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パナソニック LUMIX DMC-L1【第1回】
先入観なしで触ってみた印象

Reported by 中村 文夫


 ここのところ、ソニーαとペンタックスK100D関係のレポートに追われていた。そこへやって来たのが、パナソニックDMC-L1の長期レポートの依頼。このカメラのことはずっと気になっていたので、渡りに舟とばかりに喜んで引き受けた。だがL1については完璧に勉強不足で、「オリンパスE-330の改良版にライカレンズを付けたもの」くらいに思っていた。ほとんど白紙の状態で機材が送られてきたわけだが、実際に製品を手にして呆然となった。私の認識はかなり甘かったようで、E-330とは違ったコンセプトのカメラだったのだ。


ライブビューのメカニズムがすごい

 ちまたではL1のライブビューのことが話題になっている。私はファインダー光学系の途中にライブビュー専用のセンサーを入れて背面のLCDモニターに画像を表示するものがライブビューだと認識していたが、L1のライブビューはオリンパスとはひと味違う。ライブビューボタンを押すとミラーがアップすると同時にフォーカルプレンシャッターが全開になり、撮影用のCCDを使って画像を表示するのだ。

 後で調べてみたら、E-330にもライブビュー専用センサーによるAモードに加え、Bモードと呼ばれる同様の機能があった。ただしオリンパスの場合、初期出荷状態ではピント合わせがマニュアル限定になる(ファームウェアをアップデートすることで、L1とほぼ同等のAFが可能)。

 冒頭から、知識の乏しさを披露してしまったが、とにかく、このカメラについては、初めてのことだらけ。雑誌やWebの情報などでL1のすべてを知り尽くした読者の方は、もの足りなさを感じるかも知れないが、今回は、「えっ、こんな機能が!!」「何でこうなるの?」というような切り口でレビューをしたいと考えている。

 ライブビューに話を戻すが、この機能の最大のメリットは、ローアングルやハイアングルに対応できることだと思う。当然、L1のモニターは可動式だと思っていたが、何と固定式。一応、DISPLAYボタンを長押しすると、広視野角表示に切り替わるが、どこか中途半端。まだ実際にカメラを使い込んだわけではないので、ここで結論を出すのは時期尚早だが、どうも納得できない。ただモニターの画質はトップクラス。さすが液晶テレビを作っているメーカーだけのことはある。

 また感心したのは、ライブビュー時におけるAFのメカニズムだ。シャッターボタンを半押しするとミラーがダウン。測距を開始し、ピントが合うと再びミラーが上がる。この間モニターはミラーがダウンする前の画像を写し出している。したがってモニターだけを見ていると、ピンボケだった映像が突然シャープになる。これだけの動作が一瞬で行なわれるのだから、恐らく技術者は相当の苦労をしたはずだ。


付属のレンズフードを外したところ ライブビューは、可動式の液晶モニターと組み合わせると便利なのだが、なぜかL1のモニターは固定式

レンズについて

 L1に付属するライカレンズだが、まだ、きちんと撮影をしていなので、画質の善し悪しを述べる段階ではない。とりあえず、外観から受ける印象や、操作感だけを述べさせてもらう。

 レンズ自体のデザインは、ライカのフィルムカメラ用レンズを強く意識したもので、絞りリングや、ズームリング、ヘリコイドなどの回転方向が、従来の製品と統一してある。全体に高級感もあり、ライカユーザーの私としては、合格点を与えたいと思う。ただし付属のレンズフードは、ちょっと安っぽいし、内側の反射防止処置も今イチだ。

 レンズに対し、ボディの第一印象はあまり良くない。シャッターダイヤルは金属性のようだが外装は底面など一部がプラスチック。ストラップの取り付け金具も、プラスチックに銀メッキを施したたような質感で、全体に高級感に欠ける。

 外観デザインは一眼レフとレンジファインダー機の折衷型だが、全体的なイメージは一眼レフのR8に近いような気がする。ダイヤル式でありながら、中間シャッターが選べるシャッターダイヤルなども共通だ。

 今のところ、このカメラはレンズとボディレンズがセットになって販売されているが、外観から受ける価格の割合はレンズ6、ボディ4といった感じ。せっかくライカの名を冠したレンズを採用したのだから、もう少しボディの方にも気を使って欲しかった。

 何度も同じことを書くが、今回のレポートは、実写性能のことを無視して、私の感想を率直に述べさせてもらった。どちらかというと、苦言が多くなってしまったが、第2回目以降の実写結果が、この第一印象を覆すことを期待したい。


ライカM3とL1の比較 ライカR8とL1の比較

SDHCとMacの相性について

 L1は最近登場したばかりのSDHCメモリーカードに対応している。今回のレビューでは、ついでにその新メディアも検証してしまうおうということで、松下電器製4GBのSDHCを使用している。

 松下電器のホームページを見ると、このメディアが対応するOSはWindowsのみで、Macのことにまったく触れていない。私はMacユーザーだが、仕方がないので、とにかくUSBケーブルでカメラ本体とマックを繋いでみた。デスクトップにメディアのアイコンが現れたので、「なんだ、読めるじゃないか」と思い、アイコンをドラッグして画像をコピーしようとしたら、再起動を勧告する画面が現れた。ちなみに私の使っているMacはG4ミラードア、OSは10.2.8だ。この画面はOS9時代の爆弾に匹敵するもので、これが現れるとコンピュータはフリーズ。それまで行っていた作業はパーになる。

 折しも原稿執筆の途中だったので、私の心臓は止まりそうになった。幸い使っていたソフトの復旧機能により、最悪の事態は免れたが、よりによってデータをコピーしただけで、こんなことが起こるとは……。だがそれにもめげず、再チャレンジ。Macを再起動して、もういちど、L1のUSBケーブルをつないでみた。恐る恐るアイコンをドラッグすると、こんどは、なんの問題もなくコピーできた。だが、Macの電源を落とし、しばらくしてから接続すると同じ現象が起きてしまった。

 専用カードリーダーを使ってSDHCのメディアを読もうとしたときも同様の現象が起きた。だが、こちらの方は一度再起動を要求されただけで、それ以降は無事動いている。果たしてSDHCのMacへの対応は今後、どうなるのだろうか。今回のレビューとは直接関係ないが、この当たりの公式見解を一刻も早く出して欲しいものだ。


L1にはSDHCタイプの大容量メディアが使用可能。カードリーダーもSDHC対応でないと使用できない Mac OS Xの場合、不具合が起こると画面が上から下へ向かって暗くなり、この画面が出る。爆弾マークには慣れたが、この画面はめったに出ないので心臓に悪い

【7月26日】「外装がプラスチック」との表現を「底面など一部の外装がプラスチック」と改めました。



URL
  パナソニック
  http://www.panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/l1/

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( 中村 文夫 )
2006/07/26 01:22
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