう(ズーミングでピント位置が移動してしまうのは、ズームレンズではなく、バリフォーカルレンズって名乗るべきなんだけどね)。

 撮影モードはB(バルブ)で、絞りはISO200でF11〜16程度。花火の種類や花火までの距離、煙の具合によって臨機応変に微調節する。

 また、打ち上がる花火を追い写しする必要があるので、三脚の雲台は、スリックのAF2100というグリップ型の自由雲台を愛用。さらに、指で直接シャッターを切ると、どうしてもカメラブレを起こしてしまうので、ケーブルレリーズを使ってシャッターを切るようにしている。

 右手で自由雲台のグリップを握り、打ち上がった花火のかすかな光を追う。ちょうどクレー射撃のようなイメージだ。そして、花火が炸裂すると思われる場所に先回りして、グリップから指を離してカメラを固定。そして、左手に持ったケーブルレリーズのボタンを押し込んでシャッターを開く。バルブ撮影なので、ケーブルレリーズのボタンは押しっぱなしだ。一眼レフは撮影時にはミラーが上がってファインダーにはなにも見えないので、ファインダーから目を離して、肉眼で花火の状態を確認。花火が開き終わったら他の花火が重ならないうちにケーブルレリーズから指を離し、シャッターを閉じる。これをひたすら繰り返すわけだ。

 ファインダーで花火が炸裂する瞬間が見えたらアウト。花火の芯が抜けた締まらない写真になってしまう。といって、花火がどこで炸裂するかは花火師だけが知っているわけで、おおよその位置にヤマを張って、とにかくシャッターを切り続けるしかない。まあ、だいたい花火の上がる位置は決まっているので、後はそのリズムとタイミングを読む力次第というところだろう。まあ、10枚撮って1枚うまく撮れれば万々歳。花火の中心が写っていないことのほうが多いし、花火すら写っていないこともある。また、花火が重なりすぎてしまって露出オーバーになることもある。花火撮影は経験と勘と運だ。


花火や夜景撮影にはケーブルレリーズは必需品 フォーカスリングが無限遠から動かないようテープで固定しておくと安心

カスタムメニューの「ノイズリダクション」。通常は“オン”になっているので、長秒露出時の記録待ちを避けたければ、多少の暗電流ノイズは覚悟で“オフ”にしよう
 さて、K100Dで花火を撮影するときに悩むのが、ノイズリダクションの有無だ。K100Dのノイズリダクションは、高感度撮影時のノイズを低減するものではなく、長秒撮影時に発生する暗電流ノイズ(星ノイズ)を除去するものだ。露出時間が長くなれば長くなるほど暗電流ノイズは増えてくる。また、何度も長秒撮影を繰り返していると、撮像素子が熱くなり、露出時間が同じでも、後に撮影したものほどノイズが多くなる。

 こうした暗電流ノイズを消すため、K100Dは撮影時と同じ時間だけシャッターを閉じた状態で露出を行ない、ノイズ成分を記憶。そして、信号処理で撮影画像からノイズ成分だけを除去している。つまり、15秒間の露出を行なったら、あと15秒プラスαだけ画像処理待ちとなり、その間、シャッターが切れなくなってしまうわけだ。これは花火撮影にとって致命的だ。もっとも、通常の花火撮影なら露出時間は4秒前後なので、それほど暗電流ノイズもひどくない。ここは思い切って“ノイズリダクションをオフにして撮影”することにした。

 もうひとつ、K100Dで花火を撮影するときに悩むことがある。それはホワイトバランスだ。AWB(オートホワイトバランス)で自分好みの花火の色になれば、それに越したことはないのだが、K100DのAWBは雰囲気重視で、比較的光の色カブリを残すことが多い。花火が始まって撮影した写真を液晶モニターで確認してみると、太陽光ポジションで撮影したように花火の軌跡がかなりアンバーがかって写っている。

 そこでホワイトバランスを白熱球(電球)ポジションに変えてみたが、今度は青く寒々しい花火になってしまう。できれば3,500K〜4,000K程度の色温度で撮影したいところだが、残念ながらK100Dには色温度指定のホワイトバランスはない。撮影中、いくつかのプリセットホワイトバランスを試してみたところ、昼白色蛍光灯ポジションがまあまあボク好みの発色だったので、途中からAWBではなく、昼白色蛍光灯ポジションに切り換えて撮影している。

 また、花火の色飽和を避けるため、画像仕上は“ナチュラル”に設定。細い花火の線が黒くなりすぎないよう、コントラストも-1にして撮影している(コントラストを下げてもダイナミックレンジは変化しないが、暗めの中間調がつぶれにくくなる)。

 もっとも、撮り直しが効かない花火撮影だけに、保険のために画質モードはRAWにして撮影。RAWで撮影して、PENTAX PHOTO Laboratory 3(PPL3)やSILKYPIXで現像すれば、ホワイトバランスの変更は自由自在だし、色温度でホワイトバランスを指定することもできる。ただ、JPEG抽出したカットは撮影時の設定で記録されるので、RAWで撮影するときも、できるだけ自分なりにベストだと思う設定で撮影したいものだ。


ホワイトバランスによる花火の発色の変化

 ホワイトバランスを変えることによって花火の色がどのように変化するのか、RAWで撮影した写真をPENTAX PHOTO Laboratory3で現像してみた。画像仕上は“鮮やか”、コントラストや彩度、シャープネスは標準に設定している。

※リンク先は撮影画像をリネームしたファイルです。


【AWB】
太陽光ポジションとほとんど同じ結果となった。花火の雰囲気は良く出ているが、色彩コントラストを考えるとアンバーが強すぎて単調な感じだ
【太陽光】
アンバー系の花火の雰囲気が良く出ている。ただ、全体に赤みが強く、アンバー以外の色が目立ちにくい。太陽光ポジションとほとんど同じ結果だ

【白熱球】
青みが強くなりすぎて、花火の写真としては不自然。ただ、赤や青系の色がクリアになってきている
【昼白色蛍光灯】
まだアンバーが強すぎるのだが、プリセットのホワイトバランスのなかでは好みに近い仕上がりだ

【3,570K(色温度指定)】
これがボクの好みにもっとも近い。もう少しコントラストを高くして黒を引き締め、彩度を高めればベスト

最大の見せ場“尺玉百連発”は、風がほとんどないため、打ち上がるほどに煙に巻かれて見えなくなってしまった。残念! せっかくの高い花火がもったいない!!
 ところで、今年の調布市花火大会は風がほとんどなく、花火が連発されるとその煙で花火がモヤってしまった。プログラムの始めのほうはまだなんとか花火が見えていたものの、途中から煙に隠れてしまうようになり、最大の見せ場の尺玉百連発は最悪。まるで雲の向こう側で稲光が光っているかのようで、肝心の花火はまったく見えなくなってしまった。尺玉百連発はほぼ同じ位置に花火が上がるので、超望遠で狙いやすく、しかも1発ずつ上がるので非常に写真に撮りやすいプログラムなのだが、残念ながら風に恵まれなかった。風は強すぎても花火の形が崩れてしまうし、まったくなくても今回のように花火が煙に曇ってしまう。やはり花火撮影の正否は運によるところも大きいようだ。

 そんなわけで撮れた写真をPCでチェックしてみると、煙のせいでなんとなく花火が霞んでしまい、背景の夜空も煙で黒浮きして見える。画像仕上をナチュラル、コントラストを-1にしたのも、今回の撮影ではやや裏目に出てしまったようだ。こんなときこそ保険代わりのRAWが威力を発揮する。JPEGで撮影した写真をレタッチするよりもRAWをデジタル現像するときにパラメータを調整したほうが、画質の劣化を避けられるし、カメラ本体でパラメータを設定するよりも自由度が高いのが魅力だ。

 また、PPL3やSILKYPIXのハイライト調整という機能を使えば、わずかに白トビしてしまった部分を改善できる可能性がある。ハイライト調整のスライダを、“色彩重視”および“彩度重視”に動かすと、白トビして色がなくなってしまっていた部分に色が戻ってくることがあるのだ。SILKYPIX 3.0に向けた公開テスト版“HIMAWARI”では、このハイライト調整機能をより進化させ、“ダイナミックレンジ調節”という機能も搭載されている。少しアンダー気味に撮影したRAWを、プラスの露出補正とダイナミックレンジ調整を組み合わせることで、ハイライトの階調レンジを広げ、白トビを緩やかにしてくれるのだ。


RAWで撮影してPENTAX PHOTO Laboratory 3やSILKYPIXで現像すれば、K100D本体では行なえない色温度指定のホワイトバランスも設定できる
PENTAX PHOTO Laboratory 3のハイライト調整機能。色彩重視、彩度重視にスライダを動かすと、ハイライトの白飛びが改善できる。また、トーンカーブのシャドースライダで黒の締まりを調整している

 思わぬ収穫もあった。RAWで撮影したカットをPPL3やSILKYPIXでデジタル現像すると、JPEGよりも暗電流ノイズが目立たないのだ。さすがに15秒も露出をかけたカットは、RAWでも暗電流ノイズがそれなりに残っているが、JPEG抽出したものに比べれば大幅に暗電流ノイズが少なくなっているし、4秒前後の露出なら暗電流ノイズはほとんど気にならないレベルだ。


RAWから抽出したJPEG。15秒と露出時間が長く、しかも何枚も撮影した後なので、暗電流ノイズが盛大に発生している 同じRAWをPPL3で現像したカット。暗電流ノイズはそれなりに残っているものの、RAWから抽出したJPEGと比べるとかなり改善されている

 なお、前回、K100DがSDHCに対応していないことをお伝えしたが、さっそくK100DをSDHCに対応させる新ファームウェアがペンタックスのサイトで公開された。SDHCへの対応だけでなく、古いレンズを装着して焦点距離を手入力した場合に、その数値がExifの焦点距離情報に反映されるようにもなっている。往年のMFレンズやM42マウントのレンズを何本も付け替えて楽しんでいるユーザーには、後でどのレンズで撮影したのか判別しやすいのがありがたい。こうしたユーザーの声にすばやく反応してくれるのも、ペンタックスの魅力だ。デジタルプレビュー時の拡大再生等の機能追加や、複数画像の選択プロテクトについても期待して待っていますよ!


RAWで撮影したカットをPPL3でデジタル現像した実写サンプル

 今回の花火大会は風がほとんどなく、煙で花火が霞んでしまったので、コントラストを高めに設定し、黒レベルの調整で黒の締まりを良くしている。また、ホワイトバランスは色温度指定で、3,570K〜4,170Kから適切なものを選んでいる。また、RAWから抽出したJPEG(撮影時のカメラ設定で記録されたJPEG)も合わせて掲載するので、その描写の差も比較してみてほしい。

※左列がPPL3で現像した画像、右列がRAWファイルから抽出したJPEG画像にリンクしています。
※左列の画像の下のデータはシャッタースピード / 絞り / 色温度 / 彩度 / シャープネス / コントラストです。


3.3sec / F11 / 3,850K / 標準 / 標準 / 標準

4.7sec / F11 / 4,170K / 標準 / 標準 / やや強

3.7sec / F11 / 3,850K / 標準 / 標準 / やや強

4.0sec / F11 / 3,570K / 標準 / 標準 / やや強

2.8sec / F11 / 4,170K / 強 / 標準 / やや強

5.6sec / F11 / 4,170K / やや強 / 標準 / やや強

6.3sec / F13 / 3,850K / やや強 / 標準 / やや強

7.1sec / F13 / 3,570K / やや強 / 標準 / 強

4.7sec / F16 / 4,170K / 標準 / 標準 / 標準

6.1sec / F18 / 3,570K / 標準 / 標準 / やや強


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/k100d/

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( 伊達 淳一 )
2006/08/11 01:15
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