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パナソニック LUMIX DMC-L1【第2回】
付属のライカレンズでスナップを撮る

Reported by 中村 文夫


 今回はいよいよ実写レポートだ。撮影をともなうレポートは、今回が初めてなので、まずは小手調べということで、標準装備のLeica D Vario-Elmarit 14-50mm F2.8-3.5をボディに付け葛西臨海公園へ行ってきた。

 このレンズの最大の特徴は光学式の手ブレ補正機構を搭載していることだ。レンズの側面にあるMEGA O.I.Sスイッチをオンにすると手ブレ補正が作動する。ほかのパナソニック製デジカメと同じように手ブレ補正にはモード1とモード2があり、ボディ側のメニュー画面でモードを選ぶ。モード1は常時手ブレを補正するモードで、説明書によると「望遠などで構図を決めて撮影するときに安定して撮影することができます」とある。分かりにくい説明だが、撮影中に画像がブレないので、構図が決めやすいという意味だろう。

 ただしこのモードを選ぶと、カメラを動かした後、少し遅れてファインダー像が動く。個人差はあるだろうが、私の場合はずっとファインダーを覗いていると、船酔い状態になってしまうので、このモードはほとんど使わない。いずれ実験してみるつもりだが、恐らくただの望遠ではなく、「超」が付く望遠レンズならメリットが見いだせるかも知れない。

 モード2は、シャッターボタンを押すと手ブレ補正が作動するモード。ファインダーで手ブレ効果は確認できないが、こちらの方が手ブレ効果が高い。さらにカメラをいくら振り回しても船酔いしないので、今回の撮影では、モード2を使用した。また当たり前の話だが、手ブレ補正が使えるのは、手ブレ補正機構を内蔵したレンズだけだ。

 手ブレ補正効果をテストする意味で、まず水族館の中でスナップ撮影を行なった。シャッタースピードを遅くするためISOは100に設定。場所によって明るさは違うが、絞り開放だと、シャッタースピードは1~1/15秒程度になる。ファインダーは光学式を選択。ライブビューも試してみたが、ピント合わせの度にミラーが上下して液晶画面が切り替わるので、シャッターのタイミングが全然つかめない。やはりDMC-L1のライブビューはスナップ撮影には向かないようだ。


手ブレ補正はレンズ側面にあるスイッチでオン/オフする 手ブレ補正のモード1、モード2は、本体のメニュー画面で選択する方式。手ブレ補正を内蔵していないレンズの場合は機能しない

AF/MFの切り替えは本体背面のスイッチで行なう方式。スイッチを切り替えるのではなく、レンズ側のヘリコイドを回すだけでMFに切り替わる機構が欲しい

14mmにした状態 50mmにした状態。ピント合わせはインナーフォーカスだが、ズーミングするとレンズの全長が変化する

 今回は初めての実写ということで、手当たり次第シャッターを押した。かなり大雑把な感覚だが、1/2秒までだと何とかブレずに済む。もちろんレンズの焦点距離や撮影距離などいろいろな要素が絡んでくるが、手ブレ補正の効果は確かにある。だが残念なことに暗い場所だとAFが合いにくい。またAF/MFの切り替えは、ボディ側のスイッチで行なう方式なので、使い勝手はあまり良くない。AFについては、いずれ詳しくレポートする予定だが、もう少し研究の余地がありそうだ。

 まだ200カットほどしか撮影していないが、今回の撮影結果を見る限りレンズの性能は非常に高い。絞り開放でも画面周辺部までシャープな像が得られ、シャープさは絞ってもほとんど変化しない。言い換えれば、絞り開放から、絞ったときと同じ高い性能を示すということだ。

 ただ回折現象のためかF11あたりから画質の低下が始まる。被写界深度を深くするなど、特定の目的がない限り、あまり絞り過ぎない方がいい。また開放時のボケ味も思ったよりクセがなく自然な感じ。ただし、すべての焦点距離でタル型のディストーションが目立つ傾向がある。

 これまでレンジファインダー機や一眼レフ用など、ライカ製レンズをたくさん使ってきたが、ライカ製レンズは意外と逆光に弱い。特に直射日光がレンズに入ると、とたんにゴーストが出る。今回は天気が曇りだったので、この実験ができなかった。やっと梅雨も明けたことだし、ぜひ次回は、この実験も行ってみたい。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
※今回の作例はすべてLeica D Vario-Elmarit 14-50mm F2.8-3.5で撮影しました。


●手ブレ補正チェック


シャッタースピード0.3秒で撮影。何とかブレずに写っている
3,136×2,352 / 0.3秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
1/10秒で撮影。人物は動いているか、カメラはブレていない
3,136×2,352 / 1/10秒 / F3.2 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 16mm

1/13秒で撮影
3,136×2,352 / 1/13秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm
1/15秒で撮影
3,136×2,352 / 1/15秒 / F2.8 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 14mm

●絞りによる変化

 F2.8から、絞りを1段づつ絞って撮影。開放からF8まではシャープさはそれほど変わらないが、F11を越えると画質の低下が始まる。


3,136×2,352 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm 3,136×2,352 / 1/80秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm

3,136×2,352 / 1/40秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm 3,136×2,352 / 1/20秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm

3,136×2,352 / 1/13秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm 3,136×2,352 / 1/5秒 / F16 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm

3,136×2,352 / 0.3秒 / F22 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm

●焦点距離による変化

 焦点距離14mm、26mm、50mmで撮影。すべての焦点距離でタル型のディストーションが残っている。


3,136×2,352 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm 3,136×2,352 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 26mm

3,136×2,352 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 50mm

●そのほか


50mm絞り開放(F3.5)で撮影。ボケ味は自然でクセはない
3,136×2,352 / 1/250秒 / F3.5 / -0.66EV / ISO100 / WB:オート / 5mm
36mm絞り開放(F3.4)で撮影。背景の観覧車のボケも二線ボケの傾向がなくキレイ
3,136×2,352 / 1/1600秒 / F3.4 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 36mm

広角14mmで撮影。35mm換算だと28mmに相当。パースペクティブを強調した撮影ができる
3,136×2,352 / 1/250秒 / F5.6 / 0.33EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
望遠50mmで撮影。35mm換算だと100mmに相当。本格的とまではいかないが、ある程度の望遠効果が期待できる
3,136×2,352 / 1/1,600秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

広角14mmで撮影。絞り開放なので、やや周辺光量不足が認められる
3,136×2,352 / 1/25秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14mm
F5.6まで絞れば、周辺光量不足は解消される
3,136×2,352 / 1/40秒 / F5.6 / 0.66EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm


URL
  パナソニック
  http://www.panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/l1/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(LUMIX DMC-L1)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#l1


( 中村 文夫 )
2006/08/02 15:39
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